2024年5月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境に関わるリスクについて

① インターネット関連市場の動向について

 当社グループは、インターネット関連事業を主たる事業対象としているため、インターネット活用シーンの多様化、利用可能な端末の増加等のインターネットのさらなる普及が成長のために不可欠であります。総務省発表の「2023年 通信利用動向調査」によれば、2023年のインターネット普及率は86.2%と、引き続きインターネット利用シーンは高い水準を維持しております。

 しかしながら、インターネットに関する何らかの弊害の発生や利用等に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因によって、今後の普及に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット広告市場について

 インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビを超える規模の広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。

 しかしながら、広告市場は企業の景気動向に敏感であるため、今後急激な景気の変化等によって広告の需要及びインターネット広告の需要に影響が及ぶ可能性があります。また、インターネット広告は今後も他の広告媒体との競争状態が継続していくと考えられることから、今後これらの状況に変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 競合について

 今後、高い資本力や知名度を有する企業等の参入による、競争の激化とユーザーの流出やユーザー獲得コストの増加等により、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。そのような場合には、当社グループが今後競争優位性を発揮し、企業価値の維持向上が図れるか否かにつきましては不確実であり、競合他社や競合サービスの状況により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関わるリスクについて

① 特定事業への依存

 当社グループは、メディア事業およびゲームエイト事業を主な事業としており、当該事業に経営資源を集中させております。収益源の分散を図るため、今後の新たな柱となる事業の育成や社外の成長機会への投資を継続しておりますが、事業環境の変化や一部メディアにおける業務提携先の戦略転換等により、事業が縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 広告掲載について

 当社グループが運営するサービスに掲載される広告は、広告代理店等が内容を精査するとともに、当社グループ独自の広告掲載基準による確認を実施し、法令違反や公序良俗に反する広告の排除に努めております。しかしながら、人為的な過失等の要因により当社グループが掲載した広告に瑕疵があった場合、ユーザーからのクレーム等が発生し当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、システムトラブル等を理由として広告掲載が行われなかった場合には、広告掲載申込者からのクレームや損害賠償請求がなされ当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 取引先に対する規制等で当社グループの経営活動に重要な影響を及ぼす事項

 当社グループの顧客は、食品・化粧品・健康食品・生活用品・通信・旅行・家電など多岐にわたっております。これらの事業者は、食品衛生法、薬機法、酒税法、化粧品等の適正広告ガイドライン等、事業者の属する業界の制定された規制等の下に、当社グループの提供するサービスを利用していますが、取引先事業者において法令違反に該当するような事態が発生した場合や、新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更があった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 広告宣伝活動により想定通り新規ユーザーが獲得できない可能性について

 当社グループの事業にとって新規ユーザーの獲得数は非常に重要な要素であり、インターネットでのプロモーション等を用いた広告宣伝活動を実施しユーザー数の増加を図っております。広告宣伝活動につきましては、ユーザー獲得効率を勘案の上、都度、最適な施策を実施しておりますが、必ずしも当社グループの想定通りに推移するとは限らず、当該施策が当社グループの想定通りに推移しない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ ユーザーの継続率について

 当社グループの事業にとって獲得したユーザーの継続率は非常に重要な要素であり、ユーザーの利便性向上や情報キュレーションサービスとして取り扱う情報やサービスの充実等の施策を通じて、継続率の維持、向上を図っております。事業計画の策定においては、獲得ユーザーの継続率を過去実績等に基づき推定しておりますが、何らかの施策の見誤りやトラブル等で継続ユーザーが減少し、想定どおりの継続率とならない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ Apple Inc. 及び Google Inc.の動向について

 当社グループの事業は、スマートフォン向けアプリケーションを提供しており、Apple Inc.及びGoogle Inc.の両社にアプリケーションを提供することが現段階の当社グループの事業の重要な前提条件であります。利用規約の変更や検索アルゴリズムの変更などを含む、これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ システムトラブルについて

 当社グループは、当社グループの運営するサービスにおけるシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、システム強化やセキュリティ強化を実施し、トラブルが発生した場合であっても早期に復旧できるような体制を整えております。

 しかしながら、大規模な自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等の発生や、想定を上回るアクセスの集中等により開発業務やシステムに重大な被害が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 技術革新について

 当社グループが事業展開しているインターネット関連市場は、技術革新の速度が速く、常に新たなサービスが生まれております。当社グループは優秀な人材獲得や最新の技術に関する勉強会等の開催により常に最新の技術の把握に努め、迅速に既存のサービスに展開できる開発体制を整備しております。

 しかしながら、予期しない技術革新等により迅速な対応ができない場合、当社グループのサービスの競争力が相対的に低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 社外投資の推進に伴うリスクについて

