リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものでありますが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。
当社グループでは、社会環境課題の解決に向けてサステナブル経営を根幹に据え、中長期的に解決すべきリスク・機会としてサステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)を特定し、中期経営計画に反映させて取り組んでおります。
また、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクにつきましては、「トータルリスクマネジメント推進規程」を制定した上で、トータルリスクマネジメント委員会を推進母体として、リスク管理体制の統括管理を行っております。同委員会は、事業継続に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクの顕在化の兆候の把握・分析・評価を行い、早期発見・未然防止に注力しております。
(1) 生活者のニーズ・ウォンツの多様化への対応について
日本を含めたアジアの化粧品市場では、市場がボーダーレス化し、同業他社に加えグローバル企業・異業種企業の参入により競争が激化しております。さらに、人口動態の変化、生活者のニーズ・ウォンツの多様化、生活者の購買スタイルの急激な変化(ECの台頭)等により、経営環境はますます予測困難となっており、市場環境等への対応の遅れが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、これから実現していきたい「お役立ち」をコーポレートスローガンとして表現しており、「自分らしく生きること」や「ありたい自分」を実現することをサポートする価値創造を推進してまいります。またこのスローガンに基づいた商品提案を通じて、LGBTQを含む多様性を尊重する社会的要請に応え、性別、年齢、障害の有無等に起因する各生活者の課題に対処するとともに、全ての生活者が自己実現できる環境を提供することを目指してまいります。
(2) 事業投資について
当社グループは、VISION2027ありたい姿の実現および持続的成長に向けて、製品の競争力維持のための設備投資は投資効率等を勘案して実施するとともに、M&Aや戦略的提携も有効な手段として検討を進めております。
2019年にはアジア地域での事業の拡大の一つとしてACG INTERNATIONAL SDN. BHD.の株式を100%取得いたしました。このような事業投資は、当初の想定を超える経営環境の悪化等により、想定していたキャッシュ・フローを生み出せない場合には設備投資により計上した固定資産や、ACG INTERNATIONAL SDN. BHD.の株式取得により計上したのれん等に係る減損処理等を行う必要が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは事業投資の結果が投資判断時から乖離していないかを継続的に確認しております。また、新規事業領域・新規市場へ参入する場合には、その事業固有のリスクが新たに加わる可能性があります。当社では投資管理規程を制定し、投資の承認までの事前評価プロセスおよび、投資実行後の事後評価のプロセスもルール化を図っております。
(3) 環境問題への対応について
気候変動や海洋プラスチック問題に代表される環境問題は、その深刻度が年々増しており、将来の当社グループの事業活動の継続性にも影響を与えるものと認識しております。このため、当社グループは、環境リスクの低減および環境への貢献と経営の両立を目指す環境マネジメントシステムである国際規格「ISO14001」を認証取得しております。また、環境配慮を製品価値の一つと位置付け、「マンダムグループ環境配慮製品基準」を設定し、社会から共感の得られる価値づくりへの取り組みを推進しております。具体的には、洗顔等で使用していたマイクロプラスチックビーズを2019年末にすべて代替品に変更しているほか、従来の石油を原料とするプラスチックに代わる材料として、持続可能な植物原料を使用したバイオマスプラスチックへの切り替えを段階的に進めております。さらに当社グループでは調達方針を策定し、わたしたちを取り巻く社会そして地球の持続可能な発展への貢献を目指し、取組先様との協働により設計・生産・物流にかかる全ての活動において環境への負荷低減を進めております。
(4) 新規人財獲得の競争激化や優秀な人財の流出について
当社グループ各国においては、労働市場における人財流動性の高まり等に伴い、優秀人財の獲得競争の激化や、当社グループに所属する優秀人財の社外への流出リスクも高まってきていると考えております。そのため当社グループでは、ジョブの内容に基づいた市場競争力のある報酬体系やグループ社員一人ひとりがやりがいを持ってイキイキと働くことができる労働環境の整備等を通じて、優秀人財の新規獲得やリテンションに取り組んでまいります。これら取組みの詳細に関しては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (5)重要なサステナビリティの項目」をご参照ください。
(5) 機密情報漏洩について
当社グループは、事業を展開する上で、当社グループおよび取引先の機密情報を保持しております。近年のイン ターネット環境をはじめとするネットワーク環境は、コンピュータウイルスやセキュリティ侵害による情報漏洩、 滅失または毀損のリスクが増大する傾向にあります。万一不測の事態により情報漏洩、滅失または毀損が発生した 場合は、社会的信頼の失墜、機密保持契約違反による損害賠償責任等の発生、当社グループのノウハウの流出また は逸失による競争力の低下等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループとしては、情報管理対策をシステムのハード面とソフト面の両面で進めております。
