2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)   経営戦略リスク

   政治・経済状況の変動にかかわるリスク

当社の製品・サービスは主に日本で消費、利用されており、予期せぬ景気変動、政治・政策の動向は、当社の製品・サービス需要に悪影響を及ぼす可能性があります。当社製品・サービスは日用品としての役割が浸透しつつありますが、嗜好品として需要に影響を与える可能性があります。

 

   技術環境・産業構造の変化にかかわるリスク

当社のキーパー製品等関連事業における販売先の多くは、ガソリンスタンド向けとなっております。そのため、同業界の再編成、事業戦略の転換並びに動向等によっては、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

   競合にかかわるリスク

当社は製品の「開発」「卸販売」事業、サービスを展開する「直営店運営」事業、また「技術・ノウハウの研修」事業、それぞれが相関性を持ったすべてを網羅しているところに強みを持ったビジネスモデルです。現在のところ、このようなビジネスモデルを持った競合は存在しません。しかし、その一部の部門において当社の製品・サービスを上回る付加価値を生み出す競合先が出現する可能性があります。市場で競争力を高めるため、研究開発の増強、販売・マーケティング・サービスの一層の強化をしていく必要があると考えております。

 

(2)   事業運営リスク

    人材の採用・保持にかかわるリスク

当社のビジネスモデルは、キーパーLABO運営事業で人材を確保し、実際の店舗運営の中で施工技術と接客術、マネジメント力を習得します。そこで得られた技術とノウハウを、キーパーLABO店舗の責任者への配置又は、キーパー製品等関連事業に配置した社員が研修活動をしていく形を、人材教育のステップとしております。そのため、キーパーLABO運営事業の新規出店のスピードが上がってきた場合、技術及びノウハウを習熟した社員に育成するためには、時間を必要とするため、当社の成長スピードの足かせになる可能性があります。

 

    特定取引先への依存にかかわるリスク

当社の主要な取引先であるSONAX社は、ドイツに本社を置くホフマン企業グループの中核をなす同国内で約50%のシェアを持つドイツ最大の自動車ケミカルメーカーであります。当社とは2001年からボディガラスコーティング製品において共同開発を行っております。

当社は設立後、間もなく独自でケミカル製品の開発を行っておりましたが、すべての製品を自主開発するには膨大な開発費が必要であったため、SONAX社と共同で開発を行ってきた経緯があります。

当社の主力商品の一つであるキーパーコーティングのうち、ボディガラスコーティングの材料であるKeePerブランドのケミカル製品(DKC、レジン2)をSONAX社と共同開発し、その製造をSONAX社に製造委託しております。

当社のボディガラスコーティングのほとんどに、SONAX社が製造するケミカル製品が使用されており、当該製品の仕入高は2024年6月期の当社全体の年間仕入高の41.5%であります。

現在、SONAX社との取引関係は良好かつ安定的に推移しておりますが、同社の事業政策や事業再編等により取引関係の継続が困難となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

    研究開発にかかわるリスク

顧客の要求・期待を上回るような製品を開発し続けられなければ、キーパーの製品は陳腐化し、市場シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられます。また(2)②の通り、SONAX社の研究者と、当社の製品開発部隊と日々綿密な共同開発を行っておりますが、同社の開発リソースの配分変更が起こった場合、一時的に開発スピードに影響を及ぼす可能性があります。

 

    原材料・部品調達にかかわるリスク

SONAX社はドイツを拠点にしており、欧州を取り巻く地政学的なリスクが発現した際にSONAX社の開発、製造に影響を及ぼし、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

    事実と異なる風説が流布するリスク

当社のホームページは、当社のサービス・店舗を利用しようとするお客様にとって重要な判断材料となります。実際に来店動機の最上位にインターネットでの情報が上げられており、インターネットなくして効果的な集客は考えられない状況です。他方、インターネット等を通じて当社の製品・店舗・役職員に対する事実と異なる悪評・誹謗・中傷等の風説が流布される可能性もあり、この場合、当社への信頼及び企業イメージが低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、本リスクの顕在化する可能性、程度及び時期を具体的に予測することは困難であります。

 

