2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の翌期以降の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があるリスクのうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる主要なリスクは、以下のとおりであります。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスクマネジメント基本規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を原則として年4回及び臨時に開催しており、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。

また、主要なリスクとその対応策については、経営方針・経営戦略との関連性も考慮して記述しております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の市場に依存しているリスク

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、電気計測器等の製造、販売を行っており、主として電気、電子機器・装置の研究開発や生産活動に関わる様々な機器、装置の評価・試験・製造設備等として使用されるものであります。これら製品の販売の多くは、販売代理店を経由して行われております。

当社グループの営業収入における重要な部分を占める電気計測器等の需要は、当社グループが製品を販売している国または地域経済の変化による顧客の設備投資動向や購買政策の影響を受ける場合があります。また、最終顧客の設備投資計画により第4四半期の売上高が他の四半期より大きくなる傾向があります。当連結会計年度の売上高のうち、当第4四半期連結会計期間の売上高は38億4千2百万円(30.8%)であり、その大半を菊水電子工業株式会社が占めております。したがいまして、当社グループが製品を販売している主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、経済状況や主要市場における需要の変化により常に起こりうるものとして認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、グローバルビジネス及びソリューションビジネスの拡大に取り組んでおり、航空宇宙、電池、自動車のCASE関連、サーバー・ICTの4つの市場を重点市場として、国内外の顧客ニーズに合わせたソリューションビジネスの積極的展開、Webマーケティングの活用によるブランドプレゼンス向上を進めてまいります。また、営業DXを推進しマーケティングの強化及びユーザーリレーションの強化を図ってまいります。

 

 

(2) 技術力の保持

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、市場ニーズに的確に対応した魅力ある新製品を開発し続けるよう日々努力しておりますが、当社グループの属する電気計測器業界は、顧客ニーズの多様化や急速な変化への対応から、新製品の開発と販売プロセスは、複雑かつ不確実なものとなっており、当社グループが魅力ある新製品を提供するための技術力を持続的に維持することができない場合には、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、競合他社を含めた電気計測器業界の急速な技術の進歩により常に起こりうるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、製品開発ロードマップに従い、新製品開発に必要な先行技術開発に重点を置いた活動を推進し、 顧客ニーズや市場変化等を分析したうえで、製品化を行っております。また技術開発力向上のため産学共同開発や他社との共同開発にも取り組んでおります。

 

(3) 為替レートの変動

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、「グローバルの進化」の方針の下、海外売上高の拡大や海外生産委託の拡充に注力してまいりましたので、為替が大幅に変動した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する時期と程度については、米中の貿易摩擦やロシアのウクライナ侵攻、台湾海峡危機等世界情勢の変化や地政学的リスク等により常に起こりうるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、外貨建てでの海外売上と米国・中国・台湾等海外からの製商品や部品を外貨建てにて仕入れております。これら外貨建てでの売上、仕入双方を行うことにより為替の変動を軽減しております。

 

(4) 優秀人材の確保及び人材育成

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループの将来の成長と成功は、有能なエンジニアやキーマンへ依存する部分が大きく、高い技術力を持ったエンジニアの確保やキーマンの新たな育成が重要であり、その確保・育成ができなかった場合、当社グループの業績と財務状況及び将来の成長に影響が及ぶ可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、少子高齢化の進行と労働人口の減少等により、企業の人材不足感は高水準となっており、常に起こりうるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、「将来を担う人材の確保」「グローバル化に合わせた人事制度の見直し」「従業員教育」の 3つの目標を掲げ、年間を通じた採用活動、外国人雇用や高い技術力を持った人材の確保に対応した人事制度の整備及び各種教育・研修の実施等を通じた人材の育成に取り組んでおります。

 

(5) 海外での事業展開

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、中国上海市、米国カリフォルニア州及びドイツデュッセルドルフ市において現地法人を設立し、事業を展開しておりますが、現地の法的規制、慣習、国際情勢の変化等に起因する事態が発生したような場合、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期については、各国の法改正、国際情勢の変化等により、常に起こりうるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、海外子会社に対して、当社の取締役が役員を兼務し、また適切な人材を出向させるとともに、定期的及び必要に応じてWeb会議を開催し、各国のリスク情報を共有することによって、その対策を協議し、当該対策を実施しております。

 

 

