2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

リスク

関連するリスク

主な取り組み

気象状況及び原材料価格との関連に係るもの

・農作物由来の原料等の市況の影響
・異常気象あるいは異常気温の影響

・仕入先との連携強化、取引の安定化
・グローバルな調達先の選定
・需要予測による発注精度向上

得意先の経営破綻

・海外を含めた予期せぬ得意先の経営破綻

・情報収集、与信管理、債権保全

資金調達

・金融危機による資金の枯渇
・各種リスク要因により計画を達成できないことで生じる追加の資金調達等のリスク発生

・資金調達先及び機関の適度な分散
・財務体質の維持・強化
・各種リスク要因の適時の分析と対策
・最新の情報に基づく適時の計画の見直し

減損

・買収又は設立した子会社等の事業計画未達
・金利の急激な上昇

・経営会議等における適正価格の審議
・シナジー実現に向けたフォローアップや定期的なモニタリング

退職給付費用及び債務に係るもの

・割引率の低下や運用利回りの悪化

・適度な分散投資
・安全性高い運用先への投資

税効果の変動リスク

・将来課税所得の見積り変更等による税金費用の減少又は増加

・各国における税制変更情報収集
・税金及び税金関連費用を最小化スキームの立案実行

特定の販売先への高い依存度に係るもの

・加温製品の「肉まん・あんまん」の主要販売先はコンビニエンスストア

・様々なカテゴリー展開による特定ポートフォリオ依存度低減
・大手スーパー、新規販路開拓

競合の出現

・参入障壁が低い事業分野において、多数の競合企業が存在

・競合に対する差別化、技術、サービス向上

グローバルな競争激化への備え

・市場変化、カントリーリスク
・海外現地に対する技術、ノウハウ不足

・外部連携による価値創造
・バリューチェーン再構築

為替・金利等変動リスク

・為替・金利の変動による海外での事業活動の停滞
・為替・金利の変動による海外子会社業績の円換算への影響

・為替予約及び変動金利から固定金利へのスワップ等
・親会社を含めた為替変動リスクの低い国での資金調達

カントリーリスク

・貿易規制
・戦争や紛争、暴動などの発生リスク

・進出国の適度な分散
・段階的な投資の実施

製品の安心安全性

・ネガティブな風評拡大による業績悪化
・製品の品質クレーム、トラブルによるお客様からの信頼低下

・品質基準を設け、商品品質向上
・ステークホルダーへの適切な情報公開、「お客様の声」の製品・サービスの開発・開発への反映
・賠償責任保険へ加入しリスク低減

情報漏洩

・お客様情報漏洩

・情報コントロール、体制整備
・ウイルス制御ソフト等体制整備

法的規制

・法的規制の変更
・関連法規改正

・各種業界団体への加入等情報収集
・各会議によりリスクマネジメント強化、体制整備、社員教育の実施

 

 

 

前記の中で、当社グループが特に注目している主な事業等のリスクは以下のとおりです。

 

・財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動

 1.経営成績等と気象状況及び原材料価格との関連に係るもの

 当社グループの流通事業における製品は季節商品の占める割合が高く、販売期間における異常気象あるいは異常気温の影響を受けることがあります。

 また、製品に使用する原材料においても、主要原料であります小豆・砂糖をはじめとする農作物由来の原料等に関しましては特に市況の影響を受けます。

 

 2.キャッシュ・フローの状況の変動に係るもの

 当社グループのキャッシュ・フローは、当連結会計年度において、借入金を計画通り返済しております。しかし、今後とも資金の効率的配分を行い来期以降のキャッシュ・フロー計画を立案しておりますものの、かつてのオイルショック時の原材料仕入に関しての支払サイトの短縮等を余儀なくされたような、現在の収支状況が崩れる場合が生じた際は、全事業セグメントにおいて、営業活動によるキャッシュ・フローの状況等にも影響を及ぼす可能性があります。

 

