人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数116名(単体) 17,270名(連結)
-
平均年齢45.7歳(単体)
-
平均勤続年数20.9年(単体)
-
平均年収10,368,000円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1)連結会社の状況
|
2024年3月31日現在 |
|
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
食品 |
10,396 |
〔4,142〕 |
医薬品 |
6,753 |
〔2,660〕 |
全社(共通) |
121 |
〔33〕 |
合計 |
17,270 |
〔6,835〕 |
(注) 従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む)です。また、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しており、派遣社員を除いております。
(2)提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
|
116 |
〔21〕 |
45.7 |
20.9 |
10,368 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
|
全社(共通) |
116 |
〔21〕 |
合計 |
116 |
〔21〕 |
(注)1.従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グル
ープへの出向者を含む)です。また、臨時従業員数は〔 〕内に年間の平均人員を外数で記載しており、派遣社員を除いております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.平均勤続年数の算定にあたっては、㈱明治又はMeiji Seika ファルマ㈱から出向により当社で就業している従業員は、各社における勤続年数を通算しております。
(3)労働組合の状況
当社グループには主として明治労働組合(2024年3月31日現在、組合員数5,379名)とMeiji Seikaファルマ労働組合(2024年3月31日現在、組合員数1,266名)があります。
明治労働組合は日本食品関連産業労働組合総連合会、Meiji Seikaファルマ労働組合は医薬化粧品産業労働組合連合会に加盟しております。
(4)管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異
当連結会計年度の多様性に関する指標は、以下のとおりであります。
①女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく開示
名称 |
管理職に占める女性従業員の割合(%) |
男性の育児休業取得率(%) |
男女の賃金の差異(%) |
||
全従業員 |
従業員 |
臨時雇用者 |
|||
㈱明治 |
4.1 |
99.3 |
47.6 |
67.0 |
54.9 |
Meiji Seika ファルマ㈱ |
10.9 |
80.9 |
67.5 |
71.5 |
60.1 |
KMバイオロジクス㈱ |
7.3 |
106.7 |
46.5 |
55.2 |
69.3 |
明治フレッシュネットワーク㈱ |
- |
- |
39.0 |
66.6 |
26.8 |
四国明治㈱ |
- |
- |
52.2 |
80.0 |
69.5 |
明治アドエージェンシー㈱ |
- |
- |
70.5 |
70.7 |
69.1 |
明治ロジテック㈱ |
- |
- |
55.9 |
59.6 |
147.9 |
明治チューインガム㈱ |
25.0 |
- |
70.6 |
88.4 |
50.1 |
東海ナッツ㈱ |
11.1 |
- |
66.9 |
67.8 |
74.2 |
日本罐詰㈱ |
7.7 |
0.0 |
46.3 |
86.2 |
71.9 |
栃木明治㈱ |
14.3 |
- |
75.4 |
87.6 |
73.2 |
大蔵製薬㈱ |
14.3 |
- |
- |
- |
- |
Meiji Seikaファルマテック㈱ |
5.9 |
100.0 |
57.6 |
71.5 |
87.8 |
②連結会社の状況
|
管理職に占める 女性従業員の割合(%) |
男性従業員の育児休業取得率(%) |
男女の賃金の差異(%) |
|||
全従業員 |
|
|||||
従業員 |
|
臨時雇用者 |
||||
管理職 |
||||||
当社及び 国内連結子会社 |
6.2 |
93.3 |
50.4 |
66.9 |
90.0 |
56.7 |
(注)1.従業員は、正規雇用の従業員を含み、非正規雇用の従業員を除いております。
2.臨時雇用者は、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。
3.全従業員は、従業員と臨時雇用者を含んでおります。
4.出向者は出向元の従業員として集計しております。
5.管理職に占める女性従業員の割合および男女の賃金差異については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出、開示しております。「-」は非開示を示しております。
6.男性従業員の育児休業取得率については「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき開示しております。「-」は非開示を示しております。
7.男性従業員の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
女性活躍の一つの指標である男女の賃金差異について、当社グループは50.4%となっております。当社グループでは、同一雇用形態において男女の賃金に差は設けていないため、この差は、等級別人数構成の差によるものであります。具体的には、短時間で働く臨時雇用者において女性比率が高いこと、また、給与の高い職群である管理職において男性比率が高いことによるものであります。
そのため、現在推進している女性活躍推進の取り組み等により、管理職に占める女性比率を適正に高めていくことが、男女の賃金差異の解消にもつながっていくと考えております。詳細は第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4)明治グループにおける人的資本への取組に記載のとおりであります。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務める、グループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。グループサステナビリティ事務局会議では、主に7つの下部会議体等で協議した内容がCSOに報告され、取り組みの進捗に関する活発な意見交換を実施しています。 当社代表取締役社長CEOが委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期毎にサステナビリティ活動全般の進捗状況などを報告しています。重要なサステナビリティ課題は、経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しています。 これらのガバナンスに実効性を持たせる為、役員報酬における株式報酬に関しては、ROEの実績およびESG指標(外部評価機関の指標等)の取り組み結果に基づき、支給しております。※ |
<ガバナンス体制図>
|
リスク管理に関しては、グループサステナビリティ委員会に、リスクマネジメント部管掌役員も参画し、サステナビリティに関するリスク管理を、グループ全体のリスク管理に統合しています。
また、社外有識者を交えたESGアドバイザリーボードを年2回、開催しています。2023年度は、2026中期経営計画におけるマテリアリティ特定のプロセスやマテリアリティ・KPIの設定に関して、3名の社外有識者より、幅広い見地からご意見をいただきました。
※ 役員報酬に関しては「4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等 c. 非金銭報酬等に関する事項」に記載をしております。
(2)リスク管理
2026中期経営計画を策定するにあたり、サステナビリティ関連のリスク及び機会を抽出し、重要度評価を実施しました。具体的なプロセスは、次のとおりであります。
<STEP① 課題のリストアップ>
産業別基準を設定するSASB Standards、GRI Standardsなどの国際的なガイドラインや国連グローバル・コンパクトなどの国際的なフレームワークを参照しながら、環境・社会・経済的な側面における課題を広範囲にリストアップしました。
<STEP② リスクと機会の抽出ならびに重要度評価>
リストアップしたトピックごとに、食品セクター、及び医薬品セクターにおけるリスクと機会を抽出しました。マテリアリティ分析は「ステークホルダーにとっての重要度」と「明治グループの事業における重要度」の2軸で、定量的に評価しました。「ステークホルダーにとっての重要度」では、2026中期経営計画で新たに定義した6つのステークホルダー(お客さま、株主・投資家、社員、ビジネスパートナー、地域社会、政府機関・業界団体)ごとに、4段階で重要度評価を行いました。
「明治グループの事業における重要度」では、IIRC(国際統合報告協議会)のフレームワークを参照し、企業価値を形成する6つの資本(財務/製造/知的/人的/社会関係/自然資本)ごとに、5段階で重要度評価を行いました。
<STEP③ 有識者による妥当性の確認と優先順位づけの意思決定>
重要度評価の結果については、ESGアドバイザリーボードにて、社外有識者から分析プロセスの妥当性や分析結果に関する意見を頂いた上で、優先順位付けを行いました。
優先順位付けに関しては、グループサステナビリティ委員会にて意見交換を行い、取締役会に報告し、12のマテリアリティを特定しました。2026中期経営計画におけるマテリアリティ・マトリックスは次のとおりであります。
<マテリアリティ・マトリックス>
|
(3)戦略
前述のマテリアリティ分析プロセスを経て、2023中期経営計画におけるマテリアリティに「製品品質の安全性・信頼性」「生物多様性」「堅牢なサプライチェーン構築による医薬品の安定供給」「高い倫理観に基づいたマーケティング」を新たなマテリアリティとして加えました。12のマテリアリティ毎に下表の取り組みを推進し、明治グループサステナビリティ2026ビジョンの実現を目指します。
活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
こころとからだの健康に貢献 |
健康と栄養 |
食のリーディングカンパニーとして、地域やライフステージごとに異なる健康と栄養の課題に向き合い、科学的なアプローチで栄養価値を評価し、人々の健康な食生活に貢献している。 |
健康な食生活 への貢献 |
・明治栄養プロファイリングシステム(Meiji Nutritional Profiling System: Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備 |
