2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    1,021名(単体) 1,275名(連結)
  • 平均年齢
    44.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.0年(単体)
  • 平均年収
    7,626,548円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

油脂事業

927

(139)

スペシャリティフード事業

187

(15)

その他

16

(1)

全社(共通)

145

(11)

合計

1,275

(166)

 

(注) 1 従業員数は、当連結グループから当連結グループ外への出向者を除き、当連結グループ外から当連結グループへの出向者を含む就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用人員であります。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

1,021

(91)

44歳9か月

17年7か月

7,626,548

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

油脂事業

723

(65)

スペシャリティフード事業

158

(15)

その他

(-)

全社(共通)

140

(11)

合計

1,021

(91)

 

(注) 1 従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員であります。

2 従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の当事業年度の平均雇用人員であります。

3 平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は出向者を除き計算しております。

4 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

特記すべき事項はありません。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

2024年3月31日現在

名称

管理職に占める

女性労働者の

割合(%)(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)(注2)

男女の賃金の差異(%)(注1)

全労働者

全労働者

正規労働雇用者

パート・

有期労働者

(提出会社)

 

 

 

 

 

株式会社J-オイルミルズ

7.0

54.5

64.2

73.4

49.5

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社J-パック

100.0

60.0

68.3

77.3

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 出向者は、出向元の従業員数として集計しております。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

食を取り巻く環境は、気候変動、資源の枯渇、フードロス、健康課題、サプライチェーンでの人権課題など、非常に広範で多岐にわたる課題を抱えております。当社グループは「Joy for Life®-食で未来によろこびを-」を目指すべき未来として掲げ、おいしさ×環境×低負荷で人々と社会と環境へのよろこびを創出いたします。植物の恵みを活用した新たな価値の提供により、社会課題の解決を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

① ガバナンス

サステナビリティ推進体制の強化

当社グループは、ESG(環境、社会、ガバナンス)を企業価値の評価指標と捉え、企業の長期戦略、成長投資と連動したESG経営とサステナビリティに関する取組を積極的に推進しております。2020年度から取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会(以下、「本委員会」という)」を設置し、全社横断的にサステナビリティの推進に取り組んでおります。本委員会は、「サステナブル商品開発部会」「サステナブル調達・環境部会」「人権部会」「人的資本部会」の4つの部会から構成され、各部会は関係する部署の代表者により組織されております。また、各部会の傘下に「外装標準化分科会」「パッケージング分科会」「環境分科会」「TCFD分科会」「物流分科会」「調達分科会」を設置しております。各部会 および分科会が、環境負荷の低減や人権や環境に配慮した持続可能な調達、商品・包材開発、サプライチェーンマネジメントの強化、人権課題など社会課題の解決に向けて活動テーマを設定し活動しております。本委員会は各部会および分科会の活動を有機的に結び、年4回進捗管理を行うとともに、経営会議、取締役会に報告しております。各部会および分科会には、それぞれ管理責任者として担当執行役員が設定され、そのリーダーシップの下、計画の策定および具体的な施策に取り組みます。当社はサステナビリティに関する取組を社内外に発信するとともにステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、社会課題の解決による企業価値の向上を図っております。

 

<サステナビリティ推進体制図>(2024年3月末時点)

 


 

 

<サステナビリティに関わる体制と役割>(メンバーの構成は2024年3月末時点)

 


 

サステナビリティ関連方針の策定

当社グループは、サステナビリティを推進するための指針として、関連する法令や国際規範等に基づきサステナビリティに関連する各種方針を策定しております。方針の内容は、社会の状況等により適宜見直しを行っております。

 

サステナビリティ委員会の取組

サステナビリティ委員会は、サステナビリティを具体的に事業活動に落とし込むことに加え、活動のアウトプットを有機的に結び、社内外へ発信することで企業価値を向上させることを目的としております。人権、環境に配慮した持続可能な原材料調達や商品開発、社会課題の解決に向けた商品戦略など、2020年7月の設置以来、全社横断的に活動しております。

<サステナビリティ関連方針の体系図>

 


 

 

