2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    2,654名(単体) 4,432名(連結)
  • 平均年齢
    44.1歳(単体)
  • 平均勤続年数
    18.9年(単体)
  • 平均年収
    8,481,654円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

土木事業

892

建築事業

1,279

子会社

1,778

全社(共通)

483

合計

4,432

(注) 従業員数は就業人員数である。

(2)提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

2,654

44.1

18.9

8,481,654

 

セグメントの名称

従業員数(人)

土木事業

892

建築事業

1,279

全社(共通)

483

合計

2,654

(注) 1 従業員数は就業人員数である。

2 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる。

(3)労働組合の状況

 労使関係について特に記載すべき事項はない。

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 連結会社

当連結会計年度

管理職に占める女性

労働者の割合(%)

(注2)

男性労働者の育児

休業取得率(%)

(注3)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注2)

全労働者

うち正規雇用労働者

うち非正規雇用労働者

5.5

77.6

60.2

59.5

50.5

(注) 1 「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第2条第5号に規定されている連結会社を対象としている。

2 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである

3 育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであるなお華熊営造股份有限公司は対象外としている

 

② 提出会社

 a 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注2)

5.2

75.6

(注) 1 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである

2 育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものである

 

 b 労働者の男女の賃金の差異

 

当事業年度

女性

男性

全体

労働者の男女の賃金の差異(%)

雇用形態

社員区分

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

人数

(人)

平均

年齢

(歳)

年間平均

給与

(円)

全労働者

422

37.3

5,520,725

2,222

47.1

9,044,046

2,644

(注4)

45.5

8,481,654

61.0

正規雇用

総合職

175

30.8

6,239,445

1,781

43.0

9,323,502

1,955

41.9

9,047,626

66.9

エリア職

(注2)

213

40.3

5,167,466

8

43.4

7,439,345

221

40.5

5,249,737

69.5

非正規雇用

契約社員、

シニア

社員等

(注3)

34

48.8

4,042,640

434

63.6

7,926,288

468

62.4

7,642,344

51.0

(注) 1 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものである

2 住居の変更を伴う勤務地の変更がない者又は住居の変更を伴う勤務地の変更が支店管轄内に限定されている者。

3 契約社員は1年以内の一定の期間を定めて雇い入れられた者でありシニア社員は会社を定年退職した者のうち1年以内の一定期間を定めて雇い入れられた者

4 年間の平均人数のため、「(2)提出会社の状況」の従業員数と異なっている。

5 労働者の男女の賃金の差異について、賃金制度上性別による差異はなく、階層・職位等が同等であれば男女間で賃金の差異は生じることはない。なお、差異の主な要因として、女性活躍推進の観点から女性の新卒採用強化に取り組み始めてから10年程経過しているものの、相対的に女性の勤続年数が短く、上位階層の女性の割合が低い水準にとどまっていることなどが挙げられる。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりである。

 なお文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである

 当社グループは長期的な成長を実現し、かつ持続可能な社会の形成に貢献していくため、ESGの視点を経営に取り入れており、事業活動を通して社会課題の解決(社会価値)と事業収益の拡大(経済価値)の双方を追求していくことをサステナビリティの基本方針としている。

 

(1)ガバナンス

 当社はサステナビリティ分野を含む経営上の重要事項を経営会議(議長:社長)にて審議しているまた経営会議を補佐する機関としてサステナビリティ推進委員会(委員長:経営戦略本部長)を設置している

 サステナビリティ推進委員会事業本部長等により構成されておりESG・SDGsの視点から企業の長期的な成長・持続可能な社会形成に資する施策全般を検討する組織である他の経営会議体と連携しサステナビリティ分野を推進するための方針や制度の検討などを行っている

 取締役会では上記プロセスについて報告を受け取組状況の監督を行っている

 

 

 

(2)戦略

 ① 環境保全

 当社グループは、限りある資源が循環し、ひと・社会・自然が豊かであり続ける社会を目指して、「持続可能な社会」の実現のために「気候変動リスクへの対応」「ゼロエミッションの達成」「ネイチャーポジティブの実現」などを個別課題に挙げ、目標を定めて取り組んでいる。

