2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。また文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

 ① 市場動向について

当社グループの事業領域であるオンラインゲーム市場は、これまでスマートフォンやタブレット端末等の高機能なモバイル端末の普及に伴い成長を続けてまいりました。当社グループでは、市場成長に鈍化の兆しはあるものの、今後安定的に推移するものと見込んでおり、引き続きモバイル端末を中心とするオンラインゲームを開発・運営できる体制を確保・維持してまいりますが、新たな法的規制の導入や通信事業者の動向等により、市場環境が阻害されるような事態が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 技術革新について

当社グループが事業展開を行うモバイルインターネット業界は、事業に関連する技術革新のスピードやユーザーニーズの変化が速く、それに対応する新たなサービスが次々と出現しております。

当社グループは、AI(人工知能)をはじめとする新しい技術を活用したゲーム開発・サービス開発を実現できるよう、技術・ノウハウの獲得・確立を進めておりますが、技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 ③ プラットフォーム運営事業者の動向について

当社グループが開発、運営するオンラインゲームは、主に国内外のプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーにサービス提供されております。当社グループは、各運営事業者の定める規約を遵守したゲームの開発、サービス運営を行っておりますが、今後、各運営事業者の事業戦略の転換や規約の変更等が生じた場合には、サービスの停止、サービス内容の変更、手数料等の料率の変更等により、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 競合他社の動向について

当社グループの事業領域であるオンラインゲーム市場は、競合他社が多数存在しております。当社グループは、日々のコスト削減や開発効率の向上策などに取り組み、これまで培ってきたゲーム開発及び運営のノウハウを生かして、ユーザーのニーズに合わせるとともに、他社のオンラインゲームと差別化したタイトルを継続して提供してまいります。しかしながら、競合他社との競争が激化し、他社との比較で優位性を保てなくなった場合には、当社グループの提供するオンラインゲームの利用や開発・運営受託案件の減少や縮小等により、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業運営に関するリスク

 ① ゲームタイトルの企画・開発・運営について

当社グループは、ゲーム開発事業として、オンラインゲームの企画・開発・運営を主な事業として展開しております。オンラインゲームで安定的な収益を上げるためには、多数のユーザーを獲得できるタイトルを継続的に提供し続ける必要があります。当社グループは、IPを利用した新規タイトル案件の獲得を進めるとともに、他社タイトルの開発・運営案件を獲得することにより、継続して複数のタイトルを開発・運営できる体制を構築しております。しかしながら、他社IPが利用できなくなること等により、多数のユーザーを獲得できるタイトルを継続的に提供できなかった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 協業先との関係について

当社グループは、主に高い知名度のIPを保有する他社との協業により当該IPを利用することで多数のユーザー獲得が見込まれるゲームタイトル等の開発・運営を受託しております。当社グループは、協業先である各IP保有会社及び開発・運営の委託元会社との友好的な関係を維持するように努め、事業展開を進めてまいりますが、各社の方針又は事業戦略に変化が生じ、各サービスが継続して提供できなくなった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 開発費、広告費の負担について

オンラインゲームは、機能や表現の高度化が進んでおり、開発期間が長期化するとともに、並行して開発人材の人件費も高騰傾向にあるため、開発費が増加傾向にあります。また、競合他社との競争激化に伴い、新規タイトルのユーザー獲得のための多額の広告宣伝費が必要となるケースが増加しております。そのため、当社グループでは、開発費や広告宣伝費を協業先が負担する等の契約を締結することにより、費用の抑制に努めておりますが、市場環境の変化等により、費用負担が想定を上回る等の状況が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 受注損失の発生について

当社グループは、経営会議にて受託開発案件の進捗状況を確認し、見積りの精度を高めるなどの体制で運用しております。しかしながら、開発の遅れ、仕様の変更や人件費の高騰等により、当初の見積原価総額が大きく変動した場合は、進捗率の変更による収益の見積りが変更されます。また、見積原価総額が契約金額を超過する場合は、受注損失引当金を計上する必要があることから、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤ 契約不適合責任について

当社グループの主要な事業であるゲームの受託開発・運営の一部は、業務委託契約に基づいており、開発・運営における成果物や遂行すべき業務に対して対価を受領しております。契約締結時に成果物・業務の仕様や検収方法等を明確化するとともに、進捗状況の確認等のプロジェクト管理による品質管理を行なっておりますが、当社グループの過失等に起因して契約不適合が発生することにより、大規模な改修やサービスの中断・中止が生じた場合、当該事象に係る損害等の賠償を請求される恐れがあります。その場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

 ⑥ 人材関連サービスについて

当社グループで行なっている人材関連のサービスの一部は、「労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)」に基づく労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けています。また、労働者派遣事業と請負により行われる事業の区分に関しては、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(労働省告知第37号)において順守すべき事項が示されております。

当社グループでは、業務の健全かつ適正な運営の為、コンプライアンス教育及び研修等の実施によって各種法令の順守を徹底し、継続的に調査・確認を実施することで法令違反を未然に防ぐよう努めております。

