2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,330名(単体) 6,514名(連結)
  • 平均年齢
    40.7歳(単体)
  • 平均勤続年数
    16.1年(単体)
  • 平均年収
    7,671,029円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・先端プロダクツ

1,660

(   173)

ライフイノベーション

966

(   194)

エラストマー・インフラソリューション

1,628

(   263)

ポリマーソリューション

1,158

(   207)

その他

696

(   152)

全社(共通)

406

(    71)

合計

6,514

( 1,060)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含みます。)であり、臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

4,330

( 721)

40.7

16.1

7,671,029

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

電子・先端プロダクツ

1,253

(   135)

ライフイノベーション

945

(   190)

エラストマー・インフラソリューション

1,101

(   237)

ポリマーソリューション

625

(    88)

全社(共通)

406

(    71)

合計

4,330

(   721)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者212人を除き、社外から当社への出向者1人を含みます。)であります。臨時雇用者数(嘱託、日雇い、パートタイマー等を含みます。)は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、時間外手当等の基準外賃金および賞与手当を含んでおります。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

当社には、デンカ労働組合があります。2024年3月末現在の総組合員数は3,697名です。

現在、会社と組合との間には、2024年3月締結の労働協約があり、円満な労使関係を維持しております。

なお、デンカ労働組合は、上部団体として化学総連に加盟しております。

また、当社を除く連結子会社のうち7社には合わせて7の労働組合があり、2024年3月末現在の組合員数の合計は279名です。労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

4.6

52.7

61.4

69.1

43.0

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

 

デンカポリマー㈱

71.0

74.0

80.0

(注2)

YKアクロス㈱

0.9

58.4

57.5

44.6

 

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.労働者の人員数について労働時間を基に換算し算出しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) デンカグループESG基本方針と経営重要課題(マテリアリティ)

当社は、すべての事業活動におけるESG(環境・社会・ガバナンス)課題に対する基本的な方針となる「デンカグループESG基本方針」を、取締役会の決議に基づき、2021年11月に制定しました。当社は、サステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題への対応が、企業存続を左右する重要な経営課題(マテリアリティ)であると認識し、本基本方針の遵守に努め、高い倫理観に基づく実効性のあるコーポレートガバナンスを構築することで、企業価値の向上を目指します。


 

(2) ガバナンス

当社は、2023年度より開始した経営計画「Mission 2030」に基づき、サステナビリティ(中長期的な持続性)に向けた取り組みを推進し、活動内容に対する審議と提言を行う「サステナビリティ委員会(委員長:社長)」を設置しました。

「サステナビリティ委員会」は、執行部門内の組織として、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動と非財務目標・KPIの進捗及びリスク・収益機会への対応について、対象部門より定期的に報告を受け、審議・提言を行い、その結果を取締役会へ報告するとともに、経営計画の進捗状況として、ステークホルダーの皆様へご報告いたします。

 

 

(a)ESG経営推進体制


 

(b)主要なサステナビリティ推進主体の活動状況

組織体

開催頻度

(2023年度)

役割

取締役会

14回/年

当社のビジョンにおけるミッション達成のための戦略立案や経営計画をふまえた、重要な業務執行の決定と執行役員の業務執行に対する監視・監督を行う。

サステナビリティ委員会

3回/年

非財務目標達成のためのサステナビリティ(中長期的な持続性)を巡る課題に対して、業務執行部門による取り組みを監督するために設置。

事業活動におけるリスク及び収益機会と、事業・人財・経営に係る価値創造戦略との整合性を考慮して、各部門活動を審議し、取締役会に報告する。

 

 

(3) 戦略

当社は、企業としての社会的責任を果たし、長期にわたり事業を継続するためには、サステナビリティ関連のリスクと機会に適切に対処する取り組みが大前提であるという考えから、経営計画「Mission 2030」における「3つの成長戦略」において、サステナビリティを巡る重要経営課題(マテリアリティ)を考慮した基本的な方針を定め、施策を推進しています。

「事業価値創造」としては、デンカグループの「2050年までのカーボンニュートラルの実現」「サステナブルな都市と暮らしの充実」「環境の保全・環境負荷の最小化」を方針として、CO2を代表とする温室効果ガスの削減となる、低炭素アセチレンチェーンの確立を含むポートフォリオ変革の実施、再生可能エネルギーの拡大、SDGsに貢献する製品開発、循環型社会の実現となるスチレン系包装材料のサーキュラーエコノミー推進等の施策を進めます。

また、「人財価値創造」としては、社員一人ひとりが自己実現と成長を実感できる企業を目指し、「人財育成体制の強化」「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進」「健康経営と働き方改革」を方針として、将来の経営層育成と全社一貫の教育体系の構築および自ら学ぶ文化の醸成、多様な考え方を持った人間が活躍できる職場環境・制度・文化の醸成、「明日も来たくなる職場」のための制度改革を推進します。

