2023年12月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 12,037 100.0 1,108 100.0 9.2

事業内容

 

3 【事業の内容】

  当社グループは、当社、非連結子会社2社及び親会社で構成され、当社は、高性能かつ高品質なCastrolブランド及びbpブランドの自動車用潤滑油の販売を主たる事業としております。当社では製品開発、原材料調達、マーケティング活動、セールス活動を行い、製造機能は国内の協力工場に委託しております。

  当社の主要な取扱い製品はガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、自動車ギア油、ATF(CVTフルードを含む)、ブレーキフルード、カーケア用品などでありますが、エンドユーザーの嗜好、こだわりに合わせて両ブランドの製品構成及び販売ルートを決定しております。

  当社は、自動車潤滑油市場を乗用車市場、二輪車市場、商業車市場に分類し、特に市場規模が大きい乗用車市場においては、コンシューマー向け市場とBtoBビジネス向け市場に細分化して、直接販売または代理店販売方式で製品を供給しております。

  乗用車市場のコンシューマー向けビジネスはカーショップ、ホームセンター、タイヤショップに対する営業が中心であり、BtoB向けビジネスは国内のカーディーラー、輸入車のカーディーラー及び自動車整備工場を中心に営業活動を行っております。

  主な原材料は国内調達しておりますが、原材料の一部及び製品の一部につきましては、bpグループ(韓国、マレーシア、ドイツ、アメリカ他)から輸入しております。

  なお、当社の事業は、潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

  当社グループの主要な事業系統図は次のとおりであります。

 


 

 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

[経営成績等の状況の概要]

(1) 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが2023年5月より5類感染症となり、行動制限の大幅な緩和によりインバウンドの復調や経済活動の正常化が進み、景気回復の兆しが見えてまいりました。

海外経済につきましては、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化によるエネルギー価格の高止まり、インフレの加速、イスラエルとハマスの武力衝突によるさらなる地政学リスクの発生、それを受けた欧米諸国の金融引締めなど、先行き不透明な状況が継続しております。

自動車業界におきましては、小型・ハイブリッドの低燃費車並びに軽自動車が引き続き消費者からの根強い支持を集めております。販売台数につきましては、新型コロナウイルス感染症や世界的な半導体不足といった新車供給への影響が薄れたことにより、普通車・軽自動車合計で前年同期比約13%の増加となりました。一方で年間を通して円安と原油価格の上昇基調・高止まりの傾向にあることにより、厳しい経営環境となっております。

このような市場環境の下、自動車潤滑油ビジネスにおいては、コンシューマーチャネルにて高付加価値製品の継続訴求、さらにディーゼル車向け製品の訴求を強化、そしてeコマースにおいてソーシャルメディアの活用を含むデジタルチャネルとの連携強化により、購入者層の拡大を促進し、販売数量維持・拡大を目指し活動いたしました。また、ディーラーチャネルにおいては環境に配慮した製品の継続的な訴求および顧客のニーズに対応した施策を実施し、同時に法人ユーザーをターゲットとした施策も実施してまいりました。

さらにbpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“ネットゼロ”のコンセプトを訴求し、関心が高まっている環境問題にも継続的に取り組む一方、プロフェッショナル仕様の多目的潤滑スプレーを上市しエンジンオイル以外の新たな市場・ユーザーへのアプローチに加え、自動車整備工場販路にもプレミアムオイルの提案を実施し、販路・顧客層の拡大を実践しました。

加えて原油をはじめとするエネルギー・資源価格の上昇・高止まり並びに円安傾向が継続する状況から、コスト上昇を反映するタイムラグはありながらも販売価格への転嫁を進めました。

コミュニケーション分野においては、2024年にカストロール創業125周年を迎えるにあたり、カストロールブランドロゴのリニューアルとアナウンスを行い、コンシューマーキャンペーンでの積極的な訴求、またレースカーへカストロールカラーのデザインを施すなど、多方面にわたりブランドの露出機会を増やしてまいりました。また並行してデジタルトランスフォーメーションを含む業務効率化を継続して推進いたしました。

成熟した市場環境並びに物価の高騰から、価格によりシビアなユーザーが増える中、高付加価値ブランドの拡大と新しい需要の喚起・創出を促進することで、当社ビジネスの継続的な成長を目指してまいります。

これらの結果、当事業年度における当社の売上高は12,037百万円(前年同期比7.6%増)営業利益は1,108百万円前年同期比27.5%増)、経常利益は1,168百万円前年同期比24.1%増)、当期純利益は781百万円前年同期比36.5%増)となりました。

なお、当社の事業は、潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,245百万円となり前事業年度末より441百万円減少いたしました。当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度末において営業活動の結果得られた資金は、645百万円(前年同期比266百万円の増加)となりました。これは、主に税引前当期純利益1,168百万円及び減価償却費の計上143百万円により資金が増加した一方、前払年金費用の増加171百万円、売上債権の増加146百万円、棚卸資産の増加170百万円、その他の資産の増加54百万円及び法人税等の支払額146百万円により資金が減少したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、193百万円(前年は1,720百万円の増加)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出193百万円、資産除去債務の履行による支出32百万円及び敷金及び保証金の回収による収入41百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、893百万円(前年同期比528百万円の減少)となりました。これは、主に配当金の支払い893百万円によるものであります。