 当社は2010年よりエコ・ファースト企業として、持続可能な社会の実現に向けた取組みを推進している。

 当社グループとして2021年2月にRE100に加盟し、事業活動における使用電力を100%再生可能エネルギーとする取組みを進めており、温室効果ガス排出削減の中長期目標では、国際的な枠組みであるSBT認定を取得し、目標達成を目指している。情報開示では、国際的な環境非営利団体CDPより、気候変動部門において最高評価である「Aリスト」に選定され、サプライヤー・エンゲージメント評価においても、最高評価である「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に3年連続で選定された。

 2023年1月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、気候関連のリスク及び機会の特定・評価と、事業活動に与える影響についてのシナリオ分析を行い、その結果を踏まえた情報を開示した。

 今後は、事業活動において重機や車両で使用する化石燃料をさらに削減し、再生可能エネルギーを積極的に導入するとともに、当社が提供する建物の大幅な省エネに寄与するZEBの普及促進、再エネ発電事業に取り組むなど、脱炭素化をさらに加速していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   気候変動リスクへの対応

 気候変動に伴う「リスク」には、GHG排出に関する規制の強化等の「移行」に起因するものと、自然災害の頻発・激甚化等の「物理的」な変化に起因するものが考えられる。一方で気候変動に伴う「機会」として、新たな市場における需要の増加等が考えられる。当社では短期(概ね3年以内)・中期(概ね3年超~10年以内)・長期(概ね10年超)の3つの時間軸から気候変動関連の「リスク」(「移行」と「物理的」に分類)と「機会」を特定した。

 

 

 ② 人的資本

 a 基本的な考え方

 当社グループは、人財を「資本」と捉え、その能力を最大限に引き出すことが中長期的な企業価値の向上につながるという考え方に基づき、持続的な成長の源泉であり、事業活動の核となる人財への投資を拡充し、量と質の両面で人財価値の最大化を図り、企業価値の向上に寄与するための人財基盤を構築する。

 b 人財戦略

 2024年5月に策定した「中期経営計画(2024~2026年度)」において、60億円規模の人財投資を計画している。持続可能な人員体制を構築するための採用活動、次世代を見据え従業員のスキルアップやキャリアパスの充実を支援するための人財育成、従業員のモチベーションアップのための報酬水準の向上、従業員が安心して働くことができるための職場環境の整備などに注力し、これらの取組みを通じて、従業員の意欲や誇り、自信を促し、従業員エンゲージメントの向上、組織力の向上、そして人財価値の最大化を図る。

 c 人財採用について

 世代間の人員構成の不均衡を是正するとともに従業員の高齢化による離職に備えるため、当社はダイバーシティを意識した採用活動を行っている。事業環境の変化や今後の業績推移に基づいて5年後・10年後の人員数・職種構成・年齢分布を考慮した採用計画を策定し、技術力及び競争力の維持・向上を図る。新卒採用については、入社後のミスマッチを防ぐために現場見学や社員面談、若手社員との座談会などを積極的に実施し、将来を担う人財の確保に努めている。またキャリア採用については、事業戦略に基づく注力すべき分野の専門スキルを保有し、即戦力となる人財の確保に努めている。

 d 人財育成について

 育成指針となる「人財育成計画」のもと、「自らを高め、未来をつくり、人を支える」、そのような人財を目指して、様々な取組みを実施している。

 

 

 当社の人財育成は自ら目標を定め計画をたて強い意志で自己の能力開発に努める自己啓発を前提とするものとし社員自らの能力開発に対しその効果を高め会社の目標と連動させるべく会社が行う人財育成の基本方策を次の4つと定めている

ⅰ ジョブローテーション

 複数の職場や異なった職務を経験することで、幅広い知識と考え方を修得させることを目的にジョブローテーションを行っている。社員のキャリアと将来的に希望する職務や、社員一人ひとりの適性を踏まえて、計画的、段階的な異動により、キャリアパスを形成している。

ⅱ OJT

 日常の業務を通して、上司及び先輩が、部下及び後輩に対し、職務遂行に必要な知識、技能、態度等を意識的、計画的、体系的、継続的に指導・育成していく。「目標設定」「達成度確認」の面談を実施するとともに、求める人財像に即したスキルの習得状況チェックを行っている。

