リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)事業内容に関して
① 事業内容について
当社は、データ交換系ミドルウエアを中心とした企業の業務プロセスを支える基盤型ソフトウエア製品の開発、販売、保守及び製品関連サービス事業を行っております。当社のソフトウエア製品は、ますます分散化するコンピュータ・システム環境下におけるデータ連携やプロセス連携等で業務プロセスを支えるソフトウエア基盤として利用していただくことにより、ユーザーのシステム開発コストや業務コストの低減を実現し、ユーザーに高い投資収益率を提供することを目指しております。しかしながら、国内景気の悪化・低迷等の外的要因、あるいは当社固有の問題発生等により、当該事業の展開に何らかの支障が生じた場合は、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社の自己資本比率は当事業年度末現在で76.1%となっており、企業活動を維持するために必要な資金を確保しております。
② 新技術や外部環境について
近時のネットワーク技術やソフトウエア技術等の情報技術の発展・進化に伴う技術環境の変化は急激であり、ソフトウエア市場においても、日々、激しい開発競争、販売競争が行われております。このような状況下、当社は常に市場動向、技術動向を分析し新技術や製品の研究開発に努めております。しかしながら、事業を取り巻く市場環境や技術環境が当社の予測を超える速度で変化していくことも想定されます。さらに、新規参入者を含めた競争激化による価格低下の圧力の高まり、競合会社の競争優位な新製品の投入や競合会社同士の戦略的提携といったことも想定され、当社の技術や製品の陳腐化が発生すること、あるいは何らかの要因で技術変化への対応が困難となることにより、当社の市場での競争優位性が確保できず、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本リスクに対して、研究開発体制を強化し、市場環境や技術環境の変化をいち早く察知し、柔軟に対応できるように努めており、2020年4月に技術探求室を設置し、この活動を推進しました。さらに、NP開発室へ組織名を変更し、新たな事業化の推進を実施しております。
③ 製品の致命的不具合(バグ)の発生による販売への影響の可能性
当社のソフトウエア製品において、ソフトウエアの不具合を無くすことは重要な課題であります。当社では、自社製品の開発工程においてソフトウエアを厳格に試験することに努めておりますが、一般的に今日のような高度で複雑なソフトウエア上で不具合を皆無にすることは不可能と云われております。そのため、顧客が当社製品を導入後に不具合を発見する可能性があります。顧客との契約において、このような不具合が発見されたとしても当社に直接的な損失は生じないことになっておりますが、該当製品のその後の売上が減少し、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本リスクに対して、ISO9001の取得や品質管理室の設置等、製品の品質管理体制を強化することでその発生を最小限に抑えられるよう努めております。
④ 間接販売(パートナーモデル)への依存について
当社の製品及び保守サービスは、主に、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との協業によって販売されております。当社の顧客は、製造業、流通業、金融業、通信業、サービス業等業種、業態を問わず多岐にわたっており、規模的にも大企業から中小規模事業者まで広範囲となっております。当社では、これらの幅広い顧客ニーズにきめ細かく応えるため、パートナーを経由した間接販売に注力しており、ソフトウエア製品における間接販売による売上高は、当事業年度においても大部分を占めております。従いまして、パートナーとの継続的信頼関係の維持は、当社の将来にとって重大な意義を持ちます。例えば、パートナーとの関係が悪化した場合、競合会社が当社のパートナーと戦略的提携を行った場合、パートナーの財政状態が悪化した場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
当社は、本リスクに対して、パートナーとの積極的なコミュニケーションを図り、その関係性を深化させ、強固なものとなるように努めております。
(2)組織・管理体制に関して
① 小規模組織による管理体制について
当社は、2024年3月31日現在で従業員数136名の小規模な組織であり、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。従いまして、経営陣はもとより、管理部門社員に業務遂行上の支障が生じた場合に、代替要員の確保の遅延、事務引継手続の遅滞等の理由によって当社の業務に支障が生じる恐れがあります。
当社は、本リスクに対して、今後とも人員の増強や社内管理体制の一層の充実を図ることで対応してまいります。
② 情報セキュリティ管理について