 3.保有資産の評価に係るもの

 当社グループが保有する土地や投資有価証券等の資産価値が時価等に基づき下落する場合には、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 4.退職給付費用及び債務に係るもの

 当社グループの従業員に係る退職給付費用及び債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。従って割引率の低下や運用利回りの悪化は、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

・特定の取引先・製品・技術等への依存

1.特定の販売先への高い依存度に係るもの

 加温製品の「肉まん・あんまん」の主要販売先はコンビニエンスストアであり当社グループも大手数社に対して販売しておりますが、販売先の事業方針、営業施策等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
 

2.特定の製品への高い依存度に係るもの

 菓子・食品の製品については、元来その成分および製造方法について、業界自体が特許権のハードルが低く、比較的容易に新規参入や類似商品の販売が予想され加えて競合先との価格競争激化の可能性があります。
 また、当社の販売商品には「水ようかん」「ゆであずき」「肉まん・あんまん」「あずきバー」等ロングセラー商品が多くあり販売ウエイトも高いものですが、商品サイクルが短期化している業界にあって、市場のニーズに適合する新商品の開発も必要となっております。
 

・特定の法的規制・取引慣行・経営方針

1.事業の今後の展開に係るもの

 中国、アメリカ及びマレーシアで展開しております海外での事業につきましては、現地の消費動向等により、計画通りの販売ができない場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

2.業界関連等の法的規制等に係るもの

 当社は食品等の製造や販売等事業の展開において、現時点の規制に従いまた規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。
 将来における輸入制限、独占禁止、特許、消費者、使用原料、租税、環境・リサイクル関連等の法規制や規則、政策、業務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更ならびにそれによって発生する事態は当社の業務遂行や業績等へ影響を及ぼす可能性があります。しかしそれらの内容・程度等の予測は困難であり、また当社が制御できるものではありません。

 

 

・その他

1.食の安全性に係るもの

 当社グループは「おいしい!の笑顔をつくる」の社会的使命のもと、食を提供するものとし、お客様に高品質で安全な商品・サービスを提供し、より多くのお客様のご満足をいただけることを第一義として使用原料の検査体制の充実や生産履歴の明確化(トレーサビリティ)等に努めてまいりました。2014年度には井村屋フーズ株式会社七根工場、2015年度には井村屋株式会社全工場で「食品安全管理システム認証22000」(FSSC22000)を取得し、より一層の食の安全性の追求と品質保証体制の確立を図ってまいります。また、新商品の開発におきましても、「安全・安心・安定」を基本指針としておりさらなる改善を目指しております。
 製品等の安全性と商品開発、生産、流通販売の各段階を通じた品質管理体制については最大限の努力を払っております。しかし、偶発的な事由によるものを含めて製品事故が発生した場合や当社グループの取り組みの範囲を超える事態が発生した場合には、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
 

2.自然災害に係るもの

 当社グループは、地震や台風等の自然災害に対して社内体制を整備し、緊急時の対応に備えておりますが、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた天変地異の場合には、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.情報システムに係るもの

 当社グループでは、生産、販売、管理等の情報をコンピューターにより管理しています。また、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、お客様情報を保有しております。これらの情報システムの運用については、コンピューターウイルス感染によるシステム障害や、ハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、今後これらの情報が外部に流出するような事態が起きた場合、当社グループの信用低下を招き、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 
 

 

 

配当政策

3 【配当政策】

 当社は、経営環境及び収益見通しを踏まえ、長期的な視野のもとに企業体質の強化と今後の事業展開に備えるため、設備投資資金及び内部留保の確保を図るとともに配当に関しましては安定的配当を基本に考えております。

 当社の剰余金配当につきましては、期末配当の年1回を基本配当としており、配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

 当社では、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題の一つと認識し、安定的な配当の継続を基本として、当期の普通配当におきましては、1株当たり31円とさせていただきます。

 なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めておりますが、業績の季節的変動要因が大きいため、現在のところ、中間配当は実施できておりません。

 (注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2024年6月21日

定時株主総会決議

405,600

31