2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがある。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の的確な対応に努める所存である。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)電力会社向け売上高に関するリスク

 当社は、中部電力㈱の子会社である。親会社並びにその分割子会社である中部電力パワーグリッド㈱及び中部電力ミライズ㈱より配電設備の新増設工事や、その他修繕工事等を受注・施工しており、当社の売上高の3分の1程度を占めている。今後、上記3社の事業環境変化に伴う電力設備投資抑制等による工事量変動が見込まれるため、生産性向上などコスト競争力の強化に努めている。

 しかしながら、想定を上回る電力設備投資の抑制及び市場価格等の下落による上記3社との取引価格の低下があった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(2)一般得意先向け売上高に関するリスク

 一般得意先向けの売上高は、全体の約6割を占めており、建設市場や一般得意先の設備投資などの景気動向に左右される。設備投資抑制による受注高減少や低価格競争に対応するため、新規市場・新規顧客の開拓など受注拡大のための施策を展開している。

 しかしながら、想定を上回る景気の悪化により設備投資の大幅な抑制があった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(3)完成工事原価の変動に関するリスク

 当社グループの工事原価は、主に材料費、労務費、外注費、経費からなり、受注前原価検討による原価低減や資材の廉価購買などに努めている。

 しかしながら、想定を上回る工事原価の変動があった場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(4)重大な不良工事に関するリスク

 当社グループは、安全かつ高品質な施工をお客さまへ提供するために、施工に関するマニュアルや手引の整備、技術教育、現場パトロールの実施など、品質管理の徹底に努めている。

 しかしながら、工事施工に関し、品質上重大な不具合や事故が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(5)保有資産に関するリスク

 当社グループは、事業活動上の必要性から事業用不動産、有価証券等の資産を保有している。事業用不動産に関しては、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるか検証している。また、有価証券等の資産は、その必要性や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか検証し、適切でない、又は見合っていない場合は売却を行うこととしている。

 しかしながら、事業用不動産の収益性が著しく低下した場合や有価証券等の時価が著しく下落した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(6)取引先の信用に関するリスク

 当社グループは、取引先と契約を締結したうえで契約条項に基づき工事を施工し、工事代金を受領している。契約の際には、取引先の与信管理を行い不良債権の発生防止に努めている。

 しかしながら、取引先が倒産し、大型不良債権が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(7)取引先との価格交渉・価格転嫁に関するリスク

 当社グループでは、「トーエネックグループ調達基本方針」を策定し、コミュニケーション推進月間を設定するなど、取引先との信頼関係強化に努めている。

 しかしながら、取引先との価格交渉・価格転嫁が適切でないことにより当社の社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(8)太陽光発電事業に関するリスク

 当該事業は、通常その事業期間が長期にわたることから、十分な調査及び想定されるリスクの回避・低減の検討を行ったうえでプロジェクトを選定している。

 しかしながら、事業環境に著しい変化が生じた場合や業務遂行上重大な災害・事故等が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。また、事業について自治体や地域住民への説明が十分でない場合は、レピュテーションが低下する可能性がある。

 

(9)海外事業に関するリスク

 当社では、「海外関係会社運営の指針」を策定するとともに、運営・営業及び施工等に関して担当部署による定期的なチェックを実施することにより運営管理の強化に努めている。

 しかしながら、当該国の経済情勢の変化があった場合や不適切な運営管理がなされた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(10)退職給付債務に関するリスク

 当社の退職年金資産の運用にあたっては、中長期的な投資環境を見通し、適正な資産運用ができるよう年金資産運用検討委員会において検討している。

 退職年金資産の運用結果が前提条件と異なる場合、その数理計算上の差異は、発生年度以降の一定の期間で費用処理することとしている。

 しかしながら、退職年金資産の運用利回りの悪化や割引率の低下により、掛金や退職給付費用が大幅に増加した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(11)コンプライアンス(法令遵守)等に関するリスク

 当社グループは、関係法令(建設業法・独占禁止法・労働安全衛生法等)、社内規程類及び社会規範を遵守するため、「コンプライアンス宣言」に基本方針と行動基準を定めるとともに、従業員教育などに取り組んでいる。

 しかしながら、関係法令の違反や制定・改廃等への対応遅れによる処分等を受けた場合、また、社会規範に反する事象が発生したこと等により社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(12)情報流出に関するリスク

 当社グループでは、個人情報などの重要情報を適切に管理するため、関係法令に則り、社内体制及び情報の取り扱いに関するルールを策定するとともに、情報システムのセキュリティ強化や従業員教育などに取り組んでいる。

 しかしながら、情報が外部に流出し、当社グループの社会的信用が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(13)人的資本に関するリスク

 当社グループでは、「トーエネックグループ人材戦略方針」を策定し、成長の源泉である人材の質・量を高めるため、積極的な採用活動の展開や人材育成の強化、エンゲージメント向上、ダイバーシティの推進に努めるとともに、協力会社を含めた施工体制の維持・強化に取り組んでいる。

 しかしながら、採用数の減少・離職者の増加により施工体制の構築が困難になった場合やベテラン技術者の退職により技術継承が困難になった場合には、売上高や利益が低下する恐れがあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(14)自然災害等の発生に関するリスク

 当社グループは、大規模自然災害や戦争・クーデター・テロ等有事の発生、感染症の世界的流行等による業務中断リスクを抑えるため、事業継続計画などを定めている。

 しかしながら、大規模自然災害や戦争・クーデター・テロ等有事の発生、感染症の世界的流行等により、人的・物的被害の発生や物流網の寸断による資材調達の停滞、人員不足による工事の中断・遅延や世界的景気の悪化などによる受注高・利益の低下の事態が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

(15)気候変動に関するリスク

 当社グループでは、「トーエネックグループ環境基本方針」を策定し、環境保全に積極的に取り組むとともに、脱炭素社会の実現に向けて地球温暖化防止を推進し、事業活動を通じて脱炭素化を目指し取り組みを進めている。また、当社グループは2022年4月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、気候変動による事業への影響を想定し、リスクマネジメントを強化するとともに、対策と事業戦略を一体化していくための取り組みを開始している。

 しかしながら、当社グループにおいて脱炭素社会に向けた取り組みの遅延により、環境経営を推進する得意先からの受注が大幅に減少した場合や、各種規制、炭素価格の導入等がなされ、資材調達コストが大幅に上昇した場合、また、異常気象に伴い生産性が低下した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性がある。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、成長戦略への投資のための内部留保と株主還元をバランスよく実施することを経営の重要課題と位置付け、資本収益性の向上や財務健全性の確保、フリー・キャッシュ・フローの状況などを総合的に勘案し、連結配当性向30%以上の業績に応じた利益還元を行うことを基本としている。また、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会である。

 当事業年度(第106期)の配当については、上記方針に基づき、1株当たり年間200円とした。

 なお、当社は「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めている。

 当事業年度の剰余金の配当は次のとおりである。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たりの配当額(円)

2023年10月27日

取締役会決議

1,121

60

2024年 6月26日

定時株主総会決議

2,617

140