・健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充 |
||||
・“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立 |
||||
新興・再興感染症の脅威 |
感染症領域におけるアジアのリーディングカンパニーとして、予防から治療にわたる医薬品を中心としたソリューションを提供し、感染症の高まる脅威から人々を守っている。 |
新興感染症 |
・レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」を上市および国内供給体制の整備 |
|
・小児を対象とした不活化ワクチン「KD-414」の上市および国内供給体制の整備 |
||||
再興感染症 |
・先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発 |
|||
AMR (薬剤耐性菌) |
・カルバペネム耐性腸内細菌に対するβ-ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発 |
|||
堅牢な サプライチェーン 構築による 医薬品の安定供給 |
国内とグローバルに堅牢なサプライチェーン体制を確立し、高品質で経済的な医薬品を安定的に提供する。 |
― |
・安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立 |
|
・海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入) |
||||
製品品質の 安全性・信頼性 |
食薬の領域でグローバルに事業拡大をする中で、品質保証と安全管理の業務を適切に実施し、製品回収ゼロを継続的に実現している。 |
食品の安全性と 品質保証 |
・明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治 品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化 |
|
医薬品の 信頼性保証 |
・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化
・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革
・品質マネジメントレビューの着実な実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止 |
活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
環境との調和 |
気候変動 |
省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。 |
CO₂排出量の 削減 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減 |
・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
||||
再生可能 エネルギー の利活用 |
・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
|||
資源循環 |
3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。 |
容器包装の ライフサイクル 管理 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
|
・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減 |
||||
・PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大 |
||||
食品ロス削減 |
・需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減 |
|||
廃棄物の削減・ 再生 |
・工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減 |
|||
・動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵など)などによる食品廃棄物の削減 |
||||
水資源 |
水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。 |
― |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
|
・工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大 |
||||
生物多様性 |
事業活動に伴う生物多様性・自然への依存と影響を把握し、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然環境に対してポジティブな影響を与える取り組みを積極的に行うことで自然との共生を目指す。 |
地域生態系 の保護 |
・自然共生サイトへの認定登録の推進 ※OECM国際データベースへの登録 |
|
・森林保全活動を行うための保守管理契約の締結 |
||||
森林減少と劣化 の回避 |
・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定 ・カカオ、パーム油など主要原材料の森林減少への取り組み推進 |
活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
豊かな社会づくり |
バリューチェーンにおける 人権の尊重 |
自社のバリューチェーン上における人権課題を認識し、社員一人一人が自分ゴトとして捉え、その対応に取り組んでいる。 |
差別とハラスメント/ 児童労働/強制労働 などの人権侵害 |
・人権尊重に関する人権教育の実施 |
・海外における人権デュー・ディリジェンスの強化 |
||||
高い倫理観に 基づいた マーケティング |
サプライチェーン下流のマーケティングによる影響を理解し、人権や環境に配慮した適切なコミュニケーションを実施している。 |
― |
・責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施 |
|
多様な人財の 成長と活躍 |
社員と会社が 共に成長している。
~ イキイキと働く多様な人財が新たな価値を創出 ~ |
「●明治グループにおける人的資本への取組 (2)戦略」に記載をしております。 |
活動 テーマ |
マテリアリティ |
中長期の目指す姿 |
サブトピック |
主な取り組み |
持続可能な調達活動 |
人権・環境に 配慮した サプライチェーンの構築 |
サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。 |
サプライチェーン 管理 |
・サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施 |
・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
||||
個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。 |
持続可能な 原材料調達 |
・〈生乳〉酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
||
・〈カカオ〉メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
||||
・〈カカオ〉全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立 |
||||
・〈カカオ〉児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進 |
||||
・〈カカオ〉GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進 |
||||
・〈パーム油〉森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
||||
・〈紙〉製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
(4) 2023中期経営計画における指標と実績
マテリアリティ毎の取り組み指標に対する2023年度実績は次のとおりであります。
マテリアリティ |
指標(KPI) |
基準年度 |
2023年度 実績 |
2023年度 目標 |
健康な食生活への貢献 |
健康志向商品、付加価値型栄養商品、超高齢社会に貢献する商品の売上伸長 |
2020年度 |
-0.9% (海外子会社除く) |
10%以上 増加 |
2021年度から2023年度までの3カ年で食育を延べ70万人に実施 |
- |
延べ72.5万人 (2023年度:28.2万人) |
延べ70万人 |
|
新興・再興感染症対策 |
新型コロナウイルス・ワクチンの上市を目指す |
- |
開発中 ※1 |
上市 |
CO₂排出量の削減 |
自社拠点でのCO₂総排出量(Scope1、2) 削減 |
2019年度 |
19.6% ※2 |
19%以上 |
CO₂総排出量(Scope3 調達・物流・廃棄_カテゴリ1,4,9,12)削減 |
2019年度 |
4.8% ※2 |
11%以上 |
|
自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率拡大 |
- |
17.4% ※2 |
15%以上 |
|
環境負荷の低減 |
国内連結での再資源化率の拡大 |
- |
87.6% ※2 (海外子会社除く) |
85%以上 |
国内の食品事業における製品廃棄量の削減 |
2016年度 |
26.8% ※2 (海外子会社除く) |
42%以上 |
|
国内の容器包装などのプラスチック使用量の削減 |
2017年度 |
18.3% ※3 (海外子会社除く) |
15%以上 |
|
物流部門で使用するパレット、クレート、ストレッチフィルムなどをリユース・リサイクルによる有効利用 |
- |
100% (海外子会社除く) |
- |
|
バイオマスプラスチックや再生プラスチックの使用拡大 |
- |
新たにプロバイオ ティクスヨーグルト の包材に使用 |
- |
|
水資源の確保 |
自社拠点での売上高原単位あたりの水使用量の削減を目指す |
2020年度 |
15.7% ※2 |
- |
製品原料として使用する水の涵養率拡大 |
- |
111.1% ※2 |
27%以上 |
マテリアリティ |
指標(KPI) |
基準年度 |
2023年度 実績 |
2023年度 目標 |
多様性の尊重と |
女性管理職比率の拡大 |
2017年度 |
6.5% ※4 |
- |
女性リーダー(管理職および係長職相当)の人数拡大を目指す |
2017年度 |
