リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)公共事業の市場環境の影響について
当社グループの事業は公共土木事業への依存度が7割程度であります。国土強靭化策などにより公共事業は増加基調にありますが、我が国の財政事情などから、この増加基調が中長期的に継続するか否かは不透明であります。当社グループは公共事業に偏らない土木・建築を両輪とした安定的な事業構造への転換を進めておりますが、建築事業の拡大が進展しない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、公共事業以外の受注活動も強化することで、リスクの軽減を図っております。
(2)現場での労災事故について
建設業界は高所作業など危険作業が多く、産業界でも重大事故発生率が最も高い産業であります。当社グループは「安全なくして生産なし」をスローガンとして掲げ、グループを挙げてゼロ災害に取り組んでおります。しかしながら、万一、労災事故が発生した場合は、工事成績評点へのマイナス影響や、関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、各支店に安全衛生委員会を設置し、安全パトロールや作業員に対する安全衛生教育を定期的に実施するとともに、日常の安全衛生活動では、安全朝礼、ツールボックス・ミーティング、危険予知活動(KY活動)を行い労災事故の防止に努めております。
(3)瑕疵担保責任及び製造物責任について
「安全と安心」を企業ブランドとして掲げ、品質管理にはグループを挙げて万全を期しておりますが、万一、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償や補修工事などが発生した場合は、多額の補修費用の発生や関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、工事受注後から設計照査を行い、品質パトロールを定期的に実施するなど、プロセスチェックを実施する品質管理体制により、厳密な品質管理を徹底することで、リスクの軽減を図っております。
(4)PC建築製品製作のための工場設備について
当社グループの事業安定化のためには建築事業の拡大が不可欠であり、その主力製品は工場部材であることから、各地域市場に供給する工場設備の保有が必要であります。民間建築投資は景気、物価、賃金、雇用動向等に大きく影響を受けることから、景気の低迷等による需要低下で工場の稼働率が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、公共事業を中心とする土木事業のプレキャスト化を推進することで、民間建築投資に過度に依存しない体制を構築し、リスクの軽減を図っております。
(5)官公需法の影響について
官公需法とは、地元企業育成のために地元中小企業に優先的に公共事業を発注する制度を定めた法律であります。特に地方自治体は地域振興策を強化しており、官公需法の運用が堅持・強化された場合は、当社グループはこれら地元中小企業の下請けになるケースや地元企業との共同企業体となるケースが増加することなどが考えられます。
元請けや共同企業体構成員となった地元企業が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、契約前に取引先の信用調査を適切に実施することで、リスクの軽減を図っております。
(6)資材価格や外注労務単価変動の影響について
様々な要因で資材の購入単価や外注労務単価が高騰し、契約条件にある請負金額のスライド条項などが適用されない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、発注者との交渉を密にし、スライド条項が適用されるように働きかけることで、リスクの軽減を図っております。
(7)建設技術者や技能労働者の不足について
少子高齢化の進展や建設産業の構造的な問題により、建設技術者や技能労働者の不足が顕著な問題となっております。労働者不足に関しては国をあげた課題として取り組まれており、この問題に適切に対応できない場合は施工能力が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、建設技術者や技能労働者不足に対応するために、現場工事のプレキャスト化の推進や、女性技術者及び外国人技術者の採用を積極的に行うことで、リスクの軽減を図っております。
(8)大規模自然災害等
地震や台風等大規模な自然災害の発生や感染症の流行により、当社グループの事業遂行に直接的または間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業継続に重大な影響を及ぼす大規模自然災害や感染症等の不測の事態に備え事業継続計画を策定するとともに、大規模災害を想定した避難訓練、安否確認訓練を実施し、リスクの軽減を図っております。
(9)法的規制等について
当社グループの事業は、建設業法、建築士法、建築基準法等の法的規制を受けております。主要な事業であります土木・建築事業は、建設業法に基づき、特定建設業許可を受けておりますが、不正な手段による許可の取得や経営管理者・専任技術者等の欠格条項違反に該当した場合は、建設業法第29条により許可の取り消しとなります。
当社グループでは、当該許可の諸条件や法令等の遵守に努めており、現時点において、これらの免許の取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、万一、法令違反等によって許可が取り消された場合、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、法務部門が当該許可の諸条件や法令等を遵守していることを定期的に確認することでリスクの軽減を図っております。
(許認可等の状況)
法令等 |
許認可等 |
有効期限 |
取消事由 |
建設業法 |
特定建設業の許可 国土交通大臣許可 (特—4)第2301号 |
2022年11月26日から 2027年11月25日まで (5年ごとの更新) |
建設業法第29条 |
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付けており、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、安定配当を実施することを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
当社は、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨、また、「剰余金の配当等を株主総会の決議によっては行わない」旨を定款に定めております。
また、当社は中期経営計画「VISION2030」を策定しており、本計画において配当性向につきましては、20%超を目指すこととしております。
当事業年度の配当につきましては、2023年5月12日付「2023年3月期決算短信」にて公表しました普通配当1株当たり9円に加え、当社が2024年3月19日をもちまして創立70周年を迎えたことに対し、株主の皆様の日頃のご支援に感謝の意を表しまして、創立70周年記念配当2円を加えて、1株当たり11円(配当性向(連結)47.7%)としております。また、次期の配当予想につきましては、中間配当は見送り、期末配当は1株当たり9円(配当性向(連結)38.1%)を予定しております。なお、中期経営計画「VISION2030」においては、配当性向を株主還元方針の指標としておりますが、配当性向には期間損益の影響を受けやすいという特性があることから、安定的な配当を実施するために前期より株主資本配当率(DOE)を配当検討の際の指標として加えることといたしました。株主資本配当率は1.5%超を目指すこととしており、当期の株主資本配当率は1.9%(連結)であります。
また、今後は「第2 事業の状況 (3)中期経営計画「VISION2030」について」に記載した通り、中長期的な企業価値の向上に向けて、株主還元強化による株価向上のため、配当性向40%を目指すこととしております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2024年5月24日 |
198 |
11.00 |
取締役会 |