② 戦略

サステナビリティ関連のリスクおよび機会に対処するための取組

サステナビリティ委員会においては2023年4月に「サステナブル調達・環境部会」の傘下に「物流分科会」を新設し、「2024年問題」を物流部門だけでなく全社課題として捉え、持続可能な物流の実現に向けて、納品リードタイムの延長に向けた準備やドライバーへの附帯作業および長時間待機の実態把握と改善活動に着手しました。また、持続的な企業価値向上には、企業活動の基盤となる「人的資本」への取組が重要であると考え、2023年7月にサステナビリティ委員会に「人的資本部会」を新設しました。今後も本委員会の取組を社内外に発信するとともにステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、社会課題の解決による企業価値の向上を目指してまいります。

 

目指すべき未来の実現に向けたESG経営

企業活動が社会に及ぼす影響が大きくなるなか、ESGに配慮した企業経営が求められております。当社グループはESGの取組を事業活動の基盤と位置付け、地球規模の社会課題の解決に全力で取り組んでおります。コーポレートビジョンである「Joy for Life®-食で未来によろこびを-」を実現することで、サステナブルな価値創造企業を目指してまいります。

 

 

マテリアリティ

マテリアリティは当社の事業にとってリスクまたは機会となる事項であり、2030年度の目指すべき姿に向け、中長期的に取り組むことを目指しております。

当社グループは、2022年に第六期中期経営計画の見直しを行い、2021年~2024年の4か年の計画を2年延長し、6か年の計画といたしました。これにより、マテリアリティに紐づく目標の達成年と第六期中期経営計画の最終年度に齟齬が生じたことを受け、マテリアリティの見直しを行っております。 2023年に、事業戦略に関わるマテリアリティとして「食の安定供給による持続可能な社会の実現」「食の安全安心を通じ全ての人のウェルビーイングへ貢献」を、事業基盤に関わるマテリアリティとして「多様性の尊重と従業員の働きがい向上」「コーポレートガバナンスの強化」の4領域を特定しました。今後は各領域に紐づくサブマテリアリティの整理とゴールイメージ、KPIの設定を実施してまいります。なお、特定したマテリアリティは、今後も社会の潮流や、課題・ニーズの変化を踏まえて定期的に見直しを行ってまいります。

 

テーマ

マテリアリティ

主な2030年度ゴールイメージ・

定量目標

2023年度実績

 

環境負荷の抑制

・資源・耕作地の持続可能性担保

・顧客の作業・業務負荷の低減に貢献

・気候変動の緩和と適応

・農園までのトレーサビリティ100%(パーム)

・CO2排出量50%削減(Scope1、2、2013年度比)

・パーム油ミルまでのトレース率100%維持

・パーム油農園までのトレース率35%(2023年1-6月の実績)

・RSPO(※1)認証油の購入比率20%(2023年1-12月のグループ会社PF(※2)を含んだ実績)

・CO2排出量32%削減(Scope1、2、2013年度比)

 

 

 

食資源の

維持

・たんぱく質危機対応

・フードロス削減と安定供給

・畜肉・水産資源の保持

・食の安心・安全

・動物性食品のおいしさ、満足感、機能、健康価値、栄養価を植物由来の素材だけで再現可能にすることにより植物性食品ならではの新しい価値創造を行い社会課題に貢献

・植物生まれの原料ならではのおいしさ、満足感、機能、健康価値を提供

・「おいしさ長持ち」の観点からフードロス削減や作業効率向上による低負荷の実現

・サステナブル商品またはお客様の声活用製品の開発比率70%

・たんぱく食品のバラエティー化

  -肉系PBFのアプリケーション拡張(継続) 

  -水練り、畜産製品へのスターチの使用条件、アプリケーションを拡張(継続)

・長持ち機能を有する「SUSTEC®技術」を活用した製品のCFP(Carbon Footprint of Products)マークを追加取得、市場拡大を推進

・業務用油脂製品における「SUSTEC®」製品の構成比向上

・「低負荷」価値実現のための環境基準の社内浸透

・上記環境基準のチェック運用実施確認、対象範囲を拡充

 

 

 

 

 

 

テーマ

マテリアリティ

主な2030年度ゴールイメージ・

定量目標

2023年度実績

 

