2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、建設業の特性である工事の着工から完成引渡しまでの期間が長く、引き渡し後も契約不適合について訴求されやすいという事情があり、以下の項目を認識しております。

なお、以下の項目には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループがリスクとして判断したものであります。

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

建設業特有のリスク

事業環境の変化

・当社グループは建設事業、特に分譲マンション建設事業を主業としており、建設事業が著しく縮小した場合、業績の悪化に繋がる可能性があります。

・非マンション分野の強化、不動産・土木事業への進出による、バランスの取れた事業ポートフォリオの構築

・競争優位性の確保

資材価格等の変動

・建設事業はプロジェクトが長期にわたるため、計画・見積段階から労務賃金・資材価格が大幅に上昇し、それを価格転嫁することが困難な場合には、工事原価が上昇し業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・予測可能な範囲で各工事原価に内包

・物価高騰時に価格転嫁交渉を行う旨、事業主に契約段階で確認

取引先の信用不安

・建設事業は、建設業界特有の商習慣により売上高の増加に伴い売掛金が増加します。工事代金を受領する前に事業主である取引先が信用不安等に陥った場合、回収遅延や貸倒損失の発生などにより、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・取引開始前の与信管理の徹底

契約不適合の発生

・設計、施工等において重大な契約不適合責任による損害賠償が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・工程内検査、完成検査等各種品質検査の実施

・社員教育の徹底

重大事故の発生

・人身や施工物等に関わる重大な事故が発生した場合、工事の中止・遅延が発生し、工事原価の上昇を招く場合があります。また損害賠償、指名停止を含む取引停止、営業停止等の行政処分などに繋がる場合も想定され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・安全パトロールの厳格化、安全教育の徹底

・適切な工事保険の付保

建設技術者・技能労働者不足

・長時間労働による人材流出や、需給関係が急激に逼迫し、必要人員の確保が困難になった場合、受注機会の喪失や労働力不足による工事遅延や工事原価の上昇により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・DXの推進、新工法や新技術の採用による省力化、効率化

・建設技術者の計画的な採用

・協力会社会による技能労働者の確保

 

 

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

事 業全般のリスク

大規模自然災害の発生

・天候等の原因により予期せぬ大規模災害が発生した場合、従業員や保有資産に対する損害の他、社会的責任及びその使命として社会インフラの復旧等を優先することがあります。これにより施工中の一般工事の取扱が劣後となり、当該工事の遅延や工事原価の上昇を招き、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・大規模災害に備えた危機管理マニュアルの整備

・BCPの継続的見直しや訓練の実施

法令違反・法的規制

・当社グループが事業を行う上で遵守すべき法令等を一部において何らかの理由で遵守できなかった場合、工事の遅延や営業活動の停止などにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、新たな法規制や法令の改廃等があった場合には、事業計画の変更による工事の大幅な変更や遅延により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・コーポレートガバナンス体制の強化

・法令等の教育の徹底

・外部専門家の活用

新規事業やM&Aのリスク

・リスクや偶発債務の事後的な判明や急激な市場変化の発生、買収した企業について効率的な経営資源の活用ができなかったこと等により、利益計画が未達となったり、のれんの減損や株式評価損の計上を余儀なくされた場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・事業計画の精査

・専門家を交えた財務や法務などの各種調査

・M&A後の速やかな統合作業(PMI)

金利水準の変動リスク

・金利が急激に上昇した場合、資金調達コストの増加により事業収支が悪化し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・中長期の資金計画による資金需要の把握

・資金調達方法の多様化

気候変動に関するリスク

・脱炭素社会への移行に向けて、建築物の新築に関連する各種規制の強化や炭素税の導入等がなされた場合、また気候変動に伴う物理的な影響として、気温上昇に伴う労働環境の悪化や気象災害が増加・激甚化が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・TCFD提言への賛同を表明し、気候変動関連リスク・機会の特定及び、分析結果に基づく対応策を推進

保有資産の時価下落

・当社グループの保有する不動産・株式等について、時価が大幅に下落した場合、業績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。

・保有資産の適正管理

 

 

リスク

の種類

リスクの概要

発生

可能性

影響度

対応策等

 

情報漏洩

・顧客情報などの個人情報の流出、役職員のパソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤等による情報漏洩が発生した場合、社会的信用を失うとともに、企業イメージの毀損、取引停止、損害賠償金の支払などにより業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・個人情報の取り扱いに関するルール、体制整備

・適切な情報の取り扱い、セキュリティシステムの構築

・社員教育の徹底

サイバー攻撃

・標的型メールやマルウェアによるウィルス感染、不正アクセス等のサーバー攻撃の被害にあった場合、事業活動や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

・ウィルスの常時監視等情報セキュリティ対策の強化

・重要データのバックアップ体制の構築

・標的型メール訓練など社員教育の徹底

繰延税金資産

・繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断した場合や、法人税の減税等制度面における変更により、繰延税金資産の額が過大となった場合には、繰延税金資産は費用として計上され、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

・安定的な収益基盤の構築

感染症の流行

・新型コロナウイルス感染症の影響は、感染者数の減少とともに現時点では限定的になっておりますが、再度の感染拡大や新たな感染症が発生する可能性は否定できず、事業環境の悪化により業績等に影響を及ぼすリスクと判断しています。

・テレワークの推進・時差出勤の設定

・新規取引先の開拓

・購買ルートの多面的な拡大

 

 

配当政策

3【配当政策】

株主の皆様への利益還元につきましては、株主の裾野拡大を視野に入れた持続的・安定的な株主還元を念頭に、当期の業績、将来の見通し等を総合的に勘案して決定すべきものと考えております。また、配当方針として、配当性向を50%以上としており、今後更なる企業価値の向上に向けて積極的な成長投資と安定的な株主還元を行うという考えのもと、2025年3月期より総還元性向50%以上かつDOE4.0%以上といたします。なお、将来の事業環境や業績等に想定外の変化が生じた場合には、配当方針の見直しを実施する予定であります。

配当の決定機関は、株主総会または取締役会であります。当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。また、会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

当期の配当につきましては、1株当たり年70円(中間配当35円、期末配当35円)とさせていただきました。また、次期の剰余金の配当につきましても、上記の基本方針を踏まえ、1株当たり年89円(中間配当44.5円、期末配当44.5円)とする予定であります。今後も安定配当に向けての経営基盤の強化と持続的成長のための施策に取り組んでまいります。

内部留保資金の使途につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として活用していく所存であります。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たりの配当(円)

2023年11月7日

366

35

取締役会決議

2024年5月16日

360

35

取締役会決議