281人 ※4 |
- |
|
障がい者法定雇用率(2023年6月現在2.3%)以上の雇用 |
- |
2.5% ※4 |
2.3%以上 |
|
人権の尊重 |
国内グループ全従業員に対する人権教育 (e-learningを含む)の実施 |
- |
1回実施 (対象人数:約13,000人/受講率:92.9%) |
1回/年以上 |
海外グループ全従業員に対する人権教育 (e-learningを含む)の実施 |
- |
対象人数: 約1,200人/ 受講率:99% |
1回以上 |
|
人権・環境に配慮 した原材料調達 |
2021年度までに国内グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始 |
- |
31社を対象 に実施 |
2021年度までに開始 |
2022年度までに主要海外グループ会社のサプライヤーを対象にしたサステナブル調達アンケートの開始 |
- |
7社を対象 に実施 |
2022年度までに開始 |
|
明治サステナブルカカオ豆の調達比率拡大 |
- |
62.5% |
65%以上 |
|
RSPO認証パーム油への代替 |
- |
100% |
100% |
|
環境配慮紙への代替 |
- |
100% |
100% |
|
酪農家の経営に関する支援活動 Meiji Dairy Advisory(MDA)の実施 |
- |
522回/年 |
400回/年以上 |
※1.「コスタイベ筋注用」は起源株に対応するワクチンとして承認取得済み。現在、起源株/オミクロン株対応の
2価ワクチンとして開発中。
※2.算出値については第三者保証取得前の数値であるため、暫定値であります。
※3.プラスチック使用量削減値については、2022年度実績を記載しています。
※4.対象範囲は、明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱であります。
(5) 2026中期経営計画における指標と目標
戦略パートで記載したマテリアリティ毎の中長期の目指す姿を実現する為の「主な取り組み」とその成果や進捗を測る「指標」と「目標」は次のとおりであります。
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
健康と栄養 |
・明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備 |
・Meiji NPSによる自社商品評価比率 |
対象商品90%以上 ※対象商品の定義は 2024年度中に策定 |
・健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充 |
・3年間の食育活動の延べ参加人数 |
3年間で延べ80万人 |
|
・健康志向食品などサステナブルな取り組みを重視するブランド群の拡大 |
・KPIに関しては、食品セグメントの「明治ROESG®対象のブランド群」の指標 (売上高年度計画の達成)と同一 |
||
・“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立 |
・スワロービジョン®により可視化・分析した医用画像の事例数 |
嚥下運動事 例数:10例 |
|
新興・再興感染症の脅威 |
・レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」を上市および国内供給体制の整備 |
・国内製造供給比率 |
30%以上 |
・小児を対象とした不活化ワクチン「KD-414」の 上市および国内供給体制の整備 |
・ワクチン供給量 (生産能力ベース) ※実際の供給量は感染状況で変わるため、生産能力ベースの指標とする |
150万回分 |
|
・先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発 |
・開発Phaseの進捗 |
臨床試験Phase2 (人での用量確認試験) の開始 ※2032年度の上市を目指す |
|
・カルバペネム耐性腸内細菌に対するβーラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発 |
・承認を取得する国数 |
承認取得1カ国以上 |
|
堅牢な サプライチェーン 構築による 医薬品の安定供給 |
・安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立 |
・安定供給を確保できる在庫月数 |
各製品6カ月 |
・海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入) |
・岐阜工場の生産稼働開始ターゲット年度 |
2025年度中 |
|
製品品質の 安全性・信頼性 |
・明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化 |
・協力会社(製品の委託/仕入れ先)全拠点でのGFSI承認規格取得率 |
100% |
・重点管理原料サプライヤーの工場監査率 |
100% |
||
・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化 ・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革 ・品質マネジメントレビューの着実な実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止 |
・製販品目における回収などの重大不適合の発生件数 |
0件 |
|
・規制当局対応における重大な指摘件数 |
0件 |
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
気候変動 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジット の活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量 の削減 |
・Scope1、2 排出量削減率 (基準年2019年度比) |
32%以上 |
・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope3 排出量削減率 (基準年2019年度比) ※範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12) |
15%以上 |
|
・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
・再生可能エネルギー比率 ※比率:総使用電力量に占める割合 |
30%以上 |
|
資源循環 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
・プラスチック使用量(総量)の削減率 (基準年2017年度比) |
25%以上 (海外子会社除く) |
・再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減 |
・バージンプラスチック使用量の削減率 (基準年2017年度比) |
40%以上 (海外子会社除く) |
|
・PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大 |
・再生PETの使用比率 |
(2025年度目標) 70%以上 (海外子会社除く) |
|
・需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減 |
・食品事業における製品廃棄量の削減率 (基準年2016年度比) |
(2025年度目標) 50%以上 (海外子会社除く) |
|
・工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減 |
・再資源化率 |
90%以上 (海外子会社除く) |
|
・動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵など)などによる食品廃棄物の削減 |
・食品事業における食品リサイクル率 |
95%以上 (海外子会社除く) |
|
水資源 |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
・水使用量の削減率 (基準年2020年度比) ※売上高原単位あたり |
20%以上 |
・工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大 |
・水源涵養率 |
80%以上 |
|
生物多様性 |
・自然共生サイトへの認定登録の推進 ※OECM国際データベースへの登録 |
・新規認定区域数 |
新規登録1件 (累計2件) (海外子会社除く) |
・森林保全活動を行うための保守管理契約の締結 |
・保守管理契約をする森林面積 |
40ha以上 (海外子会社除く) |
|
・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定 ・カカオ、パーム油など主要原材料の森林減少への取り組み推進 |
KPIに関しては、次ページ「人権・環境に配慮したサプライチェーンの構築」の「(カカオ)GPSマッピング等の実態把握率」及び「(パーム油)森林減少に関与していないパーム油の調達比率」と同一。 |
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
バリューチェーンにおける 人権の尊重 |
・人権尊重に関する人権教育の実施 |
・国内グループ会社社員に対する人権教育の 実施率 |
受講率90%以上 ※年1回の受講 |
・海外グループ会社社員に対する人権教育の 実施回数 |
1回以上 ※3年間での受講 |
||
・海外における人権デュー・ディリジェンスの強化 |
・海外リスク国の人権影響評価実施国数 |
3カ国 |
|
高い倫理観に 基づいた マーケティング |
・責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施 |
・ポリシー制定のターゲット年度 |
2024年度中 |
・ポリシー内容周知のための勉強会実施回数 |
年1回以上 |
||
多様な人財の 成長と活躍 |
「●明治グループにおける人的資本への取組 (3) 指標と目標」に記載をしております。 |
マテリアリティ |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
人権・環境に 配慮した サプライチェーンの構築 |
・サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施 |
・重要サプライヤーへの監査実施数 |
累計30社以上 |
・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
・Meiji Dairy Advisory(MDA)取り組み戸数 |
累計100戸以上 |
|
・酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
・〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数 |
