2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,035名(単体) 22,819名(連結)
  • 平均年齢
    41.4歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.0年(単体)
  • 平均年収
    12,471,658円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

    2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

自動車

 

5,841

[1,065]

航空産業・交通プロジェクト

 

939

[22]

インフラ・ヘルスケア

 

1,694

[421]

金属・資源・リサイクル

 

863

[91]

化学

 

1,635

[146]

生活産業・アグリビジネス

 

3,824

[1,277]

リテール・コンシューマーサービス

 

5,171

[1,505]

その他

 

2,852

[469]

合計

 

22,819

[4,996]

 

(注) 従業員数は就業人員数(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの  出向者を含む。)であり、臨時従業員数は[ ]内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

    2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,513

41.4

15.0

12,471,658

 

 

上記従業員数に海外支店・海外駐在員事務所の現地社員67名及び受入出向者27名を加え、海外現地法人及び事業会社への出向者572名を除いた提出会社の就業人員数は2,035名であり、セグメント別内訳は下記のとおりであります。

 

セグメントの名称

従業員数(名)

自動車

 

95

[4]

航空産業・交通プロジェクト

 

130

[3]

インフラ・ヘルスケア

 

207

[2]

金属・資源・リサイクル

 

188

[5]

化学

 

210

[4]

生活産業・アグリビジネス

 

134

[3]

リテール・コンシューマーサービス

 

118

[0]

その他

 

953

[40]

合計

 

2,035

[61]

 

(注) 1  臨時従業員数は[ ]内に年間平均雇用人員数を外数で記載しております。

2  平均年間給与額には、賞与、超過勤務手当、基準外給与を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4) 女性活躍推進法等に基づく「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女の賃金の差異」

提出会社 (単位 %)

管理職※1

占める

女性労働者

割合

男性の育児休業等

取得率

(取得者/対象者)

男女の賃金の差異※4 ※6

全従業員

 

正社員

非正社員※5

双日㈱

6.4

法定※2

95.9

(47/49)

58.2

58.6

61.4

実質※3

100.0

(49/49)

 

 

連結会社 (単位 %)

管理職※1

占める

女性労働者

割合

男性の育児休業等

取得率

(取得者/対象者)

男女の賃金の差異※4 ※6

全従業員

 

正社員

非正社員※5

300人超

マリンフーズ㈱

1.1

法定※2

62.5

(5/8)

55.7

63.9

72.6

日商エレクトロニクス㈱

7.6

100.0

(11/11)

78.9

78.2

103.6

双日ライフワン㈱

8.8

75.0

(3/4)

96.6

64.8

92.0

双日ロイヤルインフライトケイタリング㈱

5.6

87.5

(7/8)

63.8

75.6

92.3

双日インフィニティ㈱

0.0

0.0

(0/2)

58.7

76.5

72.9

双日マシナリー㈱

3.7

50.0

(3/6)

71.9

69.3

61.6

双日建材㈱

1.2

100.0

(5/5)

67.5

55.8

59.5

101人~300人

双日食料㈱

2.1

法定※2

100.0

(1/1)

63.2

63.0

38.1

双日オートグループ大阪㈱

6.3

80.0

(4/5)

73.7

73.9

88.6

双日プラネット㈱

5.3

0.0

(0/1)

57.6

57.9

46.5

双日エアロスペース㈱

0.0

0.0

(0/4)

56.4

56.8

40.8

双日オートグループ東京㈱

7.7

0.0

(0/1)

65.6

70.8

18.6

双日オートグループジャパン㈱

3.2

0.0

(0/2)

55.6

63.4

25.8

釧路丸水㈱

42.9

0.0

(0/1)

59.4

75.6

61.4

双日シェアードサービス㈱

0.0

-

(0/0)

105.5

113.9

65.1

双日商業開発㈱

11.1

50.0

(1/2)

69.2

81.8

63.2

 

※1 労働基準法第41条第2号で定める監督もしくは管理の地位にある者

※2 アに対するイの割合

ア 2023年度中に子が出生した男性社員の数

イ 2023年度中に出生後1年に満たない子を養育する目的で初めて育児休業等を取得した男性社員の数

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業などの取得割合を算出したもので、イには2022年度に子が出生した男性社員の数を含みます。

※3 ウに対するエの割合

ウ 2023年度中に子が出生した男性社員の数

エ ウのうち、2023年度中に初めて育児休業等を取得した者と、2024年度において子の出生後1年以内に初めて育児休業等の取得を計画していることが確認できた者の合計。

※4 男性社員の年間平均賃金に対する女性社員の年間平均賃金の割合

※5 有期雇用契約から無期雇用契約に転換した個別に雇用契約を締結する社員(契約社員)を含む

※6 双日の男女の賃金の差異については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組

(2)人材戦略に関する基本方針 戦略 5) 女性活躍推進法による情報開示(45~48ページ)」に補足説明を記載しています。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1) サステナビリティ チャレンジ

当社グループにとってのサステナビリティとは、「双日グループ企業理念」に基づき、ステークホルダーと共に事業を通じた「2つの価値(双日が得る価値と社会が得る価値)」の最大化を図り、当社グループと社会の持続的な成長を目指すことです。

この「2つの価値」の最大化に向けて、当社は中長期的に取り組むべき「マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)」を定めました。このマテリアリティの策定にあたってはパリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)などを参照し、当社グループと社会の持続的な成長のために対処すべき普遍的な課題として「人権」「環境」「資源」「地域社会」「人材」「ガバナンス」を抽出、設定しました。

このマテリアリティの中から、個別具体的な課題を特定し2050年に向けた長期ビジョンとして「脱炭素社会実現 への挑戦」と「サプライチェーンを含む人権尊重」の2本柱からなる「サステナビリティ チャレンジ」を策定しました。この長期ビジョンは中期経営計画をはじめとする成長戦略を策定する上での下敷きにもなっています。

当社は、このような課題への対応のため、ステークホルダーとの対話などを通じ、当社グループにとってのリスクと機会の把握に努め、脱炭素社会実現に向けた対策や人権関連方針などの各種個別方針を策定、それらを「中期経営計画2026」にも反映し、具体的なアクションにつなげています。また、当社グループは2018年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言に賛同し、そのフレームワークを活用して積極的な情報開示と透明性向上に努めています。

 


 

 

ガバナンス

 

当社グループにおけるサステナビリティに関するガバナンス体制の主要な構成要素は、取締役会、経営会議、サステナビリティ委員会の3つの会議体です。また、執行役員の中から、サステナビリティ全般を管掌する担当役員が任命されています。サステナビリティ委員会は社長が委員長を務め、年に4回以上開催されています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や考え方の整備、サステナビリティ推進体制の構築、リスクと機会の特定・評価、指標や目標の策定、取り組み状況のモニタリングなどを行っています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ推進部が事務局としてサステナビリティ委員会の執行の実務を担っています。また、サステナビリティ委員会の活動や検討・協議された方針・課題は経営会議及び取締役会に付議又は報告されています。経営会議は社長が議長を務め、原則毎月2回開催されています。経営会議では、サステナビリティに関する全社方針や戦略などの重要事項の審議・決裁を行うほか、サステナビリティ委員会の活動報告を受けて、必要に応じてサステナビリティ委員会に対応の指示を行っています。取締役会はこれらのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っています。

 

<サステナビリティ推進・実行体制図>


 

<2023年度サステナビリティ関連の会議体における主な承認・報告事項>

取締役会

報告回数

2回/年

報告事項

・脱炭素の取り組み

・人権の取り組み

・ESG評価の状況

・サステナビリティにおける中計2023の総括、

 及び中計2026方針

サステナビリティ

委員会

開催回数

4回/年

承認事項

・各種個別方針の改定

・2023年度ISO14001 マテリアリティ

 (サステナビリティ重要課題)別のリスクと機会

 

