2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,566名(単体) 16,844名(連結)
  • 平均年齢
    43.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    19.7年(単体)
  • 平均年収
    7,785,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社における状況

2024年3月31日現在

 

セグメントの

名称

日本

インド

欧州

アジア

アフリカ

報告
セグメント計

その他

合計

従業員数(人)

3,087

4,416

3,598

3,587

2,052

16,740

104

16,844

(注)1.従業員数は就業人員であり、使用人兼務役員を含んでおりません。

2.臨時従業員の総数は従業員の10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

1,566

43.1

19.7

7,785

 

セグメントの

名称

日本

インド

欧州

アジア

アフリカ

報告
セグメント計

その他

合計

従業員数(人)

1,566

1,566

1,566

(注)1.従業員数は就業人員であります。

2.臨時従業員の総数は従業員の10%未満であるため記載を省略しております。

3.平均年間給与には、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

 当社グループにおいては、労働協約改訂、賃金交渉、賞与交渉につき労使間協議を行っており、これまで協調的態度のもとに円滑な関係を持続しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用労働者

うち非正規雇用労働者

3.2

74.2

75.0

80.0

51.9

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率

(%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

うち正規雇用労働者

うち非正規雇用労働者

関西ペイント販売(株)

3.1

70.2

71.7

64.5

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「-」は男性の育児休業取得の対象となる従業員がいないことを示しております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

   文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります

 

 塗料が担う役割の一つはモノの寿命を延ばすことであり、その製造過程におけるCO₂排出量は少なく、本来サステナビリティに大きく貢献している産業です。この産業において当社は「利益と公正」「目先の小利を追わず、大局的な判断を下す」という創業の精神のもと、誠実に課題に取り組んできました。お客様との長きにわたる協業において、お客様で使用される時に発生するCO₂削減を可能にする塗料の開発や、粉体塗料、水性塗料に代表される環境負荷を小さくする事業をサステナビリティ経営が叫ばれるはるか昔より進めてきています。しかしながら、人類が直面している地球環境の変化はこれまで私たちが想定してきたものよりも大きく、社会発展の在り方そのものの見直しが求められています。石油などの鉱物資源に由来する原料を扱ってきた化学産業は、商品の設計、原材料、製造、物流、販売など様々な領域で非連続な転換が必要です。

 私たちは自らのバリューチェーンを抜本的に見直し、これからのお客様と社会のニーズに応え、新たな価値提供を実現することが課題であり、同時に機会でもあると考えています。

 そのため、「コンプライアンス/ガバナンス」及び「環境・社会配慮」といった汎用的課題だけでなく、「社会課題を事業や製品を通じて解決する」という当社特有の課題を認識し、事業を通じたサステナブルな社会の実現及び自社活動における社会的責任を果たすために当社として重要視するマテリアリティ(重要課題)を選定しました。

 そして、マテリアリティに取り組み、解決していくのは人財であるという観点から、当社の変革を牽引、推進する人財の発掘、育成を最重要課題のひとつに掲げております。人事制度の刷新、人財のグローバル化、個々人の課題特定と能力向上を支援するなど、制度の改革、改善及び適切な機会を提供することを通じて、挑戦する意欲に満ちた文化の醸成に取り組んでいます。

 これらの取り組みを基盤として、グループ全体で環境負荷低減活動の見える化と推進体制の強化を進めております。ESGデータ集計カバー率は(売上金額)、2022統合報告書時点で62.5%、2023統合報告書では90.9%、2024統合報告書では95%と目標の90%以上のカバー率を達成の見込みです。今後は更なるカバー率の向上とともに、データ精度の向上にも注力します。

 

マテリアリティ設定のプロセスは次のとおりであります。

 