累計30戸以上 |
|
・メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
・〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率 |
100% |
|
・全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立 |
・〈カカオ〉カカオ農園までのトレーサビリティ比率 |
100% ※対象範囲はガーナを含む 全ての国における調達先 |
|
・児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進 |
・〈カカオ〉児童労働監視改善システム導入率 |
100%
※対象範囲は |
|
・GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進 |
・〈カカオ〉GPSマッピング等の実態把握率 |
||
・森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
・〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率 |
2024年度中に目標設定 |
|
・製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
・〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率 ※対象範囲:事務用品、定型発行物 |
100% |
●気候変動に関する考え方及び取組(TCFD提言に基づく開示)
当社グループの事業は、豊かな自然の恵みの上に成り立っており、地球環境と共に生き「自然と共生」することが責務であると考えております。しかし、近年、地球環境の持続可能性が危ぶまれており、気候変動が中長期的に事業活動に与える影響も大きく、重要な経営課題であると認識しております。また、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」でも気候変動への対応強化が求められており、当社グループはこうした国際的な枠組みに貢献すべく、脱炭素社会の実現に向けて気候変動への対応を推進しております。
なお、気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて記載しています。
(1)ガバナンス及びリスク管理
当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務めるグループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。また、当社CEO(Chief Executive Officer)が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期ごとにサステナビリティ活動全般の進捗状況を報告し、新たな取り組みについて審議しています。特に、気候変動は重要な課題と位置づけています。
ガバナンスに関して、当社グループは、気候変動によるリスク・機会の分析と対応策について、グループTCFD会議(2023年度5回実施)において議論した後、その結果を経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しております。
※ 取締役のスキルに関しては、当社のウェブサイト「取締役・監査役」をご参照ください。
(https://www.meiji.com/investor/governance/officer/)
リスク管理に関して、当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに適切に対処するため、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。この中で、「気候変動」は主要な経営リスクと位置づけております。気候変動によるリスクや機会が時代とともに変化する事を認識し、グループTCFD会議では、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を活用し、定量的な分析と評価を行い、優先度の高い主要インパクトを特定しています。これに基づいて、リスク管理フローに沿って対応策を検討しております。グループTCFD会議は、当社リスクマネジメント部も参画し、気候変動の影響をグループ全体の重大なリスクとして認識し、それに対応できる体制を構築しております。
|
(2) 戦略
当社グループは、気候変動によるリスクと機会を重要な経営課題の一つであると認識しており、短・中期的には「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、長期的には、明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」に基づき「CO₂排出量の削減」や「水資源の確保」などのマテリアリティとKPIを設定し、将来にわたって自然と共生していくための取り組みを推進しております。
<2023年度の取り組み及び開示内容のポイント>
・当社グループにおけるサプライチェーン全体での分析と、最新のパラメータを活用した財務インパクトの再算出
・1.5℃シナリオおよび4℃シナリオに基づき、現状、2030年(中期)、2050年(長期)を基準年として中長期の
気候変動によるリスク・機会の分析と対応策の検討
・「Meiji Green Engagement for 2050」の達成に向けて、太陽光発電設備の導入など移行計画(トランジション
プラン)に基づく対応策の強化
・2021年時点で策定した対応策への具体的な取り組みの推進
・前回特定した気候変動における事業機会に対する具体的取り組み事項の例示
1)リスクの財務インパクト評価
当社グループを取り巻く気候関連リスク・機会の財務的影響を評価するため、シナリオ分析を実施しました。2つのシナリオ(1.5℃・4℃シナリオ)での分析結果のうち、影響の大きい主要インパクトの分析結果は次のとおりであります。
〈分析対象範囲〉
事業セグメント |
食品 |
医薬品 |
財務インパクト算出範囲 |
当社グループ全体 |
|
対象原材料 |
主要原材料[乳原料、カカオ豆、パーム油、砂糖、木材(紙)] |
|
分析基準年 |
現状、2030年(中期)、2050年(長期) |
〈分析結果の概要〉
<1.5℃シナリオ(移行リスク)における当社グループへの影響>
気候変動に関わる変化 |
主要インパクトと具体的な影響 |
当社グループへの影響 |
||
関係するサプライチェーン |
影響額(億円) |
|||
2030年 |
2050年 |
|||
政府の環境規制の強化 |
カーボンプライシング導入による影響額 |
製造 |
44 |
100 |
調達 物流 |
465※ |
475※ |
||
再生可能エネルギー普及に向けた設備投資の拡大 |
電力購入金額による影響額 |
製造 |
105 |
△48 |
(注)当影響額については、当社グループだけでなくサプライチェーン全体で負担するものと考えております。
<4℃シナリオ(物理的リスク)における当社グループへの影響>
気候変動に関わる変化 |
主要インパクトと具体的な影響 |
当社グループへの影響 |
||
関係するサプライチェーン |
影響額 |
|||
2050年 |
||||
台風・豪雨などの激甚化や発生頻度増加 |
洪水被害による機会損失 |
製造 物流 |
国内外15拠点浸水リスクあり 年間リスク増分8.3億円※ |
|
気温上昇や水リスクなどによる原材料の生育環境変化 |
原材料調達コストの増加 |
調達 |
- |
- |
(注)当連結会計年度より、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、洪水被害における財務インパクトを算出しています。年間リスク増分とは、2050年までの時間軸で想定される将来リスクの増分を一年間に換算した金額です。詳細は、後続の「<4℃シナリオ>・洪水被害による操業停止などの機会損失」の項目をご覧ください。
〈分析方法および結果の詳細〉
□ 主要インパクトと具体的影響
<1.5℃シナリオ>
・カーボンプライシング導入による影響額(自社)
2030年は、省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などにより16億円の削減を見込めるものの、44億円のコスト増加を想定しています。2050年は、新たな技術や次世代エネルギーの積極的導入など移行計画(トランジションプラン)に基づき、24億円の削減を見込んでいます。しかし、現在の技術では2050年にCO₂排出量をゼロにすることが困難なため、50億円のカーボンクレジットの購入が必要となり、100億円のコスト増加を想定しています。
単位:億円
取り組み内容 |
2030年 |
2050年 |
対応策未実施のカーボンプライシング負担額 |
60 |
74 |
対応策によるカーボンプライシング削減額 |
△16 |
△24 |
カーボンクレジット購入金額 |
- |
50 |
合 計 |
44 |
100 |
・カーボンプライシング導入による影響額(主要原材料)
主要原材料を調達する各国のカーボンプライスを基にした影響額は、原材料ごとに上昇するも、各種対応策の実施により、最終的には2030年は465億円の増加、2050年は同様に475億円の増加を想定しています。
※ 1.5度シナリオにおけるカーボンプライシング導入による影響額については、国際エネルギー機関
(IEA)のWorld Energy Outlook (WEO) 2023で公表されているNZEシナリオのカーボンプライス(2030年、2050年)を基に算出しています。
・電力購入金額による影響額(自社)
2030年は、省エネ活動や創エネ活動などにより44億円の削減を見込んでいますが、電力価格の上昇や再エネ由来電力のプレミアム価格によるコスト増加があり、105億円のコスト増加を想定しています。一方、2050年は、技術の革新により電力価格は現状並みに下がり、省エネ活動などによる電力使用量削減が影響し、48億円の減少を想定しています。
単位:億円
取り組み内容 |
2030年 |
2050年 |
電力単価上昇に伴う増加額 |
140 |
1 |
省エネ活動、創エネ活動等による電力使用削減額 |
△44 |
△64 |
再エネ由来電力購入に伴う増加額 |
10 |
14 |
合 計 |
105 |
△48 |
※ 1.5度シナリオにおける電力購入金額による影響額は、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
(NGFS)のNet Zero2050シナリオの情報を基に算出しています。
<4℃シナリオ>
・洪水被害による操業停止などの機会損失
洪水による被害額は、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、財務インパクトを算出しました。国内外の生産拠点51拠点を対象としてリスク評価を実施した結果、国内13拠点、海外2拠点で浸水リスクが想定されました。財務インパクトは、各拠点で想定される浸水深などを元に、資産の被害額や操業停止による機会損失額を、年間のリスク増分として算出しています。2050年において、100年に1度の洪水規模での15拠点合計の年間リスク増分は、8.3億円/年を想定しています。