そして「経営価値創造」では、ESG経営の観点から、企業存続の前提となる経営基盤の強化を図るため、プロセス革新、人権の尊重、安全最優先、サプライチェーンマネジメント、製品安全、コーポレートガバナンスの高度化を基本方針として掲げています。

 

 

(a)事業価値創造~サステナビリティの追求~


 

(b)人財価値創造


 

 

(4) リスク管理

サステナビリティ委員会は、経営計画「Mission 2030」のサステナビリティに係る活動指標と目標を、担当する担当部門から報告を受けて審議と提言を行い、取締役会への報告を行います。重要なテーマである気候変動問題と人権尊重の取り組みに関わるリスク管理および統合リスクマネジメントについては、以下の通り実施しており、さらにこれらの取り組みを推進いたします。

 

(a) 気候変動(TCFD)

中長期の気候変動問題への対応については、取締役会による監督の下、サステナビリティー推進担当執行役員が統括しています。デンカグループは、2050年までに地球温暖化を1.5℃未満に抑えることを目指す「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に、2020年9月に賛同を表明しました。

事業を通じた「リスク・機会」をシナリオ分析により特定すると共に、基本方針や重要施策、管理指標の設定及び評価などの重要事項を、サステナビリティ委員会で議論した後、取締役会が意思決定を行います。

 

 

 

気候変動に伴うシナリオ分析に基づく、デンカとしてのリスクと機会の抽出

シナリオ

 

リスク/機会

TCFD分類

項目

 

想定影響度

デンカ該当事業部
(想定該当製品)

該当事業分野への影響

対策

1.5℃未満

リスク

政策・
法規制

炭素税の導入及び排出権取引制度の導入

 

全部門

排出量全体及び/または排出枠上限超過排出分に関わるコスト負担増

CO2排出量削減に向けた省エネ対応や、新技術導入による非エネルギー起源CO2の削減

バイオ由来原料の導入比率設定や義務化
プラスチック資源循環(廃棄物削減)の要請の拡大

 

ポリマーソリューション
電子・先端プロダクツ
エラストマー・インフラソリューション

他素材への代替進行
バイオ由来原料導入の結果、製品物性の低下、コスト負担増

ケミカルリサイクルの導入によるスチレン系樹脂の資源循環推進、バイオポリマー配合製品への置換、物性改良、コストダウン

技術・
評判

製造時にCO2を大量に排出する製品の脱炭素要請及び世界的なCCUS(二酸化炭素回収・有効利用・貯留)推進

 

エラストマー・インフラソリューション(セメント製品、特殊混和材、カーバイド、クロロプレン)

製造コストの増加
他素材への代替進行

カーボンフットプリント評価の迅速な導入による情報開示
CO2排出量削減に向けた省エネ対応や、新技術導入による非エネルギー起源CO2の削減
事業所毎に周辺企業、自治体との協業を模索

機会

資源の効率性

LCA(ライフサイクルアセスメント)およびカーボンフットプリント面で優位な技術の台頭

 

電子・先端プロダクツ(放熱材料)

他素材への代替進行
EU圏への輸出に支障が出る可能性

需要に即した生産能力拡大
カーボンフットプリント算定を推進・開示、製品製造時のCO2削減

エネルギー源

クリーンエネルギーへの転換進行

 

全部門

再エネ比率・水素活用の拡大

水力発電能力の拡大、水素エネルギー利用と水素製造(水の電気分解)の検討

製品 /
サービス

電気自動車の普及に伴う既存製品の拡売と関連部品の開発

 

電子・先端プロダクツ(EVに搭載されるパワーコンディショナー、電池に関連する窒化ケイ素セラミック基板、球状アルミナ、放熱材料、アセチレンブラック等)
エラストマー・インフラソリューション(LiB用断熱・延焼防止材向けアルセン、非晶質シリカペーパー)

電気自動車関連部材製品の需要増
本用途への事業性見極め、量産、拡販
内燃機関部材製品の需要減

需要に即した生産能力拡大
要求性能の確認、他社連携推進、収益性を含めた事業性判断
設備投資、新製品開発
EV関連の新規用途への展開

再エネ電力供給システムの整備

 

電子・先端プロダクツ(アセチレンブラック)
エラストマー・インフラソリューション(電力ケーブル)

蓄電池および送電網整備に使用される部材の需要増加

需要に即した生産能力拡大、更なる高機能製品の開発

4℃

リスク

物理
リスク

降水パターン変化による渇水や台風・大雨・洪水などによる水害甚大化による生産設備の損傷・工場の操業停止、SC(供給網)の寸断

 

全部門

生産設備の復旧費用負担および操業停止に伴う機会利益の喪失
原料調達先及び製品需要家の生産設備の損傷に基づく当社生産・販売活動の停滞

想定災害レベルの見直し(激甚化)に基づく設備保全対策の強化
サプライチェーンの多様化

機会

製品 /
サービス

気温上昇による熱中症と感染症の増加(新たな感染症の出現)

 

ライフイノベーション

新たな感染症を含む検査薬・ワクチンの需要増加

新検査薬・ワクチンの開発

自然災害甚大化に対応するインフラ整備の要請増加

 

