2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

 

リスク分類

当社は、想定されるリスクを3つのカテゴリーに大分類し、その大分類の中をリスクの性質に基づき、個別のリスクとして把握しております。

リスクの大分類としては、「外部要因リスク」、「内部要因リスク」、「特殊リスク」をあげております。

・外部要因リスクとは、そのリスクの原因が外部要因によるものです。

・内部要因リスクとは、そのリスクの原因が内部要因によるものです。

・特殊リスクとは、本来外部要因リスクまたは内部要因リスクに分類すべき事項ですが、投資判断上特に注目度が高いと思われるリスクについて、別のカテゴリーとして分類しているものです。

 

(1)外部要因リスク

①自然災害リスク

当社は、日本全国に本社・支店・営業所および3か所の工場を有しております。地震による被害、気候変動による台風等風水害の規模拡大による自然災害により、当社の施設および従業員が被害を受ける可能性があります。それに加え、当社ステークホルダーおよび日本国内全体にも被害が及ぶ可能性があります。

これにより、当社の事業遂行に直接的または間接的な影響が発生するだけでなく、日本国自体も影響を受けることは否めません。こうした事態となった場合のため、事業継続計画の策定、各拠点の整備改善および保険契約により、対策を講じております。

しかしながら、想定を超える被害が生じた場合、当社の事業遂行、経営成績および財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

②外部調達リスク

当社の製品を製造するためのエネルギーや製品を構成する銅やアルミ等の主要原材料および室外機や圧縮機等の主要部品は、経済情勢、国際情勢や為替相場等の影響や調達先の生産状況等により、価格の大幅な上昇もしくは調達が困難になる可能性があります。これに伴い、生産・営業活動が停滞ないしは停止するリスクがあります。

また、当社は、生産性向上および外部企業が持つ高いスキルを活用するなどの目的で、外部企業への製造・加工の委託、物流、工事等の役務の提供を受けております。経済情勢等によるコストの上昇や人員の確保の困難等により、価格の大幅な上昇もしくは役務の提供が困難となるリスクがあります。

上記のリスクについて、サプライチェーンの見直し、原材料・主要部品の備蓄、設計の変更、新規外注先の開拓等の対策を講じております。

しかしながら、対策を超える事態が生じた場合には、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③経済環境リスク

当社は製造販売を全て国内でおこなっており、国内の経済情勢、日本の国際競争力の低下、DX等の情報インフラ整備の遅れ等、日本国自体の経済・政治状況に依拠しております。これに伴い、大幅な為替変動、大幅な金利上昇、国内の設備投資の減少およびエネルギーを始めとする原材料の調達困難等のリスクがあります。

このために、たゆまぬ業務改善、製品力の向上および財務体質の改善を図っております。

しかしながら、こうした企業努力で吸収できないような事態が生じた場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④外部からの攻撃リスク

当社事務所・工場を含む国内でのテロ等の破壊行為および機密情報を含む窃取行為、サイバーテロ等による当社を含む国内情報システムへの攻撃による当社の施設、情報資産を含む資産および従業員に対する被害、生産・業務システムが正常に稼働しないなどの可能性があります。

こうした事態となった場合のため、事業継続計画の策定、警備会社との契約、サイバーセキュリティに対する施策、サーバーの物理的安全管理措置の強化やクラウド化等により、対策を講じております。

しかしながら、想定を超える被害が生じた場合、当社の事業遂行、経営成績および財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

⑤感染症等リスク

新型コロナウイルス感染症が5類移行したものの今後も新型感染症の拡大により、当社人員の確保、原材料等のサプライチェーンの混乱、その他感染症拡大のための措置により、当社業務運営に障害が発生するリスクがあります。

上記への対策として、感染拡大期においては在宅勤務・時差出勤の実施や衛生管理の徹底により、感染拡大防止を図る方針です。

しかしながら、想定以上の感染拡大が生じた場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥法令等変更リスク

当社の展開する事業に関する法的規制としては、外注先を利用する場合の製品製造・保守等に関する「下請代金支払遅延等防止法」、許認可を要する空調設備設置工事に関する「建設業法」、工場等で排出する産業廃棄物に関する「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」、フロンガスの管理等に関する「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」等があります。関連法令の改正に加え、環境規制の強化がおこなわれる可能性があり、製品開発や事業展開が制限されるなどのリスクが生じる可能性があります。また、法令違反の事象が発生した場合、許認可の取消を受けるなど事業上の問題が発生する可能性があります。

上記のリスクに対して、法改正や環境規制の強化については十分な情報収集をおこない、前倒しに対応できるように準備をおこなっております。加えて、法令遵守に関しては、当社内において周知徹底し、法務部門によるモニタリングを実施するとともに、内部監査による定期的な確認も実施し、法令違反が発生しないように努めております。

こうした対策が十分に機能しない場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦知的財産権リスク

当社に対し、第三者より知的財産権の侵害についての提訴または通知を受けるリスクがあります。こうした提訴等への対応に伴い、訴訟に係る多額の費用の発生、権利侵害に伴う損害賠償および侵害の対象となった技術を利用できないなどの可能性があります。

こうした事態となった場合のため、専門部署を設置し、特許事務所とともに、特許権を含む知的財産権を管理しております。

しかしながら、対策を超える事態が発生した場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)内部要因リスク

