2023年7月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 790 100.0 70 100.0 8.9

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、様々な社会課題・顧客課題をAI・ディープラーニング等の先端技術を用いて解消するために、現場に入り込んだコンサルテーションに始まり、アセスメント、開発、導入、顧客による運用まで視野に入れた、実用的なソリューションを提供するテクノロジーカンパニーです。

当社は、カスタムAIソリューション事業として、AI活用コンサルティング・AI開発サービスと、そのサービスで培った知見やアルゴリズムを活用したAIライセンス提供サービスを行っております。また、宇宙関連市場の拡大を見込み、データの取り扱いに専門的なノウハウが必要な人工衛星データのAI解析サービスも行っております。

 

(1) 事業の概要

当社は、カスタムAIソリューション事業として、コンサルテーション・プランニングからサービスの実現までを支援するフルカスタムAIの受託研究開発を実施しています。業界のキープレイヤーとの協業によって、個社課題にとどまらずに、業界全体のAI・DX化を進めるAI活用コンサルティング・AI開発サービスを行っており、現状はこのサービスが大半を占めております。次に、そのAI活用コンサルティング・AI開発サービスで培った高品質のAIエンジンを、顧客のサービスやSaaSなどのプラットフォーマーへ迅速に提供する、AIライセンス提供サービスを行っております。

また、データの取り扱いに専門的なノウハウが必要な人工衛星データの解析や関連するアルゴリズムを開発するサービスを行っております。


 

当社はこれらのサービスを展開することで、顧客企業の様々なAI活用に関する課題を解決するためのAIサービスを、戦略策定から開発、保守運用、そしてライセンス提供による顧客企業との共同事業化までを行っております。当社の事業は、AI活用コンサルティング・AI開発サービスを中心としたフロー収益を主とし、個別の顧客企業ごとのプロジェクト提供により知見と独自のアルゴリズムを蓄積して、それらを応用してAIライセンス提供サービスとしてストック収益を得るビジネスモデルとなっております。

当社の顧客企業については、特定の業界に特化しておりませんが、AIの活用ニーズが高く、またコアなビジネスの現場で利用されるソリューションの開発のため大手製造業が多くなっております。

当社はカスタムAIソリューション事業において、AI・エンジニアリング・ビジネスの3つの強みに精通したプロフェッショナルが、1つの課題にワンチームとなって挑む体制になっております。これにより、コンサルティングから開発まで一気通貫でのサービス提供が可能となっております。特に日本においてはAI導入率が低い状況ですが、当社は各プロフェッショナルが連携することでコンサルティング及び開発フェーズの切れ目でプロジェクトが止まらないようにしております。

 

(2) 展開するサービス

① AI活用コンサルティング・AI開発サービス

AI活用コンサルティング・AI開発サービスは、AIの活用ニーズを持つ企業に対して目的・課題に合わせたAIソリューションの提案をもとにコンサルティングや開発を行うビジネスです。当社は、顧客企業が現場で効果を体感できるまで開発から導入展開までを一気通貫でサービスを行っております。

 

(a) 実運用まで支援

先端技術の導入、データを主軸としたビジネス・オペレーション変革には既存システムの変更など大きな困難が伴い、プロジェクト期間中でも朝礼暮改で新しい手法を取り入れる局面も出てまいります。当社ではクライアントとの強い信頼関係を醸成することで、経営レベルでの意思決定支援から現場での開発スタッフとの連携、そして運用スタッフへの技術や知識の移転まで一貫して支援し、開発期間中の方向転換などを柔軟に調整しながら、クライアント内での継続的な運用と実用性の高い価値の創造を実現しております。

 

(b) AI×既存技術×人による運用

当社は、AI(機械学習・深層学習)ですべての課題が解決できるとは考えておりません。AI技術、ルールベースの既存技術(注1)、人による運用のすべてが調和したときに、クライアントにとっての持続的な価値創造が実現できます。当社が行うコンサルティングでは、それぞれの技術特性と限界を見極めた上で、システム導入に留まらない最適なビジネス・オペレーションの実現を支援しております。

 

(c) フルカスタムAI

AIでは、目的に応じて様々な手法を選定し組み合わせる必要があります。公開API(注2)や、大手プラットフォームのアプリケーションも日々進化しておりますが、個別ニーズをすべてカバーすることはできません。当社では、クライアントの目的に応じて最適な精度・計算速度・冗長性などのトレードオフを見極めながら、ベストなバランスの性能をもつカスタマイズAIを提供しております。

