2023年11月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク
① 競合について

当社グループは、画像解析及び機械学習領域において事業を展開しておりますが、当該領域においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。また、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、当社グループの競争力が低下する可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは今後も明確に他社との差別化が図られる分野、収益性の高い分野、競合が少ない分野などにターゲットを絞った戦略的な経営を進めて、引き続き事業の拡大及び競争力の維持・強化に努めてまいります。

 

② 技術革新について

当社グループが提供するAIクラウド基盤(IoP Cloud)の根幹となる画像解析及び機械学習技術は、進展が著しいという特徴を有しております。当社グループでは、研究開発活動によって画像解析及び機械学習技術の進展に常時対応していく方針でありますが、当社グループが想定していないような新技術・新サービスの普及等により事業環境が変化した場合、必ずしも迅速には対応できない可能性があります。また、事業環境の変化に対応するための開発費用が多額となる可能性や、研究開発活動によって得られた成果を事業化できない可能性、さらには事業化した場合でも当社グループが想定している収益を得られない可能性も考えられます。このような場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

このような環境の中で、当社グループは、画像解析及び機械学習技術に関して、最新技術の開発を率先して行うとともに、優秀な人材の確保に取り組んでおります。

 

③ 特定のサービスへの依存について

当社グループは個人認証ソリューションにおいて、オンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」を提供しておりますが、2023年11月末時点で「LIQUID eKYC」の売上高は、グループ全体の6割以上を占めております。当該割合に関しては、今後変わる可能性がありますが、売上高の面で相当程度の依存がある状態にあります。

当社グループでは、認証精度やユーザビリティの点で、優位性を高めているものの、強力な競合企業が登場した場合、競争激化により売上高が減少することが考えられます。また、犯罪収益移転防止法(犯収法)上、特定事業者が非対面で本人特定事項を確認する際にeKYCの利用が法律上認められておりますが、今後犯収法が改正され、eKYCの利用に制約が課せられたり、システムを変更する必要が生じたりする場合には、利用者が減少する、または、対応に多額の費用を要した結果、当社グループの売上高及び利益が減少する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、個人認証ソリューションにおける認証精度やユーザビリティの改善により、競合優位性を高めていく方針です。また、今後の成長に向けて次なる事業の柱を確立すべく、新規事業開発に努めております。これらの開発により、特定サービスへの依存度低下に努めてまいります。

 

(2) 事業内容に関するリスク
① 新規サービスの黒字化に長期間要することについて

当社グループが、「AIクラウド基盤(IoP Cloud)」を軸に事業者向けに様々なサービスを提供するためには、実証実験等にて社会実装に向けた要否判定を経て、機能を開発する必要があります。新たな事業を開始する際は、こうした研究・開発及び商用化(実証実験を含む)、そしてその先の成長を見込んでおりますが、新規機能やサービスの開発着手以降、商用化やその先の成長が想定通り進まない場合は、黒字化まで長期間要する可能性があります。さらに、本格運用がスタートした後も軌道に乗った展開ができるとは限らず、方針の変更や見直し、撤退等何らかの問題が発生する可能性も想定されます。

当社グループは各領域において事業を展開することで事業リスクの分散を今後も行っていく方針ですが、新規サービスの黒字化が進まない場合は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 知的財産権について

当社グループは、第三者との間の知的財産権に関する紛争を未然に防止するため、新サービスの開発の際には、特許事務所に先行特許調査を委託し、また弁護士の助言を得ながら製品のライセンス取得を実施しておりますが、当社グループのようなエンジニア・研究者を中心とする開発型企業の場合、第三者との知的財産権に関する紛争を完全に防止することは事実上不可能であります。当社グループは、特許権等の知的財産権の取得、弁護士や弁理士等の専門家との連携等により知的財産権に関する紛争の防止に努めておりますが、第三者と知的財産権に係る紛争が生じた場合、当該紛争に対応するために多くの人的または資金的負担が当社グループに発生するとともに、場合によっては損害賠償請求、ライセンス料等の支払請求や製品等の差止の請求等を受ける可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

今後につきましても、第三者との間の知的財産権に関する紛争を防止するための管理を行ってまいりますが、当社グループがこのような紛争等に巻き込まれた場合、弁護士や弁理士と協議のうえ、当該知的財産権によってはライセンサーとも協力し、対応する方針です。

