事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 9,337 | 100.0 | 102 | 100.0 | 1.1 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、ビッグデータ(注1)処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉とした、アドテクノロジーのDSP(注2)「Logicad(ロジカド)」を中心とする「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントを提供しております。主要なサービスは、1.アドテクノロジー、2.マーケティングソリューション、3.デジタルソリューション、4.その他の4つに大別され、2024年3月31日現在、当社ならびに連結子会社6社で構成されております。
1.アドテクノロジー
DSPは、Demand Side Platformの略で、RTB(注3)を活用した広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであります。RTBは、広告枠をリアルタイムに売買する広告配信の入札手法で、欧米にて2009年頃から、日本では2011年頃から急激に普及した比較的新しい広告配信テクノロジーです。これまでのインターネット広告は、一定期間単位で広告枠を売買する「純広告」が主流でしたが、RTBの出現により、広告主と媒体社は「インプレッション」(注4)ごとに「オークション形式」で取引を行うことができるようになりました。具体的には、広告主はDSPを通じて「広告を配信するユーザー」、「広告を配信する媒体」、「広告を配信するタイミング」、「広告の配信量」、「広告枠の購入単価」をインプレッション単位で適切にコントロールすることで広告枠買付の投資効果を改善できるほか、広告効果の仮説検証を短期間に繰り返し行うことが可能となりました。
[RTBによる広告配信の流れ]
① ユーザーによる媒体の閲覧
まず、ユーザーがPCやスマートフォンで、広告枠のある媒体(WEBサイトやスマートフォンアプリ等)を閲覧します。
② 媒体からSSP等への広告リクエスト
ユーザーがWEBサイト等を訪問すると、対象の広告枠を管理するSSP(注5)・アドネットワーク(注6)・アドエクスチェンジ(注7)等の事業者に対して広告を表示するようにリクエストが発生します。
③ SSP等からDSPへの入札リクエスト送信
広告枠を管理するSSP等から、SSP等が接続している複数のDSP事業者に対して、対象の広告枠や来訪ユーザー等の情報と入札リクエストが送信されます。
④ DSPによる広告キャンペーン(注8)の選択
各DSPはSSP等から送られた情報をもとに、自社のデータベースを解析し、最適な広告キャンペーンの選定を行います。
⑤ DSPによるオークションへの入札の実施
広告キャンペーンの予算、広告に対するユーザーの予測される反応、他DSPの予想入札価格等を総合的に判断した上で、最適な入札価格を決定し、オークション取引への入札を実行します。
⑥ 広告の配信
各DSPによるオークションの結果、競り勝ったDSPは広告の配信を行うことができます。当社では、オークションが成立した瞬間にSSP等から広告枠を仕入れ、広告枠の入札価格に一定のマージンを加算して販売価格を決定し、広告の配信を行います。
当社は、内製開発したDSP「Logicad」を広告主及び広告代理店に提供しております。当社では、広告主のさらなる顧客満足度の向上の為、「広告効果の改善」や「広告効果の見える化」に積極的に取り組んでおり、以下の特徴と競争力を有しております。
[リアルタイムでのビッグデータ処理技術]
DSPは、SSPを経由して届く大量の入札リクエストと広告主及び広告代理店から受注した多数の広告キャンペーンによる膨大な組み合わせの取引情報をリアルタイムに処理する必要があります。RTBの広告配信は、ユーザーの媒体閲覧から広告配信までの一連の処理を100~150ミリセカンド(注9)以内に行う必要があります。そのため、DSPの処理速度が遅いとオークション取引に間に合わず、広告出稿機会を逃すタイムアウト(注10)という現象が起きてしまいます。当社のDSP「Logicad」の場合、2024年3月末現在、月間約10,300億件を超える入札リクエストに対して、2,900件を超える広告キャンペーンを運用していますが、各広告キャンペーンにおいて最適と予測した価格を瞬時に判断して応札しております。秒間最大10万件を超える膨大なオークション情報を平均数ミリセカンドでリアルタイムに処理するビッグデータ処理技術により、タイムアウトの発生を抑制している点が強みであります。
[人工知能と金融工学による入札の最適化]
DSPは、SSPからの入札リクエストに対し、広告キャンペーンごとに適切なユーザーへの適切な入札額を算出する必要があり、この「入札額算出のためのロジック」がDSPの特徴であり競争力の源泉と言えます。RTBのオークション取引における価格決定は一般的に、1,000回表示あたりの広告コストで行われます。そのため、予測精度が悪いと広告効果の低い広告を割高で購入するリスクや、広告効果の期待値を実際の効果よりも低く予測すると広告の表示機会を失ってしまうリスクが生じます。当社のDSP「Logicad」の強みのひとつは、内製開発した人工知能「VALIS-Engine(ヴァリス・エンジン)」であり、金融工学により導き出された入札戦略と「VALIS-Engine」の高精度な行動予測により、広告キャンペーン毎に、各ユーザーに応じた最適な入札価格を決定することで広告キャンペーンの投資効果向上に貢献しております。