(注) 1.ルールベースの既存技術

人の手によって記述されたルールやロジックのみに従って動くプログラム全般のこと。

2.公開API

まず、APIとはアプリケーション・プログラミング・インターフェースの略で、あるアプリケーションの機能や管理するデータ等を他のアプリケーションから呼び出して利用するための接続仕様・仕組みを指します。公開APIとは、そうした接続仕様・仕組みを他の企業に公開することを意味します。

 

(d) AI開発テーマ

当社は特定の業界に特化していないため、様々な業界のテーマに対してソリューションを提案しております。ただし、これまでの実績によりAIの活用ニーズが高い日本の製造業の顧客が多くなっております。当社のAI開発の特徴として、製造業を中心に熟練者・ベテランがもっている技術や知見をAIに実装することで、省人化・後継者問題の解消・業界全体の品質を上げていくことをテーマとしたものが多くあります。

 

(e) AI/DXプロジェクトのアプローチと流れ

当社のアプローチの特徴は、顧客企業の目的・業界・課題・プロセスの深い理解を行った上で、様々なデータと技術を組み合わせたAIソリューションの提案をもとに開発を行うことにあります。また、プロジェクトによっては、顧客企業の投資対効果の実現と当社のストック収益を見据えた長期的なパートナーシップに基づきAIサービスの共同開発を行っております。

 

当社のAI/DXプロジェクトの流れは、戦略策定、データ収集及びアセスメント、開発及びシステム連携、運用保守となっております。戦略策定は、AIの正しい共通理解の醸成を行いながら顧客企業のDX戦略、業務改善、AI実行テーマの選定支援を行っており、AI知識のあるコンサルタントが顧客企業の業界知見や現場課題を深く理解しつつ支援を行っております。その戦略策定をもとにコンサルタントとAIエンジニアが協力してデータ収集及びアセスメントを行っており、当社が多く扱う画像データだけでなく、それ以外の様々なデータを組み合わせたAIを組み込んだシステムの全体像を設計します。次にアセスメントに基づいてPoC(実証実験)や本格開発を行います。本格開発はAIに精通した人材を含むエンジニアが中心となり、運用までを含めた全体設計支援を行いながら顧客企業のシステムと連携したAI開発により実用化を目指します。最後の運用保守では、AI稼働状況のモニタリングツールの開発、運用プロセス策定や運用に向けたツールの整備、顧客企業のAI教育など、開発したAIの運用を顧客企業が行うためのシステム開発と支援を行っております。

 

(f) AIソリューションの技術と実績

当社は顧客のニーズに応じて、主にディープラーニング等の技術を中心に、顧客の課題や目的に合わせてディープラーニング以外の技術も組み合わせたAIソリューションの開発を行っており、画像・動画・音声など複数のデータ種類に対応したAIの開発実績があります。

直近では、1つのディープラーニング技術だけでは解けない課題も多くなってきており、マルチモーダルAIの開発に取り組んでおります。

 


 

マルチモーダルAIとは、複数種類のデータと複数のAI技術を組み合わせて1つのAIソリューションとするものです。当社の顧客企業からは、製造現場のベテランの知見や作業をディープラーニング等の技術を組み合わせて再現したい、といった1つのディープラーニングでは解けない課題がでてきております。こうした課題には、画像や音声など複数データと複数のAI技術を組み合わせたマルチモーダルAIが必要となります。当社はこれまで画像データや動画データの取扱いに実績と強みを持っていますが、音声や数値データにも対応してきており、今までは解決できなかった課題がマルチモーダルAIにより解決できる可能性があります。

また、当社はデータ取得に必要なセンシング方法についてもパートナー企業と協力することで、顧客企業のニーズに合ったデータ取得ができるように様々なデータ種類に対応するセンシング機器の取扱いの知見を増やしております。加えて、計算環境や出力方法も顧客企業に合った方法をソリューションとして提案できるようにしております。このように、最新技術を柔軟に取り入れたマルチモーダルAIにより顧客の課題に対応することに当社の特徴があります。

 

 

② AIライセンス提供サービス

当社はAI活用コンサルティング・AI開発サービスにおいて、AIの知見や経験をもとにして顧客との事業連携・製品開発を通じたカスタマイズ開発を行っております。このカスタマイズ開発や顧客との連携で培った高難易度のAI技術やノウハウをもとにして、その顧客が位置する業界の共通ニーズを狙ったAIエンジンの利用ライセンスやプロダクトの提供を行っております。このため、当社のAIエンジンやプロダクトの提供については、パートナー企業の製品やサービスとともに顧客企業へ提供されるものが主となっております。

