2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,019 100.0 -79 100.0 -7.8

事業内容

3【事業の内容】

当社は、音楽・映像・書籍・人物・イベントなどのエンターテイメント関連および美容、食品、飲料、衣料、消費材、旅行など生活、ライフスタイル全般に関わるデータベースを開発し、それらを活用したインターネットサービス開発およびシステム提供を行っております。具体的には、「データ提供サービス」「レコメンドサービス」「パーソナライズサービス」「検索サービス」「データアナリティクス(データ分析)サービス」などを通信会社、Eコマース会社、音楽・映像関連のインターネットサービス会社、音楽レーベル会社、商品・製品開発メーカー、流通小売会社、サービス提供会社などに提供しております。なお、当社は単一セグメントとなります。

各サービス提供に伴う「ライセンス」「開発」「運用」事業があります。

 

①「データ提供サービス」とは、当社が体系化したデータベースをサービス事業者に提供し、サービス事業者

 はそのデータを活用し、自社サービスを編成・運営することを行います。

②「レコメンドサービス」とは、当社の独自データベースを活用し、音楽、映像、書籍などのエンターテイメ

 ント関連ならびに、美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など暮らし全般のおすすめ作品・

 商品・サービスに関する情報の提供を行います。このおすすめ情報により、利用者は、自分がまだ知らない

 作品、商品、情報を探す、知る、購入することなどができます。

③「パーソナライズサービス」とは、サービス利用者の行動履歴を時間の経過と共に解析し、ひとりひとりの

 嗜好性に合った作品・商品・サービスに関する情報の提供を行います。これにより、利用者は、「自分の好み

 や気分に合ったおすすめ情報」を知ることができます。

④「検索サービス」とは、当社独自のデータベースを活用し専門分野などに特化した検索サービスであり、サ

 ービス利用者は一般的な検索サービスと比較し、よりこだわりのある専門的な情報を探す、知る、購入する

 ことができます。

⑤「データアナリティクス(データ分析)サービス」とは、口コミ情報、行動履歴を収集・解析し、当社独自

 の感性データと組み合わせた分析を行い、印象評価、印象比較、企画、商品調達、商品開発、販売予測、プ

 ロモーション効果測定、メディアプランニング、制作支援などの各種マーケティング支援サービスをデー

 タ・ドリブン(データを元に次の施策を決定すること)にて行います。当社独自の感性メタデータとの組み

 合わせにより従来手法の分析では見えづらかった「生活者や顧客やファンとコンテンツや商品との感性や感

 情的な結びつき」が見えるようになります。

 

いずれにしても、当社データサービス活用により、サービス利用者や顧客の好みを理解し、あらたな出会いを提供し購買、閲覧、回遊、継続などサービス利用者に対する価値を高めることを主な目的としています。

 

これらの事業の元となるのが、当社独自開発のデータベースであります。音楽であれば、基本情報のみならず演奏されている楽器の種類、奏法、声質、歌唱方法、ビート、リズムなどの定量情報、歌詞の内容や楽曲テーマ、感性情報、年代、マイクロジャンル、影響を受けた楽曲やアーティストなどの関連情報までを詳細に特徴づける体系的なデータであります。映像であれば、基本情報に加え、たとえばその映画のテーマ、印象、感性情報、時代背景、場所、職業、人間関係、オケージョン、ライフステージなどの詳細な情報を体系化しております。これら同様、非エンターテイメント分野の美容、飲料、食品、旅行などにおいても基本情報のみならず、各商品やサービス、ブランドの印象、特徴、体験価値、テーマ等を体系化し網羅しております。

ビジネスモデルとしては、「ライセンス」事業に関しては、月額従量制(月におけるデータや当社システムの利用量や利用者数に応じて発生)、月額固定制、またはその組み合わせおよび都度利用毎従量制、初期ライセンスなどがあります。「開発」事業に関しては、初期開発、サービス拡張に伴う追加開発があり、「運用」事業に関しては、主に年間契約に基づき、サービス事業者のシステムの一部を運用いたします。

