リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
記載したリスクはいずれも事業及び業績に影響を与えうる「重要なリスク」ですが、中でも全社的に中長期的な成長のための指針として掲げている「ULURU Sustainable Growth」に関連性の高いリスクを「特に重要なリスク」として定義しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。
(特に重要なリスク)
(1) 「ULURU Sustainable Growth」における人材採用の進捗停滞のリスク
当社グループが掲げる経営方針「ULURU Sustainable Growth」では、規律ある成長投資やM&Aなどによって、売上高だけではなく持続的な利益の成長を目指しております。このうち、人的資本投資を中心的な投資項目と設定しており、特に人材採用の進捗が停滞すると「ULURU Sustainable Growth」の進捗に重大な影響が及ぶことが想定されますので、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。
当該リスクは、採用市場の環境変化などに起因する人材獲得競争の激化により、計画通りに採用が進まない場合に顕在化するものであり、顕在化した場合は、各種施策の停滞による事業成長の鈍化など、重大な業績への影響が発生することが予想されます。
当社では、当該リスクの顕在化を未然に防ぐために、実行可能な人材採用計画を立案し、必要と想定される予算を確保したうえ、採用部門と各部門が連携して効率的な採用活動を行っていく次第ですが、万が一リスクが顕在化した場合は、取締役会や部長会などの意思決定会議体において、最新の採用市場の環境を踏まえた効果的な採用施策について議論を行うなど、適宜対応していく次第です。
(2) 人材採用過多に伴う固定費増大のリスク
当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、優秀な人材獲得を目指してまいりますが、過剰に人材を採用してしまった場合は、計画以上に固定費を抱えるなど、重大な業績への影響が発生することが想定されます。このことから、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置付けております。
当社では、当該リスクの顕在化を未然に防ぐために、採用部門と予算管理部門が連携して採用状況の進捗をモニタリングするなど、一定の規律を以って採用活動を行う体制を構築しておりますが、万が一リスクが顕在化した場合は、取締役会や部長会などの意思決定会議体において、最適な組織構成・人員配置を改めて議論することで、過剰採用した人材のパフォーマンスを更に向上させ、増加した固定費以上の業績への貢献を図るなど、適宜対応していく次第です。
(3) 人材成長の停滞リスク
当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、人的資本投資を中心とした成長投資を行うことで成長を図ってまいりますが、人的資本投資の効果を最大化するためには、適切に育成していくことが重要だと考えております。人的資本投資は、ULURU Sustainable Growthの根幹を成す、中心的投資項目であるため、仮に人材の成長が停滞した場合は、当社全体の成長鈍化に繋がり兼ねないことから、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置付けております。
当該リスクを顕在化させないために当社では、「人の成長=企業の成長」という考えのもと、組織開発・人材開発に各種投資を行うことで人材の成長支援を図っております。エンゲージメントサーベイや当社が独自に掲げる「シナプス組織※」の定着度を測るためのシナプスサーベイの実施による定期的な組織状態のモニタリングやこれらサーベイの結果に基づく各種改善策の実施、レイヤー別の各種研修制度の拡充や社内公募型のジョブリクエスト制度の展開によるキャリアデザイン支援などを行うことで、常に成長を感じられる環境・機会があり、安心して業務に専念できる状態が続く「人材成長定着企業」を目指してまいります。
※「コア」と呼ばれる上長・チームリーダーと、「コアラー」と呼ばれるメンバー間の双方向のコミュニケーションが高純度で行われることにより、組織全体にカルチャー・戦略が浸透していく組織体制
(4) 配当政策にかかるリスク
当社は、「ULURU Sustainable Growth」のもと、株主還元を重要な経営課題の一つとして位置付けており、TSR(株主総利回り)の向上に向けて、中長期的なEPS(Earnings Per Share)成長を重視しつつ、2024年3月期においては、配当性向30%となる特別配当の実施を、2025年3月期以降は、配当性向15%以上を目安とする毎期増配を目指しております。しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性もあります。
当該リスクを顕在化させないためにも、「ULURU Sustainable Growth」のもと業績を拡大させ、着実に利益還元を行うことができる企業へと成長を図る次第です。
(5) 入札情報の様式・データ形式等の統一によるNJSSの独自性・優位性の希薄化のリスク
「NJSS」は、当社の主力SaaSであり、「NJSSを核とした入札マーケットの拡大」をすることを「ULURU Sustainable Growth」実現のための主要な施策と位置づけていることから、NJSSの独自性・優位性が希薄化した場合、「ULURU Sustainable Growth」の進捗に重大な影響が及ぶことが想定されますので、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。