国内/海外 |
年間リスク増分(億円) |
||||
物件被害額 |
営業停止 |
償却資産 |
在庫資産 |
合計 |
|
国内 |
0.8 |
2.6 |
3.7 |
1.1 |
8.2 |
海外 |
0.1> |
0.1> |
0.1 |
0.1> |
0.1 |
合計 |
0.8 |
2.6 |
3.8 |
1.1 |
8.3 |
・主要原材料調達への影響
原材料の生産地においても、気候変動による気温上昇や水リスクによって農作物の収量減少に伴う原材料単価の上昇が想定されます。主要原材料の生産地における収量変化や水リスクの分析を実施し、その結果の概要は以下のとおりです。
~想定される収量変化~
・カカオ豆や砂糖の調達国では、将来的に収量が減少すると予測されています。
・乳原料への影響は、2030年、2050年においても数%の減少に留まると予測されています。
~想定される水リスク~
・洪水リスクは、将来的にほとんどの地域でリスクが高くなると想定されるため、各生産地の洪水リスクを確認した上で、改善策の検討が必要であると考えています。
※ 4℃シナリオにおける主要原材料調達への影響については、FAOが公表しているGAEZv4データベ
ース(RCP8.5)や文献調査に基づいた将来の収量予測情報を基に算出しています。
なお、原材料として調達する農作物は気候変動のみならず、自然資本・生物多様性の保全と密接に関係しています。自然関連財務情報の開示フレームワーク(TNFD)のLEAPアプローチを活用し、当社グループの重要原材料であるカカオ豆と乳原料の自然への依存と影響を分析しました。
~カカオ豆や乳原料の生産地での自然関連リスク分析~
・カカオ豆や乳原料の生産活動は、自然への依存度が高いため、主要な生産拠点における依存・影響状況を把握するための調査を行いました。
<カカオ豆>
「土地利用転換、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、土壌浸食の抑制、自然災害の影響緩和」という6項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「土地利用転換・大気汚染」の2項目については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。
・土地利用転換のリスクが非常に高い拠点数 :12ヵ所
・大気汚染(焼き畑など)のリスクが非常に高い拠点数:11ヵ所
<乳原料>
「水ストレスの脅威、水質汚濁、土壌肥沃度の維持、地下水・地表の利用」という5項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「水質汚濁」については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。
・水質汚濁のリスクが非常に高い拠点数 :26カ所
カカオ豆および乳原料ともに、今後は生産地でのGAP分析等を行う中で収量減少の回避に向けた取り組みを推進してまいります。
2)リスク低減に向けた取り組み
当社グループはIEMAのGHG管理ヒエラルキーに基づきGHG排出量削減への取り組みを推進しています。
ⅰ Eliminate(回避) :ビジネスモデルや事業ポートフォリオの変更等を通じライフサイクルを通じてGHGを排出しない事業構造へ転換
ⅱ Reduce(削減) :製造工程や輸送の効率化等を通じ、エネルギー使用量やGHG排出量を削減
ⅲ Substitute(代替) :再生可能エネルギーの活用、低炭素素材の調達等を通じ、よりGHG排出量の少ないエネルギー・調達物品への変更
ⅳ Compensate(補償・相殺) :削減しきれなかったGHG排出量に対し、カーボンクレジット購入等のオフセットによって相殺
・自社拠点のGHG排出量削減に向けた取り組み
自社におけるGHG排出量を削減するため、現在実施している省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などに加え、新たな技術や次世代エネルギーの積極的な導入などを織り込んだ移行計画(トランジションプラン)を策定しました。概要は以下のとおりです。
|
※Scope1 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出
対応策については、当社工場等に太陽光発電設備や省エネ設備の導入をはじめ、RE100対応の再生可能エネルギー由来電力の購入等、様々な取り組みを行っています。移行計画を基に各取り組みを推進し、その結果、2023年度において、総使用電力に占める再生可能エネルギー比率が17.4%となりました。引き続き、2050年の100%達成を目指して取り組みを推進していきます。
|
対応策の例〈十勝工場におけるメタンバイオガスの利用〉
十勝工場において、ホエイ残渣をメタン発酵させ、排水処理を行う設備を導入しました。2024年4月より稼働し、この設備により、年間の産業廃棄物量の54%、CO₂排出量の5.9%を削減する見込みです。
|
・サプライチェーンのGHG排出量削減に向けた取り組み
主要原材料におけるCO₂排出量については、CO₂だけでなく酪農業由来のメタンなどGHG全般での排出量削減が重要な課題と捉えています。GHG排出量削減に向けて、酪農を中心としたScope3における移行計画を策定しました。GHG排出量削減を効果的に行うために、ライフサイクルにおけるGHG排出量の多いプロセスを特定すべく、まずは牛乳のカーボンフットプリント(CFP)を算定し、次にそのプロセスでの排出量削減策を策定し取り組みを開始しました。さらに、その他の原材料における対応策も検討すると同時に、GHG排出量削減に向けたサプライヤーとのエンゲージメント(対話)を実施することで、サプライヤーの排出量削減、ひいてはサプライチェーン全体の排出量削減を促進していきます。
Scope3削減の移行計画(トランジションプラン)の概要は次のとおりです。
図中の1~6については、以下に対応策詳細を記載しております。
|
※Scope3 Scope1、2以外のCO₂間接排出(購入した原料・包材等の生産・製造・輸送から、それらを加工した製品の販売・輸送・使用・廃棄に至るまでの企業活動におけるサプライチェーン上で発生するCO₂排出)のこと。
対応策1 牛乳のカーボンフットプリント(CFP)の算定の拡大
数軒の酪農家から収集した実データなどに基づき、2022年に「明治オーガニック牛乳」、2023年に「明治おいしい牛乳(九州工場生産品)」のライフサイクル全体(原料調達~製造~消費・廃棄)におけるGHG排出量を算定しました。その結果、上流部分が90%以上を占めることが分かりましたので、生産者との排出量削減の取り組みを強化していきます。
|
商品名 |
上流 |
中流 |
下流 |
合計 |
明治オーガニック牛乳 |
90.7% |
5.9% |
3.4% |
100% |
明治おいしい牛乳 |
91.0% |
5.6% |
3.4% |
100% |
対応策2 糞尿由来のN₂O削減のビジネスモデル構築と拡大
酪農家、味の素株式会社、当社グループの3者が中心となり、ビジネスモデルを構築しました。
味の素株式会社製品の「AjiPro®-L」を使用し、飼料中のアミノ酸バランスを改善することで乳量を維持しつつ、飼料中の余剰な窒素を抑え、糞尿由来のN₂O排出量を削減することができます。削減されたN₂Oは、酪農家と味の素株式会社がJ-クレジット制度を活用してクレジット化し、そのクレジットを当社が購入することで酪農家を経済的に支援するモデルとなります。開始後1年が経ち、5事例、約3,000頭もの乳牛を対象に給与しており、今後さらに拡大していきます。
|
対応策3 カーボンファーミング(CF)に関する取り組み
カーボンファーミングは、大気中のCO₂を土壌に取り込むことで、農地土壌の質を向上させると同時に、GHG排出量削減を目指す農法です。2023年8月、酪農家や別海町と共に道東カーボンファーミング研究会を立ち上げ、別海町の土壌のCO₂貯留量を測定しました。次年度は、その結果を基に不耕起栽培やカバークロップ、堆肥の有効利用など、CO₂貯留量を増加させる農法の確立を目指し検証していきます。
|
|
対応策4 カカオに関する取り組み
気候変動への対応として、ガーナにおいて気候変動に適応する栽培法を指導したり、アグロフォレストリーを通じて森林伐採地に多品種の作物を植え、森を再生したりしています。また、気候変動に伴い生産量の減少が想定されるため、その対策として、カカオ細胞培養スタートアップ(California Cultured Inc.)に出資し、持続可能なカカオの調達を推進します。
|
間もなくチョコレートになるカカオ細胞 |
対応策5 プラスチック資源循環の取り組み
容器包装材料の主たる原料である石油由来のプラスチックを削減することはGHG排出量の削減にも繋がります。石油由来原料のプラスチックの削減策として、「明治おいしい牛乳」のキャップや注ぎ口にバイオマスプラスチックを使用しています。また、リデュースを推進する取り組みとして、「明治エッセルスーパーカップミニ」
カップの紙容器化、「明治北海道十勝ミルクきわだつヨーグルト」カップの軽量化などを行っております。
プラスチック使用量推移、目標
年度 |
2017年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2030年度 |
実績 (t) |
30,807 |
27,265 |
25,878 |
25,155 |
21,567 |
削減量(t) |
- |
3,542 |
4,929 |
5,652 |
9,240 |
削減率(%) |
- |
11.5 |
16.0 |
18.3 |
30.0 |
対応策6 サプライヤーエンゲージメントの実施
サプライヤーにおけるCO₂排出量削減は、当社のScope3の削減に繋がります。原材料サプライヤーとのエンゲージメント(対話)を通じて、環境負荷に関する目標と実績を相互に共有し、環境課題の取り組み状況を確認することで、GHG排出量の削減などの社会課題の解決を推進します。
|
・主要原材料の調達リスクの低減に向けた取り組み
原材料の調達リスク低減のために、調達国/地域/サプライヤーの最適化や認証原材料の調達強化を行うとともに、商品面でも健康価値・栄養価値の強化、サステナビリティによる社会価値創出などによる商品の高付加価値化を推進しています。
|
・洪水リスクの低減に向けた取り組み
洪水リスクへの対応策として次の取り組みを実施しています。
・リスクの高い拠点において、現地と連携しリスク評価結果のGAP分析を行い、実態を把握しています。
・特に優先度の高い事業所に対しては、詳細な調査を行い、浸水エリアや浸水深を想定したハード面での対策
を検討し、実施しています。例えば、ボックスウォール(仮設止水版)や防水壁の設置などがあります。
3)事業機会の創出
気候変動は社会や生活に変化をもたらし、新たなニーズや機会創出に繋がると考えております。当社グループでは現在の事業基盤を活かし、新たな資源を取り入れることで以下のような機会獲得の可能性を想定しております。