ⅲ 集合研修

 OJTの補完と専門知識の修得、自己啓発の意欲を向上させることを目的として、教育訓練や研修を計画的に行っている。社員が修得すべきスキルのガイドラインを定め、専門知識を高めるための各分野別研修と階層別研修を年次毎に実施している。目的に合わせて集合研修とオンライン研修を使い分け、高い受講率を維持しながら効果的な研修を実施している。

ⅳ 自己啓発支援

 技術士、一級建築士などの公的資格の取得を奨励し、受験者を対象に補講や模試を実施し、社員のスキルアップにつながる自己啓発を支援、促進している。

 

 なお、人事評価や業務遂行におけるコミュニケーションとして、期初に目標設定面談、半期に進捗確認面談、期末に自己評価確認面談、さらに評価結果についての面談と1年間で計4回、社員とその上司による面談を実施している。また、将来の職場配置や能力開発についての希望は、全ての社員が社内の申請システムから「キャリアプラン申告」をいつでも人事部へ直接申告することができる仕組みがある。

 e ダイバーシティ企業として

 当社は、性別年齢国籍性自認・性的指向(LGBTQ)障がいの有無等にかかわらず全ての人が活き活きと働くことができる職場環境の実現に取組みダイバーシティ働き方改革の推進による業績の向上を目指している

 当社は、社長を委員長として各本部長で構成する「ダイバーシティ推進委員会」を設置し、本部・支店・グループ会社よりダイバーシティ推進担当者を選任して、推進体制を構築している。また、各部門の代表者により制度・施策を検討する「働き方改革ワーキング」を設置し、全社横断型でダイバーシティ及び働き方改革を推進している。

 当社のダイバーシティ推進部はそれらの運営や実効性を高める役割を担っており、人財活躍推進と働き方改革推進を統合して取り組んでいる。また、当社は女性活躍推進法に基づく第四次行動計画(2023年1月~2026年3月)を策定した。定量的な目標として①新卒採用者に占める女性割合を25%以上、②新任女性管理職比率を新任管理職の7%以上、③子の出生に伴う男性の休暇取得率70%以上の3点を掲げている。

 ダイバーシティの推進により、9年間で女性管理職数は11名から78名と7.1倍、現場配属の女性技術者も14名から37名と2.6倍になった。男性の両立支援制度の利用も増加している。長時間労働は改善され、月平均時間外労働は、社員一人当たり30.0時間減少する成果を上げた。

 障害者基本法で定める「障害者週間」(毎年12月3日~12月9日)の期間を拡大し、2021年度から毎年12月を当社の「障がい者月間」として制定した。「障がい者月間」では、障がい者への理解を深めようというテーマでeラーニングを実施している。また、特別支援学校生徒のインターンシップ受入れの実施、本社ビルのバリアフリー化を進め、社員通用口に自動ドアやスロープを設置し、エレベーターやトイレの改修を行った。多様な社員が安心して働くことのできる環境を整えている。

 2024年4月、同性パートナーや事実婚の社員も社内制度を利用できるよう「ファミリーシップ制度」を導入した。「同性パートナー」及び「事実婚のパートナー」(以下、パートナー)に配偶者(法律上の婚姻関係にあるもの)と同等の福利厚生や規程を適用し、会社が認めたパートナーの子を社内制度上「家族」として認める。また、LGBTQ等に関するガイドラインを策定し、LGBTQ等に関する基礎知識をはじめ、SOGIハラスメントやアウティング防止、相談対応について等、わかりやすくまとめ社員に周知している。