 当社グループは非連続的な成長のため、社外投資を通じた成長分野の発掘による高成長分野の取り込みに取り組んでいく方針であります。投資の実行にあたり、厳格な投資基準に基づき投資判断を行うとともに、投資先の状況に応じた適切なモニタリング・支援を実行することで、投資先の価値向上支援及びポートフォリオの健全性担保を推進しておりますが、投資後における投資先企業の業績悪化等による保有有価証券の評価損の計上等によって、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 新規事業立ち上げに伴うリスクについて

 当社グループは事業規模の拡大と収益源の多様化を図るため、新規事業の立ち上げに取り組んでいく方針であります。しかしながら、新規事業においては、採算性に不透明な点が多く結果的に当初予想した収益が得られない可能性があります。また、新たな人材の採用、システムの購入や開発、営業体制の強化など追加的な投資が必要とされ、安定した収益を生み出すまでにある程度の時間を要する可能性があること等が予想されます。新規事業に取り組んだ結果、利益率の低下等、短期的には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がありますが、新規事業への投資は、収益とのバランスがとれる範囲にて実施してまいります。

 

⑪ 持分法適用関連会社(GaragePreneurs)に関するリスクについて

 当社グループは、GaragePreneursの議決権の17.77%(2024年5月末時点)を保有するとともに、同社に取締役を1名派遣しております。これらにより、GaragePreneursは当社の持分法適用関連会社となっております。そのため、持分法適用関連会社の損益は、当社及び連結子会社の持分比率に応じて、連結財務諸表に計上されます。また、GaragePreneursは海外の持分法適用会社であることから、為替の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当社及び連結子会社は、持分法適用関連会社の回収可能価額が取得原価または帳簿価額を下回る場合、当該持分法適用関連会社の株式について減損損失を計上しなければならない可能性もあります。これらのリスクに対しては、持分法適用関連会社の収益向上の取り組みをモニタリングするとともに、必要な諸施策を実施し、リスク低減に努めております。

 

(3)法的規制について

① インターネットにおける法的規制について

 現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」等が存在するほか、個人情報の取り扱いにつきましては「個人情報の保護に関する法律」等、知的財産権の取扱いにつきましては「著作権法」等が存在しております。

 以上のように、近年インターネット関連事業を規制する法令は徐々に整備されてきておりますが、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更がなされた場合には、当社グループの事業に制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人情報の保護について

 当社グループは、当社グループの提供するサービスを通じて、利用者本人を識別することができる個人情報を一部保有しております。

 当社グループは、信頼性の高い外部サーバーで当該個人情報を保護するとともに、個人情報保護に関するフローを整備し、個人情報の保護に努めておりますが、個人情報が当社グループの関係者等の故意または過失により外部に流出した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社グループの運営するサービスの信頼性等が毀損し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 知的財産権について

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っておりますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に又は新たに成立したり、それらを侵害する可能性があります。かかる場合においては、第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求等又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 不当景品類及び不当表示防止法について

 当社グループが運営するサービスに掲載される広告は、広告代理店等が内容を精査するとともに、当社グループ独自の広告掲載基準による確認を実施し、法令違反や公序良俗に反する広告の排除に努めております。また、広告に付随するキャンペーンにつきましても、適法性を確認しながら実施しております。しかしながら、人為的な過失等の要因により当社グループが掲載した広告又は当社グループが実施したキャンペーンに瑕疵があった場合、ユーザーからの訴訟提起や、行政庁による課徴金納付命令等の処分がなされ、当社グループの運営する広告及びキャンペーンの信用が毀損し、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)その他について

① ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

 当社グループでは、取締役、従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権につき行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 なお、当連結会計年度末現在、新株予約権による潜在株式数は199,900株であり、発行済株式総数24,237,774株の0.8%に相当しております。

 

② 配当政策に関するリスク

 当社は、各事業年度の業績、財務体質の強化、中長期事業戦略などを総合的に勘案し、株主価値を最大化させることを念頭に、資本政策を決めていく方針であります。中でも、利益配分につきましては、経営成績及び財務状態を勘案の上、配当及び自己株式の取得等、最適な時期に最適な手法で行ってまいりたいと考えております。

 当該方針に基づき、創業以来、配当は実施しておらず、将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く経営環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社グループは、各事業年度の業績、財務体質の強化、中長期事業戦略などを総合的に勘案し、株主価値を最大化させることを念頭に、資本政策を決めていく方針であります。中でも、利益配分につきましては、経営成績及び財務状態を勘案の上、配当及び自己株式の取得等、最適な時期に最適な手法で行ってまいりたいと考えております。

 当該方針に基づき、当事業年度は無配といたしました。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く経営環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等につきましては未定であります。

 なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会となっております。また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。