人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数2,984名(単体) 11,067名(連結)
-
平均年齢44.2歳(単体)
-
平均勤続年数18.5年(単体)
-
平均年収10,538,622円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
医薬品事業 |
10,488 |
その他事業 |
579 |
合計 |
11,067 |
(注1) 従業員数には当社および連結子会社(以下、「当連結グループ」という。)からグループ外への出向者を除き、グループ外から当連結グループへの出向者を含めた就業人員数を記載しています。
(2)提出会社の状況
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|
|
2024年3月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
2,984 |
44.2 |
18.5 |
10,538,622 |
(注1) 従業員数には当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含めた就業人員数を記載しています。
(注2) 平均年間給与には基準内賃金、基準外賃金および賞与を含めています。
(注3) 従業員は医薬品事業に所属しています。
(3)労働組合の状況
1946年本庄工場(当時)にエーザイ労働組合が、1961年本社にエーザイ本社労働組合がそれぞれ単位組合として組織されました。両組合は1987年10月1日付で統合され、新たにエーザイ労働組合として発足しました。
2024年3月31日現在、労使関係について特記すべき事項はありません。
(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
||||
管理職に占める 女性労働者の割合(%)(注1) |
男性労働者の 育児休業取得率(%)(注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)(注3) |
||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
||
12.8 |
96.1 |
72.9 |
74.4 |
65.8 |
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。従業員数には、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含めています。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。従業員数には、社外から当社への出向者を除き、当社から社外への出向者を含めています。
(注3) 男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。パート・有期労働者は、当社が直接雇用する常勤アルバイト・嘱託を対象としています。
②連結子会社
当事業年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める 女性従業員の 割合(%)(注1) |
男性労働者の 育児休業取得率(%)(注2) |
労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)(注3) |
||
全労働者 |
うち正規雇用 労働者 |
うちパート・ 有期労働者 |
|||
株式会社 サンプラネット |
23.3 |
100.0 |
76.7 |
82.7 |
65.6 |
EAファーマ 株式会社 |
10.8 |
100.0 |
74.0 |
80.0 |
87.0 |
(注1)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。従業員数には、各社から社外への出向者を除き、社外から各社への出向者を含めています。
(注2)「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。従業員数には、社外から各社への出向者を除き、各社から社外への出向者を含めています。
(注3) 男女の賃金格差については、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を示しています。なお、同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差によるものです。パート・有期労働者は、各社が直接雇用する常勤アルバイト・嘱託を対象としています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関する「ガバナンス」と「リスク管理」
① ガバナンス
当社は指名委員会等設置会社であり、経営の監督と業務執行を明確に分離しています。取締役会は業務執行の意思決定権限を執行役に大幅に委任し経営の監督に専念する一方、執行役は迅速かつ機動的な意思決定と業務執行に努めています。執行部門から独立した取締役会がステークホルダーズの視点で監督機能を発揮し、経営の公正性と透明性を確保しています。サステナビリティに関する取り組みは経営の重要課題であり、企業価値に影響を及ぼすリスクのひとつでもあるとの認識のもと、取締役会は長期的な企業価値の向上に資する全社のサステナビリティへの取り組み状況の定期的な報告に加え、個別の課題についても担当執行役から報告を受け、モニタリングを行っています。取締役会におけるサステナビリティに関する議論を充実させるため、hhcガバナンス委員会ではサステナビリティへの取り組み状況の点検を行うサブコミッティを設置し、関連する執行役との情報共有とディスカッションを実施しています。サブコミッティでの検討状況は、速やかにhhcガバナンス委員会に報告されます。