当社は、事業遂行に関連して取引先役職員、顧客企業役職員、協力会社役職員等の情報を有しております。これらの個人情報については、予期せぬ事態により流出する可能性が皆無ではなく、このような事態が生じた場合、当社の社会的信用に影響を与えるとともに、その対応のための多額の費用負担が発生する可能性があります。
当社は、本リスクに対して、社内規程の制定、従業員への教育等管理を徹底しており、情報管理体制の更なる強化を図ることで対応してまいります。
③ 人材の確保と育成について
当社の主力事業でありますソフトウエア製品の開発は知的集約型の業務であり、一定水準以上の専門技術、知識を有する技術者要員を確保する必要があります。当社は、計画的な採用活動を通じて新卒採用及び中途採用を実施し、人材の確保を図ると同時に、人材育成面においても、教育研修を計画的に実施し、専門性の高い技術を有する人材の育成に注力しております。しかしながら、計画通りの人材を確保できない場合、人材の流出等があった場合や、想定通りの人材育成ができなかった場合には、当社の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本リスクに対して、学習機会の増強や、より積極的な求人活動を実施することで対応してまいります。
(3)財政状態等に関して
① 財政状態及び経営成績の異常な変動に関わるものについて
当社を含めたパッケージソフトウエア事業の特徴として、人件費等の固定費水準が高く、変動費比率が低いことが挙げられます。そのため、売上高が増加した場合の増益額が他の事業形態に比べ大きい一方、売上高が減少した場合の減益額も他の事業形態に比して大きく、利益の変動額が大きい傾向にあります。また、システムインテグレーター等のパートナー(販売代理店等)との間接販売であることにより、販売計画立案時に行政機関等からの秘匿性の高い案件を事前に察知することが困難な場合があり、開示している業績予想との乖離が発生する可能性があります。
② 有価証券投資による影響について
当社は、上場の株式及び債券を保有しております。このため、株式市況や債券市況の動向により減損処理の対象となる可能性があり、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制・その他に関して
① 知的財産権等について
当社は、業務遂行にあたり、第三者の知的財産権の侵害を行わないように留意しておりますが、不可抗力により第三者の知的財産権を侵害する可能性は皆無ではありません。また、いわゆるビジネスモデル特許についても、米国等において既に一般化していること、及び今後国内においても当該特許の認定が進むと想定されることから、第三者の知的財産の侵害予防の重要性は増大すると考えております。従いまして、当社の事業分野において第三者の特許等が成立した場合、又は現在当社の事業分野において当社が認識していない特許等が成立している場合、当該第三者より損害賠償及び使用差止等の訴えを起こされる可能性並びに当該特許等に関する対価の支払等が発生する可能性があり、この場合は当社の経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本リスクに対して、法務部門を中心として適切な知的財産の管理に努めております。
② 災害や未知の感染症等について
地震等の自然災害や火災等により、従業員や設備が被害を受ける可能性があります。また、未知の感染症のまん延等により、従業員が罹患するリスクや販売代理店等の販売活動が影響を受ける可能性もあります。従いまして、これらに伴う受注活動の低下等による売上高の減少、設備の修復又は代替のための費用発生等、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、本リスクに対して、テレワークの推進やサテライトオフィスの検討等、労働環境の充実を図り、安全に企業活動を継続できるよう努めてまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主還元に関して、長期にわたり継続した研究開発投資を必要とする当社の事業特性から、短期的な業績指標に基づくものではなく、財務体質の強化と長期的な企業価値の向上を踏まえたものでありたいという考えのもと、DOE(株主資本配当率)の水準を勘案して配当を行うことを基本方針としております。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当については取締役会であり、当事業年度において、期末配当については株主総会でありましたが、2024年6月20日開催の当社第39回定時株主総会にて「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる」旨の定款変更を決議しております。
このような方針に基づき、2024年3月期の配当金につきましては、1株当たり25.0円の配当を実施することを決定いたしました。
当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款で定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年6月20日 |
155,356 |
25.0 |
定時株主総会決議 |