しかしながら、これらの法令等に抵触したことにより処分等を受けたり、新たな法令・基準の制定や改正などが行われた場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑦ 新規事業について

当社グループは、事業規模の拡大と収益の安定化を目指して、成長が期待できる新たな分野や市場への展開に取り組むことを検討しております。そのために、新たな人材の確保やシステム投資及び広告宣伝等のための追加的な支出の発生や、当該市場等における規模や需要の急激な変化による影響等、当社グループが今まで想定していない新たなリスクが顕在化する可能性があります。新たな事業展開が当社グループの想定どおりに進捗しなかった場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 組織運営・ガバナンス体制に関するリスク

 ① 人材の確保、育成について

当社グループが、今後更なる業容拡大を図るためには、優秀な人材の確保・育成が重要であると考えおります。そのため採用活動を継続して行うとともに、福利厚生の充実、教育研修の整備・充実に努めております。しかしながら、当社グループが必要な人材を十分に確保できなかった場合、又は社内の重要な人材が外部に流出してしまった場合には、業務運営や事業展開の制約要因となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 内部管理体制について

当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないように、法令及び企業倫理に沿った各種規程を制定するとともに、監査等委員会の設置や内部監査の実施、社外の弁護士相談窓口を含む内部通報窓口の設置・周知等により内部統制の充実を図っております。しかしながら、このような対応にも関わらず法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生した場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ システム障害について

当社グループが運営するオンラインゲームは、サービスの基盤をインターネット通信網に依存していることから、過剰アクセスによるサーバーダウンや通信ネットワーク機器の故障及び自然災害や火災・事故等によるシステム障害を回避すべく、サーバーの負荷分散や稼働状況の監視等の未然防止・回避策を実施しております。しかしながら、こうした対応にもかかわらず大規模なシステム障害が起こり、サービス提供に障害が生じた場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 取引先等の信用リスクについて

当社グループは、事業・サービスの展開にあたり多岐にわたる事業者と様々な取引を行っております。新規取引を開始する際の与信管理の徹底、事業状況の継続的な確認等により、債権回収リスクを低減するよう努めておりますが、取引先事業者の収益及び財政状態の急激な悪化によっては、売上債権の回収が遅延したり、回収不能になる可能性があり、この結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) コンプライアンス・紛争等に関するリスク

 ① オンラインゲーム内の課金システムに対する法的規制等について

オンラインゲームにおける一部の課金方法がユーザーの過度の射幸心を煽るとして、特定の課金方法に対しては不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に違反するとの見解が消費者庁より示され、2012年7月1日から「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準が施行されております。これを受け、当社グループによるタイトルは、業界団体が公表する「スマートフォンゲームアプリケーション運用ガイドライン」に従って開発・運営され、「資金決済に関する法律」を始めとする各種法規制が適用されております。

当社グループは、各種法規制や業界の自主規制を順守し、業界の健全性、発展性を損なうことのないよう努めてまいりますが、今後、社会情勢の変化によって、既存の法令等の解釈の変更や新たな法令等の制定、各種ガイドラインの解釈の変更や新たなガイドラインの制定が行われた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 情報管理について

当社グループは、ゲーム開発・運営、人材サービスをはじめとして幅広く事業を展開していることから、個人情報や開発・営業にかかる技術上又は営業上の情報資産(いわゆる営業秘密を含む。)を保有しております。

このため、当社グループでは、情報セキュリティ方針及び情報セキュリティ対策標準等を含む各種社内規則等を制定・遵守し、かつ当社にて情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格であるISMS認証(ISO/IEC27001:2013)を取得するなど、情報の適切な管理を徹底するとともに、役職員への教育及び研修等を通じて情報管理意識の向上に努めております。

しかしながら、コンピュータウイルスへの感染や不正アクセスの発生等により、これらの営業秘密等の漏洩又は改竄等が発生した場合、当社グループの競争優位性の衰耗もしくは喪失、又は協業先等からの損害賠償請求等の提訴若しくは当社グループの信用失墜等の事態を招き、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 知的財産権の管理について

当社グループは、事業を展開するうえで必要となる技術、ライセンス、ビジネスモデル及び各種商標等の知的財産の権利化を行うとともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っております。

しかしながら、当社グループが保有する知的財産権等について、第三者により侵害等がなされ、当社グループの競争優位性が衰耗又は喪失する可能性があり、また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当社又は当社への開発・運営委託元が当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の提訴を受け、これらに対する対価の支払い等やこれらに起因する当社グループの信用失墜が発生する可能性があります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 訴訟などに関するリスクについて

当社グループは法令順守を基本としたコンプライアンスを推進することにより、役員、従業員の法令違反等の根絶に努めております。しかしながら、当社グループ及び役員、従業員の法令違反の有無にかかわらず、ユーザー、取引先、その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。その内容及び結果、損害賠償の金額によっては当社グループの事業及び業績並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) その他のリスク

