2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境

素形材を主力とする当社グループは、国内市場に大きく依存しており需要動向は民間設備投資や公共関連事業の趨勢に大きく左右されます。また、鋳物関連事業は市場の成熟化が今後も進むことが予想され、高付加価値製品の開発、新規市場の開拓、営業力の強化等に努めていますが、景気変動による民間設備投資、公共投資の動向や重要顧客先の生産活動が大きな影響を受けた場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、従来の鋳物関連事業に加えて、環境関連事業をもう一つの柱とすべく送風機等を扱う機械事業部と都市ごみ焼却施設の建設を担う環境装置事業部を統合して、環境エンジニアリング事業部とし、シナジー効果と売上の拡大に努めております。

主力となる鋳物関連事業においては、国内鋳物事業市場の成熟化に対処するため、鋳物4事業部のうち、主要なお客様が重複し、製品のスケールが類似する大型鋳物事業部と鉄鋼事業部を統合し素形材事業部とし、営業力とモノづくり力の更なる強化を図り、幅広いご要望に対応可能な体制を構築し、売上の拡大に努めております。

また、2024年1月9日付で株式会社小口合金鋳造所の全株式を取得し、同社を子会社化いたしました。同社は、アルミニウム合金を素材とする鋳造品製造会社であり、同社との連携による相乗効果を通じて、当社グループの営業基盤の強化と拡大を実現してまいります。

 

(2)原材料の市況変動

当社グループの主要事業である鋳物関連事業は、主要原材料である銑鉄、スクラップ及びニッケル等の合金鉄の購入価格が、国内及び国際的な資源需給の動向等の影響を受けます。市況が大幅に高騰した場合、原材料費の上昇を抑えきれず、また上昇分の製品販売価格への転嫁や是正の実現には顧客との交渉に長期の時間を要し、利益率の低下をともない経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、安定的な原材料の調達のため、情報収集に努めながら調達価格、時期等について的確な判断を行うとともに、適切な在庫量の維持、確保に努めております。

 

(3)電気料金の価格動向に伴うリスク

 当社グループの主要事業である鋳物関連事業は、大量の電力を使用しており、その電力料金については、再生可能エネルギーの導入拡大等に伴う国内電力供給環境の変化によっては、経営成績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、省資源・省エネルギーを追求した鋳物製品の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(4)海外事業

当社グループの海外子会社「天津虹岡鋳鋼有限公司」及び「南通虹岡鋳鋼有限公司」は、中国において自動車用プレス金型鋳物の生産、販売を行っておりますが、現地の政治または法環境の変化、米中貿易摩擦の影響による経済状況の急激な変動、その他の要因による社会的混乱など、予期しない事象が発生した場合、事業の遂行に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、当社の取締役が海外子会社の総経理に就任するとともに、当該海外子会社の経営上の重要事項やリスク等について取締役会で適宜報告を求め、必要な助言を行っております。さらには、当社、海外事業部により、海外子会社に対する経営管理機能及び支援機能の強化に努めております。

 

(5)自然災害・事故災害

当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対して定期的な保守点検や安全・環境対策のための設備投資等を行っておりますが、地震、台風、水害や不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被った場合、操業が滞り、経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、事業継続計画(BCP)の策定・訓練の実施、組織的な労働安全衛生体制の運用により、これらの災害等にかかるリスクの低減に努めております。

 

(6)保有株式の時価下落

当社グループは、上場及び非上場の株式を保有しておりますが、将来の市況または投資先企業の今後の業績動向により、当社が保有する株式の時価または実質価額が著しく下落した場合、経営成績に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、保有目的が純投資目的である株式については、株式市場の変動を踏まえ機動的に売却できる体制としているほか、保有目的が純投資以外の目的である投資株式については、保有目的に見合っているかを精査し、合理性が認められない場合には、適宜売却する方針としております。

 

(7)固定資産の減損

当社グループが保有する固定資産について、時価が著しく下落した場合や事業の損失が継続するような場合には、固定資産の減損損失の計上により、経営成績と財政状態に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、定期的に減損テストを実施することにより、潜在的な減損リスクの把握に努めております。また、必要に応じて固定資産の回収可能価額を把握するため不動産鑑定評価を実施しております。

 

(8)繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響する要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当該純損益額が変動する可能性があります。

当社グループでは、関係部門が定期的に監査法人と十分にコミュニケーションをとり、潜在的な税務リスクの把握に努めております。

 

(9)感染症の拡大に伴うリスク

新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限が緩和され、概ね収束傾向にありますが、今後の再拡大、別の感染症の流行により当社の事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動等に支障が生じた場合、当社グループの経営成績に大きく影響を与える可能性があります。

また、世界的規模でのサプライチェーンの途絶等による急激な景気の悪化が生じた場合、同じく当社グループの業績に大きく影響を与える可能性があります。

当社グループでは、取引先ならびに従業員の安全を第一に考えるとともに感染拡大を防ぐため、従業員の体調管理の徹底、テレワークやWEB会議の導入、出張制限や勤務形態の見直し等を実施し事業及び営業活動の継続に努めてまいります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益配分につきましては、企業の継続的発展と企業価値の向上を図るために必要な内部留保を確保しつつ、安定的な配当を継続していくことを基本方針としております。配当金支払の目安として、配当の原資となる当期純利益(単体)を基準として配当性向30%を目標としております。なお、特別損益額が多大になり当期純利益(単体)への影響が大きい場合には、特別損益額のキャッシュ・フローに与える影響等を勘案し、別途検討しております。当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

 当事業年度の配当につきましては、継続的な安定配当の基本方針のもと、財務状況・利益水準・配当性向などを総合的に勘案いたしまして、1株当たり60円としております。なお、当事業年度の中間配当につきましては、取締役会の決議により無配としております。

 内部留保資金の使途につきましては、今後予想されます経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術、製造開発体制の強化を図るために有効投資していきたいと考えております。

 なお、当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日の株主名簿に記録された株主もしくは登録株式質権者に対し、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 (注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2024年6月26日

開催の第119回定時株主総会決議

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