食を通じた健康への貢献

・健康維持への貢献

・高齢化社会対応

・栄養摂取・管理への貢献

・ライフスタイルの多様化対応

・基礎体力の維持・向上を通じた免疫力向上、健康不全の未然防止等への寄与につながる、油脂や油脂に含まれる成分をアピールできる技術の確立

・フレイル(虚弱)など高齢者の健康課題に対する、栄養機能性成分による改善機能提供(対象者のステイタスに応じた最善策の提供による)

・植物性の持つ良さを活かし多様なライフスタイルに対応した「おいしくて健康的な食品・素材」の提供

・生活習慣病など健康に関する課題解決のための機能性素材、食品の提供。その評価・開発へのフィードバックによる、顧客ベネフィットの継続的向上

・左記2030年のゴールイメージ達成のため、健康不全の未然防止、フレイル(虚弱)などの高齢者の健康課題、生活習慣病などに関連する研究開発に注力

・2023年度の段階では研究開発途上

・たんぱく食品のバラエティー化

  -肉系PBFのアプリケーション拡張(継続)

  -水練り、畜産製品へのスターチの使用条件、アプリケーションを拡張(継続)

 

 

 

 

事業継続

基盤

・コーポレートガバナンスの強化

・リスクマネジメントの強化

・コンプライアンスの推進

・企業価値向上に資するコーポレートガバナンスの実現

・取締役会の多様性確保

・ステークホルダーエンゲージメントの向上

・経営基盤強化と組織風土改革による企業価値の向上

・取締役会に占める社外取締役比率の向上(2024年3月31日=62.5%→2024年6月24日=66.7%)

・内部通報制度の活性化(受付窓口増員)

・コンプライアンスに関する全社e-learningおよびフィードバックの実施

・コンプライアンス研修の実施(2023年度は5部門で実施、3年で全部門網羅)

・経営リスクに対するオーナーシップ制を導入し、各経営リスクのリスク管理責任者(執行役員等、2024年度からはCxOに統一)を経営リスク委員会の指名により設定

・期首に設定した14の経営リスクについて、各施策の実施状況をモニタリング

 

 

・サプライチェーンマネジメント

・サステナブル調達の進化

・物流システムの再構築(2025年度)*2025年度には内閣府「戦略的イノベーションプログラム(SIP)」で検討中の物流プラットフォームに接続

・物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者に関する行政ガイドラインに沿った当社「自主行動計画」を作成し、機関決定を経て12月に行政へ提出

・発荷主として納品状況(路上駐車での納品、長時間待機、附帯作業など)に関する物流会社調査を基にした改善活動を展開しつつ、2024年4月からの納品リードタイム延長(受注日の翌々日配送)に向けて得意先説明とシステム改修を実施

・着荷主としてサプライヤ―約150社へのアンケートを実施し、改善活動に着手開始

・2024年度の横浜工場、千葉工場、若松工場へのトラックバース予約システム導入を計画 ※静岡事業所、横浜工場は導入済み

 

 

 

テーマ

マテリアリティ

主な2030年度ゴールイメージ・

定量目標

2023年度実績

 

事業継続

基盤

・DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

(2)人的資本・多様性」をご参照ください。

 

 

・働き方改革&エンゲージメント

 

 

 

 

・企業風土・意識改革

・経営トップと従業員の対話強化

・経営メンバーと従業員の対話会 26回

 

 

・地域社会への貢献と協働

・社会貢献活動の強化、費用増大(経常利益の1%)

・社会貢献活動の強化、2023年度社会貢献活動支出額22百万円

 

 

・適時適切な情報開示

・個人株主、機関投資家比率の拡大(2020年度比15%増)

・メディア露出回数の増大(広告換算効果15億円)

・個人株主、機関投資家比率20%増(2020年度比)により2030年度目標達成

・メディア露出回数の増大、広告換算効果2030年度目標を2022年度に達成したため、目標の見直しを実施中

 

 

※1 RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil ):持続可能なパーム油のための円卓会議

※2 PF(Premium Fats Sdn Bhd):当社の連結子会社

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ全般に関するリスク管理の内容については、「3 事業等のリスク (1) 当社グループのリスクマネジメント体制、(2) リスクマネジメントプロセス」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