執行部門においては、当社のESGを含むサステナビリティ関連課題に対して、全社環境安全委員会や人権啓発推進委員会など、当該トピックを所管する執行役が議長を務める委員会を複数設置し検討しています。企業が尊重すべき人権課題など対象が広範な場合には、組織横断型のプロジェクトを設置して複数の執行役で検討・決議を行い、より上位での意思決定が必要な場合は執行役会に諮られます。これらの審議結果は、各執行役が負う適時適切な取締役会への報告義務に基づき、取締役会への報告が行われます。
また、持続可能な社会の実現や長期的な企業価値向上のための取り組みを任務とするサステナビリティ専任部署(サステナビリティ部)を置いており、各部門が対応する個別のサステナビリティ関連課題や社外の環境を俯瞰し、全社一体となった取り組みを可能とする体制を整備しています。サステナビリティ部は、当社がサステナビリティへの重要な貢献と位置付けるグローバルヘルス領域での医薬品アクセス向上に関するイニシアティブの策定・実行も担当します。
さらに、CEOの諮問会議体として、社外有識者からなる「サステナビリティ アドバイザリーボード」を設置しています。本ボードは、医薬品アクセスをはじめとする様々なサステナビリティ関連課題に関し、高い見地よりアドバイスを得ることを目的として開催しています。
② リスク管理
当社のリスク管理については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 (a) 内部統制システムとリスク管理体制の整備の状況 ロ) コンプライアンス・リスク管理 ⅱ) リスク管理の推進」をご参照ください。
(2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」
① 医薬品アクセス改善に向けた取り組み
当社グループは、グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、我々の責務であるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。
(a) リンパ系フィラリア症(LF)の制圧: 開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるLFの治療薬「DEC(ジエチルカルバマジン)錠」を当社インド・バイザッグ工場で製造しています。そして、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ(無償)」で提供します。2024年3月末までに30ヵ国に22.8億錠を供給しました。WHOのLF制圧プログラムを通してLF蔓延72ヵ国のうち19ヵ国で制圧が完了(うち5ヵ国に当社DEC錠を提供)しました。
(b) NTDsへの継続的な支援: 2012年に発表されたNTDsの10疾患の制圧に向けた国際官民パートナーシップである「ロンドン宣言」に唯一日本企業として参画し、LFを含むNTDs制圧に取り組んできました。「ロンドン宣言」の後継であり、WHOのNTDs制圧ロードマップ2021-2030に沿って、蔓延国のオーナーシップの向上と国内外関係者のさらなるパートナーシップの強化によりNTDs制圧達成をめざす「キガリ宣言」が、2022年に発表されエーザイも署名しました。ロンドン宣言以降、グローバルなパートナーシップによる制圧活動により、50カ国において1つ以上のNTDsの制圧を達成し、2022年には8.5億人に対する治療介入が行われましたが、世界ではいまだ16.2億人の人々が、NTDsの感染リスクにさらされています。エーザイは、今後もDEC錠の無償提供とNTDsに対する新薬開発を通じ、制圧支援を継続します。
(c) 最も顧みられない熱帯病マイセトーマ対策への貢献: 2019年より、スーダン国内で活動している日本の国際NGO「難民を助ける会(AAR Japan)」の支援・協力を行っています(現在内戦により中断)。また、自社創製の抗真菌剤E1224(ホスラブコナゾール)について、医薬品開発パートナーのDrugs for Neglected Diseases initiative (DNDi)と共同で、スーダンにおいてマイセトーマを対象とした臨床試験を実施しました。現在、スーダンでの新薬承認申請に向けて準備を進めています。
(d) NTDs、マラリアに対する新薬開発: 国際研究機関等とのパートナーシップを通じてNTDs、マラリアの新薬開発に積極的に取り組んでいます。日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)などからの助成金を活用し、大学等の研究者からのアイデアと、DNDi、Medicines for Malaria Venture(MMV)等の熱帯病を専門とする非営利研究組織との共同により、それぞれの専門性を生かしたパートナーシップでのNTDsやマラリアに対する新薬開発を継続しています。
② 地球環境に配慮した事業活動
当社グループは、hhc理念のもと、地球環境は社会善を成すための事業活動の基盤ととらえています。人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善の実現と環境保全に同時に取り組むことは私たちの責務であり、環境活動の指針である「ENW環境方針」に加え、2022年度には「エーザイ環境経営ビジョン」を掲げ、温室効果ガス排出削減による脱炭素社会形成への貢献はもとより、水を含む資源の有効利用と適正な廃棄物処理による循環型社会形成への貢献、生物多様性保全の取り組みを通じた自然共生社会形成への貢献、化学物質の適正管理を明示しました。地球環境保全に対する社会的要請が高まる中、全社一丸となってビジネスの各段階における環境負荷低減を進め、国連総会で掲げられた「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の達成に取り組み、国連グローバル・コンパクト署名企業として社会的責任を果たしていきます。