当社のこれらのデータサービスは、現在、KDDI株式会社、株式会社レコチョク、株式会社NTTドコモ、

LINEヤフー株式会社、楽天グループ株式会社、LINE MUSIC株式会社、HJホールディングス株式会社(サービス名「Hulu」)、株式会社フジテレビジョン(サービス名「FOD」)、株式会社集英社、

株式会社世界文化ホールディングス、株式会社CCCメディアハウス、株式会社ハースト婦人画報社などで利用されております。

 

[メディアビジネスにおける事業系統図]

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、依然として続く円安、若干落ち着きを見せているものの国際的なインフレや国内の物価上昇、ウクライナのみならず中東をはじめとした不安定な国際情勢、未来へ待ったなしともいえる地球規模でのエネルギーや環境問題などの影響を受けました。これら様々な複合要素の中、株高を背景とした経済景況感の一定の改善が見られたものの、家計における景況感との乖離もあり、不透明、不確実な状況であり、それらは今後も継続されることが前提の社会であると思われます。

そのような中で、世界、そして日本においても、会社や個々人のパーパス(存在理由や目的)へのより本質的な向き合い方が今後ますます重要になってくることが見込まれております。

その変化の中では、経済活動においても、人的資本経営など見えない資産価値の重要性はもちろんのこと、企業、ブランド、製品、サービスが持つ情緒的価値、感性価値は、従来以上に重要な要素となり、当社独自の感性AI、感性メタデータの活用意義が深い社会環境になりつつあります。

当社の既存の主力事業である感性AIを活用したエンターテイメント分野でのデータサービスは、音楽・映像のインターネット配信の需要の広がりに伴うデータ価値の増大を受けて、前年度より着実に成長しております。また感性AI技術の活用先は、エンターテイメント分野以外の美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など日々の暮らしに関わる領域に広がっており、インターネット媒体での記事・コンテンツのレコメンド(おすすめ)や広告などにおいて利活用が一層進んでおります。

また世界的に個人情報の保護に関する規制が今後より厳しくなる中で、従来は利活用出来ていたクッキー(個人のウェブサイトでの行動履歴)情報が以前のように使用できなくなる状況となります。これらの事業環境においては、履歴・属性情報に依存しない文脈(コンテキスト)を解釈する技術が極めて有効となります。そしてそのような状況が進むにつれ、さらに重要になるのは、文脈(コンテキスト)を解釈するだけではなく、その文脈(コンテキスト)の背景や元にある人の感性や感情的な動機といったより深くエモーショナルな側面を推測することを可能とする点となります。当社の感性メタデータ、感性AIはこれらを実現する技術となります。また今後生成AIとの相互補完により、ますますの有用性の拡張を進めてまいります。

当社の独自感性データ技術は、生活者視点でいえば、自分らしく生きる、社会と共に生きる、自らのライフスタイルを見つけてより良く暮らす、ウェルビーイングともいわれる、そうしたニーズを繋ぎ広げることを可能にする技術です。企業視点から見ても、今後、より自社のフィロソフィー、カルチャー、ストーリー、こだわり、期待価値などを丁寧に訴求することで、自社の感性価値、情緒的価値に基づいた共感で繋がる生活者との長期的でより深いコミュニケーションが可能となります。それらの生活者と企業とのエモーショナルな繋がりを創ることにおいて、当社独自の感性AIの有用性があります。

その上で、中期的には、当社の既存主力事業であるエンターテイメント分野と新規事業である感性マーケティング分野を繋ぎ、日本全国の大企業から個人事業者や生産者と生活者とのコミュニケーション活動とエンターテイメントが持つ共感を増幅する力を掛け合わせ、アーティスト、クリエイター、企業、生産者、生活者、それぞれのフィロソフィーやストーリーを繋げる1億総クリエイターともいえる新しいコミュニケーションで繋がる社会の実現に貢献してまいります。

当社の強みは、感性メタデータを活用した独自の感性AIの開発と音楽、映像を中心としたエンターテイメント分野を通じて人間が持つ感性や感情を体系的、網羅的、詳細にデータベース化を行い、国内最大級の感性データベースであるメディアサービスデータベース(以下「MSDB」といいます)として開発、運用しているところにあります。それらのデータ・技術開発を通じて、人間の感性と感情に寄り添う「セレンディピティ=偶然の幸せな出会い」を生む独自のサービスを創ります。