エラストマー・インフラソリューション

防災・減災に関連するインフラ関連製品・サービスの需要拡大

需要に即した生産能力拡大、更なる高機能製品の開発

 

 

 

(b) 人権尊重の取り組み

 デンカグループESG基本方針では、人権の尊重の条項として、「デンカグループは、強制労働の撤廃、児童労働の実効的廃止、雇用と職場に関する差別の排除、労働者の結社の自由と団体交渉権の承認を含め、グループの事業に関わるすべての人々の人権を尊重するとともに、人権意識の啓発と向上に努め、企業責任を果たすために行動します。」を掲げています。

2023年度は、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」並びに「グローバルコンパクト」に則した「デンカグループ人権方針」を2023年9月に取締役会承認を経て制定しました。更に、デンカグループが取り組むべき重要人権リスク特定のためのヒアリングを実施し、優先的に取り組むべきリスク項目の特定を進めています。

今後はリスク特定とその軽減を進めるとともに、人権デュー・ディリジェンスプロセスの確立に向けた取り組みを行っていきます。

 

(c)統合リスクマネジメント

当社は、気候変動(TCFD)に関連した社会のレジリエンスの要請の高度化、人権尊重の高度化を含む急速な社会変化、めまぐるしい事業環境の変化や本格化する事業ポートフォリオ変革など、事業をめぐる不確実性が増大する中でも、これらの不確実性を自社の成長の機会と捉え、サステナビリティへの取り組みと事業活動とを統合していきます。これらの取り組みに際し、デンカグループを取り巻くさまざまなリスクを適切にコントロールし、資本コストを最小化していくため、当社は、社長を委員長とするデンカグループ・リスクマネジメント委員会を組織しております。同委員会は、統合リスクマネジメント(ERM)の仕組みと年間を通じた諸活動を通じて、デンカグループのリスク管理体制の強化を図っています。

 

デンカグループ・統合リスクマネジメント体制図


 

 

デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、具体的な、リスクの識別・評価、リスクの管理、サステナビリティ推進活動への統合を、以下の手順で実施しています。

① リスクの識別・評価: 化学業界にある当社にとって脅威と考えられる56の主要なリスク項目を抽出し、それぞれのリスクを、❶発生頻度 ❷影響度 ❸対策度合い の評価軸を用いて5段階で評点化し、更にリスクオーナーとのディスカッションを経て最終的にデンカグループにとっての重大リスクを選定します。2023年度に、下表の10大重要リスクを抽出しています。

②リスクの管理: 重大リスクに対しては、課題の把握とリスク対策の進捗を継続的にモニタリングすることにより、リスク顕在時における業績への影響低減に努めています。とりわけ事業継続の脅威となる「大震災の発生リスク」に対しては、社長を含む経営陣に対し、リアルタイム、机上型の訓練を実施し、震災発生時の迅速な対応への感応度を高めています。

③ 全体への統合: また、デンカグループ・リスクマネジメント委員会は、リスク低減への取り組み状況を、気候変動(TCFD)や人権尊重への取り組みと併せて、定期的に取締役会へ報告しており、それぞれがサステナビリティ推進における機軸として認識されています。同委員会は、年間を通じてこれらのリスク低減活動を実施し、その結果を分析して翌年度のERM実施計画に反映しております。これらの一連の活動により、デンカグループのリスク管理が統合される仕組み・プロセスとなっています。

 

デンカグループ10大重要リスク一覧

リスク項目

❶震災(地震・津波)

❷第三者による当社への重大な犯罪(国内におけるテロ、放火、脅迫等)

❸グループガバナンスの失敗

❹業務上の事故(工場における火災・爆発など)

❺サイバー攻撃による情報システム全般の障害

❻製品・サービス品質不良によるトラブル(製品事故、薬害、大規模食中毒、異物混入、大規模リコール等)

❼グローバルコンプライアンス違反

❽経済危機・景気変動・為替変動

❾戦争や政変などによる輸出事業展開などの不能

❿気候変動リスク

 

 

 

 

統合リスクマネジメント(ERM)の全体図


 

(5) 指標及び目標

サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する連結会社の実績を長期的に評価し、管理し、及び監視するために用いる情報として、当社は、経営計画「Mission 2030」の事業価値創造、人財価値創造、経営価値創造という3つの成長戦略の中で、非財務KPIによる指標を設けるとともに、経営計画最終年度である2030年度目標を設定しています。経営計画「Mission 2030」における主要なKPI目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

非財務KPI

2023年度実績

2030年度目標

温室効果ガス排出量

2013年度比31%削減(170万t-CO2)見込

2013年度比60%削減(100万t-CO2

再生可能エネルギー発電最大出力

146MW

150MW

労働災害度数率
(死傷者数÷延べ労働時間×100万)

0.4

0.2以下

管理職における女性/外国籍/経験者採用の合計人数の比率 ※

20

50

 

 ※提出会社単体の状況を記載しています。