報告事項

・脱炭素の外部動向

・Scope3の計測状況

・人権尊重の取り組み状況

・外国人技能実習生の人権対応

・生物多様性への対応

・ESG評価への対応状況

・社会貢献活動について

・ISO14001マネジメントレビュー

・中計2023総括と中計2026方針

 

 

 

リスク管理

 

サステナビリティ推進部が、各種媒体からの社内外の動向の把握、ステークホルダーとのコミュニケーション、外部専門家や有識者からの助言・指摘等を通じて当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクの識別・特定・評価に関する情報を収集し、サステナビリティ委員会に報告しています。サステナビリティ委員会は、それらの報告を受けて、検討・議論を行い、当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクを特定・評価しています。また、社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、業務遂行に伴う様々なリスクの認識、新たな事業や環境の変化により生じるリスクの検討を行い、必要な体制の整備とモニタリングを通じた改善施策の協議、担当部署への指示を行っています。環境・社会(人権)リスクは、当社グループが認識するリスクの1つとして特定され、脱炭素、気候変動対応、サプライチェーンを含む人権問題の防止・対応についてのリスク管理運営の進捗、改善状況を内部統制委員会がモニタリングの上、その結果について四半期ごとに経営会議、取締役会に報告しています。加えて、当社グループの個別の投融資案件を審議する投融資審議会での審議過程において、サステナビリティに関するリスクの特定と評価が行われています。以上のほか、当社では毎年、外部の有識者を招いて経営陣との間でステークホルダーダイアログを開催しており、その中でサステナビリティ経営について討議・確認しています。環境・社会に関するリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (7) 環境・社会(人権)リスク(53ページ)」を併せてご参照ください。

 

<ステークホルダーダイアログの開催>

経営が多様なステークホルダーの視点を取り入れるための取り組みの一環として、定期的にダイアログを開催しています。

テーマ

経営戦略と人材戦略を連動させて企業価値向上に繋げるための人的資本経営

有識者

岩本 隆氏(慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授)

 

三瓶 裕喜 氏(アストナリング ・アドバイザー合同会社代表)

 

白井 久美子 氏(BIPROGY 株式会社 参与

ユニアデックス株式会社 常務執行役員、CISO 、CPO)

双日側出席者

社内・社外取締役

 

 

事業と人材を創造し続ける総合商社を目指す当社として、人的資本経営を通じていかに企業の持続的成長を実現させ、ビジネス創造につなげていくか、そのために人材戦略をどう進めていくべきかにつき議論いたしました。

 

① 脱炭素社会実現への挑戦

戦略

 

1) Scope1、Scope2の削減

当社は、CO2排出の削減は脱炭素社会実現に向けた当社グループの責務であると考えています。したがって、当社グループによるCO2排出(Scope1とScope2)の削減を加速し、来たる脱炭素社会への耐性を高めると共に、この社会移行を新たな機会と捉え、幅広い分野におけるビジネスを進めていきます。2021年3月には、「サステナビリティ チャレンジ」を実践すべく脱炭素対応方針を策定し、Scope1とScope2の削減目標(後述)を設定しました。

 

2) Scope3、Scope4の計測と把握

当社は、脱炭素社会の実現のためには、当社グループのCO2排出(Scope1とScope2)削減に加えて、サプライチェーン全体のCO2排出(Scope3)までを含めた取り組みが必要であると考えています。また、Scope3の多い産業とそのサプライチェーン上の工程においては現在又は将来的に排出削減ストレスがかかる可能性が高いと考え、リスクとしてその計測と把握を行っています。具体的には、外部専門家を起用して、当社が事業を行っている産業のサプライチェーンにおいてScope3の多い所を特定し、リスクが高い、又は高まる箇所として分析し、その結果を示したものが次のCO2分析図です。縦軸に当社グループが関わっている一般的にCO2排出が多い産業分野を、横軸にサプライチェーン上の工程を置き、当社グループにとってのリスクがある所を濃いオレンジ色で表しています。当社グループへの影響が特に大きいと考えられる発電、製鉄分野からScope3の計測による定量把握を進めており、順次計測範囲を拡大しています。一方で、Scope3が多い所はCO2削減貢献による新たな事業創出の機会のある所でもあると捉え、削減貢献事業の取り組みを推進すると共に、その削減貢献量をScope4として定義づけ計測と把握を行っています。

 

リスク(Scope3)

CO2排出が多い所ほど一般的にはCO2排出削減のストレスが高まり、移行リスクとして、脱炭素に向けての規制の強化、政策の変更、市場における需給の変化、技術革新が生じ代替される脅威にさらされやすくなります。

機会(Scope4)

当社グループは、脱炭素又は低炭素のエネルギー事業、省エネ事業、循環型製品・サービス事業を通じて既存・競合他社の製品・サービスに代替し、あるいは新たに創出された市場、セグメントでの優位な位置を獲得することによる収益化を目指します。

 

 

<サプライチェーン上のCO2分析図>


注:2024年3月期データ。GHGプロトコルが規定する、Scope3の15のカテゴリーを簡略化して作成しています。

  カテゴリー別の詳細は、https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/e/data/ をご参照ください。

 * Scope4の計算方法:(IEAが公表する2022年の世界火力発電原単位(832g/kWh)- 当社発電原単位)×発電量

 

3) 脱炭素ロードマップ

当社は注力分野として再生可能エネルギー事業、トランジション事業を含む「エッセンシャルインフラ」や「エネルギー・素材ソリューション」を掲げていますが、それらの戦略の下敷きの1つとして、下記、脱炭素ロードマップがあります。「社会動向」や「必要な技術」を年代ごとに想定し、当社の「リスク」と「機会」を整理したもので、今後も定期的に見直していきます。

- 増加している再生可能エネルギーやサーキュラービジネスは恒常的に拡大し、将来的には余剰再エネ電力を使用したグリーン水素の活用が見込まれます。

- ただし、脱炭素社会への移行には、再生可能エネルギー普及時の不安定さを下支えするトランジション期間が必要と考えています。

- 当社は、トランジション事業として、高効率のガス火力発電や省エネサービス事業を推進することで、脱炭素社会への移行を事業機会につなげていきます。

- なお、技術動向は刻々と変わるため、随時見直しを行い、当社の対応の方向性を定期的に更新していきます。

<脱炭素ロードマップ>


 

 

4) シナリオ分析

● 移行リスク

外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が、当社グループの経営戦略、事業活動、財務計画に対する影響がより大きいと考えられる事業分野について順次シナリオ分析を行い財務への影響を分析しています。具体的には、CO2排出量の多いリスクのある所(<サプライチェーン上のCO2分析図>を参照)の中で当社グループが事業を行っており、特に影響が大きいと考えられる石炭権益事業と発電事業における移行リスクについてシナリオ分析を行いました。

<シナリオ分析>

リスク

リスク

機会

石炭権益事業

・分析手法

1.5℃シナリオを前提として、2050年までの石炭需要と価格見通しを想定し、当社保有資産の財務影響を分析。


 
・財務影響

1.5℃シナリオが現実化した際には、生産コストの増加の影響で一部資産に劣化の可能性はある。

当社グループが分析するいずれのシナリオにおいても、再生可能エネルギーの需給増加が見込まれています。当社グループは、再生可能エネルギー事業などの脱炭素事業に加え、トランジション事業として、高効率のガス火力発電や省エネサービス事業を推進することで、脱炭素社会への移行を事業機会につなげます。