これらの取り組みの結果、「CDP(*1) 気候変動レポート2023」、「CDP水セキュリティレポート2023」において、8段階のうち、どちらも上から2番目の「A-」評価 に認定されました。また、化石燃料エネルギー消費削減に貢献している世界の上場企業トップ200社ランキング「Carbon Clean 200(*2)」に4年連続で選出されました。さらに、S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数に組み入れられました。その他にも、プライム市場上場企業を対象とした「JRECO フロン対策格付け」において最高評価となる「A」認定を3年連続で獲得する等、外部から評価を得ています。
*1:主要国の時価総額上位企業や自治体に対し気候変動・水・森林に関する情報開示を求め、分析・評価した上で、投資家、企業および政府に開示しているNGO(英国)
*2:メディア・調査会社であるCorporate Knights(カナダ)がNGOのAs You Sow(米国)と選定
(a) 循環型社会形成への取り組み
当社グループは、水を含む資源の持続可能な利用を通じて、循環型社会の形成に貢献することをめざしています。
持続可能な水利用については、リサイクルを含む水資源の効率的な利用により、水使用量の削減を推進し、2030年度までに2023年度比で7%削減(売上収益原単位)することを中期目標に設定しています。また、水質保全に資する高質な排水処理を維持し、水に関する環境基準を遵守することで、2030年度まで法令違反ゼロを継続するという中期目標のもと、法令違反ゼロを継続しています。さらに、2023年度は、水使用削減量を金額換算し、投資効果額として投資判断基準に組み込むインターナルウォータープライシング(IWP:社内水価格)を主要サイトのある国ごとに設定しました。
資源の循環利用については、国内グループでは、廃棄物発生量の削減、リサイクル率の向上、最終埋立量の削減を推進し、最終埋立量と廃棄物発生量の比を0.5%以下とするゼロエミッションを2023年度には17年連続で達成する見通しです。
(b) 生物多様性保全の取り組み
当社グループは、生物多様性の保全と生物資源の持続可能な利用に努め、地球環境との調和に基づく自然共生社会の実現に貢献することをめざしています。2020年8月に「生物多様性指針」を制定し、2030年度までに各事業所で重要な種の特定・保存活動を実施することを中期目標に設定しています。2023年度は、事業活動が生物多様性に与える中長期的なリスクとして、i)操業地における水域・大気等への有害物質排出による近隣地域の生物多様性への影響、ii)製品の使用により排出される廃棄物の環境全体への影響を特定しました。また、川島工園(岐阜県)では、敷地内にある自然豊かな日本庭園を管理するとともに、内藤記念くすり博物館の薬草園で絶滅危惧種を含む約700種の薬用および有用植物を栽培・保全しています。Eisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd.(インド)では、2020年度から環境啓発促進のための植林プログラムを継続し、これまでに合計約11,000本を植樹しました。
③ 気候変動に関する取り組み
当社グループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、当提言が推奨する気候シナリオ分析を行い、結果を2020年度に開示しました。2022-2023年度には、気候変動に関連するリスク・機会が当社グループに及ぼしうる影響の再評価のため、複数の気候シナリオを考慮した分析を再度実施しました。気候関連のリスク・機会、及びそれらに対処するための取り組みは、以下のとおりです。
(a) 気候変動リスクの概要
分類 |
リスク・機会 |
エーザイへの財務影響 |
対策状況 |
物理的 リスク |
生産活動の停滞 |
自然災害により工場等の操業が停滞することで売上高が減少する可能性がある。 サプライチェーンが自然災害の影響を受け、供給遅延・不足が生じ、生産活動の停滞が生じる可能性がある。 |
バックアップ生産体制を整備するほか、製品や原料の必要性に応じた期間分の在庫を確保することで、生産活動の停滞を予防している。 |
|
自然災害による被害 |
従業員への被害や建物・設備・在庫の毀損が生じる可能性がある。 自然災害のリスクが高まることで保険料が増加する可能性がある。 |
生産拠点や倉庫において、洪水・浸水などのリスクの程度を確認し、発生しうる災害の程度を確認した上で被害予防策を講じている。 |
|
健康リスクの増大 |
気候変動が世界の感染症リスクやヘルスケアシステムの機能低下をもたらす可能性がある。結果として、医薬品アクセス維持・向上のために必要な投資やコスト負担が増加する可能性がある。 |
NTDs制圧やマラリアを含む熱帯感染症に対する医薬品の開発に取り組んでおり、感染症蔓延地域への医薬品供給において官民パートナーシップによる効率的・効果的な医薬品アクセスの維持・向上に努めている。 |
移行 リスク |
炭素税によるコスト増・エネルギーコスト増 |
炭素税価格や電力料金の上昇により、エネルギーコスト及び調達品の価格が上昇する可能性がある。 |
炭素税導入を見越して購入する電力の再生可能エネルギーへの転換をすすめており、99%以上の導入率を達成している。 |
|
追加的な設備投資 |
GHG排出量削減要請に応えるうえで、既存設備が陳腐化したり、追加的な設備投資が必要となる可能性がある。 |
2022年度からインターナル・カーボンプライシングを導入し、環境投資の着実な推進に取り組んでいる。 |
|
低炭素製品化への要請対応 |