当社は、「データベース・サービスカンパニー」として、創業以来『人の気持ちをつなぐ』というビジョンのもと、コンテンツに紐づく情報をデータベース化したオリジナルのMSDBを開発し、主にインターネットサービス会社を対象に、データ提供、検索機能提供、レコメンド・パーソナライズ機能提供、データ分析などの多様なデータベース関連サービスの開発および提供を行っております。具体的には現在、「音楽データサービス」「映像データサービス」「感性ターゲティング広告サービス」の3事業を展開しております。

これらのサービスについては、ユーザーベースをもつパートナー企業への技術ライセンス提供として、KDDI株式会社、株式会社レコチョク、株式会社NTTドコモ、LINEヤフー株式会社、楽天グループ株式会社、LINE MUSIC株式会社、HJホールディングス株式会社(サービス名「Hulu」)、株式会社サイバーエージェント(サービス名「Ameba News」)、株式会社フジテレビジョン(サービス名「FOD」)、株式会社集英社、

株式会社世界文化ホールディングス、株式会社CCCメディアハウス、株式会社ハースト婦人画報社などのサービスにて利用されております。

開発・運用型売上ではなく、技術ライセンス収入主体への事業モデルの転換に向けたデータ・テクノロジーライセンス事業に一段と主力事業がシフトする一方で、研究開発やデータ開発を引き続き、売上の25%を目処に積極的な投資を実行しております。それら事業活動の結果として、当事業年度の売上高は前事業年度比102.4%の1,018,798千円、売上原価は、前事業年度比112.6%の550,087千円となりました。販売費及び一般管理費については、将来成長に向けた先行投資としての研究開発活動を積極的に継続し、前事業年度比102.2%の548,000千円となりました。この結果、営業損失79,289千円(前事業年度は営業損失30,122千円)、経常損失78,943千円(前事業年度は経常損失29,864千円)また、特別損失として投資有価証券評価損20,099千円を計上したことにより当期純損失は100,264千円(前事業年度は当期純損失26,888千円)となりました。

当事業年度末における総資産は、970,854千円(前事業年度末比66,527千円減)となりました。流動資産につきましては885,449千円(同63,920千円減)となりました。増減の主な要因としましては、現金及び預金の減少(同43,903千円減)、売掛金の減少(同18,873千円減)であります。

負債は、264,800千円(同40,465千円増)となりました。増減の主な要因としましては、買掛金の増加(同14,717千円増)、未払金の増加(同12,436千円増)、退職給付引当金の増加(同11,744千円増)などであります。

以上の結果、純資産は、706,053千円(同106,993千円減)となり、自己資本比率は、前事業年度末の74.7%から68.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます)は前事業年度末に比べ、43,903千円減少し、678,658千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、14,860千円(前年同期は44,789千円の使用)となりました。主な収入要因としては、売上債権の減少18,873千円及び仕入債務の増加14,717千円の計上であります。一方で主な支出要因としては、未払消費税等の減少10,400千円及び税引前当期純損失97,974千円の計上であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、21,627千円(前年同期は13,396千円の使用)となりました。主な支出要因としては、投資有価証券の取得による支出20,100千円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、7,416千円(前年同期は7,360千円の使用)となりました。主な支出要因としては、配当金の支払額7,328千円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績において、当社は単一セグメントとしているため、サービスライン別に示すと次のとおりであります。

名称

前事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

メディアビジネス

993,891

113.9

1,018,576

102.5

コンテンツビジネス

720

100.0

221

30.8

合計

994,611

113.9

1,018,798

102.4

(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、KDDI株式会社に対する販売実績は、各通信事業者の情報料回収代行サービスを利用して、一般ユーザーに有料情報サービスを提供するものが含まれております。

 

相手先

前事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

  至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

LINE MUSIC株式会社

175,950

17.7

203,000

19.9

楽天グループ株式会社

147,401

14.8

159,934

15.7

 

