2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    77名(単体) 3,482名(連結)
  • 平均年齢
    43.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    9.8年(単体)
  • 平均年収
    8,254,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

3,037

[333]

米国(注)2

445

[8]

合計

3,482

[341]

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。

2.当社は、当連結会計年度より米国事業を非継続事業に分類しており、2024年4月2日に米国事業をBoraに譲渡しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

77

[14]

43.7

9.8

8,254

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

日本

77

[14]

合計

77

[14]

 

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、[ ]内に年間平均人員を外数で記載しております。

2.平均勤続年数については従前の沢井製薬からの勤続年数を引き継いで計算しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには「化学一般・沢井製薬労働組合」があり、一部の連結子会社を含め労働組合は日本化学エネルギー産業労働組合(JEC連合)にも加盟しております。

労使関係は円満に推移しており、特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 連結子会社

当事業年度

任意の

追加的な記載

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)3

全労働者

うち正規雇用労働者

(注)4

うちパート・有期労働者

(注)5

沢井製薬株式会社

9.9

42.2

74.1

77.0

59.1

(注)6、7

トラストファーマテック株式会社

7.7

 

 

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき、2024年4月1日時点で算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出(「2023年度中に育児休業を取得した男性従業員数」÷「2023年度中に配偶者が出産した男性従業員数」)したものであります。

3.男女の賃金の差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであり、賃金制度における性別による処遇の差はなく、同等の役割であれば大きく賃金の差異が生じることはありません。なお、賃金は、基本給、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、通勤手当等を除く、平均年間賃金を用いております。

4.正規雇用労働者のうち出向者については、沢井製薬から社外への出向者及び当社グループ外の会社から沢井製薬への出向者を除き、当社グループ内の会社から沢井製薬への出向者を含んでおります。

5.有期契約社員、パートタイマーを含み、派遣社員は除いております。

6.「男女の賃金の差異」の「うちパート・有期労働者」には、高度な技能、技術等を有し、かつ、特別な任務を担当する契約社員は除いております。

7.正規社員の男女の賃金の差異の主な要因は、男女の管理職比率の差が影響しています。男女の賃金差異の解消に向けて、採用において女性比率を高めているほか、年齢や性別に関係なく能力による登用を行い、女性活躍推進の取り組みに注力しています。女性管理職比率の目標(2027年度末までに女性管理職比率15%以上)を目指す中で、中長期的には賃金の差異は縮小していくものと見込んでおります。具体的な取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

今やジェネリック医薬品は医療においても必要不可欠なインフラとなり、その公共性は極めて高くなりました。当社グループは、中核事業であるジェネリック医薬品の提供を通じて、患者さんの医療へのアクセス向上と医療財政の健全化に貢献することが最大の社会貢献であり、当社の存在意義であると考えています。

近年、医薬品全体で生じている供給不安を踏まえ、患者さんや医療関係者を始めとするステークホルダーの皆様に安心してご使用いただけるように取り組んでいる事項、例えば、高品質の原薬の確保、生産人員をはじめとする雇用・人財育成、省エネかつ低炭素排出の製造機器の導入、健康的な職場環境の整備等は、サステナビリティの取り組みと密接に関連しております。

 

(基本的な考え方)

1.当社グループにとって、「健全な社会の存在とその持続的(サステナブル)な発展」こそがその存立の基盤である。

2.「持続可能な社会の実現」のために、当社グループが必要な存在(=「社会の公器」)であると認められ、かつ、当社グループがすべてのステークホルダーとの間でしっかりとした信頼関係を継続できてこそ、当社グループのサステナビリティが実現できる。

3.社会は絶えず変化するものであり、当社グループも社会の変化に即応して絶え間ない進化を遂げることにより、サステナブルな存在であり続けることができる。

 

(基本方針)

1.「なによりも健やかな暮らしのために」という企業理念のもと、事業そのものを通じて、人々の健やかな暮らしと優れた医療制度等の維持・発展に貢献することで、サステナブルな社会実現の一翼を担うこと。

2.患者さん・生活者、医療機関等ヘルスケア従事者、取引先、社員、株主、地域社会、地球環境など、すべてのステークホルダーとの継続的なエンゲージメント(相互信頼に基づく絆の構築)に努めること。

3.当社グループがサステナブルな存在であり続けるために、創造性を追求し、社会とともに絶え間ない進化を遂げること。

 