このサービスでは主に2つのサービス提供方法があります。1つはAI開発サービスを提供した顧客企業が直接利用し、顧客企業の利用に合わせてAI利用ライセンス代を対価として受け取るものと、もう1つはすでにサービスを持っているプラットフォーム企業にAIエンジンを提供し、ユーザー企業の利用量に応じて対価を受け取るものがあります。

 


 

③ 人工衛星データのAI解析サービス

当社は人工衛星データAI解析サービスとして、人工衛星データの収集からAIによる解析を行っております。地球を網羅的に捉える衛星データと、顧客が保有する地上データを組み合わせた独自の教師データを作成し、AIにより解析したレポートの提供を行っております。また、継続的に人工衛星データを解析したい顧客に対しては、解析ツールの開発も行っております。これによって、自然災害や社会活動などの環境リスクを可視化しビジネスニーズやSDGsに関する活動に貢献することを目指しております。

今後は、人工衛星解析市場の拡大に合わせ、環境テーマ等の様々なニーズを先読みし、官公庁と民間へのアプローチの両輪でサービスを展開していく方針です。

 

 

(3) 事業系統図

 


 

 

(用語の説明)

当社の事業に関わる用語の定義は以下のとおりです。

 

用語

定義

AI(人工知能)

Artificial Intelligenceの略で、コンピュータープログラムを用いて人間の知能の持つ機能を実現するための技術やシステム

機械学習

AIの1つの手法。データから反復的に学習し、そこに潜むパターンを見つけ出すことで予測・判断を行うための手法・技術

ディープラーニング(深層学習)

機械学習のいち手法であり、人間の神経細胞の仕組みを模したシステムであるニューラルネットワークをベースとする技術。画像などを精度高く認識することができる

アルゴリズム

コンピュータープログラムにおいて問題を解くための計算方法や手順

SaaS

Software as a Serviceの略で、インターネット経由で、必要な機能を必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェア又はその提供形態

IoT

Internet of Thingsの略で、家電等のモノについてインターネットを通じて操作や情報を取得する仕組み

API

Application Programming Interfaceの略で、異なるシステム間を連携して自動でデータを受け渡しするための仕組み

DX化

Digital Transformationの略で、デジタル技術によって、ビジネスや社会、生活の形・スタイルを変えること

フルカスタムAI

一からAIモデルの構築を行うこと

POC

Proof of Conceptの略で、新しい概念や理論などが実現可能であることを示すための簡易的な試行。一とおり全体を作り上げる試作の前段階で、要となる新しいアイデアなどの実現可能性を示すために行われるもの

アセスメント・パイロット検証

アセスメントとは、対象を客観的に調査及び評価することで、またパイロット検証とは、提案したソリューションがビジネス上の問題を解決するかどうか検証すること

アジャイル

方針の変更やニーズの変化などに臨機応変に対応すること

PMO

Project Management Officeの略で、組織内における個々のプロジェクトマネジメントの支援を横断的に行う部門や構造システムのこと

SARレーダー

宇宙から地表などを観測する人工衛星に搭載する技術の一つ

点群

位置情報と色情報を持った点の情報

マイスター

高い技術を持った熟練(ベテラン)作業員のこと

デジタルツイン

リアル空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元に仮想空間でリアル空間を再現する技術

コンステレーション

複数の人工衛星を連携させて一つの機能やサービスを達成する方法

マルチセンサー

複数のセンサーを連携して利用すること

ノイズ除去

データに含まれる不要な情報を削除すること

VR

Virtual Realityの略で、人工的につくられた可能空間を現実かのように体感させる技術

スマートファクトリー

AIやIoTなどの最先端技術や膨大なデータを用いて、生産性向上や業務の効率化を図る工場のこと

OEM

Original Equipment Manufacturingの略で、製造メーカーが他社ブランドの製品を生産すること

SIer

System Integratorの略で、主に非IT企業や官公庁等のITシステムのコンサルティング、設計、開発、運用、ハードウェアの選定等を一括で請け負うことを事業としている企業

MLOps

機械学習またはディープラーニングのライフサイクルを管理するための、データサイエンティスト、エンジニア、保守運用担当者のコラボレーションおよびコミュニケーションに関する実践手法