(2)経営者による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

これらの財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績などを勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社の財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5経理の状況(1)財務諸表〔注記事項〕(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②経営者の視点による経営成績等の状況及び資本の財源、資金の流動性についての分析

当事業年度においては、独自技術資産を活用したデータライセンス提供に関連する事業を主体にした事業モデルを進めてきました。従来のエンターテイメント分野向けのデータサービスに加えて、新規事業として感性マーケティング事業の育成を行いました。結果、データライセンス事業売上が売上の約7割を占める水準まで伸長しておりますが、この事業構造の変化により売上は2.4%増加し、営業活動による収支は前事業年度より29,929千円改善しました。今後も収益性の高い独自のデータサービスの成長を基軸に収益性の向上を進めてまいります。

また、当社の主な資金需要は運転資金および研究開発費用であります。

運転資金は人件費支払いに充てるためのものであり、原則として営業活動による収入で賄うこととしております。

研究開発費用は、感性や感情を解釈する感性AI関連の技術開発、社内で使用するソフトウエアや、ソフトウエア開発に使用するサーバー等が主なものであり、基本的には営業活動による収入を主たる財源としておりますが、無借金であることから資金繰り、金融情勢を勘案し、良好な関係にある金融機関から借入による資金調達も必要に応じ、検討可能な状況であります。

 

(3)経営戦略の現状と見通し

インターネット関連業界は、生成系AIのさらなる進化と合わせ、産業革命とも言える大きな変化が生まれつつあります。その変化は経済活動のみならず生活のあらゆる領域での変革をもたらします。

一方で、社会の多様性、包摂性、複雑性の重要性や顕在化が高まる中で、社会と共生しながら自分らしくより良く生きる、所謂ウェルビーイングやSDGsなど精神的な熟成を伴う価値観の浸透が進んでまいります。それらは生活様式の大きな変化をもたらす可能性もあります。

このような時代背景の中、人間の感性や感情を解釈する技術はますます重要になります。そのなかで、新しいエンターテイメント体験、公告を含めた新しいコミュニケーション体験がインターネットやリアルと言われる非インターネット領域の両方または掛け合わせで生まれてくることが予想されます。さらに個々人の精神性の熟成や人間性の回復が今後より進むなかで、様々な経験や思いを持つ個々人と企業やクリエイターの様々なコラボ〜レーション(共創)が進化していきます。それらのコラボレーションは結果として社会や経済の多様性と自主性を伴った発展に寄与することとなります。

これらの「共感を通じたコミュニティとマーケティング」ともいえる領域の発展は、当社のエンターテイメントデータサービスや、感性ターゲティング広告をはじめとした感性マーケティングサービス、それぞれにとって大きな事業機会になります。

一方で、欧州に端を発するインターネット上における個人情報の保護についてはクッキーの利用制限も含め、今後より規制の強化が見込まれる中で、個人が接している情報からクッキーを活用せずに個人の嗜好性や思考性を解釈する当社技術の有用性が高まります。

また日本はもとより、世界中の様々なクリエイターが制作するコンテンツのグローバル流通は今後、言語の壁を越えて、ますます進んでいくことが予想されます。

 

その中で当社は、全世界の感性メタデータ含めた様々なメタデータの体系化、構造化、正規化を進め、「人間の曖昧な感性や感情を理解するテクノロジー」にさらに注力し、従来AI技術や生成系AIとの連携を強化しつつ当社が独自開発を行う感性AIを活用し関連市場の開拓をしてまいります。

 

当社はエンターテイメント関連のデータサービスにおいて、世界で通用するエンターテイメントデータサービスを目指して、一層の充実と普及を目指します。

 

エンターテイメント関連市場においては、

①ネットワーク経由で音楽や映像をはじめコンテンツ・作品を聴取・視聴する機会が今後も全世界で増加していきます。

②インターネットを活用したエンターテイメントサービスの出現や発展に伴いエンターテイメントに特化したデータ利用、レコメンド(推薦)、検索、分析、クリエイティブサポートなど当社データの利活用へのニーズの高まりが見込まれます。