サステナビリティ全般に関する指標及び目標については、「(1) サステナビリティ全般 ②戦略」をご参照ください。

なお、次に記載の「(2)人的資本・多様性」ならびに「(3)TCFD」を除くマテリアリティに関する指標および目標は策定中です。

 

 

(2) 人的資本・多様性

当社戦略を実行するために、新しい可能性を切り開いていける人財を育成・登用していくことが急務だと考えております。人財育成・エンゲージメント向上を通じて個々の価値創出力を最大化するだけでなく、個の持つスキル・経験を最大限に引き出す環境の整備を進めてまいります

 

 

<人財ポリシー>

 


 

 

「挑戦・成長する人と組織」ならびに「多様な人財の働きやすさと心身の健康」を実現するための、主たる課題領域を以下の項目と考えております。

・ 戦略に応じた人財の獲得(高度専門性、外国籍 等)

・ 課題を自分ごとと捉えて解決し、それを通じて自ら挑戦・成長する自律型人財の育成

・ 成長を牽引する優秀人財のリテンション

・ ローテーション活性化と実力主義に則った抜擢/再配置

・ 戦略に沿った組織体制の構築・組織力の向上

・ 変革を牽引するマネジメント層のリーダーシップ発揮

・ 社員の挑戦・成長風土醸成(含む仕組みづくり)

・ 多様な人財が働きやすく、活躍しやすい環境・風土の実現

・ 心身への負荷低減、労働災害・事故等のゼロ化

 

① ガバナンス

当社グループでは、人的資本の強化を企業価値向上に資する企業の長期戦略・成長投資と連動したESG経営とサステナビリティに関する取り組みの位置づけとしても推進しております。そのため、2023年度はサステナビリティ委員会の中に「人的資本部会」を設置し、人権課題などと併せて進捗管理を行ってきました。ガバナンスの内容については、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」および「3 事業等のリスク (3) リスクテーマとそれに対する影響と対応」をご参照ください。

 

 

② 戦略

当社グループでは、コーポレートビジョンである「Joy for Life®-食で未来によろこびを-」の実現を目指し、「壁を越え、共に挑み、期待を超える」人財、組織、風土の醸成に向けた取り組みを強化しています。誰もが実力を発揮できるようにするための「多様な人財の働きやすさと心身の健康」を土台とし、社員一人ひとりの「挑戦」と「成長」が「Joy for Life®」実現のためのドライバーになると捉え、様々な人事改革・施策(下図参照)を展開しています。また、それらを測る重要な指標として、従業員エンゲージメント(2023年度:45%、2026年度(目標):55%、2030年度(目標):65%)やウェルビーイング(2023年度:64%、2026年度(目標):70%、2030年度(目標):80%)を位置づけその向上に取り組むとともにモニタリングを行っています。(※1)

※1 測定方法:年1回実施しているエンゲージメントサーベイ(以下、「ES」という)の「エンゲージメント」、「ウェルビーイング」各カテゴリーの好意的な回答割合をスコアとして使用。

 

 

<人事改革・施策概要>

 


 

③ リスク管理

人的資本・多様性に関するリスク管理の内容については、「3 事業等のリスク (1) 当社グループのリスクマネジメント体制、(2) リスクマネジメントプロセス」をご参照ください。

 

 

④ 指標及び目標

指標

定義

2023年度

実績

2026年度

目標

2030年度

目標

マネジメントの組織影響力強化/ESスコア

ESの総合指標である「個人的達成感」「貢献意欲」「組織への愛着・信頼」3つの好意的回答割合

45

55

65%

成長を後押しする学びの機会強化/ESスコア

ES「成長機会」カテゴリーの「私は、当社において学び、成長する機会に恵まれている」の好意的回答割合

61

70

80%

女性管理職登用強化/女性管理職比率

当社の管理職に占める女性社員の割合

7.0

10.0

20.0%

男性育児参画促進/男性育児休職取得率

※1 配偶者が出産した男性従業員のうち、育児休業等をした男性従業員の割合

※2 配偶者が出産した男性従業員のうち、育児休業等をした男性従業員および育児目的休暇制度を利用した男性従業員の割合

54.5

(※1)