顧客からの低炭素製品への要請が強まり、包装材等をGHG排出量の少ない製品に切り替えるための追加コストが発生する可能性がある。 |
一部製品において低炭素型の包装容器(バイオプラスチック)を採用済であり、その他製品でも低環境負荷包材の導入を検討中である。 |
|
信頼性の低下 |
エーザイでは2040年までのカーボンニュートラル達成に向けて目標を設定しているが、これが達成できない場合には株主・投資家等のステークホルダーズからの信頼性低下を招く可能性がある。 |
2023年度に、SBT1.5℃目標の承認を取得するとともに、2050年までのネットゼロ達成にコミットするJCI Race to Zero Circleへの参加承認を取得し、ネットゼロに向けた取り組みを進めている。 |
分類 |
リスク・機会 |
エーザイへの財務影響 |
対策状況 |
機会 |
気候変動によるヘルスケアニーズへの対応 |
気候変動に伴って高まるヘルスケアニーズに対応する製品・サービスを提供することで、将来の市場機会の獲得につながる可能性がある。 |
マラリア等感染症治療薬の開発に取り組んでいる他、臨床試験のリモート化やICTを活用した健康管理のソリューション創出に取り組んでいる。 LF治療薬であるDEC錠をバイザッグ工場で製造し、WHOを通じて無償提供している。ブランド向上・市場機会獲得・稼働率向上・連結原価低減といった効果が今後も期待できる。 |
特定されたリスクと機会についての気候シナリオごとの財務影響も分析しました。これらのリスクはリスク管理体制の
もと顕在化防止に努めており、機会については事業計画の遂行を通じた実現をめざしています。詳細は以下をご覧くだ
さい。https://www.eisai.co.jp/sustainability/environment/climate-countermeasure/tcfd-disclosure/index.html
(b) 温室効果ガス排出削減
世界共通の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃以内に抑える」削減目標(1.5℃ 目標)と、その延長にある「2050年ネットゼロ(*)」達成に向けた取り組みを推進しています。2019年度以降、SBT2.0℃目標(2016年度比で2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量を30% 削減)を掲げ、2022年度まで3年連続で目標を達成しました。これにより、GHG排出量削減は2016年度比で60%を超える水準まで到達しました。そのため、さらに厳しいSBT1.5℃目標を設定し、2023年11月にはSBTイニシアティブから承認を取得しました。また、2023年12月にJCI(気候変動イニシアティブ)から、2050年までのネットゼロ達成にコミットするJCI Race to Zero Circle への参加承認を取得しました。また、当社は事業活動に用いる電力をすべて再生可能エネルギーに切り替えることをめざすRE100イニシアティブに加盟しており、2030年度までの目標達成をめざしています。
<2023年度に設定した2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ目標>
•ネットゼロ達成目標年:2050年
• 2030年度までの温室効果ガス削減目標(SBT1.5℃目標)
‐GHG排出量(スコープ1+2)を2030年度までに2019年度から55%削減する
‐GHG排出量(スコープ3のうち購入した製品・サービスに基づく排出量)を2030年度までに2019年度から
27.5%削減する
*:ネットゼロ(SBTイニシアティブネットゼロ基準による定義)
•スコープ1、2、3の排出量をゼロにするか、もしくは適格な1.5℃目標に沿ってグローバルまたはセクターレ
ベルでのネットゼロ排出達成と整合性がある残余排出量水準まで削減
•ネットゼロ目標の時点における残余排出量およびそれ以降に大気中に放出されるすべてのGHG排出量を中和す
ること
(2022年度までの目標と実績)
指標 |
目標 |
実績 (2022年度末) |
Scope1+2 CO2排出量 |
2030年度:62%削減(2016年度比) 2040年度:実質ゼロ |
60.2%削減 |
Scope3カテゴリ1 CO2排出量 |
2030年度:30%削減(2016年度比) |
40.1%増加(*) |
*:2022年度は、SBT1.5℃目標設定に際し集計方法を変更したため、排出量は大きく上昇しています。
(c) 再生可能エネルギーの導入促進
当社グループは、非化石証書等も活用し、再生可能エネルギーの導入を拡大しています。海外では、バイザッグサイト(インド)では3MW(メガワット)の大型太陽光発電設備が本格稼働を開始し、エクストンサイト(米国)、蘇州工場(中国)等でも自ら太陽光で発電して自家消費を行っています。さらに欧州ナレッジセンター(英国)でもグリーン電力を利用する等、海外の主要な事業所において再生可能エネルギー導入100%を継続しています。これらの取り組みにより、2023年度の総電力消費における再生可能エネルギー比率は99.8%以上となりました。今後も再生可能エネルギーの継続的な導入を行い、CO2排出量の削減に努めていきます。
*:太陽光や風力、水力等の再生可能エネルギーで作られた電力
指標 |
目標 |
実績 (2023年度末) |
電量使用量の再生可能エネル ギー比率 |
2030年度:100% |
99.8% |
(d) 営業用車両における取り組み(国内グループ)
当社国内グループは、営業活動によるCO2排出量を削減するため、営業用車両のハイブリッド車への切り替えを順次進めています。2023年度末においてハイブリッド車の導入率は100%となりました。また、2019年度下期から電気自動車の導入も開始し、燃費性能の高い車両への移行によってCO2排出量の削減に努めています。
④ 人財価値の最大化に向けた基本的な考え方
