リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるリスクをすべて網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスクについて
①対象市場・顧客の動向について
(顕在可能性:中 / 影響度:中)
各種資格試験などが長期にわたって中止となるなど語学学習者の著しい減少、学習意欲の低下がみられる事態となった場合、少子化により学習人口そのものが減少する場合、当社が対象とする市場が縮小する可能性があります。当社の展開するサービスの対象顧客層及び市場の多様化を進めるべく、営業活動及びプロダクト、コンテンツの開発を進め、これらのリスクの抑制を図ってまいりますが、重大な環境の変化等が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②プラットフォームの動向について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社の提供するサービスは主にスマートフォン向けアプリによるサービスであり、各プラットフォーマー(Apple Inc.及びGoogle LLC)の動向に影響を受けます。予期せぬストア運営方針の変更によってはサービス展開に支障をきたしたり、当社の収益及び利益率が変動したりすることによって、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
これらに対応するため、各プラットフォーマーの運営方針に関する情報収集を行うとともに、プラットフォームの動向に影響を受けない法人向けの提供やコーチングサービスなどによる売上高の割合を増加させ、収益源の分散化を図ってまいります。
③競合について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社は独自の競合優位性により他社との差別化を図るプロダクト開発及びサービス展開を行ってまいりましたが、今後、類似サービスの参入、既存サービスによる類似機能、類似コンテンツの搭載、他サービスによる価格の大幅な値下げなどが起こった場合、それらとの差別化が図られない場合は当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④システム・インターネット環境・インフラについて
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
インターネット接続環境の安定した稼働が、事業運営の前提であると認識しております。そのためアンチウイルスソフトの導入や信頼性のあるクラウドサーバー、クラウドサービスを使用するなどのセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、予期せぬ自然災害や不正アクセス等による通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害などの理由により、安定的なサービス提供に支障をきたす可能性があります。その場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)事業展開に関するリスクについて
①ライセンス提供元との連携及びライセンスについて
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
ライセンスの確保にあたっては、ライセンス提供元である出版社等との関係の強化に努めてまいりましたが、当社のサービスにとって重要度の高く、ユーザーの需要の多いコンテンツのライセンスが確保できない場合、既存の出版社のうち重要な取引先との取引が停止される場合、サービスの品質及び魅力の低下に繋がる可能性があります。また、一部のコンテンツ(映画コンテンツ)のライセンスについては、販売状況にかかわらず一定の金額のライセンス料を支払う形態の契約となっており、販売が想定通りに進まない場合、当該コンテンツのライセンス料の支出を回収できない可能性があります。
その場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
このリスクに対応するため、当社は多数の出版社等と契約してコンテンツの提供元は分散されており、映画コンテンツ等の他分野への分散も進めております。さらに自社でのコンテンツ制作も進めております。
②特定サービスに依存しているリスク
(顕在可能性:低 / 影響度:大)
当社は教育サービス事業の単一セグメントであり、主要サービスである「abceed」に売上高の多くを依存しております。このリスクを低減させるため、「abceed」による売上高について、現在多くを占めている一般個人ユーザーのみならず、法人向けの展開を強化し、企業・大学、学校等法人向けの売上高の割合を増加させ、顧客層の分散を進めているほか、コーチングサービスの「ABCEED ENGLISH」の強化を図っております。しかしながら、現時点では主要サービスである「abceed」が不測の環境変化等の事態に陥った場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③有料会員の維持及び増加に関するリスク
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社の提供するサービスは、サブスクリプションモデルであり、有料会員による収益が中心となっております。新規の有料会員数の獲得と既存有料会員の継続のために、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり施策を推進しております。有料プランの期間は1ヶ月、3ヶ月、1年の3種類から選択が可能となっており、ユーザーからの解約申し出が無い限り自動更新されます。ユーザーは特定の分野の学習で満足すると比較的短期間の利用で解約する傾向があるため、当社としては、既存の有料会員が長く継続することが重要であると考えております。
映画コンテンツなどの新しい分野のコンテンツを含めた新規コンテンツへの対応を継続的に進めるなどの対策を講じることにより、従来、特定の分野の学習で満足し長期間継続しなかったユーザーの継続率を高めることができると考えております。しかしながら、事業環境や競争状況の変化等により想定通り新規の有料会員の獲得が進まない、もしくは想定以上の解約が増加する場合、想定した有料会員の維持及び増加が困難となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)経営体制に関するリスクについて
①人材の確保について
(顕在可能性:中 / 影響度:低)
当社の事業運営には優秀な人材の確保が重要だと考えております。積極的な採用活動や適切な人事制度の検討などを行っておりますが、当社の採用基準を満たす人材が採用できない、もしくは優秀な人材・重要な人材が退職するなど、優秀な人材が十分に確保できない場合、業務遂行に支障をきたし、事業展開の遅れに繋がる可能性があります。その場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
②事業運営上の法的規制等について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
