リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループは、臨床検査薬の製造・販売を主たる事業として、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき、グローバルに事業活動を展開しています。事業活動において存在する様々なリスクに対応するため、当社グループではグループのリスク管理を体系的に定める「栄研グループ・リスク管理規程」を制定するとともに、全執行役を委員とする「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置することにより、リスクマネジメント活動を統括しています。リスクマネジメントに関する取り組みが取締役会へ報告され、取締役会がその実効性を監督しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。
なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)海外事業展開に係るもの
「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、グローバル展開の推進が必要となります。しかし、国・地域ごとの経済・景気の変化、パンデミックの発生や地政学的リスク等により、主力製品である便潜血検査用試薬に関して大腸がん検診のスクリーニングプログラムの遅延または実施の中断や中止などがあった場合や新製品の薬事承認の遅延があった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社連結子会社である栄研生物科技(中国)有限公司は、当社から臨床検査薬の受託生産を請け負うとともに、中国国内において独自に臨床検査薬の開発、製造・販売に取り組んでおります。しかし、市況環境の変化により当社からの受託生産が減少した場合や中国法規制の改正等により、同社独自のビジネス展開が計画通りに進捗しない場合、また、同社で著しい不動産価額の低下が生じた場合には、当社の同社に対する投資を回収することが困難になる可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは海外営業部門が、販売代理店等を通じて各国の経済動向及びリスク情報の迅速な収集・共有に努め、適時適切に対応してまいります。
(2)新製品・新技術・新規事業に係るもの
「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、新製品・新技術・新規事業の展開も必要となります。当社グループは、医療ニーズ及び中長期的なビジョンに基づき新製品・新技術の企画・開発の強化及び新規事業の創出を図っております。しかし、研究開発の不確実性(遅延・中断や中止)により研究開発投資の回収が困難になった場合若しくはそれによる事業化機会の逸失または刻々と変化する市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかなかった場合や新規事業の計画の遅延や中断があった場合、中長期的な事業計画が影響を受け、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画において、事業環境の変化に応じた事業戦略を策定し、新製品・新技術の戦略的推進を図り、また、投資回収の基準を設定し、経営会議、取締役会等で進捗を評価・管理しております。
(3)医療制度・薬事規制等に係るもの
当社グループは、国・地域ごとの薬事規制等に従い製品を販売しておりますが、各国の医療制度改革の動向により医療費抑制や薬事規制が強化された場合、製品価格や製品の使用方法及び新製品の薬事申請が影響を受け、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは薬事部門が各国の医療制度や薬事規制の動向の迅速な把握に努め、適時適切に対応してまいります。
(4)製品品質に係るもの
当社グループは、品質マネジメントシステム(ISO13485認証、MDSAP認証)に基づく品質管理体制のもと製品の品質保証に取り組んでおります。しかし、万一製品に品質問題が発生し製品の供給維持ができなくなった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは生産技術力の強化による品質の安定化と品質マネジメントシステムの適切な運用及び市場における製品の品質評価の調査・分析により品質保証の強化に取り組んでおります。
(5)製品の安定供給に係るもの
当社グループまたはサプライヤーの工場・設備が、大規模な地震、風水害等の自然災害や火災等の重大な事故により甚大な被害を被った場合や、パンデミックの発生または地政学的リスクにより長期間の操業停止となった場合は、製品の供給維持ができなくなり、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは製品の安全在庫の確保とともに、重要な原材料の在庫量確保や複数社購買などによるリスク回避に努めるほか、事業継続計画(BCP)を策定し、供給維持が図れるよう対応能力の継続的向上に取り組んでおります。なお、当社は、内閣官房国土強靭化推進室が進める国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)を取得しております。
(6)ITシステムに係るもの
当社グループは、業務効率化のため各種ITシステムを導入し、ビジネスプロセスの改善に取り組んでおります。そのため、災害等によるシステム障害、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染による業務の阻害や社外への情報流出等が発生し長期間の対応が必要となった場合、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは適切な情報セキュリティ対策を構築するとともに、標的型攻撃メール対応やITリテラシー向上を目的とした教育訓練を実施しています。
(7)原材料価格・輸送コストの高騰等に係るもの
当社グループの製品に使用する原材料の価格は、自然災害やパンデミックの発生、経済情勢に伴う市場価格、燃料費、為替等によって変動します。当該価格がこれらの原因等により高騰した場合や製品の輸送コストが高騰した場合には、当該製品の原価が上昇し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは主要な原材料の複数社購買、原材料の市場動向等の情報収集、適正在庫の確保等の対応策や継続的な生産効率化による製造原価の低減を実施しております。
(8)棚卸資産の評価
当社グループは、2024年3月期連結貸借対照表において棚卸資産として8,098百万円を計上しており、総資産に対する比率は13.1%となっております。急激な需給バランスの悪化等により製商品市況が著しく下落した場合には、棚卸資産の評価減により、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、在庫品の状況を注視し、安全在庫を念頭においた適正な在庫管理を行うなど、過剰在庫等が発生するリスクの軽減を図ってまいります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置づけたうえで、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保を勘案し安定した配当政策を実施すること、また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。株主還元方針については、当社企業価値を向上するに資する政策の一つとして取締役会にて検討しております。
なお、これらの剰余金の配当の決定機関については、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行う。」旨定款に定めております。
当事業年度の期末配当金につきましては、1株当たり26円とさせていただきます。すでに2023年12月1日に1株当たり25円の中間配当金をお支払しておりますので、年間配当金といたしましては1株当たり51円となります。
次期の1株当たり配当金につきましては、普通配当金として、中間配当金26円、期末配当金27円を予定しております。内部留保につきましては、中長期的な視点にたって、経営基盤の強化を目指して研究開発や設備投資及び経営効率の向上のための投資等に有効活用してまいります。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。