リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものです。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと組織横断的に構成するコンプライアンス監視委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。
(1) 外部環境について
① 宅地建物取引業法及び関係諸法令の変更について
当社グループは不動産業に属するため、監督官庁 (国土交通大臣または都道府県知事) から宅地建物取引業免許を取得しており、かつ「宅地建物取引業法」及び関連する各種法令によって規制を受けて事業活動しております。現時点におきましては、当該免許の取消し等重大な行政処分の対象となる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由によって当該免許の取消しを含む行政処分がなされ、またはその更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令等が改廃または新たな法的規制が生じた場合にも、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、法規制等の遵守を徹底すべく社内のコンプライアンス教育に努めるとともに、遵守状況を確認するための社内チェック体制の構築・運用を行っております。
(注)1.当社グループ各社の宅地建物取引業免許の最新の内容は次のとおりです。
ハウスコム株式会社
免許証番号:国土交通大臣(5)第6094号
有効期間 :2020年12月5日から2025年12月4日まで
ハウスコム東東京株式会社
免許証番号:東京都知事(1)第108283号
有効期間 :2022年9月3日から2027年9月2日まで
ハウスコム西東京株式会社
免許証番号:東京都知事(1)第108225号
有効期間 :2022年8月20日から2027年8月19日まで
ハウスコム東神奈川株式会社
免許証番号:神奈川県知事(1)第31769号
有効期間 :2022年9月6日から2027年9月5日まで
ハウスコム西神奈川株式会社
免許証番号:神奈川県知事(1)第31770号
有効期間 :2022年9月6日から2027年9月5日まで
ハウスコム千葉株式会社
免許証番号:千葉県知事(1)第18235号
有効期間 :2022年8月31日から2027年8月30日まで
ハウスコム埼玉株式会社
免許証番号:埼玉県知事(1)第24888号
有効期間 :2022年8月19日から2027年8月18日まで
ハウスコム関東株式会社
免許証番号:国土交通大臣(1)第10263号
有効期間 :2022年10月13日から2027年10月12日まで
ハウスコム静岡株式会社
免許証番号:静岡県知事(1)第14629号
有効期間 :2022年8月23日から2027年8月22日まで
ハウスコム東海株式会社
免許証番号:国土交通大臣(1)第10227号
有効期間 :2022年8月19日から2027年8月18日まで
大阪ハウスコム株式会社
免許証番号:国土交通大臣(2)第8685号
有効期間 :2019年10月8日から2024年10月7日まで
琉球ハウスコム株式会社
免許証番号:沖縄県知事(1)第5498号
有効期間 :2022年8月18日から2027年8月17日まで
(注)2.免許の欠格要件の主なものは次のとおりです。
●免許取消しの日から5年を経過しないもの(免許不正取得・情状が特に重い不正不当行為又は業務停止処分に違反をして免許取消されたもの)
●免許の申請前5年以内に宅地建物取引業に関して不正又は著しく不当な行為をした場合
●不正又は不誠実な行為をすることが明らかな場合
●事務所に専任の宅地建物取引士を設置していない場合
② 不動産の表示に関する公正競争規約について
不動産業界は公正取引委員会の認定を受け、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を設定しております。当社グループはこれらの規約を遵守し業務を遂行するように努めておりますが、万一、不測の事態によって規約に違反する行為が行われた場合、何らかの制約を課されお客様からの信頼性が低下することにより、業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクへの対応として、法規制等の遵守を徹底すべく社内のコンプライアンス教育に努めるとともに、遵守状況を確認するための社内チェック体制の構築・運用に取り組んでおります。
③ 経済情勢等の変動について
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、住宅税制等の影響を受けやすいため、これら諸情勢に変化があった場合には、賃貸住宅の家主様の事業意欲の減退及び入居需要の低下等によって賃貸住宅市況に影響し、その結果、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
④ 世帯数の減少について
不動産業のうち、賃貸仲介業界にとりましては、人口の減少・世帯数の減少により、入居者需要の面で重大な影響があります。人口は2008年より減少の局面に入りました(2024年4月12日公表、総務省統計局「人口推計の結果」による。〉が、世帯総数につきましては、2030年をピークとして減少局面に入るとの将来予測(2024年4月12日公表、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」2024年推計による。)が公表されております。世帯数の減少局面の到来が早まれば、不動産賃貸仲介市場における需要の縮小が予想されます。今後の世帯数の減少に基づく市場動向によっては、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 大手仲介管理会社との競合等について