この基本方針に沿って、当社グループで進めるサステナビリティに関する取り組みは次のとおりであります。

 

(1) サステナビリティ共通

当社グループの企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」には、ジェネリック医薬品事業を中核に、社会とともに持続的に発展するヘルスケア企業グループとして、ひとりでも多くの人々の健康に貢献していきたいという願いを込めています。この実現のため、当社グループが取り組むべきテーマがサステナビリティの推進であり、気候変動への取り組みやダイバーシティ&インクルージョンの推進、コーポレート・ガバナンスの強化などについて、定期的に取締役会及びグループサステナビリティ委員会で議論しております。

 

<ガバナンス>

サステナビリティは、環境、社会、従業員、人権の尊重、贈収賄・腐敗防止、ガバナンス、サイバーセキュリティ、データセキュリティ等多岐にわたるため、当社ではテーマごとに各種専門委員会(グループサステナビリティ委員会、グループリスクマネジメント委員会、グループコンプライアンス委員会、グループ情報セキュリティ委員会)を設置しております。取締役会の監督の下、グループ各社の代表者から構成される委員を中心にサステナビリティに関する事項の協議・検討を行っております。

 

<戦略>

様々な社会課題のうち、当社グループが優先して取り組むべき重要な課題(マテリアリティ)を特定し、事業そのものを通じて、各課題の解決に貢献するとともに、ステークホルダーとの継続的なエンゲージメント(相互信頼に基づく絆の構築)に努め、当社グループがサステナブルな存在であり続けるために必要な目標をテーマごとに設定し、達成するための戦略を中期経営計画に設定しております。

2024年度からの新中計の作成にあたり、マテリアリティの見直しを行いました。見直しに当たっては、「ステークホルダーの関心」と「当社グループにとっての重要度」並びに「価値創造につながるマテリアリティ」と「持続的成長につながるマテリアリティ」の観点からサステナビリティ活動における重要課題を特定し、次の通り優先順位を設定いたしました。

 


価値創造につながるマテリアリティ

医療アクセスの向上

製品の品質・安全性

安定供給

充実した情報提供

医療財政への貢献

付加価値の高いジェネリック医薬品開発

健康寿命延伸への貢献

未病・予防を含むより広いヘルスケア領域に事業拡大

人財育成

経営人財の育成

 

 

持続的成長の基盤となるマテリアリティ

環境に配慮した事業

気候変動への対応

省資源(リサイクル推進・エネルギー/廃棄物の抑制)

水の使用削減

生物多様性の保全

働き方・働きがい・人権尊重

従業員エンゲージメントの向上

ID&E(インクルージョン・ダイバーシティ・エクイティ)の推進

人権デューデリジェンスの取り組み

コーポレートガバナンス

リスクマネジメント・コンプライアンスの強化

社外ステークホルダーエンゲージメント

公正・透明な取引/贈収賄・腐敗防止の推進

サプライチェーンマネジメントの強化

情報セキュリティの強化

 

 

当社グループのサステナビリティ課題(マテリアリティ)と中期目標は、外部評価の結果や国際ガイドライン等を参照し、次のプロセスを経て特定しております。

 

STEP1:課題のリストアップ

SASBスタンダード、GRIスタンダード、SDGsなどの国際的イニシアチブのほか、当社グループの企業理念・行動基準、グループビジョンや事業環境をもとに、ESGごとにグループサステナビリティ委員会メンバーによるワークショップを行い、中長期的な企業価値に関係が深いと考えられる経営課題をリストアップする。

 

STEP2:課題の抽出と重要度評価

STEP1でリストアップしたマテリアリティの候補を、ステークホルダーの関心と当社グループにとっての重要度の2軸でマッピングし、該当するエリアごとに「価値創造につながるマテリアリティ」と「持続的成長の基盤となるマテリアリティ」の2つに分類する。

 

STEP3:妥当性の確認

特定したマテリアリティについて、目標、取り組み、モニタリング指標を設定し、グループサステナビリティ委員会で妥当性について検証し、最終的に取締役会での議論・審議を経て、承認を取得する。

 