(6) 原材料調達について
当社グループは、国内だけでなく複数の国から原材料を調達しており、世界景気や地政学的リスク、需給バランス、異常気象、為替・市場価格の変動が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、原材料の中には調達上希少なものも一部含まれており、安定調達に関わるリスクがあるほか、自然災害等のトラブル発生によりサプライチェーンが寸断され、製品供給責任を果たせなくなる可能性があります。
このため、当社グループでは、災害等が発生した際に、製品ごとの原材料供給影響の早期抽出を可能とする原材料BCPデータの整備、有事に備えた代替原料の準備、リスク分散のための複数社購買・グローバル調達の検討等を実施しております。また、サプライチェーン全体で持続可能な調達に取り組むため、「調達先CSRガイドライン」を策定し、社会・環境に与える影響への配慮やリスクの軽減につながるサプライチェーンの透明化にむけて、段階的に取り組んでおります。
(7) 為替変動について
当社グループは、市場として今後も成長が見込まれるアジア地域での事業に注力しており、2024年3月期における連結売上高の海外売上高比率は、49.6%となっております。今後、海外売上高比率は更に高くなると想定しており、為替相場の大幅な変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性もより高まっております。
このため、当社グループでは、月別通貨別に為替相場の変動状況を定期的に把握した上で、事業への影響を軽減する対策を検討しております。
(8) 海外での事業展開について
当社グループは、経営戦略の成長エンジンとして位置付けているアジア地域での事業の拡大に注力しておりますが、展開する各国において、法律・規制の予期せぬ変更、政治・経済の急激な変化、テロ・戦争等の社会的混乱が発生した場合には、当該エリアの生活者の購買意欲の低下や事業活動に制限が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、展開先各国の政治・経済・社会的状況や、各国における事業に関連する法規制等の情報を日々収集した上で、必要な対応を行っております。
(9) 事故・災害・感染症について
不測の事故・自然災害・感染症等による被害は完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績等に悪影響をおよぼす可能性があります。このため、当社では、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO45001」を認証取得し、安全で衛生的な職場環境づくりに努めております。大規模な災害(地震、水害等)が発生した場合に、重要な事業の継続あるいは早期復旧を可能とするための対応強化を進めております。また、感染症が発生した場合は、速やかに対策本部を設置し、危機管理マニュアルに則り対応しております。
(10) 訴訟について
当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、訴訟等が提起された場合、事業活動における制限や、業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。これらに対応するため、製品や事業に関わる各種法令を遵守するとともに、重要法令に関する社内での研修、取引条件を明確化したうえでの契約の締結、調査や侵害対応を含めた知的財産権の当社グループ内での一元管理を実施し、訴訟等の発生を未然に防ぐよう取組んでおります。訴訟等の事案が発生した場合に適切に対応できるようにするために、当社グループ内で情報が迅速に共有される体制を整えるとともに、いずれの展開国で発生しても対応できるよう、各展開国における法律事務所とのネットワークを確立して相談できる体制を整備しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けており、配当金による安定的かつ継続的な利益還元を実施すること(数値目標:特別な要素を除く連結配当性向40%以上)を基本方針とし、資本効率の向上を常に念頭に置きながら、フリーキャッシュ・フローの状況、投資計画、流動性確保、経済情勢等を総合的に勘案して実施してまいります。
内部留保資金につきましては、既存事業拡大のための設備投資、海外投資、研究開発投資等、企業価値向上のための戦略的投資等の備えとするほか、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行するために、自己株式の取得についても総合的に勘案して判断します。
当社は中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことを可能とする旨定款に定めておりますが、剰余金の配当等に関する株主総会の決定権が完全に排除されるものではありません。
この方針のもと、当事業年度の配当につきましては、1株当たり40円の配当を実施することを決定いたしました。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月31日 |
899 |
20.00 |
取締役会決議 |
||
2024年6月21日 |
899 |
20.00 |
定時株主総会決議 |