[広告効果を改善するデータ群と人工知能「VALIS-Engine」]
DSPによる広告配信は、一般的に、広告主が保有するユーザー情報(属性情報、WEB閲覧履歴等)、SSPから得られる行動履歴データ、第三者のデータプロバイダー(注11)から得られる各種データを横断的に分析・活用することで、広告の投資対効果の改善が期待できます。当社のDSP「Logicad」の場合、2024年3月末現在、自社において約2.8億ユニークブラウザー(注12)を超えるユーザー情報(属性情報、WEB閲覧履歴等)を保有し、月間約10,300億を超える膨大なリクエスト情報を処理しておりますが、これらのビッグデータを基に、広告主やデータプロバイダー等の保有する様々なデータを組み合わせて、ユーザーの各種行動を人工知能「VALIS-Engine」により分析、広告主の広告効果改善を支援している点が特徴です。
[広告効果の見える化]
DSPは主に媒体を閲覧しているユーザーに着目して広告配信を行いますが、広告配信面である媒体に関しても、媒体毎の特性に応じた広告効果の差異や広告主のブランディングへの影響を把握して選別することが重要になります。
当社のDSP「Logicad」の場合、日々増加するRTBのオークション取引に係るビッグデータに対して拡張性の高いシステムを構築しており、媒体への広告配信状況をドメイン単位で細かく参照して調整できる点が特徴です。具体的には、ドメイン単位で広告効果の高い媒体を厳選した広告配信設定が可能であり、広告主に対してドメイン単位での配信状況を網羅した透明性の高いレポートを提供しております。また、専任の訓練された運用人員が広告キャンペーン毎に広告配信設定を調整しており、DSP以外での広告施策や外部環境の影響を考慮する等、システムだけでは対応が難しいきめ細かな運用ができる点も当社の特徴です。
[ダイレクト・レスポンス広告(注13)を中心とした積み上げ型のビジネスモデル]
広告事業は一般的に、季節変動による広告主の広告出稿需要の増減の影響を受けやすい面があります。当社のDSP「Logicad」の場合、通信販売等のダイレクト・レスポンス広告ニーズに対応したリターゲティング広告(注14)を中心に提供しておりますが、広告主の売上に直接的に結び付きやすいダイレクト・レスポンス広告はブランディング広告(注15)と比較して、広告効果が高い限りは一年を通して継続的に利用される傾向にあります。
なお、当社のDSPは、広告主及び広告代理店から受注した広告キャンペーン数と広告キャンペーン単価の積により売上が構成されておりますが、ダイレクト・レスポンス広告の特徴である広告キャンペーンの継続性、上述の「広告効果改善プロセス」及び「広告効果の見える化」により、広告キャンペーンを積み上げております。
2.マーケティングソリューション
連結子会社のSMT株式会社はクローズド型アフィリエイトサービス「SCAN(スキャン)」を提供しております。アフィリエイトサービスとは、インターネット上で商品やサービスを販売している広告主の広告を、WEBサイトやスマートフォンアプリ等の媒体に掲載し、広告掲載の成果(商品購入、会員登録の実績等)に応じて報酬を得るサービスです。当社のクローズド型アフィリエイトサービス「SCAN」の特徴は、当社の独自の審査により厳選した媒体に限定した広告出稿を行っており、広告主の投資効果の最大化を支援している点にあります。
3.デジタルソリューション
連結子会社の株式会社ASAはWebサイト、モバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作及び開発を行っています。
連結子会社のルビー・グループ株式会社では、ラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しております。
4.その他
テレビ番組表ポータル「テレビ王国」やインターネット利用支援ポータル「PreBell」の広告枠の企画及び販売を行っております。
4.用語
注1. |
ビッグデータ |
従来のデータベース管理システムなどでは処理することが困難なほど巨大で複雑なデータ集合の集積物。 |
2. |
DSP (Demand Side Platform) |
広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォーム。媒体側の広告収益の最大化を支援するプラットフォームであるSSP(Supply Side Platform)と対になる仕組みであり、両者はRTB(Real Time Bidding)を通して、広告枠の売買をリアルタイムに行っている。「Logicad(ロジカド)」の場合、2024年3月末現在、複数のSSPと接続しており、月間約10,300億件を超えるリクエストを処理している。 |
3. |
RTB (Real Time Bidding) |
媒体を閲覧したユーザーの1インプレッション毎にインターネット広告枠の売買がリアルタイムにオークション形式で行われる仕組み。 |
4. |
インプレッション |
媒体に掲載される広告の効果を計る指標の一つで、広告の掲載回数のこと。媒体にユーザーが訪れ、広告が1回表示されることを1インプレッションという。 |
