2024年4月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 2,863 100.0 101 100.0 3.5

事業内容

 

3 【事業の内容】

当社は、「テクノロジーで世界中の人々を幸せに」を企業理念に掲げ、AIアルゴリズム(注1)により、顧客の課題を解決し、社会に貢献するAIアルゴリズム事業(具体的にはAIソリューションサービスの提供・AI教育サービスの提供・AIプロダクトの開発/販売)を展開しております。

また、当社はテクノロジーの中でも、技術進歩が速く人々への貢献が今後大きく見込めるAI領域を創業時からのビジネスドメインとしており、当社がビジネスドメインとするAIビジネス市場は今後さらなる成長が見込まれている領域であります(国内AIビジネス市場2021年度:1兆1,608億円→2027年度:1兆9,787億円。富士キメラ総研2022人工知能ビジネス総調査より引用)。

当社は、日本がSociety 5.0(注2)実現にあたり、長期的視点から「AIがAIを創る時代」(注3)が到来すると考えていますが、現代は「ヒトがAIを創る時代」(注4)であるとともに、「AIがAIを創る時代」への入り口と捉えてビジネス展開を行っております。また、人類規模の課題の解決、SDGs(注5)の達成に課題先進国であるわが国の貢献が問われ、内閣府はその答えとして「Society 5.0」を提示しています。このSociety 5.0実現の重要な要素が「AI」と示されており、企業だけでなく個人や社会制度、産業基盤などにおいてもAI-Ready(注6)な状態が求められており、その指針として日本経済団体連合会はAI-Ready化ガイドライン(注7)を定めています。このような国策、少子高齢化に伴うAIやロボット化ニーズの高まり、OpenAIにより発表されたChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)(注8)に関する我が国における関心の高まり、データ処理スピードの向上に伴うAIアルゴリズムの精度向上などを鑑みると、今後AIアルゴリズム需要は中長期的に拡大し続けると考えており、このようなAIアルゴリズム需要の高まりを事業拡大に繋げてまいりたいと考えております。

 

当社は、AIアルゴリズム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、主たるサービスの特徴を分類すると下記の3サービスに分類されます。このうち、AIソリューションサービスが主力サービスであり、2024年4月期のサービス別売上構成はAIソリューションサービスが26.6億円で全体の93.0%、AI教育サービスが1.3億円で全体の4.6%、AIプロダクトサービスが0.6億円で全体の2.4%となりました。

(1)AIソリューションサービス

(2)AI教育サービス

(3)AIプロダクトサービス

 

また、3サービス現在それぞれビジネス収益源になるだけでなく、シナジーの創出に取り組んでおります。

*創出されたシナジーの例(3サービスの内容については後述):

具体的には、AIソリューションサービスにより創出されたAI人材データベース、このデータベースを活用することで生まれたAI教育サービス「AIジョブカレ」やAIプロダクトサービスの「GeAIne」、「AIジョブカレ」をAIソリューションサービスで稼働するフリーランス向けの福利厚生の一環として利用、「GeAIne」をAIソリューションサービスやAI教育サービスの新規顧客開拓ツールとして利用、上記以外にも、サービスの垣根を越えた顧客の紹介等の相互作用が生まれています。

 

(1)AIソリューションサービス

当社では、AIアルゴリズムを顧客の業務・システムに実装するAIソリューションサービスを提供しております。顧客の業務改善や経営課題の解決を目的として業務分析を実施し、データ利活用によって解決可能な課題を判別して概念実証(PoC)(注9)を行った後に、AIアルゴリズムを既存の業務・システムに組み込み、実装・運用するところまでを一気通貫で行う事が可能なサービスとなります。AIアルゴリズム実装を通じて得られる効果は様々ですが、例えば消費者向けの商品を販売する企業であれば、一般的な消費者がリピーターになるまでの過程をデータを用いて可視化し、さらには複数の施策の中から最も効率的な施策をAIを用いて導き出し、広告運用や売上増を狙う新規施策の立案に役立てることができます。