①人的資本リスク

事業遂行に当たり、優秀な人材を採用し、確保し続けることは、当社の競争力を維持するために必要不可欠であると考えております。しかしながら、人口減少、少子高齢化およびそれに伴う人件費、派遣費等の上昇により、事業継続に必要な人員の確保が困難となることや処遇を含めて当社の魅力が低下した場合に人材流出が起きるリスクがあります。

これらのリスクについて、賃金等の適正な引上げ、労働環境の整備、業務プロセスの見直しによる効率化、教育・リスキリング等の教育投資の実施等の対策を講じております。

しかしながら、対策が十分な効果を発揮しない場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②製品競争力低下リスク

製品価格と性能との比較から見た割高感や研究開発の遅れによる競争力の低下により、製品(価格)競争力が低下するリスクがあります。

顧客の声を広く収集し製品開発に活かすマーケティング活動、コスト削減、生産性向上、研究開発投資の継続等の対策は講じております。

しかしながら、対策が十分な効果を発揮しない場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③情報システムリスク

当社は、販売、生産、経理、労務管理等において情報システムを利用しております。プログラミングミスや人為的ミスにより、システム障害による業務運営の障害や情報漏えいが発生するリスクがあります。これに加え、情報漏えいに伴い、第三者から損害賠償請求を受けるリスクがあります。

また、当社では、現在全体的にDX化を進めておりますが、適切なDX化を図れない場合や改善効果が乏しい場合等、当社の業務上の効率性が他社比劣後することが想定され、当社の市場における競争力が低下するリスクがあります。

上記のリスクについて、トップダウンによるDX化やセキュリティシステムの導入、内部統制の強化、情報漏えいに備えた保険契約をおこなっております。

しかしながら、対策が不十分な場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④事務・業務リスク

製造ミス、設計ミスに起因する当社製品の不良や業務過誤により、損害賠償や当社信頼感の低下を招くリスクがあります。

上記のリスクについて、品質管理の徹底、設備等の更新・改良、内部統制の徹底および保険契約等による対策を講じております。

こうした対策を超える損害が発生した場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤コンプライアンスリスク

セクハラ、パワハラ、社員による刑事事件、社員等による不正により、金品等の盗難、機密情報の持出し、損害賠償請求、労働環境の悪化による人材流出、新規雇用への影響、株価への影響等のリスクがあります。

上記のリスクについて、内部統制の徹底、従業員教育、内部通報制度の整備等により、対策を講じております。

こうした対策を超える損害が発生した場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥信用リスク

当社は、総合建設業者、設備工事業者、施主等と取引をおこなっております。これらの取引先に対し貸倒れ等の不良債権の発生による損失の発生や財務体質の悪化が生じる可能性があります。また、不良債権額が多額の場合、株価の下落、資金調達への影響が発生するリスクがあります。

上記のリスクについて、信用調査に基づく取引限度額の設定や定期的な取引状況の把握による信用リスクの低減に努めております。

現時点において当社の事業継続に影響を与える規模の不良債権の発生の可能性は低いと考えておりますが、仮にそうした事態となった場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦減損リスク

当社は、事業用の資産として、有形・無形の固定資産を保有しております。事業に供しているこれらの資産については、業績が低迷し、事業から得られる将来のキャッシュ・フローの見積りが帳簿価額を大幅に下回った場合、減損処理が必要となる場合があります。

減損処理が発生した場合には、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)特殊リスク

①地政学リスク

世界各地における戦争・テロ(サイバーテロを含む。)により、サプライチェーンの混乱、経済のブロック化、大国対立の先鋭化等の可能性があります。これにより、当社の事業遂行に直接的または間接的な影響が発生し、国内情勢も影響を受けることは否めません。

こうした事態となった場合のため、サプライチェーンの見直しや主要部品の備蓄等による、対策を講じております。

しかしながら、想定を超える事態が生じた場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

②気候変動への対応リスク

世界的に気候変動に対する意識は高まっており、特にCO2の削減を念頭においた「カーボンニュートラル」への取組みが企業行動のうえで不可欠となってきております。

このため、カーボンニュートラル対応の遅れ、特に「温室効果ガス」対策への取組みの遅れおよび環境適応力の劣後が、当社競争力の低下につながるリスクがあります。

上記のリスクについて、SDGs対応強化、温暖化係数の低い冷媒の使用および機器のパッケージ化・システム化技術による温暖化ガスの使用量削減・漏洩策等による対策を講じております。

しかしながら、対策が十分な効果を発揮しない場合、当社の経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益配分を経営上の重要事項と認識し、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、継続的に安定した配当を実施していくことを基本といたします。

当社は、決定機関を株主総会とした期末配当を年1回、剰余金の配当として実施しておりますが、取締役会の決議による中間配当を剰余金の配当として実施できることを定款に定めております。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり90円(普通配当65円、記念配当25円)の配当を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は15.6%となりました。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、市場ニーズに応える技術開発、製造体制強化等、将来の事業展開に活用してまいります。

引き続き経営基盤の強化と自己資本利益率の維持向上に取り組むとともに、企業価値の持続的成長を図ってまいります。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年6月21日

321,916

90

定時株主総会決議