また、当社グループは特許権等の知的財産権を積極的に取得していく方針でありますが、当社グループが出願する特許権等の知的財産権の全てが登録される保証はありません。当社グループが知的財産権を十分に保全できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業運営体制に関するリスク

① 代表取締役への依存及び当社グループの事業推進体制について

当社の代表取締役である久田康弘は、当社設立当初から当社グループ経営に関わっており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループでは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、経営体制の整備を進めております。その結果として同氏への依存度は相対的に低下するものと考えております。しかし、当面は依然として依存度は高く、近い将来において何らかの理由により同氏の業務執行が困難となった場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保及び教育について

当社グループは、エンジニアを中心として、サービスの開発や画像解析・機械学習等要素技術の開発を行っております。それらを支えるエンジニアについて、既存従業員のスキルアップを図るとともに、新たな人材の確保を行っていきたいと考えております。しかし、今後適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員の退職等により、十分な開発・販売体制を築くことができない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループはこのようなリスクを踏まえて、積極的な採用活動や社外ネットワークの強化を行うとともに、働きやすい環境の整備や処遇制度の充実等、従業員のモチベーションを向上させる仕組みの構築を継続して推進してまいります。

 

③ 個人情報の取り扱いについて

当社グループは、「自分だけの要素を知ることで、より自分らしい生き方を選択できる世界に」をグループビジョンに掲げ、ヒトが直接ネットワークに繋がる世界観「IoP」の実現のために、ヒトに関するデータ(ユーザーの個人情報)を自社で保管していく方針です。

個人認証ソリューションにおいては、容貌・本人確認書類・氏名・住所・生年月日等の個人情報を、当該ソリューションにおけるサービス提供や、収集したデータを機械学習することによる認証精度の向上を目的として取得しております。また、現在は実施しておりませんが、今後、事業者横断で不正利用を検知するサービスや認証サービスを提供する際は、当社グループが事業者から取得した個人情報を第三者提供する可能性があります。

個人最適化ソリューションにおいては、衣食住の領域における最適化を実現するために、体型情報・足型情報・購買情報・位置情報等の個人情報を、当該ソリューションにおけるサービス提供、ヒトに関するデータの機械学習を目的として取得しております。

個人情報の取扱いについては、日本においては「個人情報の保護に関する法律」が適用され、諸外国においては、GDPR(EU一般データ保護規則)や当該国の個人情報に関する法律(個人情報に関する法令等)が適用されることがあります。

当社グループは個人情報に関する法令等や個人情報の取扱いを事業運営上の重要事項と捉え、その重要性を十分に認識し、個人情報保護基本規程をはじめとした個人情報保護に関連する規程等を制定し、運用しております。

当社グループのサービスの提供に際しては、当社グループの責任において第三者となる業務委託先に個人情報の保管等について再委託する場合があります。その場合においても、個人情報に関する法令等を遵守し、適切かつ合理的な方法で業務委託先の安全管理を行っております。

しかしながら、自然災害や事故、外部からの悪意による不正アクセス行為及び内部の故意又は過失による顧客情報の漏洩、消失、改ざんまたは不正利用等により、万一当社グループまたは当社グループの業務委託先から個人情報が漏洩した場合には、信用の失墜又は損害賠償による損失が生じ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システム障害等について

当社グループの事業は、インターネットを利用しているため、自然災害、事故、不正アクセスなどによってインターネットの切断、ネットワーク機器の作動不能などのシステム障害が発生する可能性があります。当社グループでは、稼働状況の定期的なモニタリング、異常発生時の対応方法等の明確化などシステム障害の発生防止のための対策を講じておりますが、このような対応にもかかわらず大規模なシステム障害が発生した場合等には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、クラウドベースのサービスのほとんどを、Amazon Web Services (AWS)を利用して提供しています。そのため、顧客へのサービス提供が妨げられるようなシステム障害の発生やサイバー攻撃によるシステムダウン等を回避するために、システム冗長化のみならず複数のアベイラビリティゾーンの利用による冗長性の確保や各種不正アクセス対策等によるシステムセキュリティの強化、また、システム稼働状況の監視等を実施しております。しかしながら、このような対応にも関わらず自然災害、事故、不正アクセスなどによってAWS上の当社グループのサービス及びAWSそのもののシステム障害が発生した場合、またはAWSとの契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合等には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 情報セキュリティ対策について