事業運営に必要な法令・契約については、既存の法令等に対して遵守するための確認体制をとるとともに、新たな法令等の制定等、法的規制の変更に留意して、必要な体制整備を進めるなどの充分な確認体制をとっております。しかしながら当社サービスに関連する既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定等、法的規制の変更などによってサービス展開に支障をきたしたり、意図せぬ法令・契約違反によりサービス提供の制限、社会的信用の喪失、民事上の責任発生、顧客の減少に繋がったりする可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③特定人物への依存について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社の代表取締役社長である幾嶋研三郎は、創業者であると同時に創業以来当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を担ってまいりました。また、取締役CTOである上赤一馬は、当社のプロダクト開発を中心とするサービス運営に関して重要な役割を担ってまいりました。両氏に事業運営及び技術的知見、ノウハウが過度に依存しない体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により、両氏に不測の事態が生じた場合、または、いずれかが退任するような事態が生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④内部管理体制について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、小規模な組織となっております。今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤情報セキュリティ・個人情報保護について
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
ウイルス感染、外部からの不正な侵入、個人情報・機密情報の取扱不注意による流失、個人情報・顧客情報の不正利用、データの紛失・破損などが発生した場合、安定的なサービス運営、開発体制が困難になるほか、社会的信用の喪失、民事上の責任発生に繋がる可能性があります。また、当社においては、サービスの登録などにあたって、ユーザーのメールアドレスなどの個人情報を取得しております。個人情報保護規程、システム管理規程などの社内規程を制定し、アンチウイルスソフトやデバイス制御ツールを導入するなどの社内体制を整備するとともに、プライバシーマークを取得しており、情報セキュリティ対策及び個人情報保護の管理体制の強化を図っております。
しかしながら、悪意あるハッキングやウイルス等により、当社が保有する個人情報や機密情報が漏洩、盗用等される可能性を完全に排除することは困難であります。当社が保有する個人情報・機密情報が漏洩、盗用等されることとなった場合、当社の社会的信用が失われるとともに、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥知的財産権
(顕在可能性:低 / 影響度:低)
当社では知的財産の管理において、社内ルールを策定し、取引先との契約にあたっては慎重に確認を行っております。第三者の知的財産権を侵害しないように留意して事業運営を行っておりますが、意図せずに侵害する事態になった場合、社会的信用の喪失、訴訟費用の発生、民事上の責任発生などに繋がる可能性があり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦コンプライアンスに関するリスクについて
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社は、法令遵守及び社会倫理に従った事業活動を行うことを目的とし、リスク・コンプライアンス規程を策定し、当社の役職員が業務を遂行するにあたり、法令、社会倫理・通念、社内規則・規程等に反さないように継続的な社内教育を通じ周知徹底を図っております。
しかしながら、当該取り組みによってもコンプライアンス上のリスクを完全に排除できる保証はなく、役職員
の故意又は過失による不正行為や法令違反等が顕在化した場合、当該事案の内容によっては、監督官庁等からの
処分・命令や訴訟提起を受ける可能性があり、当社の社会的信用の失墜を促し、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
(顕在可能性:大 / 影響度:低)
当社は、当社役員及び従業員に対して新株予約権(インセンティブを目的としたストックオプション)を付与しており、今後においても優秀な人材を確保することを目的としてストックオプションの発行を継続して実施していくことを検討しております。本書提出日現在において、これらの新株予約権による潜在株式数は76,894株であり、発行済株式総数5,066,493株の1.5%に相当します。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式価値の希薄化や需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
②配当政策について
(顕在可能性:低 / 影響度:低)
当社は、株主に対する利益還元と同時に、財務基盤を強固にするとともに競争力を確保し、積極的に事業拡大を図っていくことが重要な経営課題であると認識しております。
今後の配当政策としては、健全な財務体質の維持及び収益力の強化や事業基盤の整備に備えるための内部留保を勘案した上で、株主への利益還元の実施を基本方針としておりますが、現時点において今後の配当の実施の可能性、実施時期については未定であります。
③支配株主との関係について
(顕在可能性:低 / 影響度:低)
当社の支配株主である幾嶋研三郎は、当社の創業者であり代表取締役社長であります。本書提出日現在、幾嶋研三郎は発行済株式総数の63.8%の株式を所有しております。
幾嶋研三郎は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しておりますが、何らかの事情によりこれらの当社株式が売却され、同氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④固定資産の減損リスクについて
(顕在可能性:低 / 影響度:中)
当社は、ソフトウエア及びコンテンツの開発に関する費用に関しては、将来の収益を生み出すことを前提に、2023年5月期第1四半期より資産として計上しております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり事業の収益力の向上に努めておりますが、事業環境や競争状況の変化等により期待する成果が得られない場合、減損損失が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社株式の流動性について
(顕在可能性:中 / 影響度:中)
当社は、2023年6月に東京証券取引所グロース市場に上場しましたが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は、本書提出日現在、28.21%となっております。今後は、役員への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先し、創業以来配当を実施しておりません。しかしながら、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますので、将来的には、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。
配当の実施の可能性及びその実現時期等については、本書提出日現在において未定であります。なお、内部留保資金については、長期的かつ安定した成長発展のための事業展開等に活用していく予定であります。
また、剰余金の配当を行う場合、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本としており、その他年1回中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。
配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会であります。