<リスク管理>

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクには様々なものがあります。当社グループでは、事業活動に潜在する様々なリスクに適切な対応を行うため、グループリスクマネジメント委員会を設置し、リスクマネジメントの統括を行うととともに、発生頻度と事業に与える影響度から特に重要なリスクを特定しております。特定された重要なリスクについては、各担当部門が講じる対策を確認し、その進捗管理及び評価を行うことで、継続的な改善が行われる体制を構築しております。

当社グループが認識している主要なリスクの詳細については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

当社グループのサステナビリティ課題に係るリスクについては、特定したマテリアリティのうち、持続的成長の基盤となるマテリアリティを中心にリスク管理の対象として捉えており、関連する委員会・部署においてリスク管理への取り組みを行っております。特に「環境に配慮した事業」、「働き方・働きがい・人権尊重」、「コーポレート・ガバナンス」のほか、「人財育成」への対応を誤ると、当社グループの企業価値の毀損、ひいては当社グループのサステナビリティリスクが高まると考えております。

 

<指標及び目標>

当社グループが特定したサステナビリティ課題(マテリアリティ)として、経営基盤の強化のため、気候変動への対応やID&Eの推進、コーポレート・ガバナンス強化の取り組みを推進しております。

気候変動及び人的資本に関する目標は、それぞれの項目をご確認ください。

 

(2) 気候変動

気候変動が社会や経済にもたらす影響は大きく、当社グループに重大な財務的影響を与える可能性があるため、気候変動への対応を当社グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の1つと捉えております。そのため、当社は、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、2021年9月にTCFD(気象関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたしました。

当社グループは、パリ協定を始めとする国際的方針、日本国が決定する貢献(NDC)や気候変動に関連する法規制や政策を支持し、温暖化ガスの排出量の低減に取り組むとともに、TCFDの開示枠組みに沿った情報開示を行ってまいります。

 

<ガバナンス>

当社グループでは、気候変動を含む環境課題への対応を企業の社会的責任(CSR)と認識しており、当社グループのサステナビリティに関わる重要な課題の1つと捉えていることから、グループサステナビリティ推進室担当役員に気候変動問題に対する責任を割り当て、取締役会がその職務の執行状況を監督しております。

当社では、グループ各社からの代表者メンバーを含む「グループサステナビリティ委員会」を設置し、年4回、気候変動課題を含むサステナビリティに関する事項を協議・検討しております。「グループサステナビリティ委員会」は、取締役会へ活動報告を行うとともに、取締役会からの指示・監督の下、気候変動課題に関する意思決定を行っております。

また、委員会の下部組織としてグループ各社からのメンバーにより構成される「地球環境チーム」を設置して気候変動を含む環境課題への対応として具体的な取り組み・活動を推進し、四半期に1回、委員会に報告を行うとともに、委員会からの指示・助言等に従って取り組みや改善活動を継続しております。

 

<戦略>

当社グループは、企業理念「なによりも健やかな暮らしのために」及び当社グループの中核企業である沢井製薬の企業理念「なによりも患者さんのために」のもと、ジェネリック医薬品の製造販売を主たる事業として展開しております。生命と健康に関連する医薬品やヘルスケアサービスの安定供給を欠かすことができない制約の下、重要事項の1つである気候変動リスクにもバランスよく対応していくことが必要であると考えております。

一方、当社グループの事業拡大に伴う医薬品やヘルスケアサービスの需要増に応じて、温室効果ガス(GHG(当社グループでは主にCO2))の排出量も増加傾向にありますが、短期的には原単位ベースでの排出量削減に取り組むとともに、中長期的には、再生エネルギーの導入検討を含む排出量の削減に取り組んでまいります。

当社グループでは、気候変動関連課題を含むサステナビリティへの対応を経営の重要な課題として捉えており、当社グループの新中計において、2030年度までに削減するCO2排出量及び2050年度までに削減するCO2排出量の目標を設定し、その達成に向けて取り組みます。

シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表するRCPシナリオを参照したうえで、パリ協定の目標である「産業革命前からの全世界平均気温の上昇を2℃未満に抑える」ことが達成される場合を想定した1.5℃シナリオと、政策や規制に大きな変更がなく現状に近い状況でGHG排出量が増え続けて全世界平均気温が上昇する4℃シナリオの複数のシナリオにより、当社グループに及ぼす影響を検討しております。

 

