リスク
3【事業等のリスク】
以下において、経営者が当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に関してリスク要因と考える主な事項を記載しています。
また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項、他の事項と比してリスク顕在化のおそれが低い事項、リスクが顕在化した場合の影響が他の事項と比して軽微な事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で必要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しています。これらに該当する事項には、項目名の末尾に注を付しています。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。
なお、文中の将来に関する記載は当事業年度末現在において当社が判断したものです。
(1) 創薬事業全般に関するリスク
当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としています。
医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界です。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しています。
① 医薬品開発の不確実性について
製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされています。
このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。
当社においては、互いに独立した複数の候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めています。
しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 将来収益の不確実性について
当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要です。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。
当社は現在、臨床試験段階の候補化合物を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っています。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。
なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗がん剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断していますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
③ 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について
当社の事業計画は、現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としています。
しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 潜在的な競合について
当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。
したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。
⑤ 賠償問題発生リスクについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)
医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しています。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。
(2) 当社事業遂行上のリスク
① 開発資金の確保について
当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うためには、資本市場からの資金調達によるか、もしくは、製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する戦略提携による必要があります。
当社は、最先行化合物CBP501に関し、2010年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してきました。
CBP501の今後の臨床試験については、資本市場からの資金調達による「創薬パイプライン型」開発を志向しつつ、必要に応じて提携パートナーの獲得も模索していきます。
しかしながら、資本市場からの資金調達には不確実性が伴います。また、提携パートナー獲得活動はその候補となる製薬企業等との交渉によるものであり、成立の不確実性が存在するほか、必ずしもその後の開発推進に十分な資金の確保をもたらすものではありません。
これらのリスクが顕在化し、開発資金の確保が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
② 臨床試験データについて
当社は、これまでに実施した臨床試験等から、CBP501およびCBS9106についてはいずれも、医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しています。また、これらの開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されています。
しかしながら、これら開発化合物の有効性および安全性等が許認可当局に確認され新薬承認および上市に至るまでには、将来のピボタル試験(新薬承認申請のための最終的な検証試験)を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。
こうした場合には、CBP501・CBS9106の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 開発パイプラインの拡充について
当社は、自社で臨床開発を続けている最先行化合物CBP501、既にライセンスアウトに成功しているCBS9106に続き、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としています。
この戦略を確実に推進するために当社は現在も、創薬アプローチの見直し、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けています。
しかしながら、当社の創薬アプローチやスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。
今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 会社組織に関するリスク
① 業歴が浅いことについて(※現時点において本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)
当社は、2000年1月に設立された、業歴の浅い企業です。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗がん剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。
今後、未だ経験していない事業上のトラブルが社内外で発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な事項について網羅的に予想し予め対処しておくことは現状においては困難です。
② 小規模組織であることについて(※本リスク顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。)
当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いています。
また、既存パイプラインの開発推進および今後の新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しています。
しかしながら、何らかの理由により、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の大量の流出等が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
③ 少数の事業推進者への依存について
当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めていきますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。
また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してきました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っています。
当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っていますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 科学顧問会議(SAB)について(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)
当社は、社長の諮問機関として、抗がん剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しています。SABミーティングは、2002年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。
今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めていきますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。
⑤ 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。)
当社は、自社を少人数体制で運用しつつ機動的な事業運営を図るため、広く社外に有能な専門家の参加を求め、以下に掲げる研究開発の主要な部分についてはアウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しています。
・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務
・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務
・臨床試験のコーディネート(CRO)
これらの契約につき、当社にとって不利な契約条件変更が行われた場合、または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 自然災害について
当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができていません。データの分散バックアップやリモート業務体制の拡充等によってリスクの低減は図っているものの、本社周辺地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
(4) 知的財産権に関するリスク
① 特許の状況について
当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものです。その主要な特許は以下のとおりです。
対象 |
発明の名称 |
所有者 |
国際公開番号 |
登録状況 |
CBP501およびそのバックアップ化合物群 |
抗がん治療の効力を推定するための感受性試験 |
当社 |
2005/014856 |
米国において成立しています。 |
ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びにがん患者の部分母集団に対する治療 |
当社 |
2014/207556 |
米国、欧州主要国および日本において成立しています。 |
|
ペプチド及びペプチド模倣物並びにT細胞活性化及び/又は免疫チェックポイント阻害剤の併用によるがん治療 |
当社 |
2017/069291 |
米国、日本において成立しています。 |
|
CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズ |
DNA傷害を増強することによる抗がん活性をもつ化合物 |
当社 |
2009/031040 |
米国、欧州主要国および日本において成立しています。 |
IDO/TDO阻害剤 |
IDO/TDO阻害剤 |
(注)2 |
2019/078246 |
日本において成立しています。 |
(注)1.欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。
2.当社と公益財団ふじのくに医療城下町推進機構((旧)一般社団法人ファルマバレープロジェクト支援機構)の共有特許です。
出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはいますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しています。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。
なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在していません。
② 訴訟およびクレームについて(※本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。)
当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。
また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しています。
しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難です。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③ 特許の確保に関するリスクについて(※現時点において本リスクの顕在化のおそれは比較的小さいと考えています。)
当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報管理について
当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めています。
しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。
(5) 経営成績の推移について
① 過年度における業績推移について
当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりです。
回次 |
第21期 |
第22期 |
第23期 |
第24期 |
第25期 |
決算年月 |
2020年6月 |
2021年6月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
2024年6月 |
事業収益(千円) |
110,000 |
108,945 |
- |
- |
- |
営業利益(千円) |
△566,800 |
△547,671 |
△846,438 |
△965,965 |
△1,262,041 |
経常利益(千円) |
△573,686 |
△555,112 |
△854,327 |
△1,283,062 |
△1,208,349 |
当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗がん剤の製品売上による事業収益は未だ計上していません。
また、現在まで、抗がん剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。
このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。
② 資金繰りについて
当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは大半の期にマイナスを計上しています。また、当社は、当事業年度末において当面の事業活動の継続に影響のない水準の現金及び預金を有しているものの、現時点において安定的な収益源を有していません。
このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
(6) 為替変動リスクについて(※本リスクの重要度は比較的小さいと考えています。)
当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について
当社は、当社取締役(監査等委員を含む。)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を従業員に対して付与しています。また、当社は、資金調達を目的として、新株予約権を発行しています。
その総量は、当事業年度末現在における当社の発行済株式総数の9.6%にあたります。
今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(8) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。
現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については、膵臓がんを対象とした次相臨床試験の準備段階、CBS9106については臨床第1相試験を終了し次相臨床試験の計画段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。
当該状況を解消するべく、当社は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、⑤ 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施するほか、CBP501にかかる追加的な戦略提携などによる収益の獲得に努めます。あわせて後続のパイプラインに関しても、その開発状況に応じて早期アライアンスの獲得活動あるいは資金調達を進めていきます。
配当政策
3【配当政策】
配当に関しては年1回の期末配当ならびに業績に応じて中間配当を行うことを基本方針としていますが、当社の現時点での事業ステージは、研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施していません。
また、今後も当面は、資金を企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に優先的に充当し、配当は行わない方針ですが、株主への利益還元も、重要な経営課題と認識しており、今後の経営成績および財政状態を勘案し、配当についても検討していきます。
当社は、剰余金の配当につき、「取締役会の決議によって、毎年12月31日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めています。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。