機会を抽出するまでのプロセスは次のとおりです。
・グループTCFD会議の事務局メンバーが、機会検討に関係する組織に個別にヒアリングを実施しました。
・グループTCFD会議にて、「機会の方向性」を審議しました。
・既存事業との関係、現状の自社アセットでの対応可否、実現可能性等の観点から、定性的に整理しました。
・機会獲得のポイントを実現可能性の高いものに絞り込み、事業機会を特定しました。
今後、当社グループ全体でそれぞれ実現可能性を探り、実現に向けて具体的な取り組みを推進してまいります。
気候変動の直接的影響 |
気候変動による社会や生活への影響 |
・平均気温の上昇 ・災害の激甚化 ・降水パターンの変化 ・生物多様性毀損 ・農産物の収量減少 ・海面の上昇 ・永久凍土の溶解 など |
・気温上昇での生活様式変化(外出・移動自粛、巣ごもり、止渇・熱中症など) ・食品・エネルギー価格の上昇、生産者の支出の変化 ・GHG排出規制の強化や水リスク(渇水、水質悪化)顕在化 ・環境負荷を低減させる生活の推進(ロスや廃棄削減、省エネ、エシカル消費など) ・医療ひっ迫の恒久化や感染症予防意識の高まり ・災害対策の意識の高まり ・開発途上国の栄養不足深刻化 |
機会獲得のポイント |
高まることが想定されるニーズ |
明治グループにおける機会 |
生活様式の変化による 巣ごもりなどへの対応 |
・気温上昇による止渇、熱中症対策 ・家庭内で生活を完結できる商品や仕組み ・栄養バランスの改善による健康維持 |
・暑さ対策商品の拡大 ・カスタマイズ型栄養支援ビジネス |
環境意識の高まりへの対応 |
・環境負荷の小さい商品 (植物由来、細胞培養、循環型農業など) ・廃棄ロスやエネルギー使用を低減した商 品や生活様式 ・原材料の持続可能な調達 |
・環境負荷低減型商品の拡大 ・環境配慮、支援型ビジネス ・持続可能な原料活用商品の拡大 |
新興・再興感染症への対応 |
・感染症予防のための行動の習慣化 (うがい、手洗いの励行、マスク着用、免 疫力強化など) ・感染症に対するセルフメディケーション ・開発途上国における感染症対策 |
・グローバルでの抗感染症薬、免疫 力強化商品の拡大 ・自然免疫、獲得免疫、治療薬など 感染症トータルケアビジネス ・開発途上国、原料生産国への感染 症対策商品の提供や支援 |
さらに、これら8つの事業機会を、現在既に手掛けているものから、中長期的に仕掛けていくものへと時間軸で優先順位付けを行いました。
|
事業機会①⑤ 「環境負荷低減商品の拡大」や「持続可能な原料活用商品の提供」の事例
社内認定制度「meiji サステナブルプロダクツ」の取り組み強化による事業機会の創出
バリューチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、物流、消費)において、サステナビリティ活動に積極的に取り組み、社会課題解決型商品としてお客様に訴求することで、新たな価値の創造を目指します。
事業機会 |
サスプロ認定基準 |
主な要件事項 |
機会① 環境負荷低減商品の拡大 |
環境に配慮した容器包装 |
プラスチック使用量削減、 |
機会⑤ 持続可能な原料活用商品の提供 |
人権と環境に配慮した調達 |
認証原料の使用、 |
事業機会③ 「感染症トータルケアビジネス」の事例
<新規モダリティの獲得>
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認を取得しました。今回の承認は、次世代 mRNAワクチン(レプリコン)として世界初となります。「コスタイベ筋注用」は、新規の sa‐mRNA技術を使用しており、少量の mRNAで高い免疫応答が期待できます。当社グループは、先進的なモダリティ技術を獲得し、将来に向けた新たなワクチン開発の技術基盤を築いてまいります。
ⅰ デングウイルス感染症に対する新規ワクチンの開発
気候変動による温暖化や降水量の変化に伴い、病原微生物の生息地や生活環境が変化しつつあります。この結果、
デングウイルス感染症の発生地域が拡大しています。
原因となるデングウイルスは、ヒトにデング熱、デング出血熱及びデングショック症をおこす蚊媒介ウイルスの一種で、1型から4型までの4種の血清型がヒトでの流行に関与しています。WHO報告によると熱帯・亜熱帯地域の100カ国以上で流行が見られ、世界人口の約50%に相当する39億人が感染リスクにさらされ、毎年1~4億人が感染するとされています。年間3.9億人が感染し、9,600万人が発症したとする推計も報告されています。
また、デング出血熱により5歳未満の子供を中心として毎年50万人が重症化による入院治療を必要としており、うち約2.5%が死亡しています。
KD-382は、非臨床試験において1回の接種でデングウイルスの4つの血清型すべてに対して良好な免疫原生と防御効果を示すことが確認されています。また、健康成人を対象として実施した第Ⅰ相臨床試験において、KD-382は忍容性と良好な免疫原性を示し、1回の接種で4つの血清型すべてに対する中和抗体誘導能を確認しました。デングウイルス感染症は小児の重症化リスクが高いことから、現在、小児における安全性と免疫原性を検討するため、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援のもと、第Ⅱ相臨床試験の準備が進められており、デングウイルス感染症の予防に向けた新たな選択肢として期待されています。
ⅱ 薬剤耐性(AMR)対策に向けた新規β-ラクタマーゼ阻害剤の開発
薬剤耐性菌の出現と蔓延は世界的な脅威であり、日本国内においても「AMR対策アクションプラン」のもと、対策が進められています。とりわけ、カルバペネム耐性腸内細菌目細菌(CRE)は、重症感染症治療における「最終兵器」とされるカルバペネム系抗菌薬が無効な耐性菌として世界中で脅威となっております。
このような中、当社グループが創出した新規β-ラクタマーゼ阻害剤「Nacubactam(開発コードOP0595)」は、既存の抗菌薬との併用により、薬剤耐性菌に対する有効性が期待されています。「サイレントパンデミック」と呼ばれる薬剤耐性(AMR)は世界的な課題であり、当社グループは新薬を通じてAMR対策に貢献してまいります。
(3) 指標と目標(進捗状況含む)
当社グループでは、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、明治グループの長期環境ビジョンである「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、それぞれのビジョンに基づいてマテリアリティとKPIを設定しています。長期環境ビジョンにおいて、気候変動に関するKPIは、パリ協定の努力目標である世界全体の平均気温を1.5℃ に抑えることを目標としています。
気候変動に関わるリスクや機会への対応は、環境負荷低減活動に加えて、原材料調達など多岐にわたります。そのため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗状況を確認し、達成に向けて計画的に取り組んでおります。また、これらの取り組みは、明治ROESG®指標の一部として評価され、役員報酬に反映されます。
<ESG投資枠の拡大>
Scope1、2、3における移行計画の推進のため、2026中期経営計画において「ESG投資」を500億円と設定し、サステナビリティ施策を着実に推進します。主な施策は、以下のとおりです。
・酪農業のGHG排出量削減に向けた取り組み
・ペニシリン原薬の国産化
・太陽光発電設備の導入
・脱フロン対策(例:ノンフロンターボ冷凍機の導入)
・脱プラスチック対策(例:小型ペットボトル軽量化に向けた設備導入)
・水使用量の削減(例:小型ペットボトルライン リンス水循環化による節水対策)
<インターナルカーボンプライシング制度の見直し>
2024年度から、インターナルカーボンプライシング制度の炭素価格を1t-CO₂当たり5,000円から15,000円に変更し、カーボンプライシング本格導入後の円滑な対応に向けた準備も進めております。
<サステナビリティボンドの発行>
当社のサステナビリティビジョンを達成するための必要資金として、2021年にサステナビリティボンドを発行し、資金調達を実施しています。
※ サステナビリティ関連の資金調達に関しては、当社のウェブサイト「サステナブルファイナンス」をご参照
ください。(https://www.meiji.com/sustainability/stance/finance/)
<2023中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
主要 インパクト |
項目 |
KPI |
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短・中期目標 |
長期目標 |
2023年度進捗 |
||
カーボンプライシングの導入 |
CO₂排出量 |
2030年度までに自社拠点での CO₂総排出量(Scope1、2)を50%以上削減、Scope3を30%以上削減(2019年度比) |
2050年までにサプライチェーン全体でCO₂などの温室効果ガス排出量を実質ゼロに |
Scope1、2: 19.6% Scope3:4.8% ※2、3 |
再生可能エネルギー使用量 |
2030年度までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率を50%以上へ拡大 |
2050年までに自社拠点における総使用電力量に占める再生可能エネルギー比率100%を達成 |
17.4% |
|
プラスチック 使用量 |
2030年度までに国内の容器包装などのプラスチック使用量を25%以上削減(2017年度比) |
再生資材などを活用し容器包装に使用する新たな自然資本を最小化 |
18.3% ※2、4 |
|
水調達リスク |
水使用量 |
2030年度までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を15%以上削減(2020年度比) |
2050年までに自社拠点での水使用量の売上高原単位を2020年度比で半減 |
15.7% ※2 |
主要原材料の持続可能な調達 |
カカオ豆 |
2026年度までにサステナブルカカオ豆の調達比率を100%へ |
- |
62.5% |
パーム油 |
2023年度までにRSPO認証パーム油への100%代替 |
- |
100.0% |
|
木材(紙) |
2023年度までに環境配慮紙への100%代替(製品の容器・包装に使用する紙) |
- |
100.0% |
|
生乳 |
酪農家の経営に関する支援活動Meiji Dairy Advisory(MDA)を年間400回以上実施、及び2023年度までに累計2,150回以上実施 |
- |
522回/年 累計2,422回 |
※1 明治ROESG®のうち気候関連の評価項目に係る部分を区分して割合を示すことは困難であると認識しています。
※2 進捗については、基準年度からの削減率(%)を記載しています。なお、算出値については第三者保証取得
前の数値であるため、変更の可能性があります。
※3 Scope3はScope1、2以外の間接排出で、バリューチェーンからのCO₂排出量です。