(6) 知的財産権に関する訴訟リスク

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

現時点において当社グループは、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万一、多額の損害賠償を請求されるような訴訟を起こされた場合には、大きな問題に発展する可能性のあるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、第三者の知的財産権侵害の訴訟を未然に防止するため、設計・試作等開発プロセスの中で、特許の有無について検討し、先行技術や特許抵触の調査を行っております。また、実際の特許等出願時には特許事務所を通じた特許調査を行っております。

 

(7) 製品の欠陥

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、品質保証の国際規格に基づき製品を製造しておりますが、万一製品の欠陥が発生した場合には、多額の対応コストを要し、それと共に当社グループに対する信頼を失墜させることから、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製品の品質管理体制には万全を期しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万一、重大な製品の欠陥が発生した場合には、大きな問題に発展する可能性のあるものと認識しております

・リスクへの対応策 

当社グループでは、品質保証の国際管理基準に従い「品質マニュアル」を制定し、当社グループが供給する製品及びサービスに係る品質マネジメントシステムについて規定しており、製品の企画・開発から部品調達、製造、販売、サービスまでの全ステージで製品の欠陥を防止するための取り組みを継続して実施するとともに、定期的な内部監査と逐次品質保証検査を実施しております。

また、品質に関する不具合が発生した場合においては、「不具合処理規定」に基づき、重要度、影響度及び緊急性を判断し、さらに品質本部担当取締役がPL法に関連すると思われる市場不具合の情報を受けた場合には、PL対策委員会を設置してその事故の円滑な処理に当たることとしております。

 

(8) 自然災害、感染症蔓延による影響

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

大規模な災害や感染症の蔓延が発生した場合には、当社グループでは適切な対応に努めますが、事業活動の制限や生産性の低下、また部品供給の停滞による生産活動の遅延や販売機会損失等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、大規模な災害や感染症蔓延は、予期せず起こりうるものであり、万一、発生した場合には、大きな問題となる可能性のあるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、「危機管理基本規程」に基づき、自社の社会的な存在意義に鑑み、「人の身体生命の安全確保を最優先」と位置付け、危機に対処し、危機の収束に向けて全役職員が一丸となって損失の最小化、損害の復旧、再発防止に取り組んでおります。また、全役職員には、危機を「起こりうるもの」と考え、「常に危機に対して備える姿勢を保つ」ことを意識させております。当該リスクが顕在化した緊急事態の際には、代表取締役社長を最高責任者とする「緊急時対策本部」を設置し、発生原因、緊急措置、被害、経過等の状況を可能な限り迅速かつ詳細に把握したうえで、対応方針を協議し決定するなど、大規模災害や感染症蔓延への対応を図ることとしております。

 

(9) 情報セキュリティ上のリスク

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

当社グループは、クラウドに代表されるITの発展に伴い積極的にIT化を推進しており、情報の重要性が増大しております。しかしその一方で、情報流出やコンピュータウイルス感染等の情報に関する障害が生じた際の影響も大きくなりつつあり、状況によっては当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、情報セキュリティには万全を期しており、当該リスクが顕在化する可能性は低いものの、万一、情報流出やコンピュータウイルス感染等情報に関するリスクが顕在化した場合には、当社グループの信用が失墜し、大きな問題に発展する可能性のあるものと認識しております。

・リスクへの対応策

当社グループでは、「情報管理規定」に基づき、ファイヤーウォール等適切な機材の設置や社内規程の整備、またIT教育等の対策を講じております。

 

(10)環境に関するリスク

・リスクが顕在化した場合に経営成績等に与える影響の内容、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期

温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーへの転換などの気候変動への対応が遅れた場合や、廃棄物排 出量の削減、資源循環の取り組み、化学物質の管理などが適切に行われなかった場合、当社グループに対する社会的な信用低下を招く可能性があります。

・リスクへの対応策

当社グループは、「サステナビリティ方針」の下、「気候変動などの地球環境問題への配慮」の重点領域において、事業活動全域でのCO2の排出量削減、廃棄物の削減とリサイクル化の推進、及び環境に配慮した調達と製品の供給を通じて、環境負荷の低減に取り組んでおります。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主重視の経営を基本とし、株主利益の増大に努めております。

一方、将来の事業拡大及び収益向上に不可欠な設備投資や研究開発投資の実行に備えた内部留保の充実をも勘案し、剰余金の配当を決定する方針をとっております。

当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当・期末配当共に取締役会であります。

当事業年度の剰余金の配当は、基本方針の下、1株当たり47円としております。

なお、配当の基準日及び回数の変更は予定しておりませんが、今後検討すべき課題と認識しております。

 

(注)  基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2024年5月30日

取締役会決議

389,681

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