③IoT、AI技術の進展によりスマートフォンやタブレット、パソコンのみならず自動車などの移動体やIoT家電、ウェアラブルデバイスなどにおいて、よりエンターテイメントサービスを体験する環境が広がることが見込まれます。

 

そのような環境のもと、当社は独自の「感性メタデータ」を活用したエンターテイメントデータサービスをより発展させ、サブスクリプションサービスにおける体験価値向上や新しいサービス体験の創出、またサブスクリプションサービス以外の様々なサービスとの連携、またはイベントやライブ、制作などでの利活用を進めます。また海外のエンターテイメントデータサービス会社との連携を進め国際的なコンテンツのグローバル流通の発展に貢献してまいります。

 

感性マーケティング関連市場においては、

①業種業態、企業規模の大小問わず、あらゆる商品・サービス・ブランドが、自社の感性価値や情緒的価値に基づくコミュニケーションをより行っていく可能性があります。

②その中で、自社の顧客グループの周辺に存在し得る潜在顧客の発見と関係づくりがより重要になります。

③一方でクッキーレスなど、個人情報の保護の機運の高まりの中で、従来活用できていたDMPなどの第三者データ(サードパーティデータ)の利用制限が予測され、また自社が持つデータ(ファーストパーティデータ)の重要性がますます高まります。

 

そのような環境のもと、当社は

①エンターテイメント分野で培った感性や感情の可視化、体系化を実現する感性AI技術をより進展させ、感性価値や情緒的価値に基づくコミュニケーションを実現する独自の「クッキーレス感性ターゲティング広告サービス」を広げてまいります。

②あらゆる企業が自社データ(ファーストパーティデータ)の利活用を今後ますます図っていく中で、各企業の自前データだけでは不足している定性的なデータとして、美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など暮らし全般の分野において感性メタデータとその活用サービスを各企業に提供してまいります。

③感性・感情的な結びつきによる生活者や企業同士が連帯する「クロスプロモーション」「ブランドパートナーシップ」の実現、および企業、消費者、クリエイター、アーティストなどが垣根を越えて感性を軸に共同でコミュニケーション(商品開発・販売・宣伝など含む)を行なう「共感パートナーシップサービス」に向けたデータおよび技術開発を進めてまいります。

 

これらすべての当社独自データベース関連サービスにおける重要な要素は創業以来の当社の注力領域である人間の持つ「感性」や「感情」のデータベース化およびその利活用にあります。当社は「人の感性や感情を理解する技術」の開発をより一層進めてまいります。そのための土台となるのが、当社独自感性データベースおよび感性AIの技術となります。

 

その上で、中長期的に自社にてユーザーベースを持ちうる当社独自のデータベース活用サービスを展開し、国内外で一人でも多くの利用者を増やしていくことで、当社ミッションである世界中の『人の気持ちをつなぐ』ことに寄与していきます。

 

 

(4)経営者の問題意識と今後の方針について

当社の経営陣は、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき最善の経営戦略を立案し、実行するように努力しておりますが、当社の属するインターネット業界は開発スピードが速く、その内容も複雑化してきております。また、提供するサービスについても、ユーザーの嗜好や流行の変化を捉え、柔軟な事業展開が必要となり、競合他社との競争が激化することも予想されます。あわせてあらゆる分野で大きな変革をもたらすであろう生成系AIの進展は、予想を超えて進む可能性を持っております。

そのような事業環境の中で、当社は、人の感性と感情を解釈する技術およびサービス開発に特化し集中することで、徹底的に独自性を磨き、感性メタデータを基盤とした事業モデルにて収益体質を強化してまいります。また独自技術を活用した収益モデルの多様化を図り、エンターテイメント分野、感性マーケティング分野と収益の柱を増強、確立してまいります。

あわせて収益力拡大に向けた当社の課題である営業・販売体制の強化を外部連携も含めて進めてまいります。

また将来を見据えたリーダー層の育成、企業文化のさらなる熟成、浸透などの人材育成およびマネージメント面の強化を行っていきます。