Scope3カテゴリ1は2022年度から原材料の購入重量を使用し、IDEA(Ver.3.2.0)の係数を利用して算出しています(2021年度までは原材料の購入金額を使用)。KPI進捗は、基準年度である2019年度のScope3カテゴリ1の排出量を2022年度に採用した算出方法で計算し、その数値をもとに算出しています。また、2023年度から㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱を対象範囲に追加したことに伴い、KPI進捗は、2019年度における㈱明治フードマテリアと明治飼糧㈱のScope3カテゴリ1,4,9の実績を加えて算出しています。
※4 プラスチック使用量削減値については、2022年度実績をもとにしています。
なお、当社グループにおける2023年度のGHG排出量(Scope1、2、3)の実績については、下記の当社ウェブサイトで開示しております。(https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/)
<2026中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>
中長期の目指す姿 |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。 |
・メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援 |
・Meiji Dairy Advisory (MDA)取り組み戸数 |
累計100戸以上 |
個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。 |
・〈生乳〉酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進 |
・〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数 |
累計30戸以上 |
・〈カカオ〉メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大 |
・〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率 |
100% |
|
・〈パーム油〉森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進 |
・〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率 |
2024年度中に 目標設定 |
|
・〈紙〉製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え |
・〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率 ※対象範囲:事務用品、定型発行物 |
100% |
中長期の目指す姿 |
主な取り組み |
指標(KPI) |
2026年度 目標 |
省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。 |
・省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope1、2 排出量削減率 (基準年2019年度比) |
32%以上 |
・酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減 |
・Scope3排出量削減率 (基準年2019年度比) ※範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12) |
15%以上 |
|
・太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進 |
・再生可能エネルギー比率 ※比率:総使用電力量に占める割合 |
30%以上 |
|
3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。 |
・環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進 |
・プラスチック使用量(総量)の削減率 (基準年2017年度比) |
25%以上 (海外子会社除く) |
水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。 |
・水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減 |
・水使用量の削減率 (基準年2020年度比) 売上高原単位あたり |
20%以上 |
●明治グループにおける人的資本への取組
(1) ガバナンス及びリスク管理
1) ガバナンス
グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、経営会議の諮問機関として、当社代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループ人財委員会」を年に2回開催し、その内容については取締役会に報告しています。本体制は2022年度から始まり、2023年はグループ全体の人財戦略の推進責任者としてCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置、現在は「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「人財開発」「健康経営」「労働安全」「スマートワーク」の5つをテーマに掲げ、それぞれ分科会を設置し、グループ横断での取り組みを推進しています。
|
2) リスク管理
経営戦略に則した人財戦略の推進にあたって、人財・組織風土の課題は企業活動に重大な影響を及ぼす経営リスクの一つであると認識しています。外部環境の変化を見据えた人財・組織風土の課題について、グループ人財委員会にて議論を重ね、グループ全体の経営リスクを所管するリスクマネジメント部とも連携し、以下の3点をリスクとして特定・管理しております。
ⅰ 企業成長に必要な人財獲得および能力開発
・経営人財・事業マネジメント人財・高度人財等の獲得・育成ができないリスク
・DE&Iが推進されないことによる採用力低下、お客さま目線での事業推進力低下のリスク
ⅱ 業務環境による生産性への影響
・労働環境・安全衛生の対応不足による生産性低下、離職者増加のリスク
・社員の適切な健康課題の把握・改善に向けたアプローチ不足による休職者増加のリスク
・時代に合わせた働く環境(職場・IT等)整備の遅延によるクリエイティビティ停滞のリスク
ⅲ 社員エンゲージメント
・経営計画や組織目標の理解・浸透不足や階層・部署を跨いだコミュニケーション不足による組織力低下のリスク
・会社への共感度低下による離職者増加のリスク
上記リスクについては、顕在化している事例を検証するとともに対応策を検討し、人事部門を中心に関連部署と連携して、リスク低減に努めています。
(2)戦略
人財は、明治グループの価値創造を支えるきわめて重要な資本です。社員の多様性を尊重し、一人一人の能力を最大限に発揮させることが明治グループの持続的な成長につながるという考えのもと、経営戦略に則し、戦略的な投資を行ってまいります。
2026中期経営計画における、経営戦略に基づく人財戦略コンセプト
「2026中期経営計画」では、「明治ROESG®経営の進化」に取り組み、市場、事業、行動を変えて成長力を取り戻します。グローバルに事業を拡大し、社会課題解決を通じサステナビリティと事業を融合することで競争優位性を強化し、明治グループの価値を最大化することで、持続的な成長を実現してまいります。この経営戦略に基づく人財戦略において、自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出すことのできる多様な人財の獲得・育成と多様な人財が可能性を最大限引き出すことのできる組織風土および更なるDE&Iの推進と社員の健康が不可欠であると考えます。この人財戦略を実現するために、グローバルで戦うための人財・環境づくり、人的資本のサステナビリティ推進、グループ人事機能の実効性向上を掲げ実行してまいります。
|
1) 人財育成方針
明治グループの持続的な成長に向け、戦略を立案・遂行する高い能力を有する人財への投資を強化しています。一人一人の持つ知識・スキル・能力を強化し、その力を職務で最大限発揮できるよう取り組んでいます。
<明治グループ能力開発方針>
明治グループ2026ビジョンの「目指す企業グループ像」を実現するために、明治グループが求める資質や能力を持つ人財を育成するべく、「明治グループ能力開発方針」を定めています。
|
<能力開発体系>
「明治グループ能力開発方針」に基づき、社員一人一人の成長とキャリア開発を図る能力開発体系を整えています。
|
2023年度研修受講者数 対象(管理職・一般職、平均受講時間、平均受講費用)
※ ㈱明治・Meiji Seika ファルマ㈱・KMバイオロジクス㈱
|
プログラムの目的 |
受講人数 (延べ人数) |
平均受講時間 (時間) |
平均受講費用 |
階層別研修 |
それぞれのステージごとに必要なスキルの習得 |
1,327 |
22.1 |
50.6 |
グローバル研修 |
・世界をフィールドに成果を出せるグローバル |
1,291 |
5.4 |
20.9 |
次世代リーダー育成 |
・広い視野と高い視座をもった人財の育成 |
73 |
52.7 |
588.7 |
部門別・グループ会社研修 |
・業務上必要となるビジネススキルの習得 |
195,237 |
1.9 |
1.1 |
<グループ経営人財の育成>
明治グループ2026ビジョンの実現とその先の成長を見据えて、特にグループ横断的な経営人財の育成に注力しています。各事業における戦略遂行のための知識・スキル・能力だけでなく、グループ経営戦略の策定・推進に欠かせない視座・視野・視点を備える「変革・戦略人財」を中心とした人財を計画的に発掘・育成するべく、2021年度よりグループ経営人財育成プログラムを始動しました。執行役員および上級部長の選抜メンバーを対象に、CEOを座長に据えた開発プログラムを通して、ビジョン実現を強力にリードする明治グループ経営陣に求める人財像(リーダーシップバリュー)に沿ったコンピテンシー・能力の開発を行っています。
|
<グローバルビジネス人財の育成>
明治グループがグローバル市場でさらなる飛躍を遂げるためには、グローバルへの事業拡大に貢献できるためのスキル・能力を持った人財が必要不可欠です。グローバルでリーダーシップやコミュニケーション力を発揮しながら、目標達成に向けてやり抜ける人財の育成・開発に向けて、必要なスキル・能力の再定義、育成体系・研修プログラムの強化・再構築、海外事業部門への異動公募等を行っています。
2) 社内環境整備方針
ⅰ DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)