<リスク管理>

当社グループは 、原材料調達から製造販売に至るサプライチェーンの各段階において気候変動に関連するリスクと機会を洗い出し、それらの発生可能性及びそれらが当社グループへ与える財務影響度からリスクと機会の評価付けを行い、当社グループにとって重要なリスクと機会を特定しております。「地球環境チーム」のメンバーを中心に、サプライチェーンの各段階に関係が深い部門又は関連各社の関与と協力を得て、選別・評価・特定されたリスクと機会が「グループサステナビリティ委員会」並びに取締役会へ報告されます。当該報告を基に「グループサステナビリティ委員会」並びに取締役会において検討・審議を経て決定がなされた気候変動リスク及び機会に対する取り組みは、短期的には毎年の事業計画に、中長期的には中期経営計画に適宜組み込まれる仕組みになっております。

 

<指標及び目標>

当社グループでは、CO2を含むGHG排出量の削減目標の設定に当たり、Scope1、Scope2及びScope3をモニタリング指標として採用し、毎年のScopeごとの実績を当社コーポレートサイトに開示しております。2022年度データより、グループのエネルギー使用量の8割を占める沢井製薬株式会社において、GHG排出量及び水使用量に関して、第三者検証を受けております。

新中計において、2030年度までにCO2の排出量(Scope1及びScope2)を総量で2013年度+α(注1)比46%削減、また2050年までにネットゼロを掲げております。また、Scope1、Scope2とも前年比少なくとも1%以上の削減を短期的な削減目標として毎年設定しております。

CO2の排出量を削減するため、非化石エネルギーの計画的な導入状況を指標として設定いたします。その目標設定については、当面は毎年3,000トンのCO2削減に相当する非化石エネルギーの導入を行っていく予定であります。

 

 (注)1.比較対象となる2013年度時点におけるサワイグループの構成会社状況が変化しているため、基準となる

CO2排出量を適宜調整するため+αで表現しております。

 

(3) 人的資本・多様性に関する取り組み

当社グループでは『個を育て、個を活かす』を人事理念とし、人財育成に力を入れております。特に、事業環境が極めて不透明かつ刻々と変化する中、競争に勝ち抜くためには、多様な視点を持ち、状況変化を素早く感じ取って自ら判断し、自律的に行動に移せる人財が必要であると考えております。

 

<ガバナンス>

中期経営計画及び長期ビジョンに基づき、グループ人事部門の責任者と各事業責任者による議論及び検討を通して、求める人財要件を定義しております。その人財の採用及び育成について、グループ戦略会議の審議を経て、取締役会で審議・議論の後、承認されるプロセスになっております。また、取締役会は、人員計画の充足状況と各種研修の実施状況について適宜グループ人事部門の責任者に報告を求めることにより、継続的なモニタリングを行っております。

 

<戦略>

2026年度(2027年3月期)を最終年度とする新中計では、グループの中核事業であるジェネリック医薬品事業において、生産能力を220億錠へ規模を拡大して、ジェネリック医薬品の安定供給に努めていく計画であります。規模拡大の前提として、これまでと変わらない高品質で付加価値の高いサワイジェネリックをお届けしていくことは必須条件です。そのため、これまで以上の品質管理、品質保証、研究開発の体制と機能の拡充が必要と考えております。

これらを踏まえると、新中計の達成に向けては、事業拡大を支える①人財の確保と②人財の定着が何よりも重要になると考え、次の取り組みを実施しております。

 

①人財の確保

当社グループの中核会社である沢井製薬の2024年度採用において、2023年度比約2倍となる400名超の大量採用を計画しております。しかしながら、採用市場は年々厳しさを増しており、いわゆる売り手市場の状況が続いています。数ある会社の中から当社グループを選んで頂けるように、2024年度において、大幅なベースアップを含め月例給与の底上げを行いました。さらに、新卒採用者の初任給を引き上げ、採用力の強化を図っております。今後も、採用市場の動向を注視しながら、魅力ある労働条件の設定を検討してまいります。

 

②人財の育成と定着

前述のように、転職市場が活況で未曾有の売り手市場が続いていることを背景として、昨年の従業員離職率は例年に比して高い傾向となりました。長い年月をかけて当社グループで経験を積んだ従業員が当社グループを離れるのは大きな痛手です。特に当社グループでは、経験に裏打ちされる技能や技術、知識の蓄積が重要であることを踏まえ、次のような能力開発の取り組みを行っております。