 

発電事業

・分析手法

1.5℃シナリオを前提として、炭素価格と需給変動の影響を踏まえ、当社保有資産の財務影響を分析。


 
・財務影響

炭素価格や需給変動の影響を受ける発電所は限られており、財務影響は限定的。

 

 

● 物理的リスク

気候変動が抑制できず温暖化が進行した場合の物理的リスクについては、まず、海岸洪水や河岸洪水などの水に関するリスク(急性リスク)に注目して分析を行っています。具体的には、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスクの分析ツールAqueductの評価「Extremely High」と「High」の地点に所在する事業・資産(製造・加工工場などの非オフィス)が水リスクにさらされていると考え、その2024年3月末現在の有形固定資産額(リース資産は除く)を財務影響額として分析しました。その結果、東南アジア地域を中心に、一部の事業拠点における海岸洪水・河岸洪水の水リスクが高いことを確認し、財務影響のある資産(有形固定資産)の額は約300億円になると算定しました。

 

指標と目標

 

当社は、前項で説明した当社グループの気候変動における移行リスクとその機会を評価及び管理するための指標と目標を脱炭素方針として設定しています。その進捗状況は以下のとおりです。

 

<脱炭素方針と進捗状況>


 

 

<Scope1、Scope2排出量の推移(総量※)>

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

Scope1

(都市ガスなどの燃料使用による直接排出)

97万t-CO2

71万t-CO2

70万t-CO2

73万t-CO2

58万t-CO2

Scope2

(購入した電気・熱の使用に伴う間接排出)

15万t-CO2

21万t-CO2

22万t-CO2

21万t-CO2

21万t-CO2

合計

112万t-CO2

91万t-CO2

92万t-CO2

94万t-CO2

78万t-CO2

 

 

※2020年度以降の新規事業を含む

 

<Scope1、Scope2削減の進捗(既存事業)>


 

<権益資産推移>


 

 

なお、上記の目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化に応じて柔軟に見直しを行います。また、2023年度のScope1、Scope2排出量は現時点の集計値であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示いたします。

 

 

② サプライチェーンを含む人権尊重

当社グループはグローバルに様々な事業を展開していますが、その事業に関わるサプライチェーン上のどの国・地域においても人権尊重に努めるべく、人権リスクの把握及び低減を図っています。その取り組みにあたっては、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」を支持し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」フレームワークに沿って人権尊重への対応を行っています。

 

<国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が定める人権対応のフレームワーク>


 

戦略

 

1) 方針の策定・共有

当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」の10の原則などを踏まえて、「双日グループ人権方針」や「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」などの方針を策定しています。サプライヤーやグループ会社に対して、当社の方針を周知し、理解と実践を求めています。また、サプライチェーン上の人権尊重においては、事業現場における認識と理解が重要であると考えています。そこで、当社グループ各社からの人権尊重への理解と事業現場への認識徹底を行う旨の確認書の取得や、グループ各社の経営陣とサステナビリティ推進部(サステナビリティ委員会事務局)との間での対話を通じ、方針や取り組みの周知及び現場の対応状況の確認を行い、人権尊重意識の徹底と理解の浸透を図っています。

 

2) リスク評価

当社グループはグローバルに事業を展開し、その事業の範囲は多岐に亘る上に、川上から川下までサプライチェーンに広く関わっています。そこで、リスクベースアプローチの観点より、英国NGO「ビジネスと人権リソースセンター」が保有する人権リスクの発生事例データベースをもとに、当社グループの事業の中でも特にリスクが高い事業分野を特定すると共に、サプライチェーン全体において一般的にどの工程で人権リスクが発生しやすいか、分析・確認をしています。

 


 

 

上記のとおり特定した高リスク事業分野に対し、当社では以下のPDCAによる確認を行う体制を構築しました。

 

● リスク評価のPDCA

 


 

● 現地デュー・ディリジェンス

当社は、人権リスクを調査・確認するために、個々の取引や事業において取引や事業が行われている現場でのデュー・ディリジェンスを必要に応じて行っています。例えば、当社グループは木材の調達(輸入)について、合法性の確認、環境への配慮、社会への配慮の3本柱からなる木材調達方針を定めていますが、この方針の実践として、供給元を当社自身にて訪問し、その経営陣、現地NGO、行政機関、地域住民代表との面談を含む調査を行っています。

 

● グループ会社との対話

<外国人技能実習生に対する人権尊重>

当社では一部のグループ会社において外国人技能実習生を受け入れていますが、当該グループ会社に対しては、アンケート調査を実施して関連法令の遵守を確認するのみならず、受入現場を訪問して労働現場を確認し、経営層、及び技能実習生と対話を実施することで、技能実習生の労働・生活環境を把握し、問題がないことの確認に努めています。

技能実習生を受け入れている当社グループ会社は、人権尊重に留意するとともに、日本語学習の機会を設けたり、旅行やレクリエーション等を開催し、技能実習生との円滑なコミュニケーションを意識した取り組みを行っています。

また、グループ会社間で情報交換会を開催し、外部専門家による講演を受講、あるいは受入れに当たっての課題に関し意見交換を行う等、グループ内での意識向上を図っています。

 

指標と目標

 

1) 改善・救済/実績開示

策定した方針に従い、リスク評価を行い、サプライチェーンを含む人権尊重の取り組みを進め、「国際人権章典」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が掲げる人権尊重の実現を目指します。2024年3月期の高リスク事業分野に対するリスク評価においては、高リスク事業分野に関連する営業部署や当社連結会社のマネジメントまたは取引担当者に対し、各高リスク事業分野の課題の周知徹底に加え、課題への対応や現場における確認状況について対話等により確認し(2023年度実績:全152社、計50回)、サプライチェーンにおける対応について問題がないことを確認しました。今後も、外部専門家の意見も聴取しながら、これら高リスク事業分野において、PDCAを通じた継続的な改善を進めると共に、適時・適切な開示も行います。

 

● 木材調達における指標と目標

当社グループは、戦略のリスク評価の項にて説明のとおり、高リスク事業分野を特定しており、その中で木材分野については木材調達方針として指標と目標を定めています。具体的には、海外から調達(輸入)する木材について原産地までのトレーサビリティと、環境・社会(人権)へ配慮した森林管理の適切性に応じて以下の4つのレベルに分けて評価し調達を行うための目標を定めています。

 

レベルA:認証材(※)

レベルB:トレーサビリティに加え、認証以外で環境・社会(人権)に配慮した森林管理の適切性を

     検証済みの木材

レベルC:トレーサビリティが確保されている木材

レベルD:トレーサビリティの確保が不十分な木材

※ FSC(R)、PEFCなどによる認証木材

 

2025年度目標

2025年度までに、レベルAとレベルBの取扱いを100%にします。

 

 

<定量推移と目標>

 


 

*毎年、評価基準を厳格化しており、2020年度以降はレベルAを認証材のみとしております。

 2023年度のレベルA比率は23%。レベルA+Bは2022年度94%→2023年度99%(+5ポイント)となっています。

 

※上表における調達木材の取扱いに関する比率は、WWFジャパンの「林産物調達チェックリスト」を用いて当社が実施した評価に基づいて決定したレベルごとの木材(輸入材)の[調達金額]÷[調査対象とした木材(輸入材)総調達金額]で算定しています。また2023年度調査結果は、前年度の2022年度における木材調達金額を基に算出しています。なお、2020年度より第三者保証を取得しています。

 