当社は、「BIGDATA NAVI」等を通じて創出した、フリーランスのAI人材データベースを保有しており、AI人材データベースの拡大を続けております。当社では、このAI人材データベースを活用し、顧客のビジネス上の課題に合わせて当社社員(営業・コンサルタント*¹)とフリーランスで専門チームを編成して展開する事が多いところに特徴があります。

 

これは、高度な専門的知識が必要となるAI領域では独立してフリーランスとして活躍する人材が多い特徴を有しているためであり、当社では多くの企業のプロジェクト・AI領域に精通した社員とフリーランスがタッグを組みAIアルゴリズム実装を進めます。AIアルゴリズム実装を行う際には、顧客の要望に応じて個別開発を行う場合や学習済みモデル*²を利用し効率的にAI開発を行う場合等がございます。サービス提供時は当社社員(営業・コンサルタント)2名とプロジェクト規模に応じて複数名のフリーランスでチームを編成することを基本としております。当社社員(営業・コンサルタント)はプロジェクト管理を行う役割を担い、フリーランスは業務を遂行する役割を担います。業務を遂行する役割は、フリーランスだけではなく、当社社員(AIエンジニア)が担う場合もあります。2024年4月期における販管社員*³一人当たりの生産性*⁴は月額1,129千円、当社社員の販管社員人数*⁵は52名でした。

 営業・コンサルタントとは、顧客開拓を行い、開拓した顧客のビジネス上の課題を解決するため、フリーランスとチーム編成を行い、プロジェクト管理及び推進を行う一連の業務に携わる当社社員を意味します。

 大量データを使って学習済みの公開されているモデルの事です。学習済みモデルを再利用することで、短時間で精度の高いモデルを構築していく事が可能になります。

 販管社員は、営業・コンサルタント(顧客開拓を行い、開拓した顧客のビジネス上の課題を解決するため、フリーランスとチーム編成を行い、プロジェクト管理及び推進を行う一連の業務に携わる当社社員)や営業社員、フリーランスの経験やノウハウを見極めチームアサインを促進する役割を担う社員等、AIソリューションサービスにおいて販売管理活動に従事する社員を意味し、エンジニアを除きます。

*⁴ 販管社員一人当たりの生産性とは、各事業年度期間内の各月売上総利益の総和を同期間内の各月販管社員人数の総和で除した販管社員1名当たりの月次平均売上総利益を意味します。

*⁵ 販管社員の人数とは、各事業年度期間内の各月販管社員人数の総和を各事業年度期間内の月数で除算した月次平均販管社員人数を意味します。

当該サービス2014年の設立時から開始しており、重要指標である売上総利益は「月次稼働人員数×1稼働人員あたりの平均粗利」から算出することができます。月次稼働人員数は当該期間において顧客に請求した人員の作業量(人月)を合計した数値であり、2023年5月~2024年4月(2024年4月期)における月次稼働人員数の平均は186人月、1稼働人員あたりの平均粗利は309千円となりました。当社のAI人材データベースにフリーランスが登録を行う際、当社では登録面談を実施しており、フリーランスが持つ実務経験の確認を行っております。一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)のE資格がディープラーニング技術の実装能力認定の資格として知られておりますが、当社では当該資格の有無を確認しつつ、実務経験を重視しているためであります。そして、プロジェクトに最適なチーム編成を行うことで、専門性が高く、幅広いAIアルゴリズム実装が可能となっております。

また、このようなAI人材データベースは、当社が運営するフリーランス向けAI案件情報サイト(2 [沿革]の注記4を参照)「BIGDATA NAVI」での案件情報の提供やフリーランスの皆様からのご紹介等により拡大しております。このように当社の競争力の源泉は、独自に構築したフリーランスのAI人材データベースを活用して、サービス提供を行うビジネスモデルにあります。

 