当社グループは定款において、社員を企業理念(hhc理念)の実現に向けた社の重要なステークホルダーと定め、「安定的な雇用の確保」、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」を掲げています。
このような定款のもと、“社員一人ひとりのエナジーを解き放ち、組織のシナジーを生み出し、社会的インパクトを最大化する”というグローバルHRパーパスを掲げ、当社に集う全てのメンバーが、広くグローバル社会に貢献することを目指しています。
また、患者様から生活者の皆様まで広く貢献を果たすhhceco企業へと進化し、更なる社会善の実現をめざす当社にとって、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進は最重要テーマの一つです。2012年に代表執行役CEOが「エーザイ・ダイバーシティ宣言」を発信して以来、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりに取り組んでいます。2023年には、代表執行役CEOが新たなDE&Iメッセージを社内外に発信するとともに、エーザイのhhc理念とDE&Iに対する姿勢を示したスローガン “We see difference, we see potential.”とそれに続くステートメントを策定しました。2024年度からは、このスローガンとステートメントをグローバル全社員が共通して持つコアバリューとして浸透させ、具体的なアクションと成果につなげていくべく、グローバル一体となった推進を強化するとともに、社員一人ひとりの日常行動への反映やシナジーを生むための組織マネジメント力の向上に力を入れています。
(a) グローバルでの多様性の確保
当社グループでは、2002年に外国人取締役、2006年に外国人執行役、2009年に女性取締役、2013年に女性執行役を登用し、2024年3月31日時点で役員31名のうち外国籍4名、女性5名となっています。グローバル企業として現地法人のマネジメントへの現地人財登用を進めており、アメリカス、EMEA、中国各リージョンのマネジメントに当社執行役である現地人財を配置しております。また、本社、グローバル各リージョン、各部門においては、ボトムアップでのコミッティーの立ち上げや、各現場の課題に応じたプロジェクトの推進など、社員の多様性確保に向けた活動を継続しています。その結果、グローバルでの女性管理職比率は約35%となっています。
一方日本国内では、諸外国と比較して、ジェンダーをはじめとする多様性の確保において依然として課題を有しており、多方面からの対策が急務です。2012年の「エーザイ・ダイバーシティ宣言」を皮切りに、一般職を廃止し総合職に一本化する人事制度への改革、留学生や中途採用の拡大、早期の風土醸成を企図した国内DE&I推進体制構築、各種研修、メンター制度やキャリア面談機能の設置などに取り組んでおり、継続して実施しています。中でも従業員インパクトにおいて重要な指標となる女性管理職比率の上昇に向けては、女性のキャリア観醸成と管理職候補の育成を最重要課題とし、「早期に」「定期的に」「具体的に」をキーワードに、リーダーとしての活躍イメージをより早期に描く機会の創出や、男女ともに育児期に参画するためのキャリア支援施策を重点的に展開しています。その結果、2024年3月31日時点での国内女性管理職比率は12.8%であり、上昇傾向を維持しています。
また、当社における外国籍人財の登用については、2013年度より留学生採用を開始し、継続的に人財確保することを目標としています。採用開始以来、2014年度、2017年度を除き、採用を実現しています。中途採用者の管理職への登用やリファラル採用制度を導入するなど、社外人財の確保を進めています。また、国内の障がい者採用については、法定要件を目安としつつ、継続して採用活動を行っています。
当社グループは、hhc理念の実現を目指すグローバル企業である強みを活かし、日本国外のリージョン/ファンクションが有するナレッジを融合したグローバル一体となったDE&Iの推進に取り組んでいます。
指標 |
目標 |
実績 (2023年度) |
社員の女性比率 |
2030年度:30%以上 |
27.9% |
管理職層の女性比率 |
2030年度:30%以上 |
12.8% |
30代以下組織長比率 |
2030年度:20%以上 |
8.0% |
配偶者出産休暇・育児休職を取得した対象男性社員の比率 |
2030年度:100%(30日以上) |
88.2%(5日以上) |
*各指標に関する目標及び実績は、当社の目標及び実績になります。当社においては具体的な取り組みが行な
われているものの、連結グループに属する全ての会社で行われていないため、連結グループにおける記載は
困難です。
(b)人財価値最大化に向けた取り組み
当社は、社員の「健康」「働き方」「成長」「事業・組織」の飛躍を目指す「統合人事戦略」に則り、社員のエナジーを最大化し、組織シナジー創出へとつなげるべく、就業環境の整備へ積極的に投資し、人財価値の最大化をはかっていきます。
イ) 社員が安心・安全に働くことのできる環境の追究(「健康」)
当社は2019年6月に「エーザイ健康宣言」を発効し、hhc理念実現の担い手である社員の健康を最重要事項と位置付け、社員の健康維持・増進活動(Well-Being経営)を強く推進しています。2022年4月には、第2期重点戦略事項として、「ヘルスリテラシーの向上」「からだの健康」「こころの健康」の3つを設定して施策を進めるとともに、2023年からヘルスリテラシーアンケートも行い、リテラシーレベルを把握し効果的な各種施策を推進することで、いきいきと自分らしく生きる「からだ」と「こころ」の健康を保つ環境構築を追求しています。
<具体的な取り組み>