サステナビリティ情報全般に関する開示

(1)ガバナンス

 2022年4月より、「サステナビリティ推進委員会」は経営監理委員会に組み入れ、方針の明確化とモニタリングを行う体制を整えました。2023年4月からはサステナビリティ担当役員及び以下の2つの専門部署を設置しました。「サステナビリティ戦略部」ではサステナビリティ経営を体現する全社戦略企画機能を担います。「サステナビリティ推進部」ではサステナビリティ経営に関わる情報の収集分析、具体策立案、推進への支援等、活動をグローバルに拡大し、事業部門と一体となって長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。そして、KPIに関する計画と進捗を四半期毎に経営会議・取締役会へ報告し、取締役会における監視の徹底に努めます。

 

(2)リスク管理

①リスクと機会を評価・識別するプロセス

 マテリアリティ選定に際し、取締役会決議を経て設立されたサステナビリティ推進委員会は、経営層とともに、外部アドバイザー、株主、投資家、サステナビリティ評価機関との対話を通じ、当社課題の洗い出しとマテリアリティの方向性を検討しました。また、特定に当たっては、事業、製品を通じた社会課題の解決といった、機会につながる課題と、環境、社会に及ぼす影響を含む当社へのインパクトとステークホルダーにとっての重要性を把握し、ステークホルダーに与える負荷を軽減するといったリスクの観点から評価、分析、検証を行っております。

 

外部環境の変化に伴う主なリスクと機会は次のとおりであります。

 

②リスクと機会を管理するプロセス

 社会や環境を取り巻く問題認識は日々変化しています。刻一刻と変化する社会情勢の中で、当社グループはリスクへの対応とさらなる成長機会の両面からマネジメントを実施しています。

1)リスクと機会について、重要な変更点が無いかをサステナビリティ推進委員会にて確認

2)リスクと機会に対応する全社としての行動方針については、取締役会で審議・決議

3)各事業部門の行動計画は、経営会議にて審議・決議し、中期経営計画及び毎年度の組織及び予算に織り込む

4)決議された行動計画は、四半期毎にサステナビリティ推進委員会が取りまとめ、経営会議と取締役会で報告、討議する

5)リスク管理委員会とサステナビリティ推進委員会は、情報共有を密にする

 

前述の2つのプロセスが総合的リスク管理に統合されているかを、毎年の予算や中期経営計画にて確認を行います。

 

 

(3)戦略

以下の4つのマテリアリティを選定し、取り組んでおります。

①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

(取り組み)

お客様

1)お客様の塗料使用段階でのエネルギー使用の低減に寄与

2)製品ライフサイクルでのCO₂排出を大幅に縮減

 

社会

1)脱炭素に積極貢献する製品開発・技術開発を行う

2)ZEBやZEHに塗料で寄与

3)交通システム全体の変革に合わせた最適塗料の開発

4)脱炭素領域での事業拡大

自社

1)生産・物流に用いるエネルギーを変える

2)使用エネルギーの大幅縮減を図る

3)脱炭素を推進しやすい社内環境・社内制度を整備する

4)脱炭素エネルギー・低炭素エネルギーの調達を行う

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上する

(取り組み)

1)QOL向上につながる製品サービスの提供

2)サプライチェーンに関わる人の健康、安全性、効率性の向上

3)サステナブル製品(主にQOLに寄与するもの)を開発・提供

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

(取り組み)

1)サプライチェーンの全ての過程で資源の有効活用の高度化を図る

2)塗料と塗料が塗られるあらゆるもののリサイクル、リユースを可能にする製品・サービスの普及を図る

3)お客様での塗料使用における廃棄物量を低減する

4)グループ拠点における資源利用の効率化・リサイクル推進を図る

5)サプライチェーン企業と協働し、資源循環の高度化を図る

6)最終製品の資源有効利用に寄与する塗料・製品を開発する

7)原料段階・生産段階・使用段階での資源循環コストを検討する

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向他)が受容、尊重され、個々が能力を発揮して活躍できる環境を作り、人財の多様性推進を図る

(取り組み)

1)公平な人財育成と登用の実現

・女性活躍推進を図る

・グローバルの生産拠点における管理人財の育成を図る

・海外の販売拠点におけるローカルマネージャー比率の向上を図る

2)多様な働き方の実現

3)健康・福祉を増進し安全な職場の実現

 

