リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスク管理体制
当社グループは、経営に重大な影響を及ぼすリスクに対して、方針および重要事項の決定を担うとともに、適切なリスク管理体制の構築と維持を指示する最高機関としてリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、グループ全体のリスク情報を一元管理することで日常よりリスクの低減活動に取り組んでおります。
これらの活動状況については、隔月ごとに開催するリスク管理・コンプライアンス委員会に報告され、リスクの状況及び対策の有効性についての評価を実施し、その結果を取締役会に報告しております。
(2) 主要な事業活動の前提となる事項について
当社グループが営む情報装置事業は、建設業許可が必要であり、当社において次のとおり建設業許可を受けております。
・特定建設業許可
電気工事業、電気通信工事業
・一般建設業許可
とび・土木工事業、鋼構造物工事業、機械器具設置工事業、消防設備工事業
これらの建設業許可は5年ごとの更新が義務付けられており、本書提出日現在の許可の有効期限はいずれも2025年8月であります。
これらの建設業許可は、建設業法第8条及び同法第17条に欠格要件が規定されており、当該要件に抵触した場合、許可等の取消し、又は期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。また、建設業法第29条に建設業許可の取消し、第28条において業務停止等の処分の要件が規定されており、当該要件に抵触した場合には、許可の取消しまたは期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止等を命じられる可能性があります。
当社には、現時点において許可の取消しまたは業務の停止等の事由となる事実はないと認識しておりますが、当該許可の取消しまたは業務の停止等を命じられた場合には、社会的信頼の毀損や契約破棄等により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) リスクの分類
分類 |
内容 |
発生の可能性 |
影響度 |
コンプライアンスリスク |
①入札制度 |
中 |
大 |
経営環境リスク |
②受注競争 |
中 |
大 |
|
③官公庁の依存度 |
中 |
大 |
|
④物資不足 |
中 |
大 |
|
⑤海外事業 |
中 |
中 |
|
⑥売上時期 |
高 |
中 |
|
⑦企業買収 |
低 |
大 |
人材リスク |
⑧人材確保 |
低 |
中 |
災害リスク |
⑨自然災害 |
中 |
大 |
品質リスク |
⑩賠償責任 |
低 |
大 |
財務リスク |
⑪与信管理 |
低 |
中 |
|
⑫資産管理 |
低 |
中 |
情報リスク |
⑬情報セキュリティ |
中 |
大 |
①入札制度に関する影響について
情報装置事業におけるエンドユーザーは道路管理者(国土交通省、各高速道路会社、地方公共団体等)が中心であり、官公庁が事業主となる公共事業への依存度が高くなっております。そのため、これらの販売については各事業体が実施する入札に応募し、落札することが前提条件となっております。これら入札手続きにおける書類の不備など何らかの不手際があった場合は、営業停止や指名停止の処分が科せられることがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②受注競争に関する影響について
当社グループは情報装置事業のパイオニアとして独自技術を確保・維持しており、特許等も保有しております。今後更なる技術力向上とコスト競争力強化に努めてまいりますが、今後、類似製品の競合による競争の激化や入札制度に予期せぬ変更が生じ、入札価格が著しく下落した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③政府の道路整備計画や財政政策等の影響について
情報装置事業におけるエンドユーザーは道路管理者(国土交通省、各高速道路会社、地方公共団体等)が中心であり、官公庁が事業主となる公共事業への依存度が高くなっております。そのため、政府の道路整備方針の転換や整備期間の延期、財政政策など当社ではコントロール出来ない外部環境の変化が業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループではこのようなリスクを回避するため、新規市場の開拓や新製品の開発、新規事業の創出により官公庁への依存度を低減させることに取り組んでおりますが、これら活動が想定どおりに進捗しない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④原材料の物資不足、価格変動の影響について
世界的な感染症や紛争の発生等によるサプライチェーンの乱れや原材料価格の高騰により、部材調達の長納期化や価格上昇が発生する可能性があります。当社グループにおいては、日常から調達状況の情報収集に努め、前倒しで確保するなど安定調達に努めるとともに、代替部品による設計変更などの対策を行っておりますが、この状況が長期化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤海外事業の影響について
当社グループは、今後の海外における事業展開を視野にインド国・ベンガルールにおいて事業を実施しております。現地企業と協働しながら進行しておりますが、今後海外市場において予想を超えた為替相場の変動やインド国内における政治、経済、法制度等、当初想定した以上に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥売上時期の影響について
情報装置事業においては、基本的に「単年度発注、単年度納め」である官需が中心のため、予算執行期間の年度後半に工事物件の完工が集中する傾向にあります。そのため、当社グループの売上高は下半期、特に第4四半期に集中する傾向があります。