大手仲介管理会社による多店舗展開及び賃貸物件の自社への取り込みが強化されている状況においては、当社グループが取り扱う賃貸物件の確保が困難になる可能性があります。適時に十分な賃貸物件の確保ができなかった場合には、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクへの対応として、当社グループは店舗網の拡大に努めるとともに、管理会社や個人の家主様を対象に取引先を広げ、賃貸物件の確保に注力しております。
⑥ 自然災害等の発生について
当社グループは、首都圏・中部圏・関西圏の三大都市圏及び九州圏を主たる営業エリアとしており、当該エリアで自然災害やテロ等、不測の事態が発生した場合は、その発生規模の程度によって人的・物的な被害を受ける可能性があり、当社グループの業績及び事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクへの対応として、当社グループはBCP(事業継続プラン)を作成するとともに、その見直しを適宜進めております。
(2) 事業展開及び組織体制について
① 店舗展開について
当社グループは積極的な店舗展開による成長を目指しておりますが、下記の要因により、出店計画に支障が生じ、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、出店案件について社内外から広く情報を集めることに努めております。
ア.出店予定地での物件の制約について
当社グループが出店を希望する駅前やロードサイドの好立地の物件は、同業他社のみならず、他業者も出店等を希望する物件でもあるため、適切な物件が見つからず、出店できないまたは別条件の物件に出店する等、当初の出店計画に支障が生ずる可能性があります。
イ.競合他社の店舗展開等の動向について
当社グループは、首都圏・中部圏・関西圏の三大都市圏及び九州圏を主たる営業エリアとして事業展開しておりますが、当該地域は、同時に当社グループと競合関係にある事業者も事業展開を進めている地域でもあります。当社グループは、今後も多店舗展開の営業方針に基づいた出店計画によって、当該地域に店舗展開してまいりますが、同業他社の店舗展開の状況によっては当社グループの出店計画に支障が生ずる可能性があります。
② ブランドイメージによる影響について
当社グループの賃貸仲介サービスの営業拠点は一部の例外を除いて「ハウスコム」を統一ブランドとして事業展開しており、何らかの不祥事や当社に対するネガティブな情報や風評が流れた場合にはブランドイメージの低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、子会社の大阪ハウスコム株式会社は主として「ミニミニ」ブランドのフランチャイジー(加盟店)として店舗を運営しており、株式会社シーアールエヌは、「クラスモ」ブランドを展開し、フランチャイザー(本部)として運営を行っています。これらブランドのイメージが低下した場合、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。これらの当該リスクへの対応として、法令遵守を徹底すべく社内のコンプライアンス教育に努めるとともに、顧客満足に係る活動及び教育に注力しております。
③ 人材の確保について
当社グループの現在の事業構造においては、店舗数の拡大と事業の拡張を進める場合、必要とする人員数が増加する状況にあります。今後の事業の拡大に向けて計画的な人員増強に努める方針ですが、十分な人員の増強が図れなかった場合には、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応として、新卒採用及び中途採用、カムバック採用に注力するとともに、短時間正社員の採用など、採用の多様化を進めております。
④ 親会社(大東建託株式会社)グループとの関係について
2024年3月期末日現在において、当社の親会社である大東建託株式会社は当社の議決権の52.3%を保有しています。当社は、大東建託グループにおいて、親会社グループの管理物件だけでなくグループ外の管理会社及び個人の家主様の賃貸物件を対象として、その賃貸仲介及び周辺サービス業務を担う会社と位置づけられております。当社の経営方針、事業展開等の重要事項の決定において、独立性は保たれていると認識しておりますが、今後、同社における当社株式保有比率に大きな変動があった場合、あるいは、同社グループの事業戦略が変更された場合には、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社は大東建託株式会社及びグループ各社と取引を行っておりますが、取引条件については、その妥当性について十分な審議を行っております。また大東建託グループの一部事業については当社ビジネスと競合し得るものもあります。主な内容は以下の通りです。
ア.大東建託リーシング株式会社との関係について
大東建託リーシング株式会社は、大東建託株式会社の連結子会社であり、不動産仲介賃貸借及び入居斡旋等の不動産仲介業務を行っており、その仲介斡旋する物件は大東建託パートナーズ株式会社の管理物件がほとんどを占めております。当社は、家主様自らが管理している物件及び大東建託パートナーズ株式会社も含めた幅広い管理会社からの依頼物件の仲介斡旋を取り扱い、賃貸仲介手数料を収益の柱としております。当社は大東建託パートナーズ株式会社の管理する物件も取り扱っておりますが、年間の仲介件数に占める割合は約16%であり、個人の家主様が直接管理する物件や他の管理会社が管理する物件の占める割合が大きくなっています。これらの状況が示すように、当社グループは親会社グループから独立した事業内容を備えているとともに、取扱い物件の重複が限定的であることから、大東建託リーシング株式会社との重要な競合の可能性は低いものと認識しています。
イ.大東建託パートナーズ株式会社との関係について
大東建託パートナーズ株式会社は、大東建託株式会社の連結子会社であり、家主様 (建物所有者) と建物管理契約や一括借り上げを行い、家主様に代って賃貸経営管理を行っております。アにて記載のとおり、当社は大東建託パートナーズ物件の取扱いも行っておりますが、仲介件数に占める割合は限定的であり、同社との間に重要な取引はないと認識しております。