100

(※2)

100%

健康経営の推進/ESスコア

ES「ウェルビーイング」カテゴリーの好意的回答割合

64

70

80%

 

 

<取り組み事例>

次世代経営者育成施策

「J-Leaders」開催

役員ポジションのサクセッションプランと連動した次世代経営者育成プログラムを開催しました。2023年度に第1回目を開催し、部門長等すでに当社のキーポジションを担っている人財を中心に16名が参加し、経営者(リーダー)としての使命感、自分自身の原理原則、信念や覚悟を養い、またそれを実行するための力を育むことを目的に実施しました。

女性リーダー育成施策

カシオペア経営塾

将来の当社を担うリーダーに求められるスキル習得・向上を目的とした女性リーダー育成プログラムです。2023年度は26名の女性社員が参加しました。プログラム最終日には、「会社・事業の課題について解決方法の提言」を取締役等に対して実施するだけでなく、今後どのようなリーダーシップを発揮していくか一人ずつ宣言しました。

マネジメント強化施策

1on1コミュニケーション強化

当社では従業員一人ひとりの自律的な成長を支援すべく、上司・部下間の1on1コミュニケーションを大切にしています。特に、自身のキャリア実現に向けた対話を行うキャリア・デベロップメント・プログラムに関する面談や、目標達成に向けた期初・期中・期末に実施する目標面談(フィードバック含)を必須で実施しています。また、それらに加え日常的なコミュニケーション機会として原則最低1回/月以上の頻度で、1回30分以上の1on1コミュニケーションの時間を確保することを推奨し、マネジメント強化を推進しています。

 

 

 

(3) TCFD

当社は、2020年11月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しております。サステナビリティ委員会内に社内横断的なTCFD分科会を設置し、TCFD提言が推奨する開示項目に沿った情報開示を進めております。

 

① ガバナンス

TCFDに関するガバナンスの内容については、「(1)サステナビリティ全般 ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

特定した気候変動によるリスクと機会

<前提条件>

当社グループは、気候変動を事業の継続性を鑑みても非常に重要な経営リスクとして捉えており、2℃未満および4℃シナリオについてリスクと機会の分析を行っております。また、気候変動のみならず、温暖化が進むことにより、台風被害の甚大化などもリスク要因として捉えております。

2℃未満および4℃シナリオとは、地球温暖化の対応策に関する科学的な根拠を与え、国際交渉に影響力があるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第6次評価報告で、産業革命前から21世紀末までに、どれくらい平均気温が上昇するかについて予測提示されているものであります。最も気温上昇の低いシナリオ(SSP1-1.9シナリオ)で、おおよそ1.4℃前後の上昇、最も気温上昇が高くなるシナリオ(SSP5-8.5シナリオ)で4.4℃前後の上昇が予測されております。

対象期間

現在~2050年

対象範囲

J-オイルミルズグループの全事業

 

 

<気候変動によるリスク>

 

影響度:

大:業績への影響が大きくなりうるもの(100億円以上)

 

中:業績への影響が大きくなりうるもの(10億円以上100億円未満)

 

小:業績への影響が小さいもの(10億円未満)

緊急度:

高:1年以内 中:5年以内 低:5年超

 

 

シナ

項目

分類

主な

リスク

リスクの説明

既存の取組み

対応の方向性(目標)

2℃/1.5℃

 

・CO2排出規制強化に伴う業績の悪化

・CO2排出規制の強化により、排出権取引費用および炭素税負担が増加するリスク(CO2削減を達成できなかった場合)

25億円

/年

(※1)

・エネルギー使用量の削減(工程最適化、省エネ、高効率設備導入等)

・再生可能エネルギーの活用(バイオマス燃料の利用等)

・CO2排出量削減目標:2030年度50%削減(2013年度対比)、2050年カーボンニュートラル達成(Scope1,2)

・上記目標の達成に向け、1)CO2削減の為の設備投資を中期的に拡大、対応費用:累計46億円(~2030年)(※2) 2)インターナルカーボンプライシング(ICP)を2023年4月より導入し、CO2削減投資の意思決定に活用 3)更なる省エネと省エネ設備への切り替え、再生可能エネルギーの積極的な利用

