2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

   

(1)鋼材需給の変動

 普通鋼電炉業界は、国内において需要量に対し供給能力過剰の構造にあり、過剰生産及び販売による販売価格の下落リスクがあります。また、東アジア諸国を中心とした需給バランスの変化等による海外市況の下落リスクがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内の鉄鋼需要については、新型コロナウイルス感染症収束後一定程度は回復するものの以前の水準には戻らず、構造的に縮小していくものと認識しております。
 当社は、鋼材の需要・供給動向を十分に見極めながら、需要に見合った生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(2)原料価格等の変動

  鋼材の生産に必要な鉄スクラップ、副原料である合金鉄や各種資材等は、国際マーケットで取引されており、東アジア諸国を中心とした鉄鋼生産の変動や、環境負荷低減へ向けたリサイクル資源である鉄スクラップの使用拡大等による価格の高騰及び乱高下リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。足元では、国内外経済の回復や脱炭素へ向けた鉄スクラップ使用拡大の動き、東欧情勢の悪化等により原料価格は高水準で推移しております。
 当社は、生産に見合った原料等の最適調達に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(3)電力供給等

 大量の電力を使用する当社グループは、地域紛争などによる原油や液化天然ガスなど資源価格の変動や再生可能エネルギーの拡大、脱炭素化に向けた電力需給環境の変化により、電力購入価格が大幅に上昇するリスクがあります。また、国内各発電所の稼働状況及び天候等の影響により電力需給が逼迫した場合、電力供給の制約を受ける可能性があります。足元では、東欧情勢悪化の影響などにより資源価格が高止まりし、電力価格が大幅に上昇しております。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(4)海外投資等

  当社はインドネシア共和国に連結子会社を所有しております。同社の業績は、市場環境の変化は元より、為替相場の変動や同国の政治・経済情勢及び法規制等が変化した場合、影響を受けます。また、同国において突発的な政情不安及び自然災害等が発生した場合、工場の操業休止等の事態に陥るリスクがあります。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。
 当社グループは、グループ一貫での連携強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(5)人材確保・育成

 当社グループの成長のためには、有能な人材の確保及び育成が重要な課題でありますが、少子高齢化に伴う労働需給の逼迫は、今後の当社グループの事業活動、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、採用チャネルの拡大やソースの多様化による採用力の強化、IT技術等の活用による労働生産性の向上、実効性ある人材育成施策の推進、従業員エンゲージメントの最大化を図るなど、人的資本の充実・強化に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。
 

 

(6)設備投資等

  製鉄事業は資本集約的産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とします。老朽化した設備の更新等を行う際は、できる限りの機能向上や省エネルギー対策を織込みながら実行しております。しかしながら、これらが計画通りに立ち上がらず効果が十分に発揮できない場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、当年度において、堺工場への省エネ・省CO2型電気炉の導入や熊本工場への製品倉庫新設及び太陽光発電設備の設置拡大、恩加島工場のレール加工設備の移管等を決定しましたが、計画通りの立ち上げに向け、プロジェクト体制を敷くなど、リスクの最小化に取り組んでおります。
 

(7)気候変動

 当社グループは気候変動の影響を受けることにより業績に悪影響が生じる可能性があります。

 想定されるリスク及び対応については、第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組

 (2)気候変動への対応について に記載のとおりであります。

 

(8)各種自然災害や感染症の拡大等

 当社グループの各事業所において大規模な台風、地震等の自然災害及び感染症の拡大等に見舞われた場合、事業活動が制約を受けることにより、業績に悪影響が生じる可能性があります。

  各種自然災害については、耐震工事等のハード対策の実行に加え、対応マニュアルの整備を進めるとともに、全事業所において各種訓練の実施や工場パトロールを行っております。これらの訓練を通じ、継続して工場の緊急事態対応力の強化を図っております。
 また、感染症対策につきましては、新型コロナウイルス感染症への対応を通じて確立した制度とその運用の定着を図っております。

 

