リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 特定業界への依存について
当社グループの売上高において、自動車関連業界への売上比率は合計で約55.1%と高率であり、自動車業界の生産高並びに1台当たりのコーティング加工の採用点数(額)の影響を大きく受けます。
市場動向に大きく影響を受け、世界的に自動車の生産が停滞した場合、特に国内自動車メーカーの生産が落ち込んだ場合や1台当たりの採用点数(額)が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
(2) 販売価格について
当社グループの主要顧客である自動車関連機器業界及び電気・電子部品業界は、価格競争が激しい業界であり、ライフサイクルが長い製品の場合、不定期ではありますが販売価格が低減する可能性があります。
このような事態に対処するために、当社グループでは生産・加工ラインの合理化または自動化による原価低減に努め、併せて新規顧客の開拓・新製品の市場投入などの営業施策を実施しておりますが、原価低減を上回る販売価格の低減、あるいは新規顧客の開拓、新製品の市場投入が遅れた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(3) ドライルーブ製品、ドライルーブ製品のコーティング加工の品質について
当社グループでは、顧客に提供するドライルーブ製品及びドライルーブ製品のコーティング加工を、高品質で安定的に供給するために、継続的に生産技術や生産・加工設備の改善を進めております。また、ISO9001認証取得会社として、品質マネジメントシステムの品質方針に基づいた品質目標を設定し定常的なレビューを行うなど、品質管理に万全を期して取組んでおります。なお、コーティング加工工程においては、一部外注先を活用しておりますが、その場合には品質・納期等が当社の要求水準に達していることを確認し、品質管理を行っております。
当社グループにおいては、過去に損害賠償責任を問われるような事態が発生したことはありませんが、将来に亘り当社の製品に欠陥・不良が全く生じないという保証はありません。また、今後発売する新製品に、予期せぬ不具合が発生する可能性を完全に否定できるものでもありません。仮に欠陥が認められ、当社グループ製品採用先の生産活動に著しい支障が出た場合は、当社グループへの信任と社会的信用が失墜し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(4) 顧客の要望、市場のニーズへの対応について
当社グループの主要顧客である自動車関連機器業界及び電気・電子部品業界は、技術革新が顕著な業界であり、当社グループに日常的に新製品の開発依頼があります。当社は、これらの依頼に応じて新製品の開発を行っており、最近では当社グループ単独で特許申請を行うケースや共同で特許申請するケースが増えております。
当社グループでは顧客の要望・市場のニーズに対応すべく新製品の開発能力を強化するために研究スタッフの増員、研究設備の充実を図っておりますが、主要顧客からの開発依頼に対応できない状態が継続すると、当社グループ製品が他社製品に代替され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(5) 原材料の市況変動について
当社グループが製造するドライルーブ製品の主要な原材料である二硫化モリブデン・フッ素樹脂・グラファイト、並びに有機溶剤等(石油化学関連製品)は、市況の影響を受けます。
当社グループは、同製品の仕入価格が当社計画で想定した範囲内で高騰したものの、内部努力により売上総利益の減少を補うことができなかった場合、また、仕入価格が当社計画で想定した以上に高騰し、ドライルーブ製品及びコーティング加工価格への転嫁を余儀なくされたものの転嫁することができなかった場合、当社の財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
(6) 知的財産権について
当社グループは事業活動のなかで、当社グループ所有の知的財産を使用しております。また、研究開発を進めるなかでは、他社(者)特許権等を充分に照会・確認して新たな特許の申請を行っております。
過去において、当社グループの事業に対する訴訟は提起されておりませんが、当社グループの知的財産権に対する他社の侵害並びに第三者との知的財産権をめぐる係争が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(7) 環境規制について
当社グループの生産拠点から排出されるものとして、工業排水・工業排気があります。いずれも所轄官庁に定期的に報告しなければならない量には至ってはおりませんが、それぞれ専用処理設備を設置し、自動的あるいは定期的に監視し、環境基準値を遵守しております。また、生産設備の維持・修繕をする際に油類を使用しておりますが、油類の廃棄は認可された専門業者に委託しております。その他の産業廃棄物も同様に認可された専門業者に委託しております。
近時、化学品メーカーで素材として使用されているPFOA(ペルフルオロオクタン酸=有機フッ素化合物)等の製造・輸入・使用の禁止について、POPRC(残留性有機汚染物質検討委員会)において議論され、その勧告を受けたCOP(締約国会議)は廃絶対象物質に追加することを決定しました。このように環境等に関する国内外の法的規制等が新たに制定・強化されることも視野に入れてはおりますが、これら法規制への対応のために、代替品や代替技術の開発など新たな費用負担等が生じる可能性があります。この負担が多額となった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(8) 法的規制等について
当社が関連会社等に輸出しているドライルーブ製品の一部については、外国為替及び外国貿易法等における輸出規制対象物となっており、輸出地域・輸出貨物の用途・需要者の各要件に拠り、経済産業大臣の許可が必要となっております。