次に、AIソリューションサービスの強みである①実績②柔軟性&スケーラビリティ③専門性④継続性⑤顧客分散の5つについてご説明いたします。

 プロジェクト規模に応じて稼働するフリーランスを自社のAI人材データベースから調達し、人員数を拡大することができます。

 


 

1.実績

・・・幅広い業界リーダーとの取引実績がございます。

具体的には、㈱バンダイナムコネクサス、サントリー㈱、AGC㈱、㈱グロービス、GO㈱、

ウーブン・バイ・トヨタ㈱、㈱NTTデータ、㈱野村総合研究所などの企業です。

2.柔軟性とスケーラビリティ

・・・独自のAI人材データベースを有していることから、スポット型から、一気通貫型まで、多種多様なAIプロジェクトに対応可能な柔軟性と、迅速にチームを拡張できるスケーラビリティがございます。

 一般社団法人データサイエンティスト協会では、データサイエンティストが実際に行う業務を①企画立案~プロジェクト立ち上げ②アプローチの設計~データ収集・処理③データの解析~データ可視化④業務への組み込み~業務の評価・改善の4つのフェーズに分類しています。当社では各フェーズや細分化されたタスクを実行することをスポット型、すべてのフェーズを自社で対応することを一気通貫型と整理しています。

 

3.専門性

・・・設立時より蓄積してきたAIプロジェクト管理・推進ノウハウとAIアルゴリズム実装ノウハウで専門性の高いAIソリューションサービスを提供します。

 

(AIプロジェクト管理・推進ノウハウ)

AIプロジェクト管理・推進ノウハウとは、以下の3つのノウハウを指します。

① 顧客の課題をデータ分析・AIアルゴリズム実装を通じて課題解決に導く提案力

② 提案内容に合致した実務経験を保有しているフリーランスとチームを編成する力

③ 編成したチームでプロジェクトを成功に導くプロジェクト管理・推進能力

 

(AIアルゴリズム実装ノウハウ)

AIアルゴリズム実装ノウハウとは、技術顧問陣・当社社員のAIエンジニアに加えて、豊富な実務経験を身に付けたフリーランスが提供する専門的な技術力を指します。なお、フリーランスが保有する実務経験は、当社が行う登録面談で確認を行っております。

 

4.継続性(「継続性のあるサービスについて」として後述します。)

 ・・・サービスを長期利用するリカーリング型顧客が収益基盤です。

2024年4月期のリカーリング売上構成比率は85.9%*²*³です。2024年4月期の顧客数211社のうち、リカーリング型顧客は117社、通常顧客は94社でした。

*¹ 過去4四半期連続でサービスを利用した顧客をリカーリング型顧客と定義しております。

 AIソリューションサービス・リカーリング売上(2024年4月期においてリカーリング型顧客に該当した顧客の売上)をAIソリューションサービス・全体売上高(2024年4月期)で除算して算出

 当該数値は有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。

5.顧客分散

・・・特定顧客に依存しない分散された顧客基盤を有しており、幅広い業種の大手企業を取引先としております。

AIソリューションサービス全売上に対するトップ顧客の売上比率でも15.0%程度であり、業績が特定顧客の契約に左右されません。

     当該期間における当社の売上高の上位顧客

 

2024年4月期における顧客別売上高ランキング・業種と売上高構成比率

 

ランキング

顧客が属する業種

売上高構成比率

1

ソフトウェア・SI

15.0%

2

情報通信・インターネット

3.7%

3

ソフトウェア・SI

2.6%

4

自動車・自転車

2.4%

5

情報通信・インターネット

2.1%

6

その他製造業

2.1%

7

ソフトウェア・SI

1.9%

8

ソフトウェア・SI

1.8%

9

人材

1.8%

10

ソフトウェア・SI

1.8%

 

    顧客名の開示に代えて顧客が属する業種を表示したものであります。

 

継続性のあるサービスについて

1. 粘着性と契約月数

粘着性(スティッキネス)とは、顧客が当社サービス利用開始後に終了しづらい要因があり、結果、契約期間が長くなることを表します。その要因は顧客が当社サービスに満足しており、また複数のプロジェクトが並行しているためです。