 

(3) 生産、受注及び販売の状況

① 商品仕入実績

当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度
自  2023年1月1日

至  2023年12月31日

前年同期比(%)

金額(千円)

潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業

7,470,904

111.0

合計

7,470,904

111.0

 

 

② 販売実績

(受注実績は販売実績とほぼ同様であります。)

当社は潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業のみの単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

自   2023年1月1日

至   2023年12月31日

前年同期比(%)

金額(千円)

構成比(%)

潤滑油の販売並びにこれらに付帯する事業

12,037,024

100.0

107.6

合計

12,037,024

100.0

107.6

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

自  2022年1月1日

至  2022年12月31日

当事業年度

自  2023年1月1日

至  2023年12月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社オートバックスセブン

3,749,449

29.2

3,943,642

29.0

トヨタモビリティパーツ株式会社

3,116,740

24.3

3,193,525

23.5

 

(注) 相手先別に売上割戻を集計することが困難なため、売上割戻金控除前の金額及び割合を使用しております。

 

 

[経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容]

 

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。

当社の財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針については、「第5  経理の状況 1  財務諸表等  (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

 

(2) 経営成績の分析

当事業年度は、自動車用潤滑油市場に新たな需要の押し上げ要因の見当たらない厳しい経営環境の中において、コンシューマーチャネルにおいて高い走行歴でも最適なエンジン・パフォーマンスを維持する高走行距離車向けエンジンオイルや最新の省燃費車に合わせた超低粘度エンジンオイルなどの高付加価値製品の継続的な訴求を行い、そしてeコマースにおいてソーシャルメディアの活用を含むデジタルチャネルとの連携強化により購入者層の拡大を促進し、販売数量維持・拡大を行ってまいりました。またディーラーチャネルにおいて顧客のニーズに対応したきめの細かい施策を実施し、同時に法人ユーザーをターゲットとした施策も実施してまいりました。

また、bpグループが提唱する2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする“ネットゼロ”コンセプトの訴求等を通して、当社旗艦製品である「カストロールエッジ」、さらに「カストロールマグナテック」「カストロールトランスマックス」ブランドを中心としたエンジンオイル、トランスミッションオイル、並びにエンジン内部を手軽に洗浄できる「エンジンシャンプー」や、新たに上市したプロフェッショナル仕様の多目的潤滑スプレーなど関連製品も含めた積極的な拡販を進め、加えて原油をはじめとするエネルギー・資源価格の上昇・高止まり並びに円安傾向が継続する状況から、コスト上昇を反映するタイムラグはありながらも販売価格への転嫁を進めたことにより、当事業年度の売上高は12,037百万円(前事業年度比848百万円の増加)となりました。

売上総利益は、新製品の発売や旗艦製品の拡販、さらに原材料・資材価格上昇を受けた販売価格転嫁により4,743百万円(前事業年度比126百万円の増加)となりました。

販売費及び一般管理費は、3,634百万円となり、前事業年度比113百万円の減少となりました。主な要因は、ハイブリッド型の働き方に対応した本社オフィスのコンパクト化によるオフィス賃料並びに年金資産の再評価による退職給付費用の減少であり、その結果、営業利益は1,108百万円(前事業年度比239百万円の増加)となりました。

上記の要因により経常利益は1,168百万円(前事業年度比227百万円の増加)、当期純利益は781百万円前事業年度比208百万円の増加)となりました。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、売上高及び経常利益を重要な経営指標として位置付けており、上記の通りの結果となっております。

 

 

(3) 財政状態の分析

(流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、11,462百万円(前事業年度末は11,513百万円)となり、51百万円減少いたしました。これは、主に売掛金(149百万円の増加)、商品及び製品(176百万円の増加)、短期貸付金(436百万円の減少)、未収入金(92百万円の増加)及びその他(32百万円の減少)によるものです。(なお、貸付金の内容は、bpグループのインハウス・バンクを運営しているビーピー・インターナショナル・リミテッドに対するものであります。)

(固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、1,350百万円(前事業年度末は1,234百万円)となり、115百万円増加いたしました。これは、主に工具、器具及び備品(純額)(42百万円の減少)及び前払年金費用(171百万円の増加)によるものであります。

(流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、2,739百万円(前事業年度末は2,623百万円)となり、115百万円増加いたしました。これは、主に未払金(69百万円の減少)及び未払法人税等(194百万円の増加)によるものです。

(固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、101百万円(前事業年度末は42百万円)となり、59百万円増加いたしました。これは、主に繰延税金負債(54百万円の増加)によるものです。

(純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、9,972百万円(前事業年度末は10,083百万円)となり、110百万円減少いたしました。これは、主に利益剰余金が当期純利益により781百万円増加し、剰余金の配当により895百万円減少したことによるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社における運転資金需要の内、主なものは仕入や販売費及び一般管理費等の営業費用であり、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

これらの資金需要は営業活動で生み出した自己資金で賄うこととしておりますが、必要に応じて資金調達を実施いたします。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、国内の経済情勢や市場環境、景気動向等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社では自動車業界や国内外の経済動向、消費者動向に留意しつつ、顧客のニーズを的確に捉え最適な商品を提供してまいります。また内部管理体制の強化及び優秀な人材を確保育成することにより、様々なリスクに対し適切に対応を行ってまいります。