ウ.D.T.C. REINSURANCE LIMITEDとの関係について
D.T.C. REINSURANCE LIMITEDは、大東建託株式会社の連結子会社であり、当社並びに大東建託グループの紹介する保険会社の一部の保険契約について当該会社への再保険が行われております。また当社は、当該会社の優先株式を保有しており、毎期配当収入を得ております。
(3) 財政状態及び業績の変動等について
① 収益の季節的変動性について
当社グループの事業収益は、日本の慣習である年度末や年度初めでの新卒の入社や人事異動、並びに進学等による転居需要の多い第4四半期、特に3月に集中する傾向があります。その季節的変動性の要因となっている日本の慣例や慣習に変化があった場合には、転居需要の分散により、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
② M&Aにおけるのれんの減損リスク等の影響
当社グループでは、企業買収の際に生じたのれんを計上しております。また、グループ外企業に部分的な出資を行った場合にはその出資額を投資有価証券として計上しております。これらの資産については、今後の事業計画との乖離等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ システムトラブルについて
当社グループの基幹システム等は、耐震構造等を備えた外部のデータセンターにシステム機器を設置する等、 一定の安全を確保しております。しかしながら、地震、火災その他の自然災害、システム、ハード及び通信イン フラの不具合、電源供給の停止、コンピュータウイルスなど、現段階で当社グループにおいて予測不可能な事態 により長期間にわたりシステムを停止せざるを得ない状況が発生した場合には、当社グループの業績及び事業活動 に影響を及ぼす可能性があります。
④ 個人情報の管理について
当社グループの事業においては、多くのお客様の個人情報を取り扱っており、個人情報取扱事業者に該当しております。このため当社グループは「個人情報保護規程」及び「個人情報保護マニュアル」を作成して、全社員に個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、不測の事態によって、当社グループが保有する個人情報が社外へ漏洩した場合は、社会的信用の失墜、トラブル解決のための費用負担等により、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクへの対応として、システム化やペーパーレス化等による漏洩機会抑制の仕組みの導入を図るとともに、法規制等の遵守を徹底すべく社内のコンプライアンス教育に努めております。
⑤ 訴訟等の可能性について
当社グループは、事業展開において宅地建物取引業法やその他関連法令を遵守した営業活動を推進しておりますが、お客様との認識の齟齬その他に起因して賃貸仲介物件等に関するクレーム・トラブル等が発生する場合があります。
当該クレーム等の対応については、当社グループではお客様満足度向上の観点から「クレーム対応マニュアル」を策定して、全社員に指導を徹底するとともに、早期解決の一環として「お客様相談室」をハウスコム本社内に設置して対応の一元化を図っております。
現在のところは重大な訴訟事件等は生じておりません。しかしながら、今後においてこれらクレーム等に起因 して重大な訴訟等が提起された場合には、当社グループに対するお客様からの信頼性の低下、損害賠償請求等に よって当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、当該リスクへの対応として、 法令遵守を徹底すべく社内のコンプライアンス教育に努めるとともに、顧客満足に係る活動及び教育に注力して おります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、企業価値を継続的に拡大し、株主への利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。配当政策の基本方針としては、株主への利益還元と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績と市場動向の状況に応じて、継続的かつ安定的に利益配分する方針をとっております。具体的には、各期の経営成績の状況等を勘案して、連結配当性向30%を基本方針として、株主への利益還元を行ってまいります。
また、当社は中間配当と期末配当の年2回、剰余金の配当を行うことを基本方針としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。なお、当社は会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
当事業年度の期末配当につきましては、2024年6月20日開催の定時株主総会において1株当たり9円の配当を決議しております。従いまして、当事業年度の配当は、中間配当の1株当たり8円とあわせて1株当たり17円となりました。
2024年3月期においては、2023年4月28日に公表した当初の連結業績予想よりも利益実績が上回る結果となりました。当初の予定では期末配当金を8円としておりましたが、株主還元の安定性を重視して期末配当金を9円とすることにいたしました。
なお、内部留保につきましては、財務体質の強化と、新規出店、既存店舗のリニューアル及び新規分野への戦略投資に充当し、経営の強化を図り、業績の一層の向上に努めてまいります。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月30日 |
61,773 |
8.00 |
取締役会決議 |
||
2024年6月20日 |
68,769 |
9.00 |
定時株主総会決議 |