2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあると考えております。

リスクの重要性の判断にあたっては、社長執行役員を委員長とする内部統制委員会において当社グループの将来の経営成績等に与える影響度および発生可能性を踏まえたリスク評価等を行い、中でも当社グループのコントロール外にある外的要因によって生じるリスクのうち優先的に対応を講ずるべきもの、もしくは内的要因によって生じるリスクのうち中長期的に大きな影響を及ぼすものを主要なリスクとして選定し、対応策の検討を行っております。管理対象としたリスクはリスクマップを作成し、年2回の更新により統制活動を見える化するとともに、それらの内容を取締役会に報告しております。

なお、記載内容における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業等および当社株式への投資に係るリスクを全て網羅するものではありません。

(1)  外的要因に関わるリスク

① 生産国の経済情勢等による影響

当社グループは、通信販売事業、卸販売事業において主にオリジナル商品を販売しております。また、店舗販売事業においても一部オリジナル商品を販売しており、他社との差別化が図れるオリジナル商品は当社グループの事業の基盤であり、収益の源泉となっております。
 オリジナル商品は、当社グループが強みとする「安さ」を実現するために海外の工場に生産を委託しており、生産国は中国が中心であります。当連結会計年度において、全仕入高に占める中国からの仕入比率は36.5%でありますが、輸入取引に占める中国からの輸入比率は96.3%であり、中国への依存度が高い割合を占めております。

生産国リスクをヘッジするため、生産国の移転に取り組んでおります。衣料においてはその2割弱をバングラデシュなど中国以外の第三国で生産しておりますが、靴に関しては技術・資材調達等において中国に優位性があり中国以外での生産委託は進んでいないのが現状です。このため、生産国、特に中国の政治情勢および経済環境、人民元相場等に著しい変化が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
 2020年の新型コロナウイルス感染症の拡大以降、海外出張が困難な環境が続いております。当連結会計年度は一部再開できたものの現地指導が十分に行えない状況にありますが、オンラインを活用した委託先とのコミュニケーションおよび生産管理の強化に取り組みながら、新規開拓にも段階的に取り組んでまいります。

② 為替相場変動の影響

当社グループのオリジナル商品は、海外での生産委託を行っており、その輸入取引は米ドル建て決済であります。そのため、米ドルの為替変動が仕入コストへ及ぼす影響を軽減するため、輸入取引については向こう1年内の為替予約取引等を行い、仕入コストの安定化を図っております。また、商品開発において社内基準レートを設定することで、為替の変動要因に左右されることなく、品質の確保を図っております。しかしながら、米ドルの円に対する為替相場が急激に変動した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

2022年4月以降、急激な円安の進行による影響が生じておりますが、原価低減によるオリジナル商品の適正な粗利益率の維持およびタイムリーな為替取引を行ってまいります。

③ 天候要因による影響

当社グループは、靴・履物をはじめ衣料等において季節商品を数多く取り扱っているため、季節指数が高く季節変動による影響を受けやすくなっております。季節商品の中でも、実用品・消耗品・必需品等ベーシックな万人向けの商品を中心に扱うことで当該リスクの低減に努めていますが、近年日本において異常気象や大規模な自然災害が頻発し、当社グループにおいても店舗営業ならびに通信販売および卸販売の受注獲得に少なからず影響が生じております。このような異常気象等により例年と大きく異なる変化があった場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 金利変動の影響

当社グループは、過年度において店舗開発や物流センター(生野事業所)などの設備投資を行ってきたことにより2024年3月期の連結会計年度末において有利子負債残高は69億58百万円あり、連結総資産に占める比率は42.8%となっております。

近年の資金調達コストは低位で推移してはいるものの、将来の金利上昇リスクを軽減するため、中期経営計画に有利子負債の削減を掲げ財務内容の改善に取り組むとともに、基本方針として長期固定金利による調達を行っております。しかしながら、靴専門店の出店や設備の更改など今後の事業拡大による新規運転資金や設備投資資金、借換資金を調達する可能性があり、市場金利が大幅に上昇した場合、支払利息等の増加により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)  内的要因に関わるリスク