・気候変動対策の進展・エネルギーミックスの変化に伴う電気代、燃料価格の上昇による支出の増加

・再生可能エネルギーに対応する設備投資等の生産関連コストおよび物流関連コスト等が増加するリスク

・サステナビリティ重視に変化する消費者ニーズへの対応不足

・サステナビリティ重視の消費者ニーズ(フードロス削減、プラスチック使用量の削減、資源循環等)への対応や製品需要対応の遅れによる売上減少

・長持ち油、PBF(※3)等の低負荷製品の開発・販売

・「容器包装に関する指針」に基づき、紙パック容器の採用等によるプラスチック削減、植物性プラスチック採用等バイオマス材利用の取り組み強化

・環境に配慮した原料調達、原料のトレーサビリティ向上

・Scope3での削減は、排出量が多いカテゴリ1および4について削減方法の検討開始、削減に向けた以下の取り組みを実施

・更なる長持ち油等環境負荷を低減する製品、サービスの開発継続

・プラスチック廃棄削減目標:2030年度までにプラスチック廃棄ゼロ化

・再生可能資源である紙やバイオマス材等の利用促進

・対応費用:7億円/年(バイオマス材等切替費用)

・大豆やパーム油の認証制度の活用と自社ルートでのサステナブル調達の推進

・環境対応不足による評判低下

・気候変動対策の情報開示が不十分なことによる、企業価値や株価の低下、融資停滞、資金調達困難となるリスク

・省資源・省エネルギー、CO2排出量の低減、脱プラスチック、水資源の有効活用等の目標設定および適切な進捗管理と開示

・持続可能な原料調達、バリューチェーンでのAI 活用等による環境負荷の極小化

・各種取り組みの更なる推進と情報開示

 

 

項目

分類

主な

リスク

リスクの説明

既存の取組み

対応の方向性(目標)

4℃

 

・自然災害増加による操業停止、物流網の寸断

・自然災害(海水面上昇に伴う高潮、台風、洪水被害等)増加により自社工場が操業停止になることによる損害

4億円

/年

(※4)

・生産拠点の台風・高潮対策の実施

・水害リスクを国交省のハザードマップ、およびWRIのAqueduct(※4)を使用し国内工場の再評価を実施

・リスクが高い拠点は各所建屋に防潮板を設置、高潮で想定される水位を算出し高潮対策用の設備更新等の対策を実施

・主要生産拠点の水害リスク評価を定期的に実施

・その他、レジリエンス強化に向けたBCP対策

・自然災害(海水面上昇に伴う高潮、台風、洪水被害等)増加によりサプライヤーが操業停止になることによる売上減少

・物流網の寸断により自社工場が操業停止になることによる売上減少

・倉庫が被災し、欠品が発生することによる売上減少

・自然災害による工場資産の破損、流出による復旧コスト増加

・BCP(※5)の対応

・当社グループでのリスクマネジメントプロセスの中で、サプライチェーン全体のBCPを策定

・原材料供給の遅延や停止等に備えた適正在庫の確保と管理、重要原材料の複数購買等の施策を推進

・物流網停止時は物流会社/物流部門/営業部門で連携し対応方針を決定

・気温上昇や異常気象による収穫量減少や品質変化等による原料の安定確保困難

・主要原料(※6)の耕地面積の減少による調達コスト増加

・主要原料の収穫量減少や原料品質の低下への対応コスト増加

・穀物相場上昇等による調達コスト増加

・主要原料原産地の継続的な視察

・製品規格最適化

・新規品種、新規サプライヤーおよびサプライチェーンの検討

・原産地の多角化、高温耐性等の気候変動に対応した種苗の導入

・気象変動が原料品質に与える影響調査等を実施

・想定される原料品質を考慮した搾油技術の開発

 

※1 IEA:International Energy Agency (国際エネルギー機関)のNZEシナリオ(Net Zero Emission by 2050 scenario)における先進国の排出権取引価格の予測(2030年):140US$/tに2023年度排出量を乗じて算出。2023年3月期は130US$/tに2021年度排出量を乗じて算出。排出権取引価格の上昇および為替変動の影響を受けたものの、排出量が2021年度から2023年度にかけて減少したためリスク金額はやや減少。