 ① 自然災害・感染症の拡大・事故等について

当社グループの所在地やサービス展開地域において大地震、台風等の自然災害、新型コロナウイルス感染症等の伝染病の拡大又は事故・火災等が発生した場合には、設備の損壊や電力供給の制限等の不測の事態が生じ、開発・運営業務の停止又はサービス業務の一時停止など事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。このような事態が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 固定資産の減損等について

当社グループは、継続して企業価値を向上させるために、IT関連の設備投資や研究開発投資に加えて、外部企業の買収や事業譲受等のM&Aも重要な手段の一つして考えております。これらの投資活動については、事前に必要性や収益性を十分に検証した上で決定しておりますが、想定通りに事業展開できない場合には、固定資産の減損に係る会計基準に基づき、投資活動により発生したのれん及びその他の固定資産の減損を認識する必要が生じるなどのリスク等が存在しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社グループは、前連結会計年度まで9期連続となる営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失となり、当連結会計年度においても、営業損失556,081千円、経常損失522,240千円、親会社株主に帰属する当期純損失420,604千円を計上しており、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が当連結会計年度においても存在しております。当社グループは、当該事象または状況を解消するために以下の対応策を講じております。

1.事業構造の改善

① 受託開発の強化

当社グループのゲーム開発と運営における知見とノウハウを生かして、他社の新規ゲームタイトルの開発受託を強化し、開発完了後の運営を受託することで、長期間にわたり安定した売上と利益を確保可能な体制構築を進めております。開発・運営の受託にあたっては、社内リソースの状況を見極め、慎重に工数を見積もるとともに、開発スケジュール進捗などの管理を徹底して行うことにより、開発遅延等を防止し、十分な採算性を確保できるように努めてまいります。

また、これに伴い開発における内製化率を引き上げることを目的として、エンジニアを中心とする開発人材の採用を強化しております。

 

② 人材マッチング事業の強化

ゲーム会社の開発・運用現場におけるエンジニアやクリエイター等に対する需要は底堅く推移しており、引き続き拡大が見込まれることから、ゲーム会社向けの人材派遣業務及びゲーム会社からの業務受託を注力分野のひとつとし、新規クライアントの獲得、既存クライアントからの新規需要の掘り起し等のセールス強化により人材マッチング数の拡大に力を入れてまいります。

また、人材マッチング事業を通じて、自社運営タイトルの整理や業務繁閑により生じた社内余剰人員を、円滑に他社のゲーム開発・運営現場へ派遣、もしくは業務受託することができるよう子会社を含めた運営体制の変更を進めております。

 

③ 運営タイトルの選択と集中

これまで当社グループで運営していたゲームタイトルについて一斉に整理を進め、主力タイトルを残してサービス終了もしくは他社への移管を行いました。また、今後新たに獲得する運営タイトルについては、運営体制と採算性を慎重に吟味した上で、安定的に収益が確保できるタイトルに絞って運営を受託する方針としております。

 

④ 経費の削減

運営タイトルのサービス終了に伴い、サーバー費、外注費、業務委託費用等の原価費目の削減が進んでおり、販管費についても、オフィス移転による賃料の引き下げや税負担の軽減など経常的な費用の削減を進めてまいりました。引き続き支払手数料や業務委託費などの管理系の経費について細かく削減を図り、全社的なコスト削減活動を継続して進めてまいります。

 

⑤ 事業の集約化

グループの事業構造の改善を進めるなかで、中核事業にあたらない事業分野や資金効率、採算性の低い事業については、事業売却もしくは整理を進めてまいりましたが、引き続き見直しを進め、グループ収益力の改善に寄与するよう図ってまいります。

 

2.事業資金の確保・維持

当連結会計年度において、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債、第7回新株予約権及び第8回新株予約権(行使価額修正条項付)を発行し、社債の引受並びに新株予約権の一部行使により、当面の事業資金として443,050千円の資金を調達いたしました。今後、当該第7回新株予約権及び第8回新株予約権(行使価額修正条項付)の未行使分の行使により693,916千円(直近の行使価額(195.9円)で行使された場合)の資金を調達することを見込んでおります。引き続き事業資金の確保による財務基盤の安定化を図ってまいります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務基盤を強固にするとともに競争力を確保し、積極的に事業拡大を図っていくことが重要な経営課題であると認識しており、毎期の業績に応じて適切な利益還元を行っていくことを基本方針としております。この基本方針に従って、配当につきましては連結配当性向20%を目途としておりますが、当期の剰余金の配当につきましては、連結純損失を計上することから無配とさせて頂きました。

次期(2024年9月期)以降の配当につきましては、現時点では具体的な配当実施方法及びその実施時期などの詳細は決定しておりませんが、上記方針に従って、内部留保の充実を図りつつ、安定的に収益を獲得できる事業体制を構築することにより、復配を目指してまいります。なお、当社は剰余金を配当する場合には、期末配当の年1回を基本的な方針としておりますが、会社法第454条第5項に規定する中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。