    店舗の賃貸物件への依存にかかわるリスク

当社の直営店は原則として土地を購入せず、土地の有効活用を考える地主等から賃借しています。契約に際しては相手先の信用状態を判断したうえで出店を行いますが、賃借期間が長期にわたる場合が多く、当該長期の契約期間中に倒産その他賃貸人の信用状態の予期せぬ悪化等の事由により、契約解除せざるを得ない事態になった場合には、直営店の営業継続が困難になることが想定され、当社の業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

    固定資産の減損にかかわるリスク

当社は、「固定資産の減損会計に関する基準」及び「固定資産の減損会計に関する手続」を定め、それを厳格に適用することとしております。そのため、当社の店舗において営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フロー等を算定し、減損の測定等を実施しております。今後、同店舗から得られる損益またはキャッシュ・フローの状況等によっては、減損処理に伴い、当社の業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

    知的財産権にかかわる訴訟リスク

当社は、特許権をはじめとする知的財産権の重要性を認識しております。しかし、出願する特許権・商標権等の知的財産権の登録査定を得られない場合、または当社の認識していない知的財産権が成立し、第三者からの侵害を主張され裁判などの紛争に至った場合には、当社の業績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

    個人情報管理及びシステム管理にかかわるリスク

当社では、さまざまな情報システムを使用して業務を遂行しており、適切なシステム管理体制の構築やセキュリティ対策を行っていますが、停電、災害、不正アクセス等の要因により、情報システムの障害や個人情報の漏えい、改ざん等の事態が起こる可能性があります。

また、当社が保有・管理する情報は、販売業、サービス業として多数のお客様の個人情報をはじめとする重要なものが多く存在します。これらの情報の保護・管理につきましては、「個人情報保護規程」「情報セキュリティ管理規程」を定め、従業員への教育、セキュリティ対策などの社内管理体制を整備し、情報保護の徹底を図っています。しかし、万一不測の事態が発生し、重要な情報が外部に流出・漏えいした場合は、損害賠償によるコストの発生、社会的信用の低下による営業活動への悪影響など、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

    為替にかかわるリスク

当社は、海外から製品の輸入が、2024年6月期全体の仕入高の51.8%となっております。急激な為替の変動に対処できない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)   ガバナンスリスク

    代表取締役会長である谷 好通氏の依存にかかわるリスク

当社は創業以来、谷 好通氏のスピード感ある経営判断、製品開発能力と強いリーダーシップにより業容を拡大してまいりました。持続的な成長を実現するため、2019年2月12日に賀来 聡介氏を代表取締役社長兼COOに任命し、鈴置 力親氏を専務取締役として、谷 好通氏を支える経営体制を構築しました。この流れを継続する形で高い成長率を維持しながら、事業承継を通じて、完全な依存脱却が出来るように、新たな経営陣を追加配置してまいります。そして、個による強力な指導体制から、集団による集団指導体制を実現していきます。今後とも人材育成、人材獲得を積極的に進めてまいります。

 

    内部統制にかかわるリスク

当社は、企業価値の持続的な増大を図るため、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業展開や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)   偶発的リスク

自然災害・人的災害にかかわるリスク

当社が店舗を展開する、または、事業関連施設を所有する地域において、地震、洪水、台風その他の大規模な自然災害が発生し、店舗等が被災した場合には、営業継続が困難になることが想定され、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

 

当社は、株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけており、株主への長期的な利益還元を実現するため、内部留保を充実し、環境の変化を先取りした積極的な事業展開を行う必要があると考えております。

今後の利益配分の基本方針としては、株主への利益の還元と内部留保のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じた柔軟な対応を行っていく所存であります。

内部留保資金につきましては、企業体質の強化に向けて財務体質の充実を図りながら、今後の成長に必要な店舗展開等の有効投資に充当してまいりたいと考えて、中期的に配当性向30%を目標とする配当方針としております。

また、当社は期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

なお、当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議により剰余金の配当ができる旨を定款に定めております。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき、1株当たり50円の配当を実施することを決定しました。この結果、配当性向は30.9%となっております。

 (注)基準日が第32期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
   (千円)

1株当たり配当額
     (円)

2024年8月21日

取締役会決議

1,364,590

50.00