リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
リスクマネジメントの体制としては、当社グループは「リスク・コンプライアンス管理規程」を定め、取締役CFO開原信一を議長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、全社的なリスクマネジメント体制を整備しております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅することを保証するものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場動向について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社グループが事業を展開する市場は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しますように、今後も着実に成長していくと考えております。しかしながら、経済環境の悪化や景気低迷等により市場が縮小し、中長期に渡って停滞した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、上記動向を日々注視しながら、適宜当社グループの経営戦略に織り込んでいくとともに、当該動向に柔軟に対応できる体制構築に努めてまいります。
② 競合他社の動向について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、日本国内において体験型投資学習アプリを提供しておりますが、当連結会計年度末現在において競合は多くないものと認識しております。しかしながら、今後、例えば広告主が当社アプリより効率的に投資初心者の口座開設を促すことが可能となるメディアが出現した場合、資本力やブランド力を持つ大手企業や全く新しいビジネスモデル又は技術によるサービスを提供する事業者等が参入した場合、それら競合他社との過度な価格競争が発生した場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、ユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと共に、スピーディーかつ質の高いサービスを提供するための開発リソースの確保を継続的に行い、競争優位性の向上に努めてまいります。また、競合他社の動向を日々注視しながら、適宜当社グループの経営戦略に織り込んでいくとともに、当該動向に柔軟に対応できる体制構築に努めてまいります。
③ 法的規制について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社グループが事業を展開する上で適用を受ける法的規制としては、主に、個人情報の保護に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法があります。当社グループは、これらの法的規制を遵守した運営を行ってきておりますが、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化等が行われ、当社グループが運営する事業が規制の対象になる等制約を受ける場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、体験型投資学習アプリに関連する法的規制としては、金融商品取引法があります。当社は、当社アプリのユーザーである投資家の投資学習支援を行う立場にあり、当該法的規制に関して直接の責任を有するものではありませんが、当該法的規制の改正等により、体験型投資学習アプリの運営や投資学習コンテンツの見直し等が必要になった場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、特に次の取り組みを行っております。
1.コラム等の投資学習コンテンツの内容については、社内のNGワードリストに基づくチェックを行っております。社内で判断がつかない場合は、適宜顧問弁護士によるリーガルチェックも実施しております。また、広告主のサービスを紹介するPR記事コンテンツ(タイアップ広告、記事広告)について、PR表記の義務を負うのは