社員の健康維持・増進に向けエーザイ健康保険組合と連携し、定期健康診断に加え実施している節目人間ドックの対象年齢拡大や、これまでの健診結果に基づいた健康診断予測シミュレーションの導入を決定し、2024年度より実行しています。また、社員がホームヘルパーを必要とした際に費用を一部補助するホームヘルプサポートの拡充や、万一の際の遺族共済年金支給対象を拡大するなど、健康と安心の双方から取り組みを進めています。
ロ) 多様な働き方実現による、生産性・効率性の追究(「働き方」)
当社は1990年4月に「エーザイ・イノベーション宣言」を発出し、「エーザイは社員全員にとって自己発現のよき器でありたい」との考えを定めて以来、社員一人ひとりが活躍できる就労環境の構築や、パフォーマンスを最大限発揮できる働き方の実現に向けた取り組みを進めています。また定款には、「働きやすい環境の整備」を明記しており、社員一人ひとりを取り巻く環境や価値観は多種多様であるとの考えのもと、社員のWork Life Bestをコンセプトに、様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組める就業環境を整備しています。
<具体的な取り組み>
社員のWorkとLifeのBestを追求するWork Life Bestと、生産性・効率性の双方を追求していくために、多様な働き方の構築を進めています。連続した休暇取得を目的としたワーケーション制度やバカンス休暇制度、自己実現やキャリア構築を見据えた副業制度、社員一人ひとりの自律を高める裁量労働制の拡大、男性の育児参画支援とともに育児や不妊治療と就労の両立支援に向けた関連諸制度の拡充、DE&Iの観点から事実婚や同性婚も福利厚生制度の対象とするなど、社員の多様な働き方を推進しています。
ハ) 社員の自己実現に向けた成長機会の提供(「社員の成長」)
当社は、患者様・生活者の皆様を中心にものごとを考えるhhc企業であり、患者様・生活者の喜怒哀楽を知るための努力を継続しています。ますます多様化する患者様や生活者の皆様のニーズに応えうる多様性を備えるため、社員が自身の将来を明確に見据え、hhc理念の実現や自己実現のために自律的に成長し続けることを支援するとともに、その挑戦を称賛する企業風土を醸成します。
<具体的な取り組み>
当社は、様々な研修プログラムで、患者様やそのご家族との「共同化」の機会を設けています。社内外の方々と信頼を構築し、挑戦し、社会に価値を提供し続ける人財がいきいきと成長できる環境の実現をめざしています。
キーワードは自律、挑戦です。研修の多くは公募制で開催します。自らの将来や現状を見据え、各自が必要なアクションを起こします。研修後はとにかく実践、大小問わず挑戦を求めます。挑戦したからこそ得られる学びがきっとあると考えています。また、社外に出ていく機会も増やしています。自分たちが持つ当たり前が通用しない世界でどれだけ価値を生み出せるか、多様な人財といかに共創するかを自問自答する機会です。社が掲げるhhcecoの実現に大きく関わる経験になると信じています。自律や挑戦を促すには周囲の関わりも重要です。そのため、個人のキャリア形成と業務を通じた自己成長の加速に向けて社員と上長との1対1ミーティングの実施を促進しています。また、自己啓発や社会貢献活動を実施する際に利用可能な特別有給休暇制度の導入、研修参加者の学びを共有する場として組織内外のメンバーが参加するオンライン対話の実施等、ハード/ソフトの両面における新たな施策に取り組んでいます。
ニ) 挑戦を称賛する企業風土・組織体制の実現を通じた持続的な事業成長(「事業・組織」)
当社は、社員一人ひとりがhhc理念に強く共感しながら、やりがい・働きがいをもって日々の業務を遂行し、社会善を効率的に実現することを目指しています。またデータに裏付けられた客観的な意思決定を通じ、より社会的価値の高い企業への進化を目指しています。
<具体的な取り組み>
i.従業員のエンゲージメント向上
社員が高いエンゲージメントをもち、業務を遂行することが高生産性につながり、患者様・顧客満足に結びつくことを人財戦略の根幹に据えています。当社では、2020年5月に従業員エンゲージメントの月次サーベイを導入し、スコアに基づく職場での話し合い、改善を継続しています。また、2021年度より、グローバルなエンゲージメントサーベイを導入し、全グループ会社で、働きがいの向上を通じた顧客貢献を推進しています。2024年2月-3月に実施した第三回調査においては、実に90%の社員が回答し、高エンゲージメントの社員は前年・ベンチマークを上回る85%でした。データの分析を進め、社員のエンゲージメント向上につながる施策の検討を進めていきます。
ii. 組織・人財マネジメントの最適化
経営戦略を実行する人財基盤を最大化していくため、定性的な情報活用に加え、ピープルアナリティクス(社員や組織に関するデータ収集・分析)により社員のエンゲージメントの可視化を行っています。得られた定量的な情報を活用することで、人財ポートフォリオ分析や最適配置分析を行い、データに基づいた効果的な人事戦略を実行し、パフォーマンスの最大限を目指します。
また、グローバルな重要ポジションについては、サクセッションプランニングのプロセスを年次で実施することにより、国籍・ジェンダー・年代等の多様性を確保した次世代リーダーの選定、育成、登用を行っています。
⑤ 人権尊重への取り組み