センシング

対象物の音、光、温度などの物理的、化学的、生物学的特性の量を検出し情報を取得する技術

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概況

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の分析

当事業年度(2022年8月1日から2023年7月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策進展や行動制限の緩和により景気の持ち直しの動きがみられたものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や国内外のマクロ経済におけるインフレ・金融引締めの傾向が見られる等の先行き不透明な状況が続いております。

このような中、当社を取り巻く国内AI市場においては、「Chat GPT」をはじめとする大規模言語モデルによる技術革新が進展し生成AIの活用に対する注目の高まりにより、企業の生産性向上や競争力強化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の高い需要が継続しており、引き続き様々な場面においてAI導入の流れが加速しております。

当社は「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」をミッションとして掲げ、カスタムAIソリューション事業として顧客の目的から現場のプロセス、課題を理解し、様々なデータに対応したAIを組み合わせた最適なAIソリューションを提案し、実装までを行っております。当事業年度においても、前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの執行を行いましたが前事業年度の大型案件プロジェクトが完了した一方で当事業年度は前事業年度ほどの大型プロジェクトがなかったためにAI活用コンサルティング・AI開発の売上高は617,683千円となり、衛星関連プロジェクトは官公庁からのプロジェクトが順調に増加しており人工衛星AI解析の売上高は102,734千円となりました。また、大型の保守運用が開始されたためAIライセンス提供の売上高は69,966千円となりました。これらの結果、売上高は合計で790,384千円(前年同期比18.4%減)となりました。

売上総利益については、プロジェクトの採算性は変わらなかったため売上高総利益率は前事業年度と同程度でしたが上記の売上高減少に伴い515,648千円(前年同期比15.8%減)となりました。

営業利益については、上記により売上高総利益が減少した一方で、前事業年度にプロダクト開発が完了したことによる研究開発費の減少と営業外注費用の削減により70,346千円(前年同期比24.7%増)となりました。

経常利益については、前事業年度はプロジェクト関連の助成金収入52,605千円を計上していましたが当事業年度は63千円のみとなり、一方で当事業年度は上場関連費用が発生したことにより60,896千円(前年同期比44.4%減)となりました。

当期純利益については、前事業年度に繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額の計上がありましたが、当事業年度は特別な計上がなかったことにより44,564千円(前年同期比70.3%減)となりました。

なお、当社の事業セグメントはカスタムAIソリューション事業の単一セグメントですので、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。

 

② 財政状態の分析
a.資産

当事業年度末における流動資産は1,950,070千円となり、前事業年度末に比べ481,866千円増加いたしました。これは主に資金調達により現金及び預金が337,626千円増加したことと継続途中のプロジェクトが増加し売掛金及び契約資産が158,874千円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は2,062,668千円となり、前事業年度に比べ501,412千円増加いたしました。

 

b.負債

当事業年度末における流動負債は73,180千円となり、前事業年度末に比べ74,449千円減少いたしました。これは主に研究開発費や営業費の支払いにより未払金が64,540千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は73,180千円となり、前事業年度末に比べ74,449千円減少いたしました。

 

c.純資産

当事業年度末における純資産合計は1,989,487千円となり、前事業年度末に比べ575,862千円増加いたしました。これは主に、資金調達により資本金265,650千円および資本剰余金265,650千円が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、新規上場に伴う資金調達等の要因により、前事業年度末に比べ337,626千円増加し、当事業年度末には1,720,780千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は145,756千円となりました。これは主に、税引前当期純利益60,896千円の計上等があったものの、売上債権及び契約資産の増加額124,554千円、未払金の減少額64,540千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は38,263千円となりました。これは主に、プロダクトの開発に伴う無形固定資産36,300千円の計上等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果調達した資金は521,646千円となりました。これは主に、資金調達により資本金及び資本準備金が531,300千円増加したことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はカスタムAIソリューション事業の単一セグメントのため、サービス別に記載しております。

サービスの名称

販売高(千円)

前事業年度比(%)

AI活用コンサルティング・AI開発

617,683

69.0

人工衛星AI解析

102,734

231.2

AIライセンス提供

69,966

240.6

合計

790,384

81.6

 

(注) 1.最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

第7期事業年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

第8期事業年度

(自 2022年8月1日

至 2023年7月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

荏原環境プラント㈱

127,650

13.2

197,330

25.0

㈱バルカー

46,000

4.7

140,290

17.7

三菱商事㈱

485,450

50.1

40,000

5.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

AI活用コンサルティング・AI開発の売上高は617,683千円(前事業年度比69.0%)となりました。これは前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの執行を行いましたが、前事業年度の大型案件プロジェクトが完了した一方で当事業年度は前事業年度ほどの大型プロジェクトがなかったことによるものです。