能力開発の取り組み

対象会社

内容

「能力要件定義書」の導入

沢井製薬株式会社、

トラストファーマテック株式会社

会社の成長を実現するために、従業員に伸ばしてもらいたい能力を職種ごとに詳細に定め、その内容を従業員に公開している。これにより意欲ある従業員が今後のキャリア形成や能力開発に主体的に取り組むことを可能にする。

多様な学習手段の提供

SWS:全社

SOS:沢井製薬株式会社、トラストファーマテック株式会社

従業員個々の主体的な学習をサポートするため「Sawai Web School(SWS)」(eラーニング)、「Sawai Open School(SOS)」(外部交流型研修)、通信教育受講の際の金銭補助制度を設けている。各制度は従業員個々の希望により何度でも受講が可能である。

社内公募制度・社内兼業制度とキャリア相談窓口の設置

沢井製薬株式会社、

トラストファーマテック株式会社

従業員自身が希望するキャリアを当社に勤務しながら実現できる機会を提供するとともに、将来に向けて自らのキャリア形成を考えることを支援する体制を整えている。

 

 

さらに、多様性の推進、特に女性の活躍推進は、当社グループの今後の事業拡大を図る上で、重要な要素の一つです。日本の労働人口は低下の一途を辿っていますが、女性の就業や活躍は日本の労働力の低下を下支えする大きな要素になると考えております。当社グループにおいても例外ではなく、厳しい採用競争の中でも人財を確保していくためには、性別、人種、国籍、年齢等、様々な違いを認めながら、優秀な人財を獲得する必要があります。

現在、当社グループでは、従業員に占める女性の割合が約4割となっており、メーカー企業群としては、比較的高い水準にあります。また、近年の当社グループの採用活動においても、女性の採用が約4割を占めております。そのため、意欲と能力にあふれる人財がイキイキと働けるように、その環境づくりに努めております。

2022年には、メンバーを公募し、ID&E(注2)の推進施策を検討する全社プロジェクトを実施し、2023年10月には専任部署として「ID&E推進室」を設置いたしました。2024年2月には、経営層を対象とした「女性活躍推進研修」を実施し、研修の最終成果として女性活躍推進への会社としての決意や意気込みを全従業員に向けて発信しました。また、今年度からは、女性リーダー候補を対象にして、新しい研修をスタートさせること予定しております。

(注)2.I…Inclusionの頭文字。各人の持つ属性(人種・国籍・性・年齢等)の違いを理解し、認めあう事。

D…Diversityの頭文字。各人が持つバックボーンを問わずに、人財を活用する事。

E…Equityの頭文字。各人が持つバックボーンの違いを認め、公平に取り扱う事。

 

<リスク管理>

「なによりも健やかな暮らしのために」という企業理念を掲げる当社グループでは、「質の高い医薬品は心身ともに健康的な職場から生まれる」との考えを持っており、従業員が心身の健康を保って働ける環境づくりは、経営にとっても重要な課題と認識しております。

国内の主要事業所には保健師を配備し、従業員に心身の問題が生じた際は、産業医と連携して速やかに相談や対処ができる環境を整えております。加えて、医薬品の安定供給のリスクにもなり得る感染症の拡大を予防するため、従業員がインフルエンザの予防接種を実施することを奨励し、その費用は全額会社にて負担しております。将来的には、従業員が健康や生活に関する悩みを気軽に相談できるように、現在の体制の拡充を検討してまいります。

また、すべての従業員が心理的安全性を保ち、気持ち良く働けるよう、就業規則等でハラスメントの撲滅に向けた企業姿勢を明文化するとともに、「ハラスメントヘルプライン」を設けて、その撲滅に努めています。

 

<指標及び目標>

当社グループでは、『個を育て、個を活かす』人事理念のもとで社員一人ひとりの個性や創造性を大切にするため、従業員エンゲージメントの強化とダイバーシティの推進を重要課題とし、新中計における目標として、以下のとおり設定しております。

指標

目標

目標年

実績(2024年3月期)

従業員エンゲージメント

4.5以上

2027年3月期

4.17(注)

女性管理職比率

15%以上

2027年3月期

8.33%

男性育児休業取得率

100%

2027年3月期

37.3%

障がい者雇用率

2.85%以上

2027年3月期

2.60%

 

(注)2023年3月期の実績を記載しております。