5. |
SSP (Supply Side Platform) |
媒体社側から見た広告収益の最大化を支援するプラットフォーム。RTBの技術を活用して、DSPに対してユーザーの1インプレッション毎に広告枠のオークションを行うことで媒体の広告収益最大化を支援する。 |
6. |
アドネットワーク |
複数の媒体の広告枠を束ねて広告配信ネットワークを形成し、これらの媒体に広告をまとめて配信することにより、広告配信を効率化させる仕組み。 |
7. |
アドエクスチェンジ |
複数のアドネットワークをさらにまとめてネットワーク化したもの。広告枠のオープンなマーケットプレイスとして機能しており、RTBにも対応している場合、広告主はこのマーケットプレイスを通して、DSPを利用した広告配信を行うことができる。 |
8. |
広告キャンペーン |
広告主から受託した広告を管理するための単位で、商品やサービス毎に広告キャンペーンを作成しており、広告キャンペーン毎に予算やターゲットユーザー、地域などを設定。「Logicad」の場合、同一商材であっても、PC向けとスマートフォン向けの広告で別の広告キャンペーンとしてカウントしている。 |
9. |
ミリセカンド |
時間の単位のひとつで、1,000分の1秒のこと。 |
10. |
タイムアウト |
SSPが受け付ける各DSPによるオークションの入札期限のこと。「Logicad」の場合、2024年3月末現在、平均数ミリセカンドでの入札を実現することで、タイムアウトによる広告出稿機会のロスを防いでいる。 |
11. |
データプロバイダー |
インターネットユーザーの属性情報、コンテンツ閲覧履歴、検索履歴、アクセス元履歴などのオンライン行動履歴及び会員データ等をセグメント化して、DSP事業者等に当該データを提供する事業者のこと。 |
12. |
ユニークブラウザー |
WEBサイトのアクセス数を計測する指標のひとつ。1ユニークブラウザー(UB)とは、ある一定期間内にWEBサイトにアクセスした、重複のないブラウザー数のこと。 |
13. |
ダイレクト・レスポンス広告 |
広告閲覧ユーザーからの直接的な反応を得ることを目的としており、主に顕在顧客を獲得する手段としての広告。「Logicad」の場合、通信販売や金融、デジタルコンテンツ、旅行、不動産等の商材を扱う広告主に対して、リターゲティング広告等の提供により、広告主の広告効果改善に貢献している。 |
14. |
リターゲティング広告 |
広告主の媒体を訪れたことのあるユーザーに限定して、再訪を促すような広告を配信すること。広告主の媒体に一度でも訪れたことのあるユーザーは商品やサービスに対して比較的関心が高く、未訪問のユーザーと比較して広告効果の向上が期待される傾向にある。 |
15. |
ブランディング広告 |
企業や商品・サービスのブランド向上を目的とした広告で、レスポンス広告と対になる用語。従来はテレビCM、新聞、雑誌などのマスメディアが中心に使われており、ブランドに関する情報をユーザーに伝え、認知や好意的なイメージを獲得することを目的としている。 |
5.事業系統図
以上の内容を事業系統図に示すと、次のとおりであります。
(注)親会社であるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社とは、当社グループサービスのアドテクノロジーにおいて取引を行っており、「Logicad」の広告枠の販売を行っております。
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、引き続き拡大を続けています。「2023年日本の広告費」(株式会社電通調べ)によると、2023年のインターネット広告費は、コネクテッドTVの利用拡大に伴う動画広告需要の高まりや、デジタルプロモーション市場の拡大などが成長に寄与し、前年から7.8%増加して3兆3,330億円となりました。
このような経営環境のもと、当社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションのもと、2024年3月期は経営方針として、既存事業改善によるキャッシュ創出力強化に向けた「新アルゴリズム導入による効果改善」「ASP市場におけるポジションチェンジの推進」「ASA海外拠点展開による売上拡大」、新たに柱となる事業の育成による再成長のための「独自DSP立ち上げ支援サービス強化」「AIを活用したDTC(注1)支援ソリューションの立ち上げ」を経営方針として取り組みました。
当連結会計年度は、売上高においては、アドテクノロジー、マーケティングソリューションの減収により、当