人工衛星AI解析の売上高は102,734千円(前事業年度比231.2%)となりました。これは官公庁からのプロジェクトが順調に増加していることによるものです。

AIライセンス提供の売上高は69,966千円(前事業年度比240.6%)となりました。これは大型の保守運用が開始となったことによるものです。

以上の結果、当事業年度の売上高は790,384千円(前事業年度比81.6%)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は274,736千円(前事業年度比77.2%)となりました。これは主に、プロジェクトの採算性は変わらなかったため売上高に対する売上原価の割合は前年度と同程度でしたが売上高減少に伴い売上原価も減少したことによるものです。

以上の結果、当事業年度の売上総利益は515,648千円(前事業年度比84.2%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は445,301千円(前事業年度比80.1%)となりました。これは主に、前事業年度にプロダクト開発が完了したことによる研究開発費の減少と営業外注費用の削減によるものであります。

以上の結果、当事業年度の営業利益は70,346千円(前事業年度比124.7%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当事業年度の営業外収益は201千円(前事業年度は53,097千円)となりました。これは前事業年度に、東京都の助成事業として行っていたAIによる異常検知簡易検証サービス開発完了による助成金収入の発生があったことによるものであります。

当事業年度の営業外費用は9,651千円(前事業年度はなし)となりました。これは当事業年度に上場関連費用が発生したことによるものです。

以上の結果、当事業年度の経常利益は60,896千円(前事業年度比55.6%)となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度の税引前当期純利益は60,896千円(前事業年度比55.6%)となりました。当期純利益については、前事業年度に繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額の計上がありましたが当事業年度は特別な計上がなかったことにより44,564千円(前事業年度比29.7%)となりました。

 

 

財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概況」に含めて記載しております。

 

② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり売上高、営業利益又は営業損失(△)、従業員数としております。過年度における当社の各指標の進捗は以下の通りです。

(単位:千円)

 

2019年7月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

売上高

218,935

354,117

419,445

968,521

790,384

営業利益又は

営業損失(△)

26,008

△166,246

△156,560

56,403

70,346

従業員数(名)

15(3)

28(8)

31(10)

37(8)

29(7)

 

売上高は790,384千円(前事業年度比81.6%)となりました。これは前事業年度ほどの大型プロジェクトが当事業年度にはなかったためAI活用コンサルティング・AI開発の売上が前事業年度比69.0%となったことによるものであります。

営業利益は70,346千円(前事業年度比124.7%)となりました。これはプロジェクトの受注に対して従業員数及び外注人材の利用が適正な水準近くなったことによるものであります。

従業員数は29名となりました。これは営業部を解体してコンサルティング部に統合したことによるものです。今後はエンジニアと共にコンサルタントを増やしていく方針です。従業員数は売上高の伸びにある程度比例するものと考えており、将来の受注見込を考慮して引き続き人材獲得を目指すものであります。

 

③ 経営者の問題意識と今後の方針に関して

当社では、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針を掲げ、技術者を尊重する企業環境の下、先端技術の実用化に取り組んでまいりました。その結果として、ディープラーニングを中心としたAI関連技術を実装することについて、他社に対し優位な立場を築くことができていると考えております。一方で、当社が事業を営むカスタムAIソリューション事業においては、技術革新のスピードは非常に早く、その状況を常に注視し、また技術の変化、新技術の登場にいち早く対応することができなければ、当社の有する技術的な優位性は失われ得るものです。この優位性を維持し、さらに強固にするために、優秀な人材を継続して確保することが、当社にとって最優先の課題となると考えております。

現在、AI関連技術を有する人材に対する市場のニーズは強くその獲得競争は激化していると認識しております。当社においては、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針をより強く発信し、また最先端の研究をしている大学教授等と共同研究の取り組みを行うことにより、優秀な人材の確保を進める方針です。

 

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおり、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。市場動向及び業界動向に対して常に情報を集め、また、優秀な人材の獲得と育成に取り組むとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に迅速かつ最適な対応に努めてまいります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

当社の資金需要のうち主なものは、人件費、外注費等の売上原価であります。運転資金は自己資金を基本としております。当事業年度末において、現金及び預金は1,720,780千円であり、十分な流動性を確保していると判断しております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者の会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の計上に際し、合理的な基準による見積りが含まれており、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りによる数値と異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)『財務諸表』注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、当社の財務諸表で採用する重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 『財務諸表』注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。