当社グループの木材調達方針とその目標・実績の詳細については当社ウェブサイトをご覧ください(ただし、適宜内容を更新することがあります)。

<参考リンク>

木材分野における『サプライチェーンCSR行動指針』の実践 〜木材調達方針〜

https://www.sojitz.com/jp/csr/supply/lumber/

 

 

(コラム) <生物多様性への対応> 

事業活動・社会活動は自然資本に影響を与え、また、自然資本に依存しています。自然資本を棄損するとその恩恵を受けられなくなり、持続的な事業活動・社会活動ができなくなる可能性があります。

 

当社グループは、総合商社として広い地域で事業を行っており、事業分野も多岐にわたります。一部の事業においては直接的に自然資本を活用しており、自然資本を尊重し、恩恵を受け続ける必要があります。

 

● 自然資本への「依存」、「影響」の確認

分析ツールの1つであるENCORE(※)を参照し、まずは世の中一般の事業が自然資本にどのように依存し、また、どのような影響を及ぼす可能性があるか確認しました。ENCOREで依存・影響の重要度が高いと評価されている事業として、25事業を特定しました。

(※)ENCORE:国連環境計画(UNEP)等が開発し、金融機関、その他企業が参照している分析ツール。100以上の事業セクターと自然資本の依存・影響を評価している。

 

ENCOREの評価から、一般的に「依存」、「影響」ともに水に関する項目のスコアが高い傾向を確認しました。今後、自然資本への水に関連する「依存」、「影響」が特に大きいと考えられる当社事業の把握を含め、詳細分析の実施・検討を行う際の判断材料にしていきます。

 

<参考リンク>

生物多様性

https://www.sojitz.com/jp/csr/sojitz_esg/e/biodiversity.php

 

 

 

 

(2) 人材戦略に関する基本方針

全社方針として掲げる2030年の目指す姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」の実現に向け、価値創造の源泉である多様性と自律性を備えた個の成長を、組織の成長、会社の成長につなげています。

「中期経営計画2023」における人材戦略の振り返り

当社では、人事施策の効果・浸透度を定量的に測定しながら人的資本経営を実行するため、2021年6月に以下の「人材KPI」を設定しました。外部環境や人事施策の浸透状況に応じて柔軟な見直しができるよう動的KPIとし、具体的な施策を見直し、モニタリングする体制を整えています。人材KPIの進捗を人事施策の取り組みと併せて、半期ごとに経営会議及び取締役会へ報告しています。人材KPIの進捗は取締役及び執行役員の業績連動型株式報酬制度における報酬決定プロセスに評価指標として組み込んでおり、経営戦略実行への連動を高めています。

人材KPI(項目)

実績

目標

詳細

女性総合職

海外・国内出向

経験割合

48%

50%

(2023年度末)

・設定当初の目標(40%)を2022年度に前倒し達成。

・2023年初に目標を50%へ引き上げ。

デジタル基礎研修

修了者

総合職

100%

100%

(2023年度末)

・目標達成。今後も社内でモニタリングを継続。

海外グループ会社

CxO

45%

50%

(2025年度末)

・出資やM&A等を通じグループ会社数が増加し、現地CxO

 ポジション数も増加。引き続き現地化を継続。

チャレンジ指数

70%

(2023年度末)

・2023年度期末評価終了後に確定(24年7月予定)。

二次検診受診率

77%

70%

(2023年度末)

・目標達成。今後も社内でモニタリングを継続。

育児休暇取得率

()は男性社員

100%※1

(100%)

100%

(2023年度末)

・目標達成。今後も社内でモニタリングを継続。

・子の出生後1年間に40労働日の育児休暇を、分割して

 利用できる制度としたことで、男性社員の取得率が向上。

 

<参考リンク>

「中期経営計画2023」中の人材KPI進捗一覧

https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/data/

<人材KPI(動的)と2023年度の実績>


※1 2023年度の数値は当社実質ベース。2023年度に子が出生した社員の取得率で2024年度に取得を計画中のものを含む。

    なお、育児介護休業法に基づく法定ベースでは97%(96%)で、取得者には2022年度に子が出生して2023年度に

      初めて育児休暇を取得した社員が含まれる一方、2024年度に計画中のものは含まれない。

 

2023年度の数値は現時点の集計値であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示いたします。

 

②「中期経営計画2026」を支える人材戦略

2030年の目指す姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」に向け、「中期経営計画2023」では多様性と自律性を備える個の集団を形成するために、個の成長に比重を置きながら組織力の強化に注力してきました。「中期経営計画2026」では、当社グループの人材戦略基本方針として、双日らしい成長ストーリーの実現に向けた「事業創出力」と「事業経営力」の強化を目指します。

「中期経営計画2026」基本方針に掲げるNext Stage(当期利益2,000億円、ROE15%超)に向けた基盤の確立には、強みある事業群への進化、高い収益性の確保が不可欠であり、既存事業の拡大と新規事業投資を通じたグループの拡大とネットワーク活用による共創の促進を中心に「グループ連結力」を強化していきます。「中期経営計画2023」から掲げていた、自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個の強化とそれを組織力向上につなげるミドルマネジメントの強化を加速、環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢により、「事業創出できる」「事業経営できる」ヒト(組織・人材)を持続的に創出していきます。

持続的な価値創造に向けた「事業基盤」と「人的資本」の強化を支える土台として、「双日らしいカルチャー」の醸成、「Digital in All」、「データを活用した対話」の浸透により、新たな事業創出や生産性向上につなげ、当社スローガン“New way, New value”を実践していきます。挑戦や思考の柔軟さ(若さ)といった双日らしい独自の風土・文化を深化させ、社員が徹底的に向き合い対話し、事業創造につなげていきます。

2024年4月から、2030年の目指す姿の実現に向け、次なる成長を実現していくために重要なのは人材のギアチェンジです。社員一人ひとりがどこよりも挑戦・成長できる状態を目指し、報酬の引き上げ・役割等級・評価など人事制度を見直し、新たな人事制度をスタートさせました。双日らしい成長ストーリーを実現するヒトの魅力(ちから)を強化し、社員一人ひとりの成長が、組織の成長・活性化となり、会社の成長・企業価値向上を実現させる当社らしい人的資本経営を加速させていきます。2024年度は個人の成長を引き出すため、評価のさらなる納得度の向上度合いをモニタリングします。

 


 

 

ガバナンス

 

商社にとって価値創造の中核であり最も重要な資本である「人材」の力を最大化させ、自ら変革し新たな価値を創造し続けられる「個」の集団を形成し、価値創造につなげる「人的資本経営」を次の実行体制のもとで推進しています。

 

人的資本経営の実行体制として、取締役会で経営視点での方針の議論を経て、重要な人事事項は、社長が議長を務める人事審議会で審議・決裁しています。具体的な取り組みである人材KPIの進捗状況や人事施策の効果・課題などは経営会議と取締役会で定期的に議論しながら進めています。リスクの早期発見・対処のため、エンゲージメントサーベイや360度サーベイなどを活用してモニタリングする体制を整え、また、コンプライアンスホットラインや社内目安箱を設置し、現場の意見を吸い上げ、持続的な企業価値向上の推進力を高めていきます。

 

<人的資本経営 実行体制図>


 

 

リスク管理

 

人的資本価値の毀損「リスク」と、価値向上のための「機会」という「攻めと守り」の両面から各重要課題にアプローチすることによって、企業価値向上につなげています。また、2030年の目指す姿の体現に向け、足元の課題のみならず、将来を見据えて今着手すべき課題に対しても取り組みを開始しています。

 


 

 

指標と目標

 

1) 人材KPI(動的)