現在、入札情報は入札実施機関ごとに様式・データ形式等が統一されておらず、独力での収集が困難である中、当社では数百名のクラウドワーカーが約8,300もの入札実施機関から人力で入札情報を収集しデータベース化できていることに「NJSS」の独自性・優位性がある状況です。当社としては約8,300もの入札実施機関の様式・データ形式等を統一するために必要となる労力・コスト・時間等を勘案すると当該リスクが顕在化する可能性は現時点では低いものと考えております。
しかしながら、万が一、当該リスクが顕在化した場合は、NJSSが誇る独自性・優位性の希薄化から顧客の他サービスへの流出による有料契約件数の減少並びに売上高や利益成長の鈍化といった重大な業績への影響が発生することが予想されます。
当該リスクへの対応策として、デジタル庁設立の動きなど当該リスクに関係する可能性のある行政機関の動向等を適宜チェックしておりますが、足元では喫緊に対処が必要な情報は見受けられない状況です。今後もチェックを継続し、アクションが必要な事態が発生した場合、迅速に対応できるよう体制を整備していく次第です。
(6) コンプライアンスに関するリスク
当社はコンプライアンス重視の意識の強化とその定着を全社的に推進しております。当該意識が薄れると、重大な法令違反や不祥事件等が発生する懸念が高まるなど、会社の存続可否にも重大な影響を与えかねない可能性がありますので、当社は当該リスクを「特に重要なリスク」と位置づけております。
万が一、当該リスクが顕在化した際の具体的な影響として、当社グループ全体の社会的信用やブランドイメージの低下をはじめ、発生した損害に対する賠償金の支払い等の費用の発生に基づく重大な業績への影響等が発生する懸念がありますが、一方でコンプライアンス上のリスクを完全に回避することは極めて困難であると考えております。
当該リスクの顕在化を未然に防止するため、当社では全役員・社員への教育啓発活動を随時実施するなどし、企業倫理の向上及び法令遵守の強化等、強固なコンプライアンス推進体制を構築していけるよう努めている次第です。
(重要なリスク)
(1) 大規模自然災害や感染症に関するリスク
大規模自然災害や新型コロナウイルス感染症を含む各種感染症の拡大等が発生すると当社グループの事業活動の停止やそれに伴う業績への重大な影響が発生する可能性が予想されることから当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置付けています。
当該リスクへの対応策として、各種緊急事態の発生を想定した事業継続計画書(BCP)を整備しており、緊急事態発生時にはCISOを緊急対応責任者とする対策本部を設置するなどして速やかに事業継続に向けた体制が構築できるよう努めている次第です。
(2) 市場環境変動のリスク
市場環境の変動により顧客の購買意欲が減退すると当社グループの事業及び業績へ重大な影響を与える可能性が予想されることから当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置付けています。とりわけ、地政学リスクや感染症拡大等に起因するインフレ圧力の増大による個人消費の落ち込みは、えんフォトやOurPhotoといった主に一般消費者との取引を展開するサービスの業績に重大な影響を与える懸念があります。
当該リスクへの対応策として、適宜該当サービスにおける顧客の消費動向をチェックするなどしてリスク顕在化の兆候の有無をチェックし、万が一兆候が表れた際は事業部内で対応策を検討したうえ、適宜意思決定会議体等において事業方針を検討、打開策を実行するなどして速やかに対応できるような体制の整備に努める次第です。
(3) 競合他社の台頭のリスク
現在、国内でクラウドソーシング・サービスを展開する競合企業は複数存在しており、他社の成長によって弊社の市場における独自性・優位性が希薄化した場合、当社の事業及び業績へ重大な影響を与えることが予想されることから当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。
しかしながら、当社グループは、クラウドソーシング・サービスのみならず、そのワーカーをリソースとするCGS事業、そして企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO事業を展開しており、それらの相互のシナジーによって市場での独自性・優位性を築いていると考えております。BPO事業を通して世の中のニーズをキャッチし、キャッチしたニーズへ応えるためのCGS事業をBPO事業を通じて長年培ったワーカーへのディレクションノウハウをフル活用しつつ効率的に運営していくといった各セグメント間のシナジーを土台にした経営体制は当社の強みであり、一朝一夕で模倣されるスキームではないと考えております。
万が一、当該リスクが顕在化した場合は、市場での当社の価値の希薄化により顧客の他社への流出による売上高や利益の減少等の重大な業績への影響が発生することが懸念されますが、上記のスキームのもと、新たなCGS事業を継続的に生み出すことにより、当社の市場における独自性・優位性をさらに強固なものにしていくことで、当該リスクの顕在化に対する未然防止を図っていく次第です。
(4) 法規制強化による既存事業への法的制約の発生や新規分野への事業展開に際する新たな法的制約の発生のリスク
現在、日本国内においてインターネットに関連する主要な法規制は電気通信事業法等があり、また、BPO事業に関連する法規制としてe-文書法等があります。当社はこれら法規制を厳格に遵守する体制を整備しているところですが、今後、法規制が強化された場合やCGS事業において新規領域へ進出する場合は、常に様々な法規制・法改正に注意を払い適切に対応することが求められることから当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。