連結会計年度では減収となりました。営業利益、経常利益は、アドテクノロジーの増益、組織再編によるコスト削減効果の発現により増益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純損失は、中長期戦略の再定義によるデジタルソリューションの将来計画の見直しに伴うのれん等の減損損失を1,124,873千円計上した影響により減益となりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,462,278千円減少し、6,674,989千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ434,865千円減少し、2,974,932千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,027,412千円減少し、3,700,057千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は9,336,856千円(前期比18.4%減)、営業利益は102,212千円(前期比492.3%増)、経常利益は95,990千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,028,592千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントでありますが、取扱いサービス別の売上高の概況は次のとおりであります。
1.アドテクノロジー
広告主の広告配信効果を最適化するための広告買付プラットフォームであるDSP「Logicad」の提供を行っております。当連結会計年度は、上半期の減収傾向を下半期の特定大型案件によりリカバリーを行うも、
アドテクノロジーの売上は前期比6.1%減の6,650,589千円となりました。
2.マーケティングソリューション
広告主と媒体を限定したクローズド型アフィリエイト「SCAN(スキャン)」の提供を行っています。当連結会計年度は、前期に実施したメディアデータを軸としたソリューション事業の売却及びASP領域の競争激化の影
響等により、マーケティングソリューションの売上は前期比66.8%減の821,871千円となりました。
3.デジタルソリューション
連結子会社のルビー・グループ株式会社では、ラグジュアリーブランド向けEコマースの構築・運営・コンサルティングを提供しています。株式会社ASAではWebサイト、モバイル(Webアプリケーションなど)をはじめとするデジタルコンテンツの制作及び開発を行っています。連結子会社であった株式会社ゼータ・ブリッジは、2023年9月1日にSMN株式会社へ吸収合併されておりますが、SMN株式会社において全国各地のテレビCMメタデータの販売などのプロモーション関連領域のサービスを引き続き提供しています。当連結会計年度では子会社の株式会社ASAの受注案件数減少等の影響により、デジタルソリューションの売上は前期比2.8%減の1,792,000千円となりました。
4.その他
テレビ番組表ポータル「テレビ王国」やインターネット利用支援ポータル「PreBell」の広告枠の企画及び販
売事業を行っています。当連結会計年度は、今期より「Prebell」の広告販売を開始した影響等により、その他の売上は前期比80.6%増の72,393千円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動及び財務活動による支出が営業活動による収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べ164,044千円減少し2,433,603千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動においては、減価償却費605,889千円、のれん償却額166,340千円、顧客関連資産償却額63,700千円、減損損失1,124,873千円を計上した一方で、税金等調整前当期純損失1,040,858千円、売上債権が264,262千円増加、仕入債務が90,487千円減少、法人税等の支払額66,235千円がありました。その結果、営業活動により得られた資金は521,898千円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動においては、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出が430,398千円、造作・サーバー等の有形固定資産の取得による支出が34,813千円となりました。その結果、投資活動により使用した資金は463,172千円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動においては、長期借入金の返済による支出が226,536千円となりました。その結果、財務活動により減少した資金は228,750千円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
アドテクノロジー |
6,650,589 |
93.9% |
マーケティングソリューション |
821,871 |
33.2% |
デジタルソリューション |
1,792,000 |
97.2% |
その他 |
72,393 |
180.6% |
合計 |
9,336,856 |
81.6% |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(子会社への投資及びのれんの減損判定)
子会社への投資及びのれんについては、事業環境や将来の業績見通しの悪化、事業戦略の変化等、減損の判定が必要となる兆候が発生した場合に減損の判定を行っており、減損判定時には、事業計画の達成状況を検討し、報告単位の事業計画を基礎とした見積将来キャッシュ・フローに基づくインカムアプローチ(現在価値技法)により実質価額を算定しています。子会社への投資及びのれんの減損判定における報告単位の実質価額の算定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。