「中期経営計画2023」では個の成長に比重を置きながら組織力の強化に注力、「中期経営計画2026」では女性課長比率の目標を2030年代に50%へ引き上げ、各種取り組みを継続すると共にアウトプットを意識し「事業創出力」と「事業経営力」を高め、双日らしい成長ストーリーの実現を目指した内容にいたしました。

具体的には、「事業創出力・事業経営力」の向上に向けた「双日らしいカルチャーの醸成(挑戦指数、風通し指数)」、「多様な人材活躍(女性総合職 海外・国内出向経験割合、海外グループ会社CxO(現地人材)比率、デジタル応用人材)」に取り組んでいきます。また、一部KPIでは、定期的に実施しているエンゲージメントサーベイ(*1)の回答率を用いることで社員の声を定点観測し施策につなげていきます。

 


人材KPI(項目)

詳細

挑戦指数

風通し指数

・「中期経営計画2023」で掲げた人材KPIの目指す先の状態をKPIに設定。

・「中期経営計画2023」では肯定回答率(*1)としていたものから、積極肯定回答率(*1)に基準を引き上げ。

・社員の挑戦、風通しの良い組織文化醸成を加速。

女性総合職

海外・国内出向

経験割合

(トレーニー含む)

・世界中で多岐にわたる事業を展開する当社において、現場経験は管理職候補育成に重要な要素。

・「中期経営計画2023」では、トレーニーを含む本社外経験の数は増加した一方、管理職に求められる

 責任を伴うミッション遂行・意思決定など質の高い経験を積んだ割合を伸ばすべく、従来のKPIに

 加え、「駐在・出向経験割合」をKPIに設定。

・中期経営計画2023で掲げたトレーニーを含む本社外経験割合のKPI数値は、50%から60%以上に引き上げ。

海外グループ会社CxO(現地人材)比率

・事業戦略達成に向け、マーケットインと当社グループ力を活用した事業拡大は不可欠であり、それぞれの

 マーケットに精通し活躍する海外グループ会社CxO(現地人材)比率を引き続き モニタリング。

・KPI数値は、50%から60%以上に引き上げ。

デジタル応用人材

(エキスパート人材)

・前KPIは「基礎研修修了者割合」を掲げ、ビジネスへのデジタル実装を考えるための基礎知識を

 全総合職が習得。

・本中計では、事業への実装に向け、応用レベル「応用基礎・エキスパート研修修了者」のKPIにレベルを

 引き上げ。

 

(*1)2017年より開始したエンゲージメントサーベイ(社員意識調査)は、当社の状況を正確に把握し、効果的な人材戦略につなげるために外部専門家の監修のもと、当社独自の設問を策定・導入しています。サーベイでは、回答選択肢を6択設けており、そのうち「①とてもそう思う」「②そう思う」の回答割合を「積極肯定回答率」、「③どちらかといえばそう思う」を含めた回答割合を「肯定回答率」と定義し、組織別や属性別(年代別、職群別)などに分析を行い、各組織単位での改善活動につなげています。

<参考リンク>

エンゲージメントサーベイ

https://www.sojitz.com/jp/corporate/strategy/jinzai/

 

 

戦略

 

「中期経営計画2026」における当社グループの人材戦略基本方針として、「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」「多様な個の力を最大化するミドルマネジメントの強化」「環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢」の3点を掲げています。

 

1) 人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」

「多様性を競争力に」をテーマに、人材の多様性を、変化の激しい市場環境に対応し、常にスピード感をもって事業創造できる組織の力へと変えることで、「事業や人材を創造し続ける総合商社」を目指しています。ジェンダー、現地人材、高い専門性を持つキャリア採用者など、多様な人材の獲得と活躍機会の提供を積極的かつ継続的に行いながら、それぞれの特性や能力を最大限に活かせる職場環境整備、マネジメント層の教育など様々な取り組みを実施しています。

 

● 女性活躍推進

組織の意思決定に関わる女性社員を増やし、2030年代には男女間の差がなく適所適材が実現している状態を目指し、ダイバーシティマネジメントの専任組織を中心に、課長までの人材パイプライン拡張に取り組んでいます。

多様性をイノベーションの創出といった競争力につなげていくために、女性活躍推進を人材戦略の最重要テーマの1つと位置づけています。「中期経営計画2026」の最終年度には課長に占める女性の比率を20%程度とし、2030年代には、これを50%程度へ引き上げていきます。各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積、男女間における経験値のギャップ解消、女性特有のライフイベントを見越した「キャリアを止めない」施策に取り組んでいます。


 

- 女性課長職比率は、2023年度に10%以上とした目標に対し、2024年3月31日現在で12%

- 女性総合職の新卒採用比率は2018年度以降継続して30%以上を維持 (2024年4月入社:42%)

- 女性総合職の海外・国内出向経験割合は2023年度に50%とした目標に対しては2024年3月31日現在で48%

  なお、「中期経営計画2026」における人材KPIについては、37ページをご参照ください

- (ご参考)取締役9名のうち2名、監査役5名のうち2名が女性役員

  (2024年3月31日現在:女性役員割合28.6%)

- (ご参考)専門知識や経験を備えた外部からの人材登用や内部昇格により、女性執行役員は2名

  (2024年3月31日現在)

 

女性社員の採用、育成、登用を積極的に進めてきた結果、新規事業領域で活躍する事例も生まれています。国内では、当社がロイヤルホールディングス株式会社と設立したカフェ事業の運営展開を行う事業会社において、女性社員が社長に就任し、事業運営の陣頭指揮を執っています。また、当社がベトナム最大手の乳業メーカーVietnam Dairy Products JSCと共同で設立した事業会社の立ち上げでは、出身部署やキャリア、国籍が異なる多様なバックグラウンドの社員が集結した中で、メンバーの一人である女性駐在員が、セールス・マーケティング担当として、ベトナム国内における販売チャネルの開拓に取り組んでいます。

 

ジェンダーに関わらず仕事と育児を両立することについて、職場全体が理解・応援できる環境を整えることは、女性がライフイベントを経てもキャリアを中断することなく活躍できる企業風土醸成のために重要であり、男性社員を含めた育児休暇取得率100%の維持を目指しています。その中で、業務効率化やチームマネジメント力の強化に向けた取り組みや早期復職支援や両立支援策の推進により、社員のキャリア形成を支援しています。

当社は2022年4月に育児のための特別休暇である男女共通の「産後育児休暇」を導入しました。生まれた子が1歳になるまで通算で40労働日の有給休暇を回数制限なく分割し、自由に取得できるもので、男性社員では、従事中の業務や家族の状況に応じて育児休暇・休業を柔軟に取得することを可能としています。

下図は、男性社員の育児休暇・休業の実績分布です。これは、「産後育児休暇」の運用を開始した2022年4月からの1年間(2022年度)に初めてこの休暇を利用した男性社員46名を対象に、生まれた子が1歳になるまでに取得した育児休暇・休業の通算日数を示したものです。実績分布をみると、短期間の育休取得から長期間の育休取得まで幅があり、男性社員それぞれの状況に応じて育児休暇・休業を取得していることがわかります。

※産後育児休暇と、これに連続する所定休日又は法定の育児休業を加えた日数。

 子が1歳になるまでの追跡となるため、育児休暇・休業の取得期間には翌年度となる2023年度も含まれます。

 

<2022年度に初めて育休を取得した男性社員(46名)の出生後1年までの育休取得日数>


 

また、当社では「産後育児休暇」を取得した男性社員から、どのように休暇を取得したかをヒアリングしています。以下は男性社員の利用実例ですが、出産直後から取得する育休だけでなく、多様な取得の形が見られます。