当社グループは本人認証関連サービス提供する事業者として、厳重な情報セキュリティ管理体制のもと自社内の情報を管理しています。また、連結子会社の株式会社Liquidにおいては、情報セキュリティマネジメントシステム (ISMS)の国際標準規格である「ISO/IEC 27001」及び国内規格である「JIS Q 27001」の認証を取得し、情報管理についての各種規程を定めて運用し、従業員への教育を定期的に実施する等、情報管理の対策を講じております。また、金融機関からはFISCの安全対策基準(金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準)や「金融分野における個人情報保護に関するガイドライン」に準じた体制の構築・運用していることを確認するためのチェック並びに監査等委員及び内部監査担当者による監査を受けております。また主要なサービスに使用するアプリケーションには外部のセキュリティ事業者による定期的な脆弱性診断を実施し、機密情報を含むデータ・ベースへのアクセス可能者を限定し、アクセス履歴を記録するなど、外部の不正アクセス防止や当社グループの従業員による情報漏洩への関与を未然に防ぐ措置を講じております。

このような対策にも関わらず、外部の不正アクセスによる場合や当社グループから情報の漏洩等が発生した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、当社グループが企業としての社会的信用を喪失し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 小規模組織における管理体制について

当社グループの組織体制は小規模であり、内部管理体制についても組織の規模に応じたものとなっております。当社グループは今後も外部からの採用と人材の教育に努め、内部管理体制及び業務執行体制の強化を図り、また、業務効率化や生産性向上のために必要なシステム投資を行っていく方針であります。しかし、急激な事業拡大が生じた場合、十分な人的・組織的対応が取れない可能性があります。また、今後の人員増加に伴い、先行して一時的に固定費負担が増加する場合も想定され、そのような状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 業歴が浅いことについて

当社グループは2013年12月に設立された社歴の浅い会社であり、また、主力サービスである「LIQUID eKYC」についても、2019年7月に提供開始と業歴が浅いことから、過年度の業績及び財政状態だけでは、今後の当社グループの業績や成長性を判断する材料としては不十分な面があります。また、過去に生体決済事業の終了など事業変遷の経緯があるため、今後も主力サービスが変遷し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 財務状況に関するリスク

① マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて

当社グループは現時点では開発活動を中心とした企業であり、AIクラウド基盤(IoP Cloud)を構築し、その後に各種売上を得られるようになるまでは多額の費用が先行して計上されることとなります。そのため、当連結会計年度末においてはマイナスの繰越利益剰余金を計上しております。

当社グループは、これらの初期投資に基づく将来の利益拡大を目指しております。しかしながら、将来において想定どおりに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループの事業が計画どおりに進展せず当期純利益を計上できない場合には、マイナスの利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、初期投資に際しては計画的に行うとともに、顧客獲得や売上高の拡大及び収益性の向上に向けた取組みを行っていく方針であります。

 

② 税務上の繰越欠損金について

当社グループには現時点では税務上の繰越欠損金が存在しております。事業計画の進展から順調に当社グループ業績が推移することによる繰越欠損金の使用、または繰越欠損金の期限切れによる消滅により、繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純利益又は当期純損失及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

このようなリスクを踏まえ、税制改正に係る情報については、当社顧問税理士を通じて早期に捉えるようにしております。また、グループ各社の業績管理プロセスを強化することにより、大幅な業績変化の兆候を早期に捉えるようにしております。

 

③ 資金繰り及び資金調達について

当社グループでは、開発活動の推進に伴い継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが生じており、今後も事業の進捗に伴って運転資金、開発投資及び設備投資等の資金需要の増加が予想されます。このような資金需要に対応すべく当社グループはこれまでに第三者割当増資等を実施しましたが、今後さらにエクイティ・ファイナンス、国や地方公共団体をはじめとする公的補助金等の活用、さらには金融機関によるプロジェクトファイナンス等により資金需要に対応していく方針です。継続的に当社グループの財務基盤の強化を図ってまいりますが、エクイティ・ファイナンスや売上収入・提携一時金及び公的助成金・補助金等の獲得を含めた資金調達が想定どおり進まない場合等、資金繰りの状況によっては当社グループの事業活動等に重大な影響を与える可能性があります。

また将来、増資等のエクイティ・ファイナンスを実施した場合には、当社の発行済株式数が増加することにより1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④ 配当政策について

当社は設立以来配当を実施しておりません。また、当社グループは開発活動を継続的に実施していく必要があることから、当面は内部留保の充実に努め開発資金の確保を優先することを基本方針としております。