※2 世界的に続く資材価格および設備工事価格の高騰に伴い、2023年3月期の対応費用から見直し

※3 PBF:プラントベースフード

※4 WRI: World Resources Institute (世界資源研究所)が公開している世界の水リスク評価ツールであるAqueductによるリスク評価に基づき損害金額を算出し、年間あたりの損害金額に置換

※5 BCP(Business Continuity Planning):事業継続計画

※6 主要原料:大豆、菜種

 

<気候変動による機会>

分類

主な機会

機会の説明

既存の取組み

対応の方向性(目標)

2℃/1.5℃

・生産・物流関連のコスト低減

 

 

・省エネ設備への更新や生産工程・拠点最適化による設備稼働コストの低減

・モーダルシフトや新技術等効率配送による物流費の削減

・搾油機能の最適化に向けた検討開始

・モーダルシフト等の推進(「エコシップマーク」認定取得)や長距離「スルー配送」見直し

・国内搾油機能の長期的な安定化に向けた拠点最適化

・配送規格統一に向けた検討や最適航路によるCO2排出・コスト削減

・再エネ設備の導入

・バイオマス燃料への切り替え推進と燃料調達先の確保

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・再生可能エネルギーの導入によるCO2削減およびコスト削減

・再生可能エネルギー(太陽光パネル、バイオマスボイラー)の導入推進による排出権取引費用および炭素税負担の削減

・生産拠点でのオンサイト発電導入

・生産拠点での省エネ設備導入

・環境意識・エシカル消費の高まり(食料危機への対応)

・低炭素商品・サービス・ソリューションの売上拡大

・環境意識の高まり、エシカル消費の増加、たんぱく質危機等によるPBF製品の需要増加による売上拡大

・長持ち油の開発

・PBF製品の販売

・更なる長持ち油や紙パック容器製品等環境負荷を低減する製品、サービスの開発継続

・PBF製品によりたんぱく質危機や食の安定供給に貢献

・テクスチャー素材による、経時劣化の抑制、食感維持によるフードロス削減

・社会からのサステナビリティ要求を満たす最適な事業ポートフォリオの実現による信頼獲得

・省エネ、再生可能エネルギー活用推進によりサステナビリティに適合する最適な事業ポートフォリオの構築実現に伴い、社会からの信頼獲得による売上拡大・株価向上

・第六期中期経営計画にて事業ポートフォリオを変革し、環境負荷低減、社会課題解決型の製品・サービスを拡大

・社会課題の解決につながる製品の更なる拡大

・バイオ原料確保によるSAF(※7)製造等のバイオマス事業構築に関する検討

・非可食油原料樹の植林によるCO2の固定化、植林を起点としたSAFサプライチェーン構築等の検討

・サステナビリティ情報の開示拡充

・BCP対策強化

・気候変動による自然災害の激甚化等に備えた安定供給体制の確保による、食品の安定供給を通じた社会貢献、企業価値の向上

・BCPの対応

・当社グループでのリスクマネジメントプロセスの中で、サプライチェーン全体のBCPを策定

・原材料供給の遅延や停止等に備えた適正在庫の確保と管理、重要原材料の複数購買等の施策を推進

・主要生産拠点の水害リスク評価を定期的に実施

・その他、レジリエンス強化に向けたBCP対策

 

※7 SAF: Sustainable Aviation Fuel (持続可能な航空燃料)

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ全般に関するリスク管理の内容については、「3 事業等のリスク (1) 当社グループのリスクマネジメント体制、(2) リスクマネジメントプロセス」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

2030年度までにCO2排出量を2013年度対比で50%削減(Scope1、2)、2050年度までに排出ゼロにするカーボンニュートラルを掲げております。また、購入する原材料や商品の製造に関するCO2排出量など、サプライヤーと連携し、サプライチェーン全体(Scope3)での削減も目指しております。Scope3については、排出量の多いカテゴリ1やカテゴリ4について算定精度の向上を図り、削減方法を検討してまいります。2023年4月よりインターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しました。今後、CO2削減投資および投資意思決定の促進を図ってまいります。

 

<CO2排出量の目標と実績>