    <男性社員の利用実例>

・プロジェクトに取り組んでいる期間や決算期を避けた育児休暇の取得

・配偶者が出産の前後に実家に滞在する「里帰り出産」から戻った時からの育児休暇の取得

・配偶者の早期復職支援として復職のタイミングでの育児休暇の取得

・新生児を養育中の配偶者と定期的に交代して配偶者の負担を軽減する目的で、所定休日に産後育児休

  暇1日を加えて週休3日として担当する業務との両立を図った形での育児休暇の取得など

 

仕事と育児の両立を応援する風土を醸成するために、部長研修では、男性育休をテーマとするパネルディスカッションを実施し、現場の課題やマネジメントの工夫など、活発な意見交換を実施しました。また、多様性を価値創造につなげるための意識醸成の取り組みとして、ダイバーシティ月間を開催し、育児、介護、LGBTQなど複数テーマでの講演会を通じて社員一人ひとりがDEI推進を考え、理解を深める機会を設けています。

 

男女の賃金の差異については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 女性活躍推進法等に基づく「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女の賃金の差異」(11ページ)及び後述の女性活躍推進法による情報開示(補足説明)(45~48ページ)」をご参照ください。

 

 

● デジタル人材育成の活用と育成のさらなる強化

当社は社内外のパートナーと共にデジタルを活用することで、ビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できるデジタル人材を育成するため、スキル分野・スキルレベルの設計と研修カリキュラムの独自開発を行いました。既に、入門・基礎による全社員のリテラシーレベルの底上げが完了し、上位の応用人材も「中期経営計画2023」の目標であった300人の育成を達成(実績:321人、そのうちエキスパート:60人)しました。これらのデジタル人材を活用することで、鉱物取引における価格最適化、水産事業会社の商品販売戦略などのデータ分析や、本マグロ養殖事業のデジタルツインによる尾数推定方法の特許出願など、ビジネス課題への実践を着実に進めています。また、エキスパートとなった管理職を営業本部・コーポレートの各組織内のデジタル専門部隊のマネジメントに抜擢し、Digital in Allの実現に向けて強固な体制を築いています。

 

「中期経営計画2026」においては、全社のデジタルリテラシーの更新・底上げを継続しつつ、応用人材の研修カリキュラムの強化と育成人数のさらなる拡大を進めていきます。応用基礎では、データとテクノロジーをビジネスモデルにどのように組み入れるかを構想するためにビジネスアーキテクチャ研修(約20時間程度)を新設します。また、育成人数も全総合職の50%程度(約1,000名)、そのうちエキスパートは10%程度(約200名)の育成を目指し、全組織に応用人材が配置され、同人材を基軸とした全社レベルでのデジタル変革の実現を目指します。

 

● キャリア採用者の活躍

当社では、経営人材、DXなどの専門人材、ジェンダー、現地人材などの多様性強化に向けたキャリア採用に注力しています。2024年3月末現在で、管理職ポストにおけるキャリア採用者の割合は24%、役員ポストにおいては39%を占めています。なお、2023年度の採用に占めるキャリア採用者の比率は31%でした。今後も、年間の新規採用者数の30%程度をキャリア採用者としていく予定で、そのうち40%程度を女性とする方針です。また、2021年12月には、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)・執行役員として専門人材(女性)を社外から迎えました(※)。これまでに他社で培った知見や女性ならではの視点などを経営や現場との対話に活かし、新規事業の創出と事業モデルの変革につながるデジタルの実装を加速していきます。

2024年4月1日付で、専務執行役員 CDO 兼 CIO 兼 デジタル推進担当本部長に就任

 

● 現地人材の活躍

海外事業会社を起点に現地ネットワークに入り込み、事業領域の拡大や新規事業の創出につなげるため、現地人材のCxOポストをさらに拡大し、2022年3月末に40%だった海外事業会社の現地人材CxO比率が、2024年3月末現在で45%となりました。2025年度までに50%と設定していた目標値を、「中期経営計画2026」では60%に引き上げ、さらなる現地化を目指しています。域内での意見交換/情報共有によるマーケットイン・事業機会発掘の強化、共創と共有を推進するための海外地域における取り組みとして、海外事業会社CxOで構成するアドバイザリーボードを米国で開催しており、当時の社長も参加し、米州の事業会社のCxOと今後の成長戦略に関して積極的に議論しました。このような交流を通じ、当社グループが持つ多種多様な事業と掛け合わさることにより、事業拡大につなげ、連結力強化を目指しています。

 

 

● トレーニー制度

当社では、400社を超えるグループ会社を通じて多様なビジネスを展開しており、それぞれの事業会社の経営を担う人材の育成は重要な課題です。経営人材の育成・確保のため、国内外へ派遣、MBA派遣・語学自己研鑽制度など、様々な研修を行っています。特にユニークな取り組みとして、現所属組織とは異なるミッションを持つ本部外トレーニー制度があります。例えば、コーポレート(職能)出身の人材が事業会社で営業を経験、また化学本部のトレーディング業務を担当していた人材が航空・社会インフラ本部主管の事業会社でM&A後の統合効果を最大化させるべく、経営・業務・意識統合に向けた取り組みに携わるという形で、これまでと異なる経験を積みます。新たな経験を通じて、社員が多角的な視野を身に付け、知識や人脈に加え社員の幅出しのきっかけとなる成長の機会となっています。2023年度は24ヶ国に海外トレーニーを派遣(うち40%が女性社員)、日本とは異なる現場を早期に経験することで、さらなる成長につなげグローバルで活躍できる人材の育成を目指しています。

<参考リンク>

トレーニー制度

https://www.sojitz.com/jp/corporate/strategy/jinzai/

 

● 発想×双日プロジェクト(通称:Hassojitzプロジェクト)

当社における「さらなる成長」を考え、未来構想力や戦略的思考を定着させるべく、2019年に新規事業創出プロジェクト「発想×双日プロジェクト」を開始しました。第1回目に社長賞を受賞した「ワイヤレス充電」案件は、2023年3月より公道での実証実験を開始しています。

他にも、2020年度のeスポーツや早生樹案件は会社を設立するなど、新たな事業づくりを進めています。開始から5年目となる2023年度は「情熱のチカラで変革を!」をテーマに、外部の有識者やアルムナイメンバーとのディスカッションを行い、発想を起点とした事業創出力の強化を継続しています。2021年度からは内定者研修プログラムの一環として「内定者×Hassojitz」を導入し、当社の業務理解の促進と既存の枠にとらわれない事業の発想力強化をおこなっています。また、外部プログラムへの派遣や、外部講師からのアドバイスを通じ、事業アイデアの精緻、高度化、共創による発想、イノベーションを加速させています。Hassojitzプロジェクトでは起業家精神の醸成と自律的に事業創出ができる人材の育成を促進しています。

<参考リンク>

ワイヤレス充電事業

https://www.sojitz.com/jp/newway_newvalue/article/nwnv_post_11.html

 

● 人と人とが徹底的に向き合い対話する文化浸透

当社グループの価値創造の源泉である人材同士の活発なタテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションは、多角的な意見・情報共有による意思決定の質向上、自由な発想や組み合わせによるイノベーション創出、目標達成に向けた貢献意欲・組織エンゲージメント向上など、会社・組織の成長と発展に重要な役割を果たすと考えています。

多様性と自律性を備える「個」それぞれが当社らしさを考え、行動に変えていくことが人的資本経営の先にあるべき姿と考え、2023年4月、全社を巻き込んだ対話型プロジェクト“双日らしさの追求プロジェクト”を立ち上げました。社内外へのヒアリングを通じた現状認識、全組織から選抜されたコアメンバーによるワークショップ、経営と意見交換・議論を繰り返し、将来と現在、会社と個人などの観点から、当社らしさやありたい姿を言語化しました。2030年の目指す姿の実現について社員一人ひとりが“自分ごと”として言語化することにより、社員の日々の行動と経営目標の方向性を合致させ、人材の力が会社の力につながるよう、全社をあげて取り組んでいます。