 定年再雇用については、定年退職後65歳までの雇用を前提とした制度を運用し、働く意欲のある定年退職者の雇用維持に貢献している。2024年4月現在、在籍する定年再雇用者は301名である。

 f 働き方改革の推進について

 当社は、これまで働き方改革として、テレワーク・時差出勤・フレックスタイムなどの制度を導入、業務プロセスの見直し・DXの推進など生産性の向上や業務の効率化に関わる施策、また意識改革に努めてきた。2023年度に策定した「働き方改革アクションプラン2023」のもと、2023年4月から建設業でも適用となる時間外労働の上限規制に1年前倒しで取り組み、一定の成果を上げた。しかし、残業の要因は個人だけでは対応できない事由も多いことから、組織(チーム)として取組みを強化する必要があることなどを踏まえ、新たに「働き方改革アクションプラン2024」を策定し取り組むこととした。土木・建築事業部門、内勤部門における組織の取組方針を加え、さらにチーム力を高めるために各本部長・各支店長や各作業所長・各部署長の取組方針を掲げた。このように組織(チーム)でアクションプランに沿った行動に取り組み、さらなる多様な働き方の促進、職場環境の整備、業務の効率化など働き方改革を推進していく。

 

 

働き方改革アクションプラン

  全社員が働き方改革アクションプラン2024に沿った行動計画に取り組む

  社長方針土木・建築・内勤部門の取組方針各本部・各支店の取組方針部署・作業所の取組方針各社員が取り組む行動計画

 業務効率化・平準化に向けた取組の強化について

 <土木・建築事業部門>

  ・週休2日(4週8閉所)を基本とした工程を発注者に提示し、適正工期を確保していく

  ・内勤部門にて現場支援部署(担当者)を配置し、作業所業務の一部を支援部署で担うことにより業務の平準化を実施

  ・全社的なICTツールの利用推進と活用支援の強化

 <内勤部門>

  ・繁忙期を見据えた適正な人員配置・業務配分により、長時間労働を未然に防ぐ

  ・常に効率化を考慮しながら業務を進め、改善可能であれば変更していく

 行動計画

 <時間外労働の上限規制の遵守について>

  ・目標設定において、各部署で上限規制の遵守につながる業務改善・工夫等を設定する

 <労働時間の把握について>

  ・全員が自身の労働時間を確実に把握する

  ・上司は部下個人とともに部署・作業所単位での労働時間の状況についても把握する

  ・上限規制に抵触するおそれが生じた場合は、上司と協議して早期に改善策を立案・実行する

 g 従業員エンゲージメントについて

 当社は、社員の会社への愛着や仕事への情熱の度合いを測るため、2023年度よりエンゲージメント調査を開始した。初年度の回答率は99%となり、多くの社員の思いを可視化することができた。調査結果を様々な切り口で分析して会社の施策に反映させ、課題の解決により社員の貢献意欲を高め、組織力の向上につなげていく。また、「中期経営計画(2024~2026年度)」において、計画期間中にエンゲージメントレーティング(注)を「BB」へ向上させる目標を設定している。

 (注)株式会社リンクアンドモチベーション「モチベーションクラウド」

 h 健康経営について

 当社は、社員の健康を何よりの経営資源と捉え本社人事部内に健康推進室を設置し全支店の産業医並びに健康推進担当者が連携して社員の健康を全面的にサポートする体制を整えているまた社員健康推進計画を年度毎に策定しPDCAのスパイラルアップを図った健康推進活動を行っている

 優良な健康経営を実践している法人として経済産業省と東京証券取引所が創設した健康経営優良法人の認定を取得しており、今後は社員だけではなく当社の現場作業員への健康施策も強化していく予定である

・ハイリスク者への取組み

 社員の健康診断結果は全て産業医による入念なチェックが行われフォローが必要な社員には受診・面談の勧奨並びに継続的なサポートを行っているまた長時間労働による脳・心臓疾患やメンタルヘルス不調を防止するため対象者への疲労蓄積度チェックと希望者への産業医面談を毎月欠かさず実施しているその他にも海外震災復旧現場など特殊な環境下にある職場に対しては産業保健専門職による訪問や社員面談などによる特別なフォローアップを行っている

・メンタルヘルスに関する取組み

 ストレスチェック社員研修(セルフケア&ラインケア)職場復帰支援等一次予防から三次予防まで幅広く活動を行っている

 

 ③ 人権の尊重

 当社グループは全ての役職員がお互いの多様性を認め合い事業に関わる全ての人の人権を尊重している

 当社が行動の原点としている「熊谷組行動指針(1998年4月)」を踏まえて、2023年1月に熊谷組グループ人権方針(以下、本方針)を策定した。当社グループの全ての役職員の人権を考慮するほか、ビジネスパートナー、サプライヤー及びその他の関係者に対して本方針の支持を求め、人権を尊重し、侵害しないように求めている。

