2023年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきまして、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。

 

(1) 市場動向について

 当社グループは、車載カメラ及びドライブレコーダー用画像認識ソフトウェアの開発を主力事業としております。今後、新たな法的規制や業界団体による規制の導入、その他予期せぬ要因等により、顧客企業におけるソフトウェア開発の外部委託の縮小や内製化若しくはニーズの変化、新車販売動向の低迷等、市場規模が縮小する動きがみられた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループは、常に市場動向を把握し、市場動向に応じた柔軟な対応を行うとともに、他市場への展開を積極的に進めることでリスクの低減を図ってまいります。

 

(2) 自然災害等のリスクについて

 当社グループが事業活動を展開する国や地域において、地震、台風、洪水等の自然災害または感染症の流行等が発生し、当社グループや顧客の事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術動向について

 当社グループの事業分野においては、技術革新が急速に進んでおり、特にディープラーニング技術の分野においては、技術革新の速度は顕著であります。当社グループでは、優秀な人材の採用や開発に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの技術革新が想定どおりに進まない場合や、予想以上の急速な技術革新や代替技術・競合商品の出現、依存する技術標準・基盤の変化等により、当社グループの製品が十分な競争力や付加価値を確保できない場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 知的財産について

 当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性につきましては、調査可能な範囲で対応を行っておりますが、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、第三者からの損害賠償請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 品質管理について

 当社グループは、開発業務においてプロジェクト管理やソフトウェア解析ツールの導入等により、品質管理を行っております。しかしながら、関連する製品及び技術の複雑化等の理由で品質問題を起こし、損害賠償責任等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報管理について

 当社グループは、事業を通じて顧客の機密情報や個人情報を保有しております。これらの情報の取扱いについては、規程の整備及び運用並びに社員教育を徹底するとともに、情報セキュリティ機器の導入等の対策を実施しております。しかしながら、これらの対策にも関わらず当社グループの人的オペレーションのミス、システム障害、サイバー攻撃、その他予期せぬ要因等により、情報漏洩が発生し、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償責任等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 人材の確保・育成について

 当社グループは、今後の事業展開に応じて、積極的にエンジニアの育成及び採用を進めていく方針であります。しかしながら、人材の確保が思うように進まない場合や、人材の社外流出等何らかの事由によりこれらの施策が計画どおりに進行できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) コンプライアンス体制について

 当社グループは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制を有効に機能させることが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定するとともに適宜研修を実施し、周知徹底を図っております。しかしながら、これらの取り組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 特定人物への依存について

 当社グループの代表取締役社長CEO兼CTO 曹暉は、経営戦略、開発戦略等当社の業務に関して専門的な知識・技術を有し、重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進める等、組織体制の強化を図りながら、経営体制の整備を進めており、また、役員の異動がある場合は入念な引継ぎ、権限委譲を行うことで、経営に関するリスクを低減しております。しかしながら、現状では同氏が当社グループを退任した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)小規模組織であることについて

 当社グループは、小規模な組織であり、現在の人員構成における最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。今後におきましても、業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制及び業務執行体制の一層の充実を図っていく方針であります。しかしながら、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)海外での事業展開について

 当社グループは、海外に開発拠点を設置する等、海外での事業拡大を積極的に進めております。しかしながら、それらの国で予期しない法律や制度の改正、政治及び経済情勢の変化、急激な為替変動等の事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)ライセンス収入の変動について

 当社グループのライセンス収入は、当社ソフトウェアが搭載された製品の製造、販売または使用に伴い認識されます。しかしながら、製品の製造、販売または使用は、顧客の販売計画や営業活動に依存するため、顧客の販売計画が変更等された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)特定顧客への依存度について

 当社グループの売上高は、特定の主要顧客に依存しており、2023年6月期においては、売上高上位3社に対する売上高が売上高全体の52.7%を占めております。また、主要顧客は、自動車及び自動車関連企業であり、当社グループの売上高は同業界の設備投資動向や生産計画の影響を受けやすくなっており、これら主要顧客との取引関係や自動車業界の動向に変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 そのため、当社グループは、主要顧客との良好な関係の維持に努めるとともに、他市場を含めた新規顧客の獲得を積極的に進めることでリスクの低減を図ってまいります。

 

(14)売上計上時期の期ずれについて

 当社グループの受託開発取引においては、大幅な仕様変更や予期せぬトラブルの発生等に伴う納入時期の変更や検収遅延により、売上の計上時期が当初の予定から翌四半期あるいは翌連結会計年度にずれる場合があります。そのため、それらの期ずれが発生した場合には、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)受託開発案件の中断について

 当社グループは、主に量産が見込まれる案件の受託開発を行っておりますが、顧客の販売計画の変更等により開発が中断され、当初想定した受託開発収入やライセンス収入を得られない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)受託開発案件の採算について

 当社グループの受託開発取引においては、想定される工数、難易度、リスク等を考慮の上で受注金額を決定し、策定されたプロジェクト計画から乖離が生じないよう工数管理を行っております。しかしながら、顧客が要求する仕様の大幅な変更や不具合の発生等により、開発工数が当初計画を大幅に超過し、プロジェクトの採算が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)配当政策について

 当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。

 将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら、株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(18)繰延税金資産の回収可能性について

 当社グループの繰延税金資産は、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しておりますが、今後将来の課税所得の見積り等に変動が生じ、繰延税金資産の取崩が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)業務提携先との関係について

 当社グループは、提携先との契約を遵守し、友好的な関係を維持するよう努めるとともに、特定の提携先に過度に依存しないよう、提携先やサービスのポートフォリオバランスを考慮した経営を心掛けております。しかしながら、提携先の方針又は事業戦略の変化又は提携解消等が生じた場合、当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、剰余金の配当につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 しかしながら、当社は現在、成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 なお、当社は、取締役会の決議により、毎年12月31日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。