当社グループは、人権をビジネス活動における最も普遍的でファンダメンタルな要件と認識し、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」、「OECD多国籍企業行動指針」及び「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(ILO多国籍企業宣言)」をはじめとする国際スタンダードに則った人権尊重の取り組みを進めています。また、人権デューデリジェンスの実施を義務化する「EU企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令」(2024年4月EU議会採決)や人権を含むサステナビリティ情報の開示を義務化する「企業サステナビリティ報告EU指令」(2023年1月発効)はEU域外の企業にも適用され、グローバルで企業の人権への取り組みを義務化する法制化が進んでいます。当社グループでは、2019年3月には、業務執行の最高意思決定機関である執行役会の承認と取締役会の了承を得て、「ENW人権方針」を策定しました。国際人権規範に基づく対応は、組織横断型プロジェクトである「ビジネスと人権プロジェクト」が担っています。同プロジェクトが中心となって、当社の事業による影響を受ける主要なステークホルダーである「患者様と臨床試験の参加者」、「従業員」、「ビジネス・パートナー(サプライチェーン上のステークホルダー)」について、人権に負の影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定し、回避・軽減するための施策を行い、実施状況をモニタリングして結果を開示するサイクルを回す人権デューデリジェンスを実施しています。
(a) サプライチェーンにおける人権への取り組み
各国で取り組みに関する法制化が進む中、日本でも2022年9月に人権に関する日本政府の指針として「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が発出されました。グローバルでビジネスを展開するにあたり、日本企業にはサプライチェーンやビジネス上の関係先の人権リスクを軽減していく努力が強く求められています。当社グループも「サプライチェーン上の人権」を優先して取り組むべき課題として認識し、直接材の一次サプライヤーおよび(一次サプライヤーが商社・卸である場合には)二次サプライヤーの国内外のお取引先を対象とするサステナブル調達を実施し、人権・労働を含めたサステナビリティ評価により、お取引先の人権尊重への取り組み状況の把握と人権課題の抽出、さらにエンゲージメントに努めています。また、2023年9月に直接材のお取引先167社を対象に開催したお取引先説明会では、社外専門家による「人権・環境を巡る規制動向と日本企業に求められる対応」と題したご講演も組み入れ、企業における人権尊重責任の重要性を啓発しました。
(b) 従業員の人権への取り組みおよび患者様と臨床試験の参加者への取り組み
臨床研究においては、臨床試験にご参加頂く方の人権を尊重し安全に最大の配慮を行うため、ICH-GCPを遵守し、患者様の自由意思による同意(インフォームド・コンセント)を得て、各国の規制要件、社内基準および治験実施計画書に従って臨床試験を実施しています。さらに、治療選択肢を包括的かつ公平に提供するために、臨床試験における多様性の取り組みを中核的なコミットメントのひとつに位置づけ、民族・人種・性別・年齢・社会経済状況・性同一性・居住地・身体能力に関わらず、すべての患者様の臨床試験へのアクセス拡大に努めています。
患者様の人権への取り組みは「① 医薬品アクセス改善に向けた取り組み」、従業員の人権への取り組みについては「④人財価値の最大化に向けた基本的な考え方」をご参照ください。
(c) 人権の教育・研修
人権尊重を基盤におくビジネス活動を推進するため、当社及び国内グループ会社の役員、従業員を対象として、人権啓発研修、講演会の開催、人権標語の募集などの活動を行っています。2023年度は、「全ての社員がいきいきと働ける職場づくり(社会善の実現のために)」をテーマとして、動画配信による人権啓発研修を実施し、国内グループ会社を含め従業員4,788 人(参加率93%)が受講しました。さらに、「ネット・SNSの人権侵害」をテーマに、外部から誹謗中傷を受けた当事者様をお招きしてWeb 講演会を開催しました。ライブ講演と動画配信の受講者を合わせて6,336 人(参加率123%、重複を含む)が聴講しました。
⑥ サステナブル調達
企業には、サプライチェーン全体で、人権、労働・安全、環境、倫理などを重視した持続可能な調達活動(サステナブル調達)が求められています。サステナブル調達により、サプライチェーンにおける人権侵害や環境問題の発生を未然に防止し、堅固で持続可能なサプライチェーンを構築することが可能になります。こうした活動は、業界全体で推進することが、効率的かつ効果的であることから、当社は、2021年より、製薬・ヘルスケアセクターのグローバルな非営利団体であるPSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)に加盟しており、PSCIの行動規範(PSCI原則)を尊重し、取引先とともにサステナブル調達に取り組んでいます。
取引先への働き掛けとして、当社グループの取り組み方針の説明、PSCI原則に準拠して策定された「ビジネス・パートナーのための行動指針」(以下行動指針)への同意書の提出、サステナビリティ調査を行うEcoVadis SAS(フランス)のプラットフォームを利用した取引先のサステナビリティ評価、評価結果のフィードバックによるエンゲージメントを実施し、当社グループの全調達活動を対象に2022年9月に策定した「ENWグローバル調達スタンダード」の遵守すべき事項として定めた項目の実効性を高めるための活動を継続的に進めております。
直接材については、2022年度からサステナブル調達の対象を当社海外工場の取引先に拡大しました。2023年度までに、当社海外工場のうち中国、インド、インドネシアの3工場において、主要取引先からの行動指針の同意書の提出、EcoVadisサステナビリティ評価結果の共有に取り組んでいます。加えて、2023年度には米国においてレケンビ製造関連の取引先をサステナブル調達の対象に加えました。国内工場の直接材の取引先については、第5回目となる取引先説明会をリモートで開催し、163社の取引先に参加頂きました。また、サステナビリティ評価結果をベースとした対話により、優先して改善すべきポイントを共有するため、国内外において取引先との面談を進めています。間接材についても、取引額が一定の基準以上の場合には、取引先に対し、新規契約もしくは契約更新時に「行動指針」への同意を順次要請しました。