 

 熊谷組グループ人権方針(抜粋)

 1.適用範囲

   熊谷組グループ(熊谷組と連結子会社7社(国内6社、海外1社))を対象とし、すべての役職員に適用されます。また熊谷組グループのビジネスパートナー、サプライヤーおよびその他の関係者に対して本方針の支持を求め、人権を尊重し、侵害しないように求めます。

 2.規範や法令の尊重・遵守

   世界のすべての人が享受すべき基本的人権について規定した人権に関する国際規範を支持尊重しますまた事業を行う国や地域で適用される法令を遵守し、各国や地域の法令が国際的な規範と異なる場合は、より高い基準を優先します。

 3.企業活動全体を通じた人権の尊重

   事業活動を通じて起こりえる人権への負の影響を防止し人権尊重の責任を果たしていきます

 4.人権デューデリジェンスの実施

   人権デューデリジェンスの仕組みを構築しこれを継続的に実施します

 5.救済是正

   人権に対する負の影響を引き起こした場合はその是正・救済に取り組みます

 6.教育研修

   すべての役職員が本方針について十分な理解を得られるよう適切な教育、研修を実施します。

 7.対話協議

   事業活動が人権に及ぼす影響について関連するステークホルダーとの対話と協議を継続して行います。

 8.情報開示

   人権尊重の取組について定期的な開示を行います

 

 人権デューデリジェンス

 

 2023年度の取組み

 a 負の影響を特定

   当社グループの事業領域を対象として、国際的なガイダンス「ビジネスと人権に関する指導原則」や「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」などを参考に、人権課題を認識、整理し、自社及びサプライチェーンにおける発生可能性と深刻度の指標によって評価・マッピングした。

   自社については、ESG取組方針において重要課題(マテリアリティ)及び個別課題を特定したうえで、様々な取組みを進めている。サプライチェーンについては、当社事業において特にリスクの高い人権課題を優先的に取り組むべき重点課題として特定した。

 b 実態の調査

   2023年度は全国の協力企業(熊栄協力会)の中で関わりの深い200社へアンケート調査を実施した。事前にウェビナーを開催し、「熊谷組グループ人権方針」や取組みの趣旨を説明することでサプライチェーンにおける人権への理解促進を図った。

   4つの重点課題(①過剰・不当な労働時間 ②パワーハラスメント ③賃金の不足・未払、生活資金 ④外国人労働者の権利)に加え、情報セキュリティ・労働安全衛生などの設問も追加しており、より網羅的な内容とした。重大なリスクとなりえる回答については、当該企業へヒアリングを行い、対話することで誤りや認識の違いを改めた。法令違反に該当する回答は認められなかったが、引き続き人権リスク低減のための取組みを進めていく。

 c 負の影響の停止・是正

   アンケート調査の対象企業には、ウェビナーにて回答結果の共有と解説を配信した。また、同配信にて人権への取組みの好事例や具体的な対応策の紹介などの教育を実施するとともに、当社グループの相談窓口の案内をした。

 d 情報開示

   これらの結果をもとに引き続きサプライヤーの皆様と対話を行いながら取組みを進めていく。今後は、重点課題の深堀り・調査対象の範囲などの見直しや、人権への取組みを推進するための施策の検討を行っていく。

 

 <救済へのアクセス>

  当社では、全従業員含むすべてのステークホルダーがいつでも相談・通報ができる窓口を社内外に複数設置している。また、内部通報者に対する不利益措置の禁止をすると共に、匿名による通報を許容している。

 

 人権に関する教育

  新入社員研修にて、人権についての教育として同和問題・LGBTQ・障がいのある人に対する差別・ハラスメント全般・インターネットによる人権侵害等、幅広く理解を深める機会としている。また2023年度は、有識者を招き、グループ会社含む当社職員へ「ビジネスと人権」をテーマに講演会を開催した。

 