当社では、顧客セグメントの分け方としてリカーリング型顧客と通常顧客の2種類に分類しております。リカーリング型顧客は過去4四半期連続でサービスを利用した顧客であり、通常顧客はリカーリング型顧客以外の顧客と定義しております。サービスの利用期間は顧客との関係性を表す指標であり、サービス利用期間が長いリカーリング型顧客は当社のコアなファン層として継続的な取引が見込めます。下記の図は設立時からの顧客セグメント別の平均契約月数を表したものです。リカーリング型顧客の平均契約月数は新規顧客が増加したことを背景に平均では若干減少となったものの、2024年4月期において32カ月となり、リカーリング型顧客は粘着性があると言えます。

 

2. 取引期間とプロジェクトの増加

取引期間が継続することで、リカーリング型顧客は当社サービスのコアなファン層に変化していきます。サービス提供開始当時は、一つだけのプロジェクトだったものが、サービスの理解が進むにつれて複数のプロジェクトをご依頼いただくケースが増えています。このように、取引の関係性が深まるにつれて顧客単価が増加していきます。


* 顧客セグメント別平均契約月数。

 

3. リカーリング型顧客による収益基盤

リカーリング型顧客はAIソリューションサービスの2024年4月期の売上のうち85.9%を占めており、当社の主要な収益基盤であると言えます。また平均売上単価は、通常顧客は3,999千円に対してリカーリング型顧客は19,530千円となっております。

 


 

 

*¹ 各事業年度に売上のある顧客のセグメント別(通常顧客、リカーリング型顧客)の売上高合計

*² 各事業年度に売上のあるリカーリング型顧客の売上高合計を各事業年度に売上のある全顧客の売上高合計で除算して算出

*³ 2024年4月期に売上のある顧客(リカーリング型顧客、通常顧客)の平均売上単価

 

上述のとおり、当社のAIソリューションサービスでは、リカーリング型顧客が重要な収益基盤となるため、参考指標としてARR*¹を記載します。なお、ARR(2024年4月期)は2,029,406千円*³で前年同期比9.3%増、重要指標である売上総利益(2024年4月期)は691,057千円で前年同期比は2.6%減となりました。

 

 


 

 

*¹ ARR:Annual Recurring Revenueの略称。該当月のMRR*2を12倍して算出。

*² MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月において契約のあるリカーリング型顧客による売上高の合計額(一時収益の通常顧客は含まない)

*³ 当該数値は有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません

 

(2)AI教育サービス

企業におけるAI人材は不足しており、今後もAI人材の需給ギャップは拡大することが見込まれています。経済産業省が作成した資料によると2018年には3.4万人のAI人材の需給ギャップが2030年には12.4万人まで拡大する見込みです。

AI人材の需給ギャップ:2018年34,000人→2025年88,000人→2030年124,000人―新たなイノベーションエコシステムの構築実現に向けて―経済産業省産業技術環境局(2020年1月16日)より引用)

そのような中、当社では、AI教育サービス(AI技術専門の個人向け教育講座・法人研修・AI領域専門の有料職業紹介)を行っております。

当該サービスについても当社のAI人材データベースを生かし、80名の経験豊富な講師陣(2024年4月末時点)を揃えて、幅広く*¹、専門性の高いAI講座を開講できる事を強みにしております。また、当社のAI教育講座は、仕事に直結するAI講座をテーマにしており、講師陣には経験豊富な現役データサイエンティストを迎え、受講生が卓上の理論だけでなく実務的解決策を習得可能とし、ご希望のある受講完了者にはAIソリューションサービスAI人材データベースに加わっていただきます。