 

● 双日アルムナイ

双日アルムナイ活動内容

https://sojitz-alumni.com/page

  

● 多様なキャリアプラン実現に向けた支援(双日プロフェッショナルシェア株式会社)

双日プロフェッショナルシェア

https://www.sojitz.com/jp/corporate/strategy/jinzai/

 

2) 人材戦略基本方針②「多様な個の力を最大化するミドルマネジメントの強化」

多様性と自律性を備える「個」の成長(Will/Can)を組織と会社の成長(Shall)、企業価値向上につなげるためには、経営層と現場社員の結節点・橋渡し役として戦略遂行とエンゲージメント向上を担うミドルマネジメント層の強化が不可欠と考えています。

 

● ミドルマネジメントの強化による組織力向上

当社の価値創造の源泉である人材の力を最大化するため、対話を通じて社員の力を引き出し組織力の向上につなげるマネジメント力の強化が重要であると考えています。エンゲージメントサーベイ結果(2022年度回答率99%)を分析し、部課長の中で最も現場に近い課長職が組織エンゲージメントに大きな影響を与えることがわかりました。組織エンゲージメント向上においては、部長職と比べて課長職の影響力が高いため、課長職を中心としたミドルマネジメント層の強化に取り組んでいます。

また対話力の高い課長職の組織は、「風通し」「挑戦意欲」「成長実感」が高い傾向にあることがデータから明らかになりました。当社におけるミドルマネジメントの強化は「対話力向上が最重要」と位置づけ、研修の実施など強化施策を実行しています。今後、対話の質をより向上させ、組織の統率力向上、「事業創出力・事業経営力」の強化につなげます。

 

● 活躍し続けられる人材育成(研修プログラム)

当社では、会社目線(戦略遂行上求められる組織能力の確保)、社員目線(個々が持つ能力と目指すキャリアの実現)の双方の観点から、対話を通じて最適な人材開発を継続しており、社員の成長をサポートするために様々な研修を実施しています。全ての世代と階層に提供するデジタル人材育成プログラムなどのコンテンツのほか、新入社員向けや管理職向けの研修、役員向けの研修など様々な研修コンテンツを提供し、個の成長を組織の成長につなげています。次世代リーダー育成を目的とした選抜研修も展開し、組織のレジリエンス力を向上させ、豊富な人材プール・サクセッションプラン構築に向け、計画的に人材育成を推進しています。経営人材としての素養の醸成、高度な経営スキルの獲得、他社経営人材とのネットワーキング、専門家によるコーチングや異業種交流型研修への派遣などを行っています。

<参考リンク>

研修プログラム

https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/s/human_resources/

 

 

3) 人材戦略基本方針③「環境変化を先読みした機動的な人材配置・抜擢」

テクノロジーの発展や地政学リスクなどの著しい環境変化や多様な顧客ニーズに対応し続けるため、機動的かつ計画的な人材配置や育成・抜擢を行い、2030年の目指す姿の実現に向け事業創出力と事業経営力を高めていきます。

 

● 多様な経験機会による人材育成(ジョブローテーション制度、社内公募制度)

当社では、管理職登用までに2つ以上の異なる業務(出向や海外駐在を含む)を経験し多様な専門知識とスキルを身に付けるジョブローテーション制度や、自らが思い描くキャリアを切り拓く機会としての社内公募制度など、社員の育成促進とキャリアの幅を広げる制度を導入しています。社員とキャリアプランを共有するための定期的な面談機会のほか、異動して約半年後のタイミングで活躍・定着度合いをヒアリングしサポートする仕組みなど、社員のモチベーションをモニタリングできる体制を整え、必要に応じて面談を実施しています。また、2020年度からは昇格に必要な要件を見直し、能力とやる気を兼ね備えた若手社員の早期抜擢を可能としています。

 

● 機動的・計画的な人材配置や育成を支える人材の可視化

「個」と「組織」の強化をさらに進めるべく、人材データを活用(データサイエンス)しています。エンゲージメントサーベイや360度サーベイなど、定期的に実施する全社サーベイや人事データを多角的・多面的に分析しデータドリブンな人材戦略の遂行につなげています。また、全社でタレントマネジメントシステムを活用し、タテ・ヨコ・ナナメの対話促進、適所適材の実現、公正・公平な評価フィードバック、社員の成長を可視化するなど、社員個人と組織をデータでつなぎ、人的資本経営の基盤を充実させていきます。

 

4) 多様な人材の活躍を支える制度・取り組み

当社グループの成長は社員と共にあると考え、多様な価値観やキャリア志向を持つ全ての社員が、挑戦・成長を積み重ねることで、高いモチベーションを維持しながら自律的に働き続けられる環境を整えていきます。

 

● 健康経営

当社グループにとって最大の財産である社員とその家族が心身共に健康であり、社員が働きやすさと働きがいを持てる健全な職場環境づくりは、会社の重要な責任の1つと考え、『双日グループ健康憲章 “Sojitz Healthy Value”』を策定しました(2018年3月)。疾病の未然予防・健康増進に加え、仕事と治療の両立を図るべく、健康推進担当の組織体制を強化し、各健康関連施策を実施しています。定期健康診断の一次受診率100%を継続しつつ、疾病の早期発見・予防を目指し、二次健診受診率を人材KPIとして定め、2023年度は目標の70%を上回る77%まで向上しました。2023年度は、2022年度に策定した健康戦略マップをもとにフィジカルヘルス対策/メンタルヘルス対策/女性の健康対策を主軸として健康施策を実行し、それらの取り組みが評価され、「健康経営銘柄」に2度目の選定を受けています。

<参考リンク>

健康戦略マップ

https://www.sojitz.com/pdf/jp/sustainability/sojitz_esg/s/health/strategymap.pdf

 

フィジカルヘルス対策では、健康に対する社員の意識と行動の変容を促すことを目的に、2023年9月に当社は「双日健康フェス」と題し、10種類の施策を実施しました。社長を含む経営層も参加し、運動奨励(体力測定会など)や各種セミナー(睡眠、体の歪み改善、健康診断結果の読み方、食生活など)を通じ、健康の重要性の理解を深める機会を提供しました。

メンタルヘルス対策では、精神科産業医監修のもと、発症予防を目的とした全社員向けのセミナーや、部下のメンタルケアを目的とした管理職向けのセミナーを実施し、産業医と所属組織との連携を深めメンタル不調の予防に取り組んでいます。

 

女性の健康対策については、2022年4月以降、子宮頸がん・乳がん検診の対象の全年齢への拡大、社内診療室への婦人科嘱託医の配置、不妊治療に関わる相談窓口の設置、外部企業と契約し、医師や専門家による女性の健康に関するオンラインセミナーの配信等、施策を強化しています。不妊治療は仕事との両立の難しさが課題として認識され、本人のみならず、所属組織が理解を深めることを目的に、婦人科医による仕事と不妊治療の両立に関するセミナーを実施するなど、取り組みを強化しています。

今後も健康経営を推進し、社員一人ひとりが心身健康な状態を維持し活躍し続けられる環境を整備していきます。

 

<多様な人材の活躍を支える主な制度・取り組み一覧>


 

● グループ全体で企業価値向上を加速させる取り組み(従業員持株会・株式の付与)