 ハラスメントの防止

  当社グループでは、全社員に向けてeラーニングを実施している。①パワーハラスメント ②セクシュアルハラスメント ③妊娠・出産・育児休業・介護休業に関するハラスメント ④ハラスメントの対処方法 ⑤確認テストという内容で、99%以上の社員が受講している。また管理職研修においてもハラスメントの防止は必須の項目と位置付けている。

 

 ④ ステークホルダーとの関係強化

 当社は、ステークホルダーとより良好な関係を築くため、2023年4月に「マルチステークホルダー方針」を策定した。企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要になっていることを踏まえ、ステークホルダーとの適切な協働に取り組んでいく。

 

 

 a お客様との関わり

 当社は、1998年にCS推進室(現サステナビリティ推進部)を、翌年全支店に「お客さま相談室」を設置した。“しあわせ品質”をお届けできるように組織連携を図り、お客様からの評価の向上に努めている。当社のCS機能は、本社では経営戦略本部に置かれており、お客様の声が直接経営に反映されるよう組織設計をしている。

 b 従業員との関わり

 「マルチステークホルダー方針」に基づき、従業員の能力開発やスキル向上を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組む。具体的な取組みとして、従業員の処遇改善や階層別の集合研修、公的資格支援等を実施している。

 当社では、従業員同士の親睦と福祉の増進及び会社と社員の意思の疎通を図り、会社の発展に寄与することを目的として、職員会を設置している。全社員から会社への要望事項を募り、職員会の支部代表者と社長が意見を交わす場を設けている。2023年度は社員からの要望が多かった項目である福利厚生に関して社内規程の改正へとつながった。今後も引き続き職員会を通じ社員の要望を把握し、その実現に向けて検討を進めていく。

 c 株主・投資家との関わり

 当社では、株主・投資家との建設的な対話に関する方針を含む「ディスクロージャー・ポリシー」を策定(2024年3月)した。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、経営及び事業活動等に関する情報を、適時、適切かつ公平に開示するとともに、建設的な対話の実施に努める。

 2023年度は、前年度に引き続き、オンラインツールを活用した国内外の株主・投資家との個別ミーティング・電話会議やスモールミーティング、決算説明会、建設現場見学会の開催や投資家カンファレンスへの参加など対話の手段の充実に努めた。また、IR専任部署を新設するなど建設的な対話を促進するための体制整備・取組みを進めるとともに、その実施状況等についてコーポレートサイト並びにコーポレートガバナンス報告書にて開示した。

 2024年度に改定したESG・SDGs戦略のひとつに「機関投資家等との積極的な対話」を掲げ、業績動向、経営戦略、株主還元などのほか、環境・社会課題やガバナンスへの取組み等について積極的に意見交換を行っている。対話を通じて把握した株主・投資家の意見や要望等については、取締役会メンバーや関係部門にフィードバックし、企業価値向上に活かしている。今般の「中期経営計画(2024~2026年度)」策定に際しても、株主還元、資本政策、投資戦略などにおいて、対話によって得られた意見を一部参考に方針を検討した。

 d パートナー企業・取引先との関わり

 当社は、健全な事業活動を推進するために「調達方針」及び「調達方針ガイドライン」を策定している。調達活動におけるガバナンスやコンプライアンスの向上を目指し、パートナー企業、取引先とともにバリューチェーン全体の付加価値向上に取り組んでいる。

 専門工事会社を中心とした施工協力業者で組織された「熊栄協力会」は当社の協力会社879社を中心に組織されている。「熊谷組と熊栄協力会会員相互が良きパートナーとして連携協力しながら、QCDSE全般にわたり活動し、良好な職場環境づくりを推進する」という方針のもと活動している。2022年度より活動目標として「SDGsの理解と推進」を掲げ、活動計画には協力会の各活動がSDGsの17のゴールのうち、どれに該当するかを表示した。また、現場の要である技能者の技能と経験に応じ適正な評価や処遇を受けられるように、「建設キャリアアップシステム」の導入を推進している。

 当社及び協力会社の安全・品質の向上、業務・作業の効率化、低コスト化などを目的として、「業務改善・創意工夫提案制度」がある。業務の改善、創意工夫、アイデアの提案を当社社員、協力会社社員から広く募集し、2023年度は87件の応募があった。優秀な提案は社内表彰するとともに社内・協力会社共通のデータベースに登録し、各支店、作業所で採用され、安全、品質、環境、生産性の向上に役立っている。