法規制強化については、現時点で合理的に顕在化の時期を見積もることができるものではないと考えておりますが、常に世間の動向をチェックしつつ、必要がある都度、適切に対応してまいります。新規領域へ進出する際の新たな法的制約発生のリスクについて、現時点では具体的な時期を明言できる材料となるような新規CGS事業の展開は検討されておりませんが、新規CGS事業の創出時期については特定の期間を定めているわけではございませんので、場合によっては当該リスクは2025年3月期中にも顕在化する可能性のあるリスクだと考えております。
法的制約が新たに発生した場合は、対応にかかる費用の発生や法違反が生じた場合の信用低下といった影響が及ぶことが予想されますが、そのようなリスクの顕在化を防ぐためにも当社では担当部署を中心に適宜外部の専門家を活用しながら、厳格な法令遵守体制を構築しております。
(5) システム障害のリスク
当社グループの事業は、インターネット接続環境の安定した稼働を前提として運営されており、システム障害により安定的にサービスの提供ができない状況が発生すると、重大な影響が及ぶ懸念があることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。
当該リスクが顕在化する要因としては人為的なミスから自然災害に起因するものまで様々なものが想定されるため顕在化する時期を合理的に見積もることは困難だと考えておりますが、万が一、当該リスクが顕在化した場合に備えて当社ではバックアップ体制や強固なセキュリティの構築等に常時努めております。
(6) クラウド・ソーシングビジネスにかかるリスク(知的財産権侵害、風評被害、個人情報流出等)
当社はクラウド・ソーシングビジネスを展開しておりますが、同ビジネスは、不特定多数のクライアントとワーカーによる様々な案件の受発注が繰り返されるプラットフォームとなっております。
このような状況においては、ユーザー間における第三者の知的財産権侵害やユーザー間のメッセージ交換に際する風評被害、個人情報の流出、その他違法行為が発生する懸念があります。また、クラウド・ソーシングビジネスを展開するに当たり、当社はワーカーの個人情報を大量に保有していることから当社自身が保有する個人情報を流出させる懸念も拭いきれません。当該リスクが顕在化した場合は、当社の事業及び業績に重大な影響を及ぼすことが予想されることから当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。登録ワーカーの行動をすべて統制することは事実上不可能であり、これらリスクの顕在化を完全に排除することは困難だと考えております。これに対し当社では、各種禁止事項を定めた利用規約を制定し、当該利用規約の内容に同意したユーザーにのみ利用いただくなどの対応策を取っております。また、当社が保有する個人情報の流出リスクについては、リスクを顕在化させないために「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けているうえ、当社において情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得、子会社である株式会社うるるBPOにおいてISMS認証及びプライバシーマークを取得するなどの対応策を取っております。万が一、当該リスクが顕在化した場合は、速やかに状況を整理したうえ、必要に応じて外部の専門家を活用しつつ、取締役会や部長会などで迅速に意思決定を行い、適切な対応策等を実施していく次第です。
(7) 国内BPO市場及び国内クラウド・ソーシング市場の縮小のリスク
当社は、クラウド・ソーシングビジネスやクラウドワーカーを活用したCGS事業並びに子会社である株式会社うるるBPOにおいて、BPO事業を展開していることから、国内クラウド・ソーシング市場や国内BPO市場が縮小した場合、当社の事業及び業績に重大な影響を与える影響があると思われることから、当社は当該リスクを「重要なリスク」と位置づけております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は2019年5月に「短期的な利益追求ではなく、積極的に投資を実行し、さらなる成長と中長期的な企業価値の向上を図る」というコンセプトの下、5カ年中期経営計画を発表(2021年5月に売上高を上方修正)いたしました。同計画に基づいて積極的な投資を実施し、成長を図ってまいりました結果、同計画最終年度となる2024年3月期において、売上高58億円及びEBITDA15億円を達成いたしました。
これまで同計画を応援いただいた株主の皆様に感謝の意を表するため、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向が33.6%となる1株当たり35円の特別配当を実施させていただきます。
また、2025年3月期以降は普通配当として、親会社に帰属する当期純利益に対する配当性向15%以上の配当実施を目安とし、毎期増配を目指します。
内部保留資金の使途につきましては、今後の事業展開のための資金として有効投資してまいります。
当社は、剰余金の配当を行う場合は、中間配当と期末配当の年2回行うことを基本的な方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日の最終の株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当をすることができる。」旨を定款に定めております。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。