当社は、グループ全体で持続的な企業価値向上及び株価上昇に向けた意識醸成を企図し、株主への利益還元だけではなく、当社を支える従業員への株式の付与を通じて従業員一人ひとりの会社への帰属意識と企業価値向上に向けたモチベーションを高めていきます。2023年5月には、従業員持株会の会員である社員に対して、特別報酬として1人あたり100株を付与しました。2024年3月現在で、当社における従業員の持株会加入率は90%程度となり、収益の拡大による資金の循環を人や事業の成長につなげるべく、グループ全体で企業価値向上に向けた取り組みを加速させていきます。「中期経営計画2026」の数値目標を双日グループ一丸となって達成した際は、従業員に対して特別報酬を付与する予定です。

 

 

5) 女性活躍推進法による情報開示(補足説明)

 

● 当社(提出会社)における男女の賃金の差異の状況について

当社の正社員は総合職と事務職で構成されています。総合職は基幹業務において主体的に役割を担い、事務職は総合職を補佐し事務処理業務全般を担う職種です。また、非正社員は主に定年再雇用社員です。当社では、それぞれの職種ごとに役割等級制度を採用し、年齢や性別を問わず、本人の資質や能力、取り組み意欲に応じて役割が決定されています。職務の内容や異動の範囲などが同じ役割等級では性別の違いによる賃金の差はありません。(時間外勤務などの変動要因によるものを除く)

 

<年間平均賃金(職位別)>

 


 

 

● 「全従業員」、「正社員」、「非正社員」の雇用管理区分による男女の賃金の差異

女性活躍推進法に基づく「全従業員」、「正社員」、「非正社員」の雇用管理区分(以下「女性活躍推進法に基づく雇用管理区分」)で算出した場合の男女の賃金の差異は以下のとおりです。

 

 <男女の年間平均賃金の差異(男性社員の年間平均賃金に対する女性社員の年間平均賃金の割合)>

全従業員

正社員

 

 

非正社員

総合職

事務職

58.2%

58.6%

70.3%

61.4%

 

 

             <人員数(2024年3月31日現在)>

(人)

全従業員

正社員

 

 

非正社員

総合職

事務職

男性

1,717

1,611

1,611

106

女性

796

735

366

369

61

2,513

2,346

1,977

369

167

 

 

● 女性活躍推進法に基づく雇用管理区分で発生している男女の賃金の差異の理由と当社の考え方について

女性活躍推進法に基づく雇用管理区分においては男女の賃金の差異が発生していますが、その要因として、当社では総合職において管理職層で女性社員の割合が低いことが挙げられます。現在、人材戦略の重要施策として、女性活躍推進に取り組んでいます。2030年代に全社員に占める女性社員比率50%程度、女性課長比率を50%程度にすることを目指し、新卒及びキャリア採用における女性総合職社員の採用増加に加えて、仕事と育児の両立環境の整備、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積やキャリア意識の醸成を積極的に進めています。今後は管理職層の女性社員増加により、この要因による男女の賃金の差異は縮小していくと考えています。

各世代層のパイプライン形成については、「1) 人材戦略基本方針①「自らの意思で挑戦・成長し続ける多様な個」 ● 女性活躍推進(38~39ページ)」をご参照ください。

 

また、総合職とは役割が異なる事務職において全員が女性社員(2024年3月31日現在)となっていることも、男女の賃金の差異の要因です。当社は事務職を多様な働き方の1つの形態と位置づけ、今後も採用を継続していく方針です。事務職は、性別に関わりなく選択可能な職種ですが、新卒採用・キャリア採用共に応募者は女性となっていることから、今後も男女の賃金の差異への影響は発生すると考えています。一方、当社では、総合職と事務職との間で相互に職種転換を可能とする制度を設けており、男女共に入社後に社員個人のキャリア・働き方に応じた職種転換が可能となっています。

 

非正社員は、主に定年再雇用制度に基づき、定年退職後(60歳定年制)に有期雇用社員として継続雇用された社員です。定年再雇用者に対する賃金は、定年時に担っていた職種と職種ごとの役割等級に準じて決定されますが、女性の再雇用社員の多くが事務職からの雇用継続となっていることから賃金の差異が発生しており、全従業員の男女の賃金の差異にも影響しています。

 

<職種別の人員状況>


 

 

 

● 総合職における男女の賃金の差異について

当社は、2016年度に公表した女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、2021年度までに新卒女性総合職の採用比率を30%以上に引き上げる目標を設定しました。2018年度にその比率は目標の30%を超え、2023年度は42%となりました。「中期経営計画2026」では40%以上の維持を目標に掲げています。現在、主任級までの各職位にわたって30%程度を女性総合職が占める人員構成となっています。一方で、採用増加前の世代となる係長級以上の上級職をみると、各職位に在籍する女性総合職の比率が大きく落ち込みます。総合職の職位別年間平均賃金をみると、職位ごとに一定のバランスで女性総合職社員の分布が広がっている下級職では、男女の賃金の差異は100%に近いものの、上級職になるにつれて漸減し、部長級を含めた累計(総合職全体)で、70.3%という数値となっています。当社では、前述のとおり、経営戦略として女性総合職社員の採用増加(新卒及びキャリア)と仕事と育児の両立環境の整備、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積やキャリア意識醸成を積極的に進めています。今後、女性管理職の割合が増えるにつれ、総合職の全職位にわたって男女の賃金差異が縮小していくと考えています。

 

<総合職の職位別人員数(累計)>

 


 

<総合職の職位別年間平均賃金(累計)>

 


 

 

 

● 女性活躍推進法等に基づく「男女の賃金の差異」について過去5年間の推移について

 

 

男女の賃金の差異

人数

 

全従業員

正社員

 

非正社員

全従業員

正社員

 

非正社員

 

内、総合職

内、総合職

2023年度(今回)

58.2%

58.6%

70.3%

61.4%

2,513

2,346

1,977

167

2022年度

57.3%

58.0%

70.1%

52.0%

2,523

2,350

1,978

173

2021年度

58.6%

58.8%

72.0%

57.6%

2,558

2,380

1,999

178

2020年度

55.4%

56.3%

67.7%

50.2%

2,551

2,390

2,017

161

2019年度

55.3%

56.8%

67.8%

44.7%

2,460

2,313

1,997

147

2018年度

56.1%

56.7%

68.5%

53.7%

2,410

2,278

1,959

132

 

 

5年前(2018年度)からは全体として緩やかな改善傾向が見られますが、変化はまだ僅かです。「中期経営計画2026」で設定した目標に沿って、新卒女性総合職採用比率40%以上を維持、また2026年度には女性課長比率20%程度としていく方針であり、総合職における男女の賃金の差異の数値が着実に改善が進んでいるかをモニタリングしていきます。

 

(ご参考)サステナビリティ全般に関する外部評価の推移

事業を通じた当社のサステナビリティ課題解決の取り組みは、外部評価機関にも継続的に高く評価されています。2023年度は、MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数に新たに選定されました。

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

FTSE Blossom Japan

Index

選定

選定

選定

選定

FTSE Blossom Japan

Sector Relative Index(※)

選定

選定

MSCIジャパンESGセレクト・

リーダーズ指数

選定
(新規)

MSCI日本株女性活躍指数

(WIN)

選定

選定

選定

選定

CDP(気候変動)

A-

A-

A-

A-

 

 ※ 2022年に同社が新たに開発したESG指数

 

サステナビリティ全般に関する取り組みはSojitz ESG Bookも併せてご参照ください。

<参考リンク>

Sojitz ESG Book

https://www.sojitz.com/jp/sustainability/sojitz_esg/

 

 

※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。