(4)目標及び指標

 ①脱炭素の実現:2050年、グループ全体でのカーボンニュートラル実現

  ・長期視点に立ち、脱炭素の観点から、使用するエネルギー種別を変えていきます

   (脱化石燃料、再生可能エネルギーや次世代エネルギーの導入等)

  ・中期視点に立ち、事業活動の最適化によって、使用するエネルギーの量を大幅に縮減させます

  ・お客様やサプライヤーとともに、製品ライフサイクル全体でのCO₂排出を減らします

  ・設備投資の機会を捉え、エネルギー使用のあり方を変革します

    ・エネルギー消費量(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・再生可能エネルギー比率(2030年度目標):使用率15%以上

    ・GHG排出量(Scope1&2)(2030年度目標):30%減(2021年比)

②QOL(生命の質・生活の質)の向上:全てのステークホルダー(社会全体、ユーザー、サプライヤー、従業員)のQOLを向上させる

    ・塗料によって社会全体を美しく強靭にすることで、生活者の暮らしの質を向上します

    ・健康や衛生に寄与する塗料を供給し、ユーザーの生命の質を向上します

    ・労働安全衛生や職場環境を整えることにより、ユーザー、サプライヤー、従業員の安全を向上します

    ・気候変動に伴う健康被害(高温被害・衛生悪化等)をなくしていくことに貢献します

    ・サステナビリティ製品の展開(2030年度目標):対象製品比率30%以上

    ・開発テーマの内、80%以上をサステナビリティ関連の内容にすることを目標とします

    ・災害度数率(ILO準拠)1.5以下を目標に、グループ全体で安全な職場環境を整えます

    ・Connecting to the Future Programとして社会・地域との結びつきを強め必要とされる企業グループを目指します。

③資源と経済循環両立の高度化:塗料のライフサイクル全体を見渡し、資源有効利用・サーキュラーエコノミーの高度化を図る

    ・原料、生産、使用、そして塗装された最終製品という全ての段階を視野に入れ、社会全体の資源循環の高度化を探求し続けます

    ・資源循環と経済循環の両立という「ブレークスルー」を目指します

    ・塗装された最終製品や、塗料自体のリサイクル性の向上に挑戦します

    ・自社グループでは徹底した資源利用の効率化やリサイクル推進を図ります

    ・水使用量(取水量)(2030年度目標):20%減(2021年比)

    ・廃棄物量(2030年度目標):30%削減(2021年比)

    ・リサイクル可能容器の使用率(2030年度目標):50%以上

④多様な人財が活躍するグループへ:あらゆる違い(性別・国籍・人種・宗教・バックグラウンド・年齢・障がい・性的指向)を受容し、人財の多様性推進を図る

・グローバルでの理念共有や人財育成を図るとともに、運営のローカライゼーションを図ります

・公平な人財育成と登用により、グループ全体の管理職に占める女性比率30%以上(2030年)を目指します

・女性活躍の推進を図り、役員の女性比率30%達成(2030年)を目指します

・多様な働き方の実現を通じて、多様な人財の活躍を促進します

・年齢を超えた技術やノウハウの継承を図り、関西ペイントグループに対するお客様からの信頼を継続します

・関西ペイントが100年以上にわたって作り上げてきた想いや行動規範をKP wayとして全従業員へ周知・啓蒙します

 ・全ての従業員を対象にエンゲージメントサーベイを実施し、経営と従業員がともに作り上げる事に挑戦します

・全てのステークホルダーの健康を重視し、各国に適合する健康経営の在り方を模索します

 

 KPI2030進捗は次のとおりであります。

 

(5)TCFDに対する取組

 当社グループはTCFD提言の11の推奨開示項目を順次開示していく取り組みを進めています。

 気候変動はもはや人類共通の、誰もが逃れることのできない課題です。当社グループでは経営上の最重要課題の一つと捉え、社内における議論、各方面の知見者からのヒアリングを経て、グループ全体で取り組むことを宣言しました。2021年11月にはその活動の幹となる新しいマテリアリティを公表し、その中で気候変動への取り組みとしての「脱炭素の実現」「資源と経済循環両立の高度化」を掲げています。