① 商品の長期滞留および評価減等に伴う影響

当社グループは、主にオリジナル商品を取り扱っております。オリジナル商品における在庫リスクは当社グループが負っております。その中でも主力である靴はサイズ、カラーとも多様なため、他のカテゴリーと比べてもSKU(最小管理単位)数が多いのが特徴であり、季節商品や端サイズの売れ残りなどを適切に処理し売り切ることが課題であります。
 そのため、生産量の決定に際しては、ビッグデータ分析システムによる実績分析を行うなど販売予測の精度向上に努めております。さらに、単品管理による商品在庫の見える化を行い、適時適切な売価変更等による販売促進を図り、売上最大化および在庫最小化に取り組んでおります。また、通信販売事業、店舗販売事業および卸販売事業を擁する当社グループの多彩な販売網を活用し、商品在庫の適量水準の維持に努めておりますが、売上高は天候のほか、流行の変化等に影響を受けるため、売上高が予想を下回り当社グループの販売力で吸収できない場合は適正水準を維持できない可能性があります。その場合、社内規程に基づき商品在庫の評価減を実施しておりますが、予想を上回る急激な販売減少が生じた場合、商品在庫の長期滞留や評価減が発生し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 顧客情報の取扱いによる影響

当社グループは、通信販売事業、店舗販売事業および卸販売事業におきまして、顧客情報を保有しております。顧客情報の保護に関しましては、個人情報保護委員会を設置して社内体制の整備を行い、プライバシーマークの取得および更新〔認定番号:20000485(08)〕、社内教育による従業員の意識啓蒙活動など細心の注意を払っております。また、セキュリティ対策ソフトやファイアウォール等を導入し、システムへの不正アクセスおよびウイルスに対する防御策ならびに情報漏洩防止対策を講じております。しかしながら、万一何らかの理由により外部漏洩や個人情報保護法等に抵触する事象が発生した場合、社会的信用問題や損害賠償責任等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
  なお、個人情報漏洩事故が発生した場合に備え、損害賠償や事故対応全般に係る費用等を軽減する目的でサイバー保険に加入しております。

③ 商品の品質に関するリスク

当社グループは、「よい商品をどこよりも安く」をモットーに事業展開を行っております。当社グループが販売するオリジナル商品は「安さ」が特長です。商売はお客様の信用が第一であり、価格と品質の両面に徹底的にこだわってまいります。品質を守りながら多くの方に気軽に使っていただける価格設定で作るのは大変難しく、そこに挑戦するために努力・工夫をすることが当社グループの使命であると考えております。当社グループは、「価格」と「品質」の両面でお客様に喜んでいただけるモノづくりを目指してまいります。

そのため、社長執行役員直轄の品質管理部を設置し、当社グループ規定の品質基準に基づき、生産委託工場への技術指導や社内検品体制の強化、また外部の検査機関による検査などを行い、商品の品質管理体制の充実に取り組んでおります。また、お客様意見の活用や社内モニター制度などを通じて商品の改善を推し進めております。しかしながら、オリジナル商品に予測しえない安全上の問題が発生した場合には、当該商品の販売停止や回収が発生し、在庫処理や回収に係る費用等が発生する可能性があります。また、当社グループ全体に対する社会的信用が低下し、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社の利益配分に関する基本方針は、キャッシュ・フローを重視した経営を実践し、内部留保を充実させながら、会社を継続的に発展させることによって、株主の皆様に剰余金の配当を安定的かつ継続的に実施していくことであります。また、内部留保による企業体質強化を実施し、長期安定的な企業価値の向上を目指してまいります。当面は収益モデルの再構築に注力し、適正な収益基準を確保できる段階で配当性向を意識した配当政策を行ってまいります。
 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
 この基本方針に基づき、当事業年度の期末配当金につきましては、1株当たり普通配当10円としております。したがいまして、中間配当金と合わせて当事業年度の年間配当金は1株当たり20円といたしました。また、事業基盤強化も重要課題であることから、内部留保金は、主力の通信販売事業を強化するための投資や、店舗販売事業における改装費用等の事業強化に向けた投資および有利子負債の削減に活用し、企業体質強化に充当していく予定であります。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。 

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(百万円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月8日

取締役会

48

10.00

2024年6月27日

定時株主総会

48

10.00