リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応を迅速かつ効果的に実施する所存であります。なお、本文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①製造業の生産動向
当社グループの主な製品は、プリント配線板用超硬ドリル(PCBドリル)や超硬エンドミルなどの産業用切削工具とその他製品である転造ダイス・測定機器などであります。このため、経営成績等は、製造業全般の生産動向や工場稼働率の動向により影響を受けています。
生産動向の強弱を決める要因は、消費者の嗜好変化、政治経済動向、燃料価格の上昇や部材不足などの生産側の問題、大規模自然災害等多岐にわたります。当社グループは、どんな緊急時でも完全にストップする可能性が少ない消耗工具での事業展開に注力することで一定の業績を確保してまいりました。また、需要の急激な変化が常態であるとの認識を共有し、製販一体となった需要動向の精査と予測精度の向上を果たしつつ、見込生産を実施しております。その他、流通分を含めた在庫把握体制の強化やリードタイムの短縮に注力しております。
②PCBドリルへの依存体質
当社グループの売上高の約7割がPCBドリルになっており、今後しばらくはこうした状況が続くものと予測されます。このため、同製品の主要市場であるプリント配線板市場の生産動向に、当社グループの経営成績等は影響を受けています。近年、プリント配線板は高品質・高密度傾向が強く、その用途も拡大している分野で、お客様の要求もめまぐるしく変化し、多岐にわたっています。
当社グループは、PCBドリル分野で唯一世界展開を果たしている企業グループであり、生産設備の内製化(製造業の自由度を圧倒的に高めることができると考えております。)という特色を持っています。世界からの情報と内製技術の蓄積により高付加価値製品の一早い開発・製造が可能になっており、このような体制を強化することで競合他社に対する競争優位性を保てるものと思っております。
また、プリント配線板には、近年、技術革新が起こっています。このため予測し難いことではありますが、プリント配線板の技術開発動向も経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新要求は一定の地域で起きており、また、その要求を満たすための新技術・新製品はこれまでの技術の積重ねによって生み出されるものであることから、現在トップメーカーの地位にある当社が突然厳しい立場になることはないと考えておりますが、業績の更なる安定のために対象市場が異なる超硬エンドミルや転造ダイス製品の拡大にも注力しています。
③日本を含むアジア向け売上高が高いこと
連結売上高の約9割が、日本を含むアジア向けとなっています。世界的にこの地区への製造業シフトが見られ、このような傾向は止むをえないものと考えております。このような状況から、この地区での政治的・経済的・社会的変化や法規制等の変更および天変地異の発生などにより、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度においては、西側諸国と中国・ロシアの対立など複数の地政学リスクが顕在化し、特に当社グループに関連深い東アジアでの動きがめまぐるしく変化していました。この変化の後も不透明感が高い状況にありますが、短期的な業績のブレは懸念されるものの、中期的にはアジア地区からの需要の拡大が期待されています。
④製品価格の下落傾向があること
プリント配線板は電子部品の電気的導通のベースとなるものであり、電子機器製品に必ず搭載されています。電子機器製品の本体価格は恒常的に低下する傾向にあり、搭載の各種部品・半導体等も同様の傾向にあります。このような状況下、主力のPCBドリルに対しても厳しい値下げ圧力がかかっています。当社グループは、品質・技術・サポート体制・供給力の強化を図り、少しでも価格競争による影響を回避すべく努力しておりますが、製品価格の下落が当社経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、上記②において当社グループ製品の高付加価値新製品に対する期待の高まりがあることを記載していますが、業界全般の価格推移に対する抵抗力が発揮できる地合いが出てきているものと思っています。今後とも価格下落圧力に対応できる新製品の開発・投入を進めてまいりたいと思っています。
⑤原材料価格動向
当社グループ製品の主要原材料は超硬合金「タングステンカーバイド」であり、タングステン鉱石の市場価格変動の影響を受け調達価格が変動します。当社グループは、高まる製品供給責任を重く受けとめ、安定した材料調達努力を続けておりますが、急激な需要増、供給量の低下など原材料価格の高騰があった場合には、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、原材料の一括購入、リサイクル材の活用および新材料の採用の試みなどを引続き強化してまいります。
⑥製造ノウハウ等が一つの拠点に集中していること
自社製機械設備製造の大部分および技術開発の大部分が、新潟県長岡市の長岡工場に集中しています。製造・技術一体となった効率高い生産設備の開発、最先端技術製品の市場に先んじての投入など、集中させているメリットは十分にあると考えていますが、同地区の地理的環境や物流網への変化・支障が生じた場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
近年、異常気象の発生や記録的大雪などが各所で問題になっていますが、新潟県長岡市は、同市独自の「消雪パイプ」道路網の整備が完了しているなど自然災害への備えが進んでいる地区であります。当社長岡工場でも大雨による水害対策の整備に乗り出しており、備えを厚くしています。
⑦為替レートの変動について
外貨建売上高と海外子会社の現地通貨建決算書類の連結において、為替レートによる円換算を行います。急激な為替レート変動などがあった場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主還元、成長投資および経営の安全性をバランスよく見ながら資金配分することが重要であると考えており、株主還元については、連結業績、フリーキャッシュフローの状況を勘案して決定することを基本方針としております。
株主還元は、主に配当と自己株式取得の2つの方法により行ないます。
配当は、株主還元の基本であり、これからも重視してまいります。なお、配当の回数については、中間配当と期末配当の年2回とし、中間配当については、定款第44条の定めにより取締役会決議で実施できることとなっており、期末配当は株主総会により決議いたします。
自己株式の取得は、定款第7条の定めにより取締役会決議で機動的に実施できるようになっておりますので、短期的なキャッシュフローの状況等を見ながら実施してまいります。
以上のような基本方針のもと、第63期においては、以下の株主還元を実施いたしました。
(注)1.基準日が当事業年度に属する剰余金の配当
2.取締役会決議に基づく市場からの自己株式の取得
該当事項はありません。