 2021年11月にはTCFDへの賛同を表明しました。気候変動への取り組みとともにTCFDに基づく情報開示を進めシナリオ分析、リスク機会の特定と情報公開も進めていきます。これらを進めるにあたり、京都大学との産学連携により、当社を取り巻く市場環境における気候変動の影響、グローバルにおける地域特性などに関する検討を行っています。

 シナリオ分析にあたっては気候変動対応シナリオ(1.5℃)、成り行きシナリオ(4℃)における様々な影響を検討しながら、市場環境の変化を想定します。想定に基づき各事業部におけるリスクと機会の再評価を進めています。

 

人的資本に関する開示

(1)戦略

 当社グループの中長期経営戦略として、人財開発を最重要テーマと位置付けています。それは、人財こそが「宝」であり、企業価値向上の源泉であると考えているからです。予測不能なこの大変革の時代を勝ち残り、企業として持続可能な成長を遂げるために、多様な人財一人一人が個の力を高め、その力を最大限に発揮できる環境整備を目指していきます。従業員と会社がともに対話を通じて成長できるよう、相互のコミュニケーションを促進し、積極的で主体的な風土を醸成し、創業の精神である「利益追求と社会発展への貢献」を実現していきます。

 中長期的な視点での人財開発戦略として、利益追求と社会発展への貢献という企業価値を実現するため、次の10年を見据えた人財開発戦略を構築していきます。従業員全員が「利益と公正」を体現し、働きがいと働きやすさの両方を実感しながら、最前線で新たな価値を創出し続けられる好循環を生み出します。

当社の人財開発戦略における3つの重点領域は以下のとおりです。

①変革と成長を促進する人財開発

変化に柔軟に対応し、新たな価値を創出し続ける人財を育てていくために、従業員一人一人の個の力を高める取り組みを実施しています。以下のとおり、従業員に「求める人財像=当社のビジョン実現を担う人財」を示し、挑戦の機会を提供することで、従業員が自ら学び変革を成し遂げられるよう支援しています。また、求める人財像を起点にコンピテンシーを定義し、それを評価軸に、当社の変革に対する貢献を客観的且つ公正に評価することで、納得感のある「公正な人事」の実現を目指します。

求める人財像=当社のビジョン実現を担う人財

・当社の真のグローバル化、持続的成長を実現するのは「私たち一人一人」という覚悟

・最前線で新たな価値を創出し続けられるように、社外の動きを踏まえ、社内の常識や前例に囚われない思考

・自身の信念と共に異なる意見にも耳を傾ける柔軟性を持ち、変革につながる対話を生む力

・部署や職位を超えて周囲を巻き込み、挑戦する人を支え、皆で成功をもたらすよう促す姿勢

②多様な個が活躍できる環境づくり

女性の積極採用・子育て・治療・介護との両立やLGBTQへの取り組みを通じて、多様なスキル・経験・価値観を持つ人財が活躍できる環境づくりに努めています。また、健康経営を推進することで、従業員一人一人が健康で生き生きと働き、最大限に能力を発揮できるよう支援し、それら多様な個の力を結集させることで、組織としての競争力を強化します。

③双方向エンゲージメントによる信頼関係の強化と継続的な改善

従業員が会社の理念やビジョンに共感し、誇りや働きがいを感じながら働くことができるよう、従業員と会社の信頼関係の一層の強化に取り組んでいきます。実施した様々な施策の効果を定期的に評価することで、現状の課題を分析し、継続的な改善を行い、従業員と会社が互いの中長期的な成長を促進しあう関係性を築きます。

 

(2)目標及び指標

 当社グループのマテリアリティの一つである「多様な人財が活躍するグループへ」の目標及び指標は、サステナビリティ情報全般に関する開示の(4)④を参照ください。