 

 e 地域社会との関わり

 当社の社会貢献活動のプラットフォーム「熊谷組スマイルプロジェクト」は、マッチングギフトの仕組みを応用している。社会貢献活動に参加した社員数を集計し、年度ごとの累計人数に応じた社会貢献費を会社が拠出するものである。2023年度は全国132件の活動で1,105名の社員が参加し、2024年度の社会貢献費は1,234万円を拠出した。拠出金は、当社独自の社会貢献活動であるKUMAGAI STAR PROJECTの活動、自然災害発生時の義援金、社会課題に取り組む団体への支援などに充当している。

 また、当社グループ及び熊栄協力会は、「令和6年能登半島地震」による被災地を支援するため、1,400万円を石川県に、600万円を輪島市に寄付した。

 当社は、2024年度も以下の団体を支援している。

・公益財団法人 日本対がん協会      ・認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ

・NPO法人 子育てひろば全国連絡協議会 ・一般社団法人 日本障がい者サッカー連盟

 

(3)リスク管理

 当社は事業活動に伴うリスクの把握・低減及び機会の最大化に努めており重要な事項については個別案件毎にリスク・機会を抽出・評価のうえ経営会議・取締役会にて意思決定を行っている各事業部門においては業務プロセスに内在するリスク・機会を抽出・評価のうえ必要な対応策を検討し年度計画に反映しているこの取組みの状況については四半期毎にモニタリングを実施し経営会議体にて報告している気候変動を含む環境リスク・機会に関しては、「サステナビリティ推進委員会における報告・議論を経て経営会議・取締役会にて報告・審議している

 

(4)指標及び目標

 ① 気候変動

 当社は、「(2)戦略 ① 環境保全」において記載した、気候変動リスクへの対応について、温室効果ガスの削減目標(スコープ1・2・3)を設定しており、当該目標及び実績は以下のとおりである。

 

 

 

熊谷組単体の温室効果ガス削減目標

 

基準年2020年(2019年度実績)

2022年度実績

2030年目標

2050年目標

スコープ1+2

7.43万t-CO2

5.84万t-CO2

2020年比 42%削減

カーボンニュートラル

スコープ3

378.20万t-CO2

294.11万t-CO2

2020年比 25%削減

カーボンニュートラル

※2023年度実績は現在算定中

 

 ② 人的資本

 当社は「(2)戦略 ② 人的資本」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いている。当該指標に関する目標及び実績は以下のとおりである。

 

事業における取組み・具体的行動

指標

3か年の目標

(2024年度~2026年度)

2023年度の実績

新卒採用活動

新卒採用者数

各年度の検討

119人

従業員エンゲージメントの

向上

エンゲージメントレーティング

レーティング「BB」

(注)2  -

国家資格の取得

支援

一級土木施工管理

技士保有率

90%以上(各年度)

(注)2  -

一級建築施工管理

技士保有率

2024年度→1%以上/年UP

(注)2  -

一級建築士保有率

2024年度→1%以上/年UP

(注)2  -

ICTの標準化による現場管理の効率化

新規現場導入率

100%(各年度)

(注)3  -

仕事とプライベートの両立等

休日取得

4週8休(作業所)(各年度)

(注)2  -

業務の効率化・平準化への

取組み

時間外労働時間数

30時間以下(各年度)

19.7時間

女性活躍推進行動計画

新任管理職に占める女性の割合

7%以上

25.0%

子の出生に伴う男性の

休暇取得率

70%以上

75.6%

現場公開による担い手確保

現場・職場見学会の開催

100件以上(各年度)

(注)2  -

従業員の健康管理

二次健康診断受診率

100%(各年度)

(注)2  -

(注) 1 人的資本に関する「目標及び実績」は、当社グループ各社で会社規模や事業形態が異なるため、各社において実態に即した指標を設定している。そのため当該「指標及び目標」は単体の計数としている。

2 2024年度に設定した指標のため、2023年度の実績は記載していない。

3 2024年度に設定した指標の算出方法と2023年度の実績の算出方法が異なるため、2023年度の実績は記載していない。