当初は個人向けのAI教育プログラムとしてスタートしましたが、実務で使える技能習得というコンセプトをご評価いただき、法人研修(日本国行政省庁・地方自治体・学校等の組織・団体を含む)としてご利用いただく機会が増えてきており、現在では、法人研修を主としたサービス展開を行っております。法人研修では、顧客の課題をヒアリングさせていただきながら、カスタマイズしてご提供しており、2024年4月期末の月平均利用社数は13社となっております。なお、AI領域専門の有料職業紹介は主に個人向け講座の受講者を対象としております。

 

 初学者向けには数学やプログラミング基礎を学ぶ講座、JDLAのE資格受験者向けには機械学習・深層学習を学ぶ講座、E資格合格者向けにはケーススタディを用いてAI実装の理解を深める講座等、受講者の理解度や目的にあった講座を複数ご用意しております。

*² 現在法人研修がAI教育サービスの主力となっておりますので、法人研修の主要指数である利用社数を2023年4月期まで記載していた個人向けサービス指標(受講生数、転職希望登録者数、転職成功者数)に替えて記載しております。

 

(3)AIプロダクトサービス

当社では、AIを実装したプロダクトを販売するサービスを行っております。

現在販売しているサービスは、2017年にリリースしたAI営業支援システム「GeAIne(ジーン)」です。GeAIneは送信先企業のリストをアップロードするだけで、予め設定した営業文書を対象企業の問い合わせフォームに一括で自動書き込みできるサービスです。自動で対象企業のURL特定、ホームページ(以下HP)を解析して問い合わせフォームを検出し、自動書き込みを実行するため、従来の電話営業や人手によるHP検索、メール配信営業の工数を大幅に削減できます。また、HP上の営業禁止コメントがある場合には自動で読み取り、書き込みを行わないコンプライアンス機能、顧客が過去受注した企業一覧と照合することで親和性があり、受注確率が高い企業を自動分析するオススメ分析機能など、人的な手間・工数を削減する機能が多数搭載されています。これらの機能が評価され、利用社数71社(2024年4月末)のサービスに成長しました。なお、当社は創業当時から企業HPの問い合わせフォームに手作業で営業文章を送付するという営業手法を行っておりましたが、この営業手法を自動化した製品がGeAIneであり、現在も自社の営業手法の一つとして活用しています。

AIプロダクトサービスは特定企業のニーズではなく、同じ課題を抱える複数企業に対して安価に提供することを想定しています。当社では、GeAIneを運営することで、自社プロダクトを販売・運営・管理するノウハウを既に獲得しており、次なるAIプロダクトを生み出し、AIプロダクトサービスを拡大する基盤を形成しております。

 

(注) 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。

項番

用語

用語の定義

アルゴリズム

コンピューター上における問題を解くための手順・解き方

Society 5.0

日本が提唱する未来社会のコンセプト。サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。Society5.0では、膨大なビッグデータを人間の能力を超えたAIが解析し、その結果がロボットなどを通して人間にフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。(内閣府HPより)

AIがAIを創る時代

米国の発明家であり、AI研究の世界的権威であるレイ・カーツワイルは、2045年にはAIの性能が人類の知能を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が到来すると述べています。当社ではシンギュラリティの到来により、「AIがAIを創る時代」に移行すると考えております。

ヒトがAIを創る時代

シンギュラリティが到来する前は、AIはヒトの手によって生み出されます。当社では現在からシンギュラリティの到来までを「ヒトがAIを創る時代」と捉えて、独自のAI人材データベースを活用したサービス提供を行っています。

SDGs

「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称

AI-Ready

AI-ReadyはAIを人間が有効かつ安全に利用できる状態であること

AI-Ready化ガイドライン

AIの活用、展開を迅速に行うためには、あらゆるレイヤーでのAI-Ready化が必須であることから、このAI-Ready化に向けての方針を定めたもの

大規模言語モデル(LLM)

非常に巨大なデータセットと、人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させるAIの手法のひとつであるディープラーニング技術を用いて構築された言語モデル(LLM:Large Language Modelsの略称)

概念実証(PoC)

コンセプト(概念)の実現可能性を検証すること

 