また、入札時に発注仕様を確認することで入札金額を決定し、落札した工事物件をその発注仕様に基づいて施工しておりますが、発注者からの追加工事の要請や実際の施工現場の状況が入札時の想定と異なるなど、発注仕様から変更を要する場合、発注者と協議のうえ、追加工事や工法を見直すことがあります。その場合、原価の発生時期と追加工事や工法変更に係る設計変更契約の締結時期にずれが生じ、原価が先行することで一時的に収益が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
2024年3月期における四半期毎の売上高及び営業利益は次のとおりです。
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|
|
|
(単位:百万円) |
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
売上高 |
2,757 |
3,621 |
3,337 |
7,865 |
営業利益 |
7 |
0 |
226 |
2,110 |
⑦企業買収等について
市場再編による淘汰が起こった場合、経営権を握るための一方的な大量の株式の買付を行う動きが想定され、当社グループが企業買収の対象となる場合があります。敵対的の買収には買収防衛策を導入することで対策を講じておりますが買収に至った場合、買収の目的や買収後の経営方針によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業展開によっては、当社グループが他企業の買収を実施する場合があります。企業買収は十分な検討のもと、成長に資すると判断したものを実施することになりますが、買収後の施策の進捗が思わしくない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧人材確保の影響について
当社グループが事業を展開・拡大していくためには、常に顧客ニーズに応えた製品を提供し続けていくことが重要であり、そのための一定水準の技術力をもった人材を確保し、育成していくことが課題であります。常に仕事の質と量に見合った組織と人員体制を維持していくため、キャリア採用による即戦力人材の獲得と将来を見据えた新卒採用に取組むとともに、研修と実務経験の連携による技術者の育成と技術力の向上・維持に取組んでおりますが、優秀な人材を確保出来ない場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨自然災害の影響について
地震や台風などの自然災害により、当社グループの生産拠点及び外注先が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高の減少や巨額の復旧費用を要する可能性があります。そのため、不測の事態への備えとして建物の災害対策補強の実施、安否確認システムの導入、リモート環境での業務遂行の円滑化に取り組んでおりますが、想定外の事象が発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩製品の欠陥による影響について
当社グループは顧客ニーズに応じた製品の開発・製造・施工業務を行っております。これらの品質に関しては常に万全を期しており、さらに製造物責任賠償・請負賠償に備え関連保険に加入しておりますが、予期せぬ欠陥や施工における事故が原因で顧客に深刻な損失をもたらした場合、損失に対する責任を問われる可能性があります。また、これらの損害が発生した場合の社会的責任を問われることや信用失墜も想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪取引先の信用の影響について
当社グループは、国内外において様々な顧客や仕入先との取引を行っております。取引先の信用については、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫保有資産の影響について
当社グループは様々な資産を保有しており、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、建物や土地、政策保有株式などの資産価値が急激に下落した場合又は、収益性が悪化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬情報セキュリティの影響について
当社グループは業務上、顧客が保有する機密情報を取り扱っており、コンピューターウイルスや不正アクセスをはじめとするサイバー攻撃、人為的過失当により情報の漏洩が発生する可能性があります。当社グループでは、外部への情報流出や外部からの不正侵入を防ぐセキュリティ対策など未然に防止するよう努めるとともに、セキュリティ教育を定期的に実施することにより社員のセキュリティに対する意識向上を図っておりますが、万一情報漏洩が発生した場合には顧客からの損害賠償請求や信用失墜等の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元は会社経営の主要テーマのひとつと認識しており、将来の事業展開と経営基盤の一層の強化を勘案した内部留保の充実に留意しつつ、2027年3月期配当性向30%以上を目安に安定的に配当を行うことを基本方針とし、配当絶対額の維持向上に努めます。
また、当社の剰余金の配当については、「法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定めることができる」旨を定款に定めております。
なお、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めており、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり70円の配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は26.2%となりました。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は次のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年6月25日 |
409,981 |
70 |
定時株主総会決議 |