リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境に関するリスク
① 通販化粧品市場について
経済産業省が2023年8月に発表したデータ「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2022年1月から12月における化粧品・医薬品業界のEC市場規模は、EC化率が前年の7.52%から8.24%に上昇し、前年比7.48%増となる9,191億円に拡大しております。このような状況の中、当社は新製品の開発やSNS及びアプリなどを活用したプロモーション施策を積極的に推進するとともに、コールセンターにおいてお客様とのコミュニケーションをチャンスととらえ、常に潜在ニーズを探り、そのニーズを商品開発に生かすことにより、当社製品の競争力を維持することに努めております。
しかしながら、消費者の価値観やニーズ、購買行動の変化などの対応が不十分で、競合企業の新製品の登場などにより、当社グループ製品の競争力が維持できなかった場合を含め、当社グループを取り巻く事業環境の変化に有効な対抗策を講じることができなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 原材料市況について
化粧品の製造は、製品毎に異なる取引先に委託し、当社主力製品である「ザ クレンジングバーム」シリーズ以外の製品は特定の取引先に偏らないようにすることでリスクの分散を図っております。しかしながら、為替の変動、原油高及び原材料の供給不足等により原材料のコストが全体的に高騰した場合、製造委託費用は増加すると考えられます。その場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 海外市場について
当社グループは、事業拡大戦略の一環として、アジア圏を中心に海外展開を行っております。進出にあたっては、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行っておりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画通りに事業展開が進展しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 新型コロナウイルス感染症の影響について
2023年5月からの新型コロナウイルス感染症の5類感染症への引き下げにより、街中での人流が増加し、国内化粧品市場は日本人、インバウンド向けともに回復が続いています。
しかしながら、今後の新型コロナウイルス感染症の収束時期や影響範囲等は大きく変動する可能性があり、経済活動の低迷が続き、消費者の家計行動が慎重になっていく場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤物価高騰の影響について
ウクライナ情勢、円安等に起因して、電気・ガス料金及び食料品等の価格が上昇しており、家計に与える影響が危惧される状況となっております。物価高騰により急激に消費行動が変化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制に関するリスク
当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律や、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法等をはじめとする法的規制を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法において、内閣府告示第19号(令和5年(2023年)3月28日)による指定に基づき、同年10月1日からは新たにステマ規制が導入される運びとなりました。当社グループは、これら関連法令の改正や外部環境の変化等の情報を随時最新化するため、弁護士や専門コンサルタントとの連携及び社員教育等を行うことで、法令遵守体制の強化及び維持に努めております。しかし、万一これらに抵触することがあった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、将来的に、これらの関連法令の予測不能な変更あるいは新設があった場合にも、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(3) 事業に関するリスク
① 他社との競合について
当社グループ主力製品である「ザ クレンジングバーム」が属するクレンジング市場において、クレンジング剤型別では、従来ではオイル、ジェル及びクリームが主流となっておりました。しかしながら、当社グループは新たな剤型としてバームタイプの「ザ クレンジングバーム」を発売し、新たな市場を開発するべく積極的に販売を行ってまいりました。それに伴い、昨今では競合他社からもバームタイプの商品が相次いで販売されております。
当社グループでは、スタンダードな「ザ クレンジングバーム」以外に、毛穴汚れのお悩みに特化した「ザ クレンジングバーム ブラックリペア」等、お客様のお肌の悩みに応じた様々なタイプの「ザ クレンジングバーム」を展開することで更なるお客様の囲い込みを図っておりますが、市場の競争の激化により、当社グループの優位性を保てなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 製品の製造委託について
当社グループは、製品の製造を外部委託しておりますが、製品の製造責任は当社グループが負っております。そのため、製造ロットが変更となる都度、製造された製品のサンプルチェックをしており、製品の品質確保に努めております。しかしながら、製品の品質不備が発生し、ブランドイメージの毀損及びPL保険の範囲を超過する損害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 新製品の開発について
当社グループは、新製品の開発に関しては綿密な開発計画を設定しておりますが、これら製品の企画から開発、製品化への期間につきましては、数ヶ月間から1年超の期間を要するものもあります。そのため、新製品の企画及び開発、製品化までの期間が当初計画より遅延した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 売上構成比について
当社のオールインワン市場における「カナデル」ブランドは、好調に売上を伸ばしており、また、2022年3月に発売した「クレイエンス」も大変ご好評をいただいております。
しかしながら、当社グループ主力ブランドである「デュオ」の当連結会計年度の売上高に占める売上構成比は、65%と依然高くなっており、経営安定化の観点からは、その他のブランドの売上を伸ばしていくことが必要であると認識しております。そのため、当社グループではブランドマネジメント本部内の商品企画開発の人員を増強することにより、積極的に「カナデル」「クレイエンス」ブランドの新製品の企画や新ブランドの開発などを行うことで、その対応に努めております。
しかしながら、「デュオ」以外のブランドの企画が計画通りに進捗せず、かつ、バーム市場における競争環境の激化などにより「デュオ」ブランドの売上を維持できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 特定仕入先への依存によるリスクについて
製造委託先は各社得意分野が異なることから、当社グループでは製品ごとに最も品質、納期及びコストが優れた製造委託先を選定して製造委託を行うことで、低コストかつ高品質な製品の製造を目指しております。また、当社グループ主力製品である「ザ クレンジングバーム」シリーズを含む仕入全般について、特定の仕入先への依存の低減を進めております。