(9)設備事故、労働災害等

  当社グループの製鉄事業の生産活動は、電気炉、取鍋精錬炉、連続鋳造機、加熱炉、圧延機、発電設備等の特定の重要設備に依存しています。これらの設備において、電気的または機械的事故、火災や爆発、労働災害等が生じた場合、操業の中断による生産・出荷の遅延、費用や補償の支払いなどの発生、また当社グループの信用・信頼を損なうことにより、業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  当社グループは、人材の確保、安全環境防災教育をはじめとした人材育成や技能伝承に向けた取り組み及び日々の設備メンテナンスや老朽化設備の更新等、人と設備の両面から基盤整備・強化策を推進しております。
 

(10)品質問題等

 当社グループは、鉄鋼製品を顧客に提供しております。製品に欠陥が見つかり品質問題が生じた場合は、顧客等から代品の納入や補償を求められるほか、当社グループまたは当社グループの製品に関する信頼が損なわれて売上が減少すること等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
  当社は、「品質は会社の鏡 一人一人が責任者」のスローガンをもとに、「常にお客様の信頼と満足を得る品質を提供する」、「関連する法律、規制を遵守して、各プロセスで発生するあらゆる不適合を低減する」等の品質方針を定め、内部品質監査の充実など、様々な取り組みを実施しております。
 

(11)情報システムの障害

  当社グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、また、自社及び顧客・取引先の営業機密や個人情報等の機密情報が情報システムに保管されております。当社グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からウイルス感染等のサイバー攻撃等により、システム停止、機密情報の外部漏洩や毀損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、訴訟、社会的信用の低下等により、当社グループの業績等に悪影響が生じる可能性があります。
  当社においては、技術情報をはじめとする機密情報の漏洩対策については最重要の経営課題のひとつとして認識し、情報セキュリティ基盤の強化対策を実行しつつ、重要なシステム及びネットワーク等については、二重化してデータセンターへ移設し、堅牢な環境下で運用管理をしております。さらに加えて、社員の情報セキュリティ意識を向上すべく、情報セキュリティ教育や疑似不審メールによる訓練等の対策も実施しております。 


 

(12)事業活動にかかる環境規制

当社グループは、事業活動を行う日本及びインドネシアにおいて、大気・水・土壌の汚染、化学物質の利用、廃棄物の処理・リサイクル等に関する広範な環境関連規制の適用を受けており、今後、これらについて、より厳格な規制が導入されたり、法令の適用・解釈が厳しくなったりすることにより、当社グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加する可能性があります。
 これらのリスクについて、当社グループは事業所毎に異なる環境リスクへのきめ細やかな対応や各地域の環境保全活動を通じた環境リスクマネジメントを推進し、グループ全体での環境負荷軽減に取り組んでおります。
 また、当社グループは今後化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、当社グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性があります。
 当社は省資源・省エネルギーを追求した鋼材の生産に努め、当該リスクの最小化に取り組んでおります。

配当政策

 

3 【配当政策】

配当につきましては、業績に応じて適切に株主の皆様へ利益を還元していくべきものと考えております。

当社の属する普通鋼電炉業界は、主原料のスクラップ価格及び主要製品の市況変動が大きく、これにより業績が大きく影響されます。当社は、こうした業界にあって経営基盤の長期安定に向けたゆるぎない財務体質の構築を進めるとともに、企業としての資産効率の改善にも努め、企業価値の安定的向上を目指します。

当社の連結配当性向につきましては、30%程度を目安としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。剰余金の配当(期末配当)については、法令に別段の定めある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる旨を定款に規定しております。なお、中間配当については、取締役会の決議により定めることとしております。

当事業年度の配当金につきましては、上記方針に基づき、期末配当金を1株当たり14円50銭とし、中間配当金10円と合わせて年間24円50銭としております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当の総額
(百万円)

1株当たりの配当額
(円)

 

2023年10月30日

取締役会決議

389

10.00

 

2024年6月24日

定時株主総会

564

14.50