リスク
3【事業等のリスク】
以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。当社はこれらリスクの発生を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものでありますが、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。
(1)事業環境等
日本の経済情勢は、コロナ禍でのニューノーマルへの模索の中で経済・社会活動が正常化に向かう中、5月には新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、景気は緩やかながらも持ち直しの動きが続きました。一方で、海外のインフレ抑止対策による利上げの影響から円安の進行や長期化する世界的な政治情勢の変動による資源価格の上昇や物価高、更にサプライチェーンの混乱による供給面への制約、また、米国銀行の経営破綻をきっかけとした金融システムへの不安など先行き不透明な状況が続きました。
情報サービス産業においては、企業のIT投資意欲は一部慎重な面もありますが、ポストコロナに向けた新しい戦略的で厳選されたIT需要や働き方改革・人手不足への対応やデジタル化による自動化・効率化・省力化等システム投資への需要の高まりがみられました。
このような状況の中、当社グループは引き続き新分野への受注活動にも注力しつつ、更なる採算性の重視、ISO9001(*1,2)、CMMI(*3)を基準としたプロセス改善による生産性・品質の向上及び高度化する技術に対応すべく技術者の教育に努めております。しかしながら、取り扱う技術や顧客ニーズの変化など当社を取り巻く事業環境が急激に変化した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、ソフトウェア開発関連事業者として常に高品質なシステムの提供に努めてまいりました。今後も引き続き同事業の更なる成長を目指し、品質向上への再構築や技術力の強化を図るとともに、長年培った各種ノウハウによるDX(デジタルトランスフォーメーション)(*4)関連へも注力してまいります。更に当社のソフトウェア開発技術をベースにクラウド、Webの高度利用を推進し、農業分野では、IoT(*5)、AIなどのIT技術の活用を高めi-農業の具現化に向けて様々な研究への取り組みを促進してまいります。
*1.ISO 品質・環境等マネジメントシステムに関わる国際標準規格。
*2.ISO9001 1987年に制定され1994年、2000年に改訂された品質マネジメントシステムに関わる国際標準。
*3.CMMI 1999年、米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所が開発したソフトウェア開発プロセスの能力成熟度を評価・判定するモデル。
*4.DX(デジタルトランスフォーメーション) 既存のビジネスから脱却して、IoTやAIなどのIT技術を活用することによって、新たな価値を創出すること。
*5.IoT(Internet of Things) コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
(2)受託開発案件について
当社グループが行う受託開発においては、次のような事態により経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 当社グループの想定を超える納期や検収時期の変更によりプロジェクトの収支が悪化したり、売上計上の遅延により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 業務の請負に際しては、各工程毎に見積りを行いますが、案件が大型化することに伴い、すべてのコストを正確に見積ることの困難さが増し、そのため、実績額が見積り額を超えた場合には、低採算又は採算割れとなる可能性があります。
③ 品質管理には万全を期しておりますが、想定外の不具合が生じた場合、損害賠償の発生やその後の事業活動への影響、販売先あるいはユーザーの信頼を喪失する可能性があります。
④ 受託開発案件の一部について外部の協力会社に外注を行っておりますが、何らかの影響で外注体制に支障をきたした場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ISO9001及びCMMIに基づく開発プロセス管理、改善によりその品質・納期・コスト・リスク等プロジェクトの管理を徹底しております。また、経営陣と各部門の責任者が、適時リスクの高い案件への対応方針を協議し、決定しております。更に、売上後の追加原価の発生に備えて、プログラム保証引当金を計上しております。
(3)主要取引先との取引について
当社グループの主要取引先であるSCSK㈱、㈱大塚商会の最近2期間における当社グループ売上高に占める割合は、それぞれ2022年7月期(34.6%、21.8%)、2023年7月期(37.3%、23.2%)となっております。
現状では、両社との取引は安定的に推移しておりますが、今後両社の事業動向によっては、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの対応策は、次のとおりであります。
① 取引先に特化したサービスの提供と開発効率化を図ります。
② 多種多様なニーズに応えるべく、技術者のマルチスキル化を図ります。
③ 得意業種に特化した戦略の下、技術者のスペシャリストの育成を図ります。
(4)情報管理について
当社グループは、事業活動において、顧客の機密事項を取り扱う場合があります。現在まで、顧客の機密情報の流出による問題は発生しておりませんが、今後不測の事態により、顧客の機密情報や個人情報の漏洩に類する事態が生じた場合には、信用失墜や損害賠償により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、ISO27001(ISMS)(*6)の認証取得、プライバシーマークの付与認定取得による情報セキュリティ対策の強化に取り組んでおります。また、情報漏洩、不正アクセスの増加などの社会情勢及びテレワークに対応すべく、継続的に開発環境、製品サービス環境、設備などのセキュリティ強化、情報セキュリティ教育を実施しております。
*6.ISO27001 2005年に制定された情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際標準規格。企業が自身の情報セキュリティを確保・維持するために、ルールに基づいたセキュリティレベルの設定やリスクアセスメントの実施等を継続的に運用する仕組みです。
(5)優秀な人材の確保と育成
当社グループにおいては、事業活動において顧客の高度で高品質のニーズに応えるべく、優秀な技術者の確保が必要なものと認識しております。また、情報サービス業界に関わる労働市場の逼迫により当社グループが必要とする優秀な人材が適時に確保できない場合、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、人材の育成と実務能力の向上を目的として、様々な教育制度を実施するとともに、パートナー政策により継続的に人材の確保を行っております。また、「Daiwa Computer 未来プロジェクト」(*7)の具現化により人財価値の向上に努めるとともに、当社グループ社員のキャリアプラン・教育全般を支援することを目的に2022年2月に「人材育成センター」を新設いたしました。
*7.Daiwa Computer 未来プロジェクト 「設立50周年(それ以降)に向け、当社の持続可能なビジョンを次世代メンバーにより検討し、素案を策定すること」「ビジョン策定プロセスを通じて、ビジネスとマネジメントを学び、組織とのエンゲージメント(一体感)を高めること」を目標観とした当社の取組み。
配当政策
3【配当政策】
当社は、企業価値の向上とその水準の維持を図ることが株主への利益還元であり、経営の重要課題であると認識しております。よって、配当金につきましては、企業価値の向上とその水準の維持を可能とする範囲において、事業規模拡大のための内部留保とのバランスを考慮しながら決定することを基本方針としております。
当社は、期末配当で年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会であります。
以上のような方針から、2023年7月期の配当は、1株当たり18円とさせていただきました。
なお、内部留保資金につきましては、今後予想される事業規模拡大を図るべく、有効に投資してまいりたいと考えております。
当社は、「取締役会の決議により、毎年1月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月27日 |
69,769 |
18 |
定時株主総会 |