リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく対応に努める方針であります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。
1.業界環境に関するリスク
① EdTech市場について
近年、IT技術の発展やペーパーレス化の流れ等により、日本におけるEdTechのニーズは高まりを見せております。今後もスマートフォンやタブレット端末の普及により、EdTechに関するユーザーの需要は活発化していくことが予想されます。しかしながら、これらの市場のニーズや成長が大きく鈍化し、もしくは縮小した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② インターネット関連事業について
当社グループは、EdTech関連事業を主たる事業対象としているため、当社事業の継続的な拡大発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。しかしながら、インターネットの利用等に関する新たな規制の導入や技術革新、その他予期せぬ要因によって、今後の利用拡大に大きな変化が生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 少子化による影響について
教育業界は、長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という問題に直面しております。少子化による影響や、子どもにかかる学習費や学習塾の事業所数が増加傾向であることも相まって、教育業界では同業間での生徒数確保に向けた競争が激化していくことが予想されます。
このような状況の下、当社グループは、子どもたちには、「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を身につけて頂くこと、当社グループのサービスを使って学習塾を独立開業される方等には、その経営を成功して頂くこと等を目指して事業展開を進める所存でありますが、今後、少子化が急速に進行し、教育市場全体が著しく縮小した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 教育制度の変化について
近年、教育分野においては、グローバル化やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)化の必要性が高まりを見せております。大学入試においても新制度導入が検討される等、今後も環境が変化し、また、子どもや保護者の教育に対するニーズも急速に多様化、個別化していくことが予想されます。
このような状況の下、当社グループは、細分化された顧客ニーズに対応した商品・サービスを提供するよう、新技術の開発やノウハウの取得を推進しております。しかしながら、将来において教育環境及び顧客ニーズが当社グループにおける対応を上回る規模で急激に変化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
2.事業に関するリスク
① 他社との競合について
当社グループは、ICT教材サービスをはじめとする特色あるサービスの提供や機能の強化、サービスラインナップの充実、学習塾や学校法人に対する経営支援体制の強化等に継続的に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、当社グループと同様にEdTechを提供している企業や新規参入企業との競争激化による顧客の流出やコストの増加等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 他社との業務提携について
当社グループでは、教育コンテンツの提供企業との業務提携等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先が持つコンテンツや事業運営ノウハウ等を融合することにより、大きなシナジー効果を発揮することを目的としておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またこれらの提携が解消された場合、業績に影響を与える可能性があります。
③ 技術革新への対応について
当社グループが事業を展開するEdTech業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。これらの変化に対応するため、当社グループは、開発スタッフの採用・育成や最先端の技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費等の支出が拡大する可能性があります。このような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 当社の業務委託先のリスクについて
当社グループは、コンテンツ・システムのプログラミング等の一部の業務を外部に業務委託しております。当社グループは、業務委託先が開発遅延等を起こさないようにプロジェクトの進捗管理を慎重に実施しております。しかしながら、業務委託先において開発遅延、経営破綻、法令違反等が生じる等、サービス提供に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 事業拡大に伴う継続的な設備投資について
当社グループは、今後の利用者数及びアクセス数の拡大に備え、システムインフラ等への設備投資を行ってまいりましたが、当社グループの計画を上回る急激な利用者数及びアクセス数の増加等があった場合には、設備投資、減価償却費負担の増加が想定され、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 校舎数と解約数の推移について
当社グループeラーニング事業では、サービスを導入する校舎数・利用ID数は、広告宣伝活動や営業活動による新規導入校数の増加等により拡大傾向にありますが、学習塾の独立開業者の減少や学習塾、自治体や学校法人等における「すらら」等ICT教材の導入が進まないこと等により、新規校舎獲得数が計画を下回る場合や、解約数が当社グループの想定よりも増加する場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ ID数の推移について
当社グループeラーニング事業では、学習塾や自治体・学校法人等の導入校に対する各種経営支援を通じて生徒数増加のための取り組みを推進しており、これらの活動等によって当社グループのサービスを利用するID数は増加傾向にありますが、当社グループから導入校に対する経営支援活動を行っても導入校において生徒数が増加せず、想定どおりのID数が得られない場合等には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 法人顧客の解約について
当社グループeラーニング事業では、個人塾のみならず、複数の校舎や多くの生徒を有する学習塾運営会社や学校法人等の法人顧客との契約数の増加に向けた取り組みを推進しており、これらの学習塾運営会社や学校法人等においては、「すらら」等を活用した反転授業を教育カリキュラムに組み込むこと等により、「すらら」等の継続的な活用を促しております。
しかしながら、今後において、複数の校舎や多くの生徒を有する法人顧客において、他社サービスへの切り替えやその他の理由により、当社サービスの利用契約の解約が生じた場合、校舎数及びID数が大幅に減少することが想定されるため、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑨ 営業部門の人材の確保や育成について