当連結会計年度において、のれん及び顧客関連資産を含む資産グループについて、減損の兆候を識別しております。減損の判定で必要な割引前将来キャッシュ・フローを見積もった結果、その総額がのれん及び顧客関連資産を含む資産グループの帳簿価額を下回り減損損失の認識が必要と判断されたため、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
これらの見積りにおいて用いた仮定は、将来の不確実な経済条件の変動等によって影響を受ける可能性があり、実際の収支が見積りと異なった場合には、減損損失の計上に伴い、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末における流動資産は、4,788,173千円となり、前連結会計年度末に比べ91,788千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が154,044千円減少した一方で、売掛金及び契約資産が264,262千円増加したことによるものであります。固定資産は1,886,815千円となり、前連結会計年度末に比べ1,554,066千円減少いたしました。これは主に、のれんが805,164千円、顧客関連資産が411,174千円減少したことによるものであります。
その結果、総資産は6,674,989千円となり、前連結会計年度末に比べ1,462,278千円減少いたしました。
(負債合計)
当連結会計年度末における流動負債は1,845,067千円となり、前連結会計年度末に比べ99,674千円減少いたしました。これは主に、買掛金が90,487千円、未払消費税等が25,945千円減少したことによるものであります。固定負債は1,129,864千円となり、前連結会計年度末に比べ335,190千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が226,704千円、繰延税金負債が107,241千円減少したことによるものであります。
その結果、負債合計は2,974,932千円となり、前連結会計年度末に比べ434,865千円減少いたしました。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計は3,700,057千円となり、前連結会計年度末に比べ1,027,412千円減少いたしました。これは主に、資本金及び資本剰余金が14,999千円増加した一方で、利益剰余金が1,028,592千円減少したことによるものであります。
その結果、自己資本比率は54.9%(前連結会計年度末は57.7%)となりました。
2) 経営成績
(売上高)
アドテクノロジー、マーケティングソリューションの減収により、当連結会計年度は減収となりました。この結果、売上高は9,336,856千円となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は6,741,276千円となりました。これは主に売上の減少にともなう仕入費用の減少によるものです。この結果、売上総利益は2,595,579千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益)
販売費及び一般管理費は2,493,367千円となりました。これは主に事業再編の実施にともなう給与等の減少によるものです。この結果、営業利益は102,212千円となりました。
営業外収益は15,071千円、営業外費用は21,293千円発生しており、経常利益は95,990千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
減損損失を1,124,873千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,028,592千円となりました。
当社グループはマーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の区分による分析は省略しております。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、広告枠の仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としては、主にソフトウエア開発にかかる無形固定資産投資、サーバー等の有形固定資産の取得によるものであります。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金については主に、内部資金により調達しております。また、金融上のリスクに対応するため主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結することで、手許流動性を確保しております。
c.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗状況
当連結会計年度は、売上高はアドテクノロジーにおいて下期はリカバリーをおこない減収幅縮小したものの、デジタルソリューションにおける株式会社ASAの海外事業の拡大遅れや、マーケティングソリューションにおけるASP領域の競争激化の影響等があり、期初計画を下回って着地いたしました。しかしながら、営業利益におきましては、アドテクノロジーの増益や構造改革による収益力回復により、期初計画を上回って着地いたしました。期初計画に比べ、売上は3,163百万円(△25.3%)減少し9,336百万円、営業利益は2百万円(+2.2%)増加し102百万円となりました。