今後、新たな国内外の法的規制等が強化・変更が生じた場合には、新たな費用負担等が生じる可能性があります。この負担が多額となった場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(9) アジア(中国・タイ・ベトナム)の関連会社及び子会社について
中国広東省の中山市三民金属処理有限公司(合弁相手会社名:香港三民金属処理有限公司、所在地:広東省中山市東升鎮東成路永勝工業区、資本金:US$300万、代表者:廖 徳貴)(当社株式保有率26.2%)は、1996年4月に設立され、主に広東省に進出している日系の電気・電子機器業界を主要顧客として、金属表面熱処理とドライルーブのコーティング加工の事業を行っております。また、江蘇省の昆山三民塗頼電子材料技術有限公司(合弁相手会社名:香港三和金属処理有限公司、所在地:江蘇省昆山市巴城鎮石牌相石路、資本金:US$600万、代表者:伊藤 一隆)(当社株式保有率50.0%)は、2004年8月に設立され、主に江蘇省に進出している日系の電気・電子機器業界を主要顧客として、ドライルーブのコーティング加工と金属表面熱処理の事業を行っております。
2008年1月広東省広州市にドライルーブのコーティング加工事業を行う、当社100.0%子会社の広州徳来路博科技有限公司(所在地:広東省広州市南沙開発区、資本金:US$252万、代表者:飯野 光彦)を設立いたしました。
次に、今後とも大きな発展が期待されるタイ国並びにアセアン諸国に対して、積極的にドライルーブ・コーティング加工事業を拡充するために、2010年7月にタイ国チョンブリー県に合弁会社ドライルーブ・タイランド(所在地:Tambol Donhuaroh,Amphur Muang,Chonburi province, Zip code 20000 Thailand、資本金:18,300万タイバーツ、代表者:小林 昭仁 )(当社出資比率99.9%)を設立いたしました。2013年3月にはベトナム社会主義共和国ハナム省に、当社100.0%子会社のドライルーブ・ベトナム(所在地:Dong Van Ⅱ Industrial Zone, Duy Tien District, Ha Nam Province, Vietnam、資本金:US$240万、代表者:新井 良則)を設立いたしました。
中国は、驚異的な経済成長率をもって発展を続けましたが減速の兆候があります。また、成長の歪みや各種課題を包含しているとも伝えられております。また、タイ国やベトナム社会主義共和国については、経済状況に一抹の不安が内在しております。今後、現地における予期しない法令または規制などの変更、不利な政治的または経済的要因等により、当社関係会社が経営不振に陥った場合、あるいは為替等の要因により現地資産の価値がなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
(10) 自然災害、事故等のリスク
当社グループは、BCP(事業継続計画)を策定し、また構造物の耐震補強、防火訓練などにより自然災害、事故などの発生に備えていますが、先般の東日本大震災のような自然災害や事故により、ドライルーブ製品の生産拠点である神奈川の技術開発センターが生産不能となった場合、他の事業部が技術開発センターのドライルーブ製品生産の補完ができないため、復旧までの期間すべての生産拠点で生産が停滞し、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
当社グループのコーティング加工は、群馬事業部・愛知事業部・技術開発センターの3拠点、及び連結子会社:国内(長野・大分・真永)、並びに海外(中国・タイ・ベトナム)の関係会社9社の設備で行っております。これらの11拠点のうち1ヶ所に自然災害、事故などが発生し、加工不能となった場合、他の拠点設備で補完することは可能でありますが、特殊な設備での加工は復旧までの期間、生産を中断することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
また、新型コロナウイルス等による感染症の再拡大により、生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材の確保・育成について
当社グループが製品を提供する顧客は技術革新著しい業界であり、それらに見合った新技術の開発と製品化、既存製品の改良は、当社グループに必要不可欠なものであります。会社知名度の向上による適材の採用、教育・研修による人材の育成に努めておりますが、優秀な技術者や研究開発要員が確保・育成できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、今後とも事業展開のグローバル化や業務の多様化、開示すべき会計基準の精緻化等が予想されるため、優秀な人材の確保に一層努めてまいりますが、求める人材を十分に確保・育成できない場合には、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営課題の一つと認識し、経営体質を強化するための必要な内部留保と成果配分のバランスを勘案した上で、安定的な配当を継続していくことを基本方針としております。
内部留保資金につきましては、企業体質の強化及び設備投資等のために有効活用し、今後も事業の拡大に努めてまいる所存であります。
毎事業年度における配当の回数につきましては、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
今後につきましても、株主に対する利益還元を経営の重要な政策と位置づけ、利益の状況や将来の事業展開などを総合的に判断しながら、配当による利益還元を行っていく予定であります。
以上の方針に基づき、当期は1株当たり57円の配当(うち中間配当27円)を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の配当性向は22.3%となりました。
当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行なうことができる。」旨定款に定めております。
基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。