当社グループは、今後の更なる事業拡大を推進する上で営業部門における優秀な人材の確保及びその人材の育成が重要であると認識しており、適切な時期を見定めながら新卒や中途採用活動を実施し、また、採用した人材のモチベーションを向上させる人事諸制度の構築や教育の実施を進めております。しかしながら、現状においては、営業部門が少人数であり、一人当たりの役割が多いため、人材の新規採用が予定どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出等が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑩ ソフトウエア開発について
当社グループは、競争優位性を高めるために、新サービスの開発や機能追加を行ってまいりましたが、サービス品質の向上や品揃えの充実のため、今後においてもソフトウエア資産の増加が見込まれます。
今後において当社グループの想定を超えるソフトウエアの開発が必要となった場合には、減価償却費の増加が利益を圧迫する可能性があるほか、想定どおりの収益を獲得できず、営業損失を計上することとなった場合等には減損損失が発生する可能性があります。また、当社グループでは一部の開発を外部委託しており、外部委託先からの納品物の品質に問題が生じた場合にはソフトウエアの改修に係る費用や損失が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ システム障害について
当社グループのサービスは、情報システム及び通信ネットワークを通じて提供しております。当社グループはシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、以下のとおり対策を講じております。
1) 新規サービスのリリース時において事前検証を徹底する
2) 委託先が運営するデータセンターのサーバーを負荷分散し、障害時に備え日次バックアップを行う
3) サーバの保守・運営・管理業務は外部の専門会社へ委託し、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、委託先から当社グループのシステム運用要員に通知する体制を整える
しかしながら、以下のようなシステム障害が発生した場合、当社グループのサービスは停止する可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。
・電力供給不足、災害や事故等により通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合
・コンピューターウイルス、不正アクセスによる被害にあった場合
・ソフトウエアや機器に不具合・欠陥が生じた場合等
3.法的規制に関するリスク
① 法的規制について
当社グループは、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「電気通信事業法」等による法的規制を受けております。
社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備・強化しておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められ当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 個人情報の管理について
当社グループは、当社のサービスを利用する生徒、取引先、従業員、株主等に関わる個人情報を有しております。当社グループは社内規程の整備、従業員への教育指導等、2021年2月にはISMS(JIS Q 27001)を取得し、個人情報の管理には万全を期しております。しかしながら、何らかの事情により個人情報が外部に漏洩した場合は、当社の社会的信用の失墜により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 知的財産権に関するリスク
当社グループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、当社グループの事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している場合、又は、今後当社が属する事業分野において第三者の権利が成立する場合には、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社グループの知的財産が侵害された場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。
4.経営管理体制に関するリスク
① 代表取締役 湯野川孝彦への依存について
代表取締役である湯野川孝彦は、当社の創業者であり、創業以来当社の代表取締役を務めております。同氏は、EdTechをはじめとする新規事業の立ち上げや顧客に対する経営支援に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。
当社グループは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
② 小規模組織における管理体制について
当社は、本書提出日現在、取締役2名、監査等委員である取締役3名、従業員約100名と小規模組織にて運営しており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。今後の事業の拡大及び多様化に対応して、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
5.その他のリスク
① 配当政策について
当社グループの利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。
しかしながら当社グループは、成長過程にあり、今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、配当を行っておりません。現時点において当社グループは、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
② M&A等について
当社は2022年1月にファンタムスティック株式会社を子会社化いたしました。同社についてはいずれ当社グループの業績に大きく貢献すると見込んでおります。しかしながら、経営環境の変化等により、買収後の業績が取得時に見込んだ事業計画と乖離した場合には、のれんや関係会社株式を減損するリスクが生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社グループは、現在成長過程にあり、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大を目指すため、内部留保を充実することが重要であると考え、会社設立以来配当は実施しておりません。しかしながら、株主利益の最大化を重要な経営目標の一つとして認識しており、今後の株主への利益配当につきましては、業績の推移・財務状況、今後の事業・投資計画等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスをとりながら検討していく方針であります。
当連結会計年度の配当につきましては、無配とさせていただき、内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、市場ニーズに応える商品・サービス開発体制の強化やグローバル展開を図るための投資及び経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化等に有効に活用していく所存であります。
なお、剰余金の配当を行う場合は、年1回期末での配当を考えており、配当の決定機関は株主総会であります。また、当社は中間配当を取締役会の決議によって行うことができる旨を定款に定めております。