明治グループ2026ビジョンの実現に向けてDE&I推進を加速する考え方として、「明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー」を制定しています。多様な社員が、イキイキとやりがいをもって働ける環境を整備し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長を実現します。
明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー
私たち明治グループは、赤ちゃんからお年寄りまで、それぞれのライフステージで多様な価値観を持つお客さまの気持ちや日々の生活に寄り添うことで、成長を重ねてきました。これからも、そうしたアプローチをグループの強みとし、日本、世界のお客さまに「食と健康」で一歩先を行く価値をお届けするために、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進します。
<明治グループにとっての多様性> 性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、性表現、年齢、国籍、宗教、健康、障がいの有無、雇用形態、キャリア、育児・介護中などの多様な背景や、一人ひとりの価値観・知見・能力などのあらゆる違い
1. ダイバーシティ 多様な人財の採用・育成・登用を推進し、多様な人財が様々な職域で活躍できる環境をつくります。
2. エクイティ 多様な人財が能力を最大限に発揮するために、障壁となるものを取り除き、一人ひとりの多様な背景や 志向に合わせて成長・挑戦する機会を一律ではなく公平に提供します。
3. インクルージョン 多様な人財が自分らしさを発揮し、互いを尊重して認め合い、多様性を活かし合える組織風土を実現 します。
私たち明治グループは、多様な人財がイキイキとやりがいを持って働ける環境を実現し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長につなげていきます。 |
グループ人財委員会では、明治グループが目指すべき「DE&Iが実現した姿」を掲げ、重点属性(女性・キャリア採用者・海外人財)への取り組みを強化しています。
|
<女性>
DE&Iの第一歩としての女性活躍推進については、トップのコミットメントのもと、以下の3本柱で取り組みを行っています。リーダーシップパイプラインの構築においては、国際女性デーに合わせて3月にグループ合同女性管理職ネットワーク交流会を開催し、女性役員や部長による講演や座談会等を行い、上級管理職への視座醸成とパイプラインの構築につなげています。また、育児期者社員の活躍支援と上司マネジメントにおいては、育児期社員とその上司に対して研修を実施し、育児期社員については「周囲を巻き込む伝え方」、上司については「個別マネジメントと活躍支援の重要性」を学んだ上で、育児期社員と上司合同の他者理解ワークを実施しました。今後も性別や制約の有無に関わらず、社員一人一人があらゆる職務・階層で能力を発揮し、活躍できる環境づくりを行います。
|
<キャリア採用者>
幅広い知見や新たな視点を取り入れ、一歩先を行く価値を創造するために、新卒採用に加え、他社でキャリアを積んだ人財のキャリア採用にも積極的に取り組んでいます。また、一度退職した社員の再就職を可能とする「カムバック制度」を導入しています。明治グループで得たノウハウや知見を有し、退職後に多様な経験や知識を培った退職者の再雇用を通じて、社内のさらなる活性化や、新たな価値創出を図ります。
<海外人財>
グローバルな視点を意思決定に反映させ、世界で成長し続ける明治グループとなるために、海外人財(外国籍人財を含む海外留学・在住経験等のグローバルな経験を半年以上有する人財)の採用を強化しています。また、海外トレーニー制度を新たに導入するなど、海外人財の育成にも力を入れています。
※ スマートワーク推進
多様な背景を持つ社員が、ワークライフバランスを実現して能力を最大限発揮できるよう、在宅勤務制度やフレックスタイム制度等を導入し、柔軟な働き方を促進しています。また、乳幼児向けミルク・ワクチンを扱う会社としての自覚の下、企業価値向上を見据え、男性社員の育児休業取得を支援しています。
ⅱ 健康経営
グループスローガン「健康にアイデアを」を体現する企業グループとして、成長し続ける原動力は、社員の“こころとからだの健康”であるとの考えのもと、社員の健康の維持・増進に戦略的に投資をし、生産性の最大化・組織活性化を図っています。「明治グループ健康経営宣言」のもと、健康経営投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。
これからの取り組みが評価され、当社は2023年、2024年の2年連続で経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選ばれました。なお、「健康経営優良法人」には8年連続で認定されています。
<健康経営戦略マップ>
|
2023年度に実施した具体的な取り組み
・個人やチームで健康目標を宣言し、継続的に活動に取り組む「Kenko My Boom宣言」
・食生活意識改善を目的に、「内臓脂肪を落とす食事術セミナー」を全国事業所での実施
・㈱明治の契約するスポーツ選手とトレーニングをする「トレーニングチャレンジ」
・ウォーキングキャンペーン
・社長名にて卒煙を呼び掛ける手紙を喫煙者へ送付、役員喫煙率0宣言、禁煙サポートプログラム
・eラーニング(セルフケア・ラインケア、明治グループの健康課題、等)
・ストレスチェック
ⅲ 労働安全
「明治グループ労働安全衛生ポリシー」に基づき、「安全は全てに優先する」の認識のもと、協力会社と連携しながら、職場の安全確保に継続的に取り組んでいます。明治グループでは労働災害ゼロの実現に向け、2026中期経営計画では、「重大災害ゼロ」、「挟まれ・巻き込まれ災害ゼロ」、「重大交通事故ゼロ」といった労働安全に関するKPIを掲げています。具体的には、社員の安全意識醸成に向けた施策や、新設設備の稼働前リスクアセスメントならびに既存設備の安全監査・点検をグループ横断で実施し、安全対策とルールの周知・遵守により労働災害や法令違反の未然防止に向けた取り組みを強化しています。
明治グループ労働安全衛生ポリシー
明治グループは、「安全は全てに優先する」という認識のもと職場の安全確保に継続的に取り組むとともに、従業員の健康維持・増進に努めます。
1. 法令・社内規程の遵守 私たちは、職場の労働安全衛生に関する法令、社内規程を遵守します。
2. 労働災害の防止 私たちは、職場における危険源の特定・評価、対策によるリスクの除去・低減を通じて、 労働災害の発生防止に努めます。
3. 心身の健康管理 私たちは、心身ともに安心して働くことのできる職場環境づくり、健康管理に努めます。
4. 従業員教育の推進 私たちは、労働災害・交通災害を防ぐための社内教育を積極的に実施し、従業員の意識向上に努めます。
|
ⅳ 社員エンゲージメント
明治グループの持続的成長には、社員が会社の目指す姿を理解・共感し、やりがいを感じながら、意欲的に仕事に打ち込める環境を整備することが欠かせません。そこで、2021年度より社員のエンゲージメント状態を把握し、早期に改善活動につなげていくために、毎年1回エンゲージメントサーベイを実施しています。
「2023中期経営計画」では、「社員エンゲージメント=社員の会社への共感度」と定義し、社員エンゲージメントを重要な経営課題の一つに据え、役員報酬とも連動する目標値としてエンゲージメントスコアを掲げて、職場での対話機会の創出などの取り組みを推進してきました。目標に対しては未達となりましたが、若手社員のエンゲージメントの低さなどの課題が見えてきたことから、役員によるタウンホールミーティングの実施や、ボトムアップの風土・カルチャー変革ワーキングチームの発足などの新たな取り組みを始めています。
2026中期経営計画においては、経営戦略と人財戦略の連動による人的資本経営をより強力に推進するべく、グループ理念・経営戦略の実現に向けて、「社員エンゲージメント=社員ひとりひとりのありたい姿と明治グループのありたい姿が重なり、社員が明治グループとともに成長することを志向している状態」と定義した上で、サーベイ実施後の改善活動がよりスムーズに行えるよう設問を見直します。サーベイ結果の詳細分析・課題抽出を行い、課題解決に向けた効果的なPDCAサイクルの実現を目指します。
|
<meijiブランドプロジェクト>
当プロジェクトでは、グループスローガン「健康にアイデアを」の実現に向けた社員の意識・行動変容を促す様々な取り組みを行っています。経営トップ層と若手社員が、meijiらしい健康価値や明治グループのビジョン等について議論を交わす「経営トップと語ろう!」企画や、職場での対話を通じて「健康にアイデアを」の体現を考え、実行する「職場ミーティング」は、定期的に開催を行っています。これらの取り組みは、会社の目指す姿への社員の理解・共感を図るとともに、階層や組織を跨いだコミュニケーションの活性化につながっており、社員エンゲージメントに寄与しています。
また、国内外の社員から、meijiらしい健康価値を体現する個人や職場のアイデアを募集・表彰する「meiji Brand Award」を2021年度より実施しており、2023年度は3,600件を超える応募がありました。
(3) 指標と目標
グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、テーマごとに定量的に計測できる目標を設定し、モニタリングを行いながら、施策の効果測定や改善を行っています。
1)2023中期経営計画
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実績 |
達成目標 |
|||
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
2023年度 |
2026年度 |
|
女性管理職比率 |
4.7% |
5.6% |
6.5% |
- |
10% |
女性リーダー数 |
237名 |
256名 |
281名 |
- |
420名 |
障がい者雇用率 |
2.57% |
2.53% |
2.54% |
2.3% |
- |
健康経営優良法人(ホワイト500) |
認定 |
認定 |
認定 |
認定 |
- |
社員エンゲージメントスコア |
B |
B |
B |
A |
- |
(注)1.対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
2.リーダー:管理職および係長職相当。
3.明治ホールディングス㈱は2022年度・2023年度において健康経営銘柄に2年連続選定されました。
なお、2023年度についてKMバイオロジクス㈱は健康経営優良法人のホワイト500には認定されませんでした。
4.社員エンゲージメントスコアとは「社員エンゲージメント=社員の会社への共感」と定義し、会社・仕事・上司・職場 に関する質問について期待度と満足度から算出。第三者調査会社による調査結果から偏差値化したものを、AAAからDDの11段階でスコア化しています。
2)2026中期経営計画
|
(注) 対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
ただし、重大労働災害件数は明治グループ連結(国内のみ)。