指標 |
2024年3月期 (実績) |
2024年3月期 (期初計画) |
2024年3月期 (期初計画比) |
売上高 |
9,336百万円 |
12,500百万円 |
△3,163百万円 (△25.3%) |
営業利益 |
102百万円 |
100百万円 |
2百万円 (+2.2%) |
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、システム等、事業運営体制、その他、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向を留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
(4)経営戦略の現状と見通し
当社グループは、「情報通信技術の進歩を人に優しいかたちにして、愉快なる未来を創る」というミッションを掲げており、ビッグデータ処理、人工知能、金融工学の3つのコアテクノロジーを源泉とした、アドテクノロジーのDSP「Logicad」を中心とする「マーケティングテクノロジー事業」の単一セグメントを提供しております。
2024年4月に策定いたしました中長期戦略におきまして、「最先端のデータサイエンスとビッグデータを駆使してクライアントのデジタルマーケティング領域の課題を解決する総合デジタルマーケティングテクノロジー企業」をめざす姿に位置づけ、以下に掲げる3つの取り組みを進めてまいります。
①3つの構造改革の推進による成長性と収益性の向上
「中核事業改革」・「事業ポートフォリオの再定義」・「収益構造改革」の3つの構造改革の加速により収益性を向上し、成長領域に配分する投資原資を創出してまいります。
②ソニーグループ連携の更なる深化と新規事業創造による成長
ソニーグループの有する経営資源と当社の培ってきたコア・ケイパビリティ(「AI技術」・「ビッグデータ処理」 ・「データ可視化」・「高速マッチング」)を最適融合させた新たな成長の柱となる事業を創造いたします。
③成長を支える強靭な経営基盤の確立
人的資本経営・先端技術投資・サステナビリティを推進し、当社の成長を支える強靭な経営基盤を確立していきます。
これらの活動により企業価値の更なる向上に努めてまいります。現時点において、対処すべき課題として当社グループで認識している事項につきましては、以下のとおりであります。
(5)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報にもとづき最善の経営方針を立案し、社会貢献を前提として企業価値を最大限に高めるべく努めております。経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
当社は、マーケティングテクノロジー事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一製品・サービスの区分の外部顧客売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
(2)有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、損益計算書売上高の10%以上を占める相手がいないため、記載を省略しております。 |
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
1.製品及びサービスごとの情報
単一製品・サービスの区分の外部顧客売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
2.地域ごとの情報
(1)売上高
本邦の外部顧客への売上高が損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
(2)有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。 |
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、損益計算書売上高の10%以上を占める相手がいないため、記載を省略しております。 |
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
当連結会計年度において、固定資産の減損損失7,372千円を計上しておりますが、当社は、アドテクノロジー事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度において、固定資産の減損損失1,124,873千円を計上しておりますが、当社は、アドテクノロジー事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
単一セグメントとしているため、記載を省略しております。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
単一セグメントとしているため、記載を省略しております。
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。