 

 

<事業系統図>

 

① AIソリューションサービス


 

② AI教育サービス


 

③ AIプロダクトサービス


業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、景気はこのところ足踏みもみられますが、緩やかに回復しております。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、今後の金融市場の変動等の影響に十分な注意が必要な状況が続いております。

一方、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やOpenAIにより発表されたChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)に関する我が国の関心の高まり等はAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。当社においてもこのような需要を取り込むとともに、採用強化により、多くの人材獲得に繋げられたことで活動量が増加し、売上高は前年同期比7.5%増となりました。また、採用強化に伴う採用費、人件費の増加により、販売管理費が22.2%増加したことから、この結果として、営業利益は前年同期比58.7%減となりました。

以上の結果、当事業年度における売上高は2,862,618千円(前年同期比7.5%増)となり、営業利益は101,074千円(前年同期比58.7%減)、経常利益は94,714千円(前年同期比61.5%減)、当期純利益は67,358千円(前年同期比60.7%減)となりました。

なお、当社の事業セグメントはAIアルゴリズム事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

当事業年度末における流動資産は955,907千円となり、前事業年度末に比べ43,249千円増加いたしました。これは主に売上高の増加に伴い売掛金及び契約資産が22,320千円増加したこと、営業活動による収入等により現金及び預金が8,055千円増加したこと、未収還付法人税等など、その他流動資産が11,542千円増加したこと等によるものであります。

また、当事業年度末における固定資産は25,504千円となり、前事業年度末に比べ12,265千円増加いたしました。これは本社移転による敷金の支払等により投資その他の資産が10,573千円増加、パソコンを購入したことにより有形固定資産が1,692千円増加したこと等によるものであります。

この結果、当事業年度末における資産合計は981,411千円となり、前事業年度末に比べ55,514千円増加しております。

(負債の部)

当事業年度末における流動負債は295,075千円となり、前事業年度末に比べ6,672千円減少いたしました。これは主に外注原価の増加に伴い買掛金が12,057千円増加したこと、未払金が8,213千円増加、未払費用が6,700千円増加した一方で、未払法人税等が支払により31,963千円減少したこと等によるものであります。

また、当事業年度末における固定負債は10,664千円となり、前事業年度末に比べ7,152千円減少しました。これは1年内返済予定の長期借入金への振替により長期借入金が7,152千円減少したことによるものであります。

この結果、当事業年度末における負債合計は305,739千円となり、前事業年度末に比べ13,824千円減少しました。

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は675,672千円となり、前事業年度末に比べ69,339千円増加しました。これは、新株予約権の行使により、資本金、資本準備金がそれぞれ991千円増加したこと、当期純利益の計上により、繰越利益剰余金が67,358千円増加したこと等によるものであります。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物の残高(以下「資金」という。)は654,964千円となり、前事業年度末に比べ8,055千円増加いたしました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動の結果、獲得した資金は32,623千円(前年同期は116,741千円の獲得)となりました。主な増加要因は、主として利益体質の事業活動の成果として、税引前当期純利益94,714千円(前年同期は245,868千円)の計上があったこと、主としてAIソリューションサービスの外注原価の増加に伴い仕入債務が12,057千円増加(前年同期は19,837千円増加)、一時的な支払手数料の増加等を要因として未払金が8,213千円増加(前年同期は33,775千円減少)したことによるものであります。一方、主な減少要因は、主としてAIソリューションサービスの売上増加に伴い売上債権が22,320千円増加(前年同期は8,332千円増加)したこと、法人税等の支払額が66,578千円あったこと(前年同期は111,921千円減少)等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動の結果、支出した資金は18,800千円(前年同期は2,483千円の支出)となりました。主な支出要因は、本社移転による敷金及び保証金の差入による支出が13,857千円(前年同期は該当ございません)及び、パソコン等有形固定資産の購入による支出4,943千円(前年同期は2,483千円の支出)によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動の結果、支出した資金は5,766千円(前年同期は38,346千円の支出)となりました。主な増加要因は、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,981千円(前年同期は3,236千円の収入)によるものであります。一方主な減少要因は、長期借入金の返済による支出7,748千円(前年同期は41,541千円の支出)によるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はAIアルゴリズム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりませんが、販売実績をサービス区分ごとに示すと、以下のとおりであります。