しかしながら、今後期待通りに仕入先の分散が進まず、かつ、一定程度の依存が認められる仕入先において事業方針の変更などにより同社からの仕入が計画通り継続できなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 卸売販売チャネルについて
当社グループ商品は、デジタルマーケティングを中心として国内顧客へアプローチし、定期通販という形で提供することを主体としておりますが、バラエティストア、ドラッグストアなどへの卸売販売にも注力し、配荷店数を順調に拡大してきました。それらの市場規模は大きく、販売機会の拡大に取り組んでまいりますが、これらの事業活動におきましては取り巻く環境の急激な変化その他要因によって期待通りに拡大しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦在庫管理について
当社グループでは、市場動向、POSデータの分析等により、需給予測の精緻化に努めており、発注数量を適切にコントロールすることにより、在庫数量の適正化に取り組んでおります。
しかしながら、新商品、限定品等の販売予測が大幅に乖離した場合、品切れまたは過剰在庫が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ システムの安定的な稼働について
当社グループの主力である通販サイトはWeb上で運営されており、快適な状態でお客様にサービスを提供するためにはシステムを安定的に稼働させ、問題が発生した場合には素早く解決できる体制を構築している必要があると認識しております。そのため、新システムまたは機能導入時には十分な検証を行うとともに、システム運用後においてはシステムを安定的に稼働させるための人員確保及びセキュリティ体制の維持等に努めております。
しかしながら、当社が提供する通販サイトへの急激なアクセス数の増加や災害等に起因したサーバーの停止に伴うサイトダウンが生じた場合、またはコンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 著作権、商標権、知的財産権等について
製品に関する特許や商標等の知的財産権については、他社の保有する知的財産権を侵害しないよう細心の注意を払っており、現段階において事業及び業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、今後第三者により知的財産侵害の訴えを受け、当社グループ商品の販売停止等の事態が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、知的財産権等の法令等に重大な変更や当社グループ事業に関係する重大な法令等の新設がある場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑩ 個人情報等について
当社グループの主力である通信販売では、多数のお客様の個人情報を保有しております。これらお客様の個人情報については、当社グループで保有すべき情報は極力最小化しております。例えば、クレジットカード番号等の決済情報については、当社グループを介せず、通販サイトから直接決済代行会社に情報連携しております。また、決済情報以外の当社が保有している個人情報についても、関係者以外はアクセスできないよう、厳格にアクセス制限をかけて管理しております。加えて、個人情報の管理について、Pマークを取得し全社員に個人情報の管理の徹底を促進するとともに、個人情報保護法の施行に対応して社員教育を実施しております。
しかしながら、何らかの原因により決済代行会社から当社グループ会員に関する決済情報が流出した場合、又は当社グループから決済情報以外の個人情報が流出した場合には、当社グループの信頼を大きく毀損することとなり、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4) 事業体制に関するリスク
① 当社代表取締役について
当社の代表取締役社長である松浦清は、創業者であると同時に創業以来当社の事業推進において重要な役割を担っており、マーケティング及びブランディング等に関連する豊富な経験と知識により、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。
当社は、取締役会や経営会議等の事業運営のための会議体において取締役、執行役員及び幹部社員への情報共有や権限委譲を進めるなど経営組織の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社の経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 人材採用と育成について
事業の安定的な運営には、人材の確保及び育成が最重要事項であると認識しております。そのため、当社グループは採用活動に注力し、人材の確保に努めるとともに、社内教育・研修制度の充実を図ることで、実務スキルに加えて、当社社員として、遵守すべき行動規範を理解した責任のある社員の育成を行っていく方針であります。
しかしながら、当社グループが求める人数又は質の確保ができない場合や人材が大量に社外へ流出してしまった場合、あるいは人材育成が計画通りに進捗しない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(5) その他
① 大株主について
当社の主要株主であり当社の代表取締役社長である松浦清は、同氏の資産管理会社であるプレミアマネジメント株式会社とあわせて、当連結会計年度末時点において、当社株式の67.1%を所有する大株主であります。同氏は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。また、当社と致しましても同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当政策について
当社では、株主への長期的な利益還元を重要な経営目標の一つと認識しているものの、現在は成長過程にあると考えております。その為、今現在の基本方針としては、内部留保資金の充実を図り、経営基盤の強化及び事業の拡大発展を目指すことと定めております。将来的には、株主への利益還元と財務体質ならびに内部留保の充実のバランスを考慮しながら、配当を検討する所存でおりますが、現時点では配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化、及び事業の継続的な拡大発展を目指すため、内部留保の充実が重要であると考え、会社設立以来、当事業年度を含めて配当は実施しておりません。
しかしながら、株主利益の最大化は重要な経営目標の一つとして認識しておりますので、将来的には、財務状態・業績推移、及び事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら、剰余金の配当を検討することを考えております。
内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化、及び事業の継続的な拡大発展を充実させるための資金として、有効に活用していく所存です。
将来的に剰余金の配当を行う場合は、年1回を基本方針としており、その配当の決定機関は株主総会であります。なお、中間配当を行う場合には取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。