事業等の進捗によっては利益配当までに時間を要する可能性がありますが、株主への利益還元も重要な経営課題の1つであると認識しており、経営成績と財政状態を勘案して利益配当も検討してまいります。

 

⑤ ストック・オプション行使による株式の希薄化について

当社は、当社及び当社子会社の取締役及び従業員等の長期的な企業価値向上に対する士気向上及びインセンティブを目的とし、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日の前月末現在における当社発行済株式総数に対する、新株予約権による潜在株式数の割合は20.36%に相当します。これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

(5) 法的規制等に関するリスク

当社グループの事業を規制する主な法規制として、「犯罪収益移転防止法」があります。マネーロンダリング対策等の観点から制定された犯罪収益移転防止法では、特定事業者につき取引時確認が求められます。当社グループは、現時点では「特定事業者」に当たらず、直接的な規制の対象ではありません。もっとも、当社グループが提供するオンライン本人確認サービス「LIQUID eKYC」において、犯罪収益移転防止法に基づいた対応を取る必要があります。また、今後、インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット関連事業を営む事業者を「特定事業者」として規制対象に含める新たな法令等の制定や、非対面での本人特定事項の確認に関する既存法令等の解釈変更等がなされた場合には、当社グループの事業展開が制約される可能性があります。当社グループにおいては、現時点の法規制等に従って業務を遂行しており、また、弁護士や外部諸団体を通じて新たな法規制及び取引関係先の法規制改正の情報を直ちに入手できる体制を整えております。

 

(6) 知的財産権の侵害によるリスク

当社グループは、自社システム開発をはじめその事業活動において第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内での調査や弁理士等を通じた調査・確認を適宜実施し、細心の注意を払っております。しかしながら、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起され、その結果によって損失が発生する場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 不可抗力によるリスク

① 自然災害・気候変動等に関するリスク

不慮の事故、火災、自然災害等による被害が発生し、当社グループが利用するクラウドサーバーが損壊して利用できなくなった場合や、これらの損害に対して保険では対応できず、修復費用や復旧までの逸失利益等が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、このようなリスクに対処するため、特に重要なデータについては、安全と考えられるデータセンターで保管しております。

また、新型コロナウイルスコロナウイルス等の感染症の蔓延による当社グループの業績への影響は現時点では軽微と考えておりますが、今後の感染拡大の状況によっては当社グループの事業活動及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 紛争・政情不安に関するリスク

当社グループは、インドネシア共和国に合弁会社「PT. Indoliquid Technology Sukses」を設立し、今後も東南アジアを中心に海外事業を展開していく予定であります。テロ・戦争・クーデターあるいは政情不安等により当社グループの拠点やサービスが直接または間接的な被害を受ける等の事態が発生した場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、このようなリスクに対処するため、政治情勢、財政情勢、法規制変更等について、情報収集を行い、政情不安等の兆候の早期把握に努めております。

 

(8) 継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しております。他方、売上高の増加に加え、選択と集中を通じた費用削減が奏功し、当社グループの業績は改善傾向にあります。そのため、継続企業の前提に関する注記を開示するまでには至りませんが、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。

当社グループではこれらの事象を解消すべく、事業面において、主力サービスである「LIQUID eKYC」を中心に個人認証ソリューションの拡大を図る一方、個人最適化ソリューションを中心に、今後の成長に向けて次なる事業の柱となるような新規事業開発に努めながら、戦略的な選択と集中を引き続き推し進めて参ります。

財務面においては、当連結会計年度において、東京証券取引所グロース市場に上場し、公募増資及びオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資により、総額106,574千円の資金調達を行いました。また、CVI Investments, Inc.を割当先とする新株式、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行し、総額 1,470,793千円を調達しており、今後の運転資金に必要な現預金の確保を行っております。

以上から、当社グループといたしましては、事業計画に基づく資金計画を評価した結果、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして位置付けております。しかしながら、現在、当社グループは成長拡大の過程にあると考えており、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、更なる事業拡大を実現することが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

このことから配当は実施せず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。内部留保資金は、優秀な人材の採用等の必要運転資金やサービス基盤拡充、新規サービス開発のための資金として有効に活用していく方針であります。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案のうえ、株主への利益配分を検討いたしますが、現時点において配当の実施及びその時期等については未定であります。

なお、剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を基本方針としており、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。また当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を、毎年5月31日を基準日として取締役会決議によって行うことができる旨を定款に定めております。