⑦ コンプライアンスに関する取り組み
(a) コンプライアンスの推進
(b) コンプライアンス・カウンターの活用
(c) お取引先様コンプライアンス通報窓口
(d) 贈収賄・汚職の防止
(a)コンプライアンス推進、(b)コンプライアンス・カウンターの活用、(c) お取引先様コンプライアンス通報窓口、(d) 贈収賄・汚職の防止については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 ③ 企業統治に関するその他の事項 (a) 内部統制システムとリスク管理体制の整備の状況 ロ) コンプライアンス・リスク管理 ⅰ) コンプライアンスの推進」、(2)コンプライアンス・カウンター、お取引先コンプライアンス通報窓口の活用と監査委員会への報告」及び同「(4) 関連当事者間の取引」をご参照ください。
(e) コンプライアンスに則ったプロモーション
当社グループは、グローバルにコンプライアンスに則ったプロモーション活動を行っています。また、企業活動が高い倫理性のもとに行われていることを広く社会にご理解いただくため、日本製薬工業協会(製薬協)や各国で定める法令・ガイドラインに則り、医療機関等および患者団体に対する支払いを公開しています。
イ) コンプライアンス・ハンドブックに行動指針を規定
当社グループでは、全社員に配付される「コンプライアンス・ハンドブック」に、コンプライアンスに則ったプロモーションを行うための行動指針を規定しています。以下はその抜粋です。
•エーザイネットワーク企業(ENW)は、世界各地で医薬品の販売とプロモーションを行っています。私たちは、現地の規制当局が承認した、適正使用に関する科学的かつ正確な情報を提供し、プロモーションを行っています。
•「プロモーション」とは、医療従事者を対象として、インターネットを含むすべてのコミュニケーション手段を通じて、医薬品の処方、推奨、供給、投与、または消費を促進するために実施、企画、または後援するあらゆる活動を指しています。
•医療従事者と交流を行う際には、自国での規制およびルールに精通していることが求められ、自国以外で医療従事者と交流する際にはその国の規則およびルールを確認する必要があります。
•未承認、適応外、適応追加前、あるいは科学的根拠のないプロモーションは、厳格に禁止されています。すべてのプロモーション資材は自国のプロセスに従って、レビューおよび承認される必要があり、承認された目的にのみ使用できます。
ロ) エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティスの制定
国際製薬団体連合会(IFPMA)は2012年3月に、マーケティング活動だけではなく、医療関係者、医療機関、患者団体との交流、および医薬品のプロモーションを対象とした「IFPMAコード・オブ・プラクティス」を発表しました。当社が会員会社となっている日本製薬工業協会(製薬協)は、「IFPMAコード・オブ・プラクティス」の趣旨に則り、「製薬協コード・オブ・プラクティス」を制定、施行しました。当社は「製薬協コード・オブ・プラクティス」の趣旨に則った「エーザイ株式会社コード・オブ・プラクティス」を制定しました。当社グループの全役員・従業員は、同コードに則り、常に高い倫理性と透明性を確保し、研究者、医療関係者、患者団体等との交流に対する説明責任を果たし、社会の信頼に応えていくべく、各々の活動を推進しています。
⑧ 情報セキュリティへの取り組み
IT・デジタルの活用が進展する一方で、年々、高度化・巧妙化するサイバー攻撃によって、操業停止等、事業活動への影響が生じる可能性が高まっています。
当社グループは、個人情報や未公開情報を含めた多くの重要情報を保有していますが、そのような重要情報が社外に流出した場合、信頼や競争優位性を大きく失うこととなります。特に、近年は個人情報保護に関するグローバルな要請に的確に対応することが求められてきています。また、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して影響を及ぼします。当社グループの信頼あるいは競争優位性の低下が生じた場合には、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃等による重要業務の中断や個人情報・秘密情報等の漏えいを防止するため、チーフインフォメーションオフィサーを新たに任命し、 IT機能の強化とグローバル体制の整備を加速させています。また、システムインフラのセキュリティ強化に加え、情報管理に関する規程等を整備し、役員・従業員へ日常業務における情報管理教育、サイバーセキュリティ訓練などを実施し、グローバルな情報セキュリティに関する継続的なガバナンス強化と施策の実行に取り組んでいます。
⑨ 知的財産投資への取り組み
当社グループが、研究開発やビジネス活動に投資し、その過程で得られた成果として、独自に開発した技術や製品を法的に保護し、有効活用することは、企業が持続的に成長・発展し、患者様へ安定して医薬品をお届けするために欠かすことのできないものです。そのため当社では、特許取得など、知的財産に関する諸活動を戦略的に進めています。
なお、当社グループの知的財産投資への取り組みは、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」、② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み」及び当社ウェブサイト(https://www.eisai.co.jp/company/business/research/ip/index.html)をご参照ください。