 

サービスラインの名称

販売高(千円)

構成比率(%)

前期比(%)

AIソリューション

2,661,013

93.0

7.6

AI教育

133,035

4.6

24.0

AIプロダクト

68,569

2.4

△16.3

合計

2,862,618

100

7.5

 

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社バンダイナムコネクサス

384,358

14.4

398,692

13.9

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.経営成績の分析

当事業年度におけるわが国経済は、景気はこのところ足踏みもみられますが、緩やかに回復しております。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、今後の金融市場の変動等の影響に十分な注意が必要な状況が続いております。

一方、各企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やOpenAIにより発表されたChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)に関する我が国の関心の高まり等はAIアルゴリズム実装に対する需要を高めていると考えております。

 

(売上)

当事業年度における売上高は、2,862,618千円(前年同期比7.5%増)となりました。AIアルゴリズム実装に対する需要を取り込むとともに、採用強化により、多くの人材獲得に繋げられたことで活動量が増加したことを要因に、売上を増加させることができました。

 

(売上原価・売上総利益)

当事業年度における売上原価は、2,035,007千円(前年同期比11.6%増)となりました。主な要因は、AIソリューションサービスにおいて、売上規模拡大に伴い外注原価等が増加したことによるものです。

以上の結果、当事業年度の売上総利益は827,611千円(前年同期比1.4%減)となりました。

 

販売費及び一般管理費・営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、726,536千円(前年同期比22.2%増)となりました。これは主に社員増員、昇給に伴う人件費、採用関連費の増加などによるものであります。

以上の結果、当事業年度の営業利益は101,074千円(前年同期比58.7%減)となりました。

 

(営業外損益・経常利益)

当事業年度の営業外収益は、5千円(前年同期比99.7%減)となりました。これは主に預金に対する受取利息によるものであります。また、営業外費用は、6,365千円(前年同期比562.0%増)となりました。これは主に支払手数料の増加によるものであります。

以上の結果、当事業年度の経常利益は、94,714千円(前年同期比61.5%減)となりました。

 

(特別損益・当期純利益)

当事業年度の税引前当期純利益は94,714千円(前年同期比61.5%減)となりました。法人税等合計を27,356千円計上したことにより、当期純利益は、67,358千円(前年同期比60.7%減)となりました。

 

  b.財政状態の分析

財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 c.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 ③ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社では、売上総利益を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として重視しております。引き続きこれらの指標を向上させるよう取り組んでまいります。当社における経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗は、全社合計で、2024年4月期売上総利益827,611千円(前年同期比1.4%減)となっております。特に当社における主力サービスであるAIソリューションサービスにおいて、2024年4月期においては売上高2,661,013千円(前年同期比7.6%増)、売上総利益691,057千円(前年同期比2.6%減)、月次稼働人員数186名(前年同期比11.4%増)となっております。これは、主力であるAIソリューションサービスにおいて、営業・コンサルタントをはじめ積極的な人材投資を行ったことで、行動量が増加し、月次稼働人員数の増加に繋がったものと考えております。今後は、前年の積極採用・育成の効果発現による受注増、リーダー・教育担当層が営業活動に専念する効果を期待し、また、パートナーシップ強化にも取り組むことによる、月次稼働人員数及び売上総利益の増加を見込んでおります。
 

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

当社は、更なる成長を図る為に、成長フェーズにあった組織体制の確立と優秀な人材の確保が必要であり、今後も積極的な採用活動を継続して実施する方針です。当社の資金需要の一部は、人材の拡充であり、必要な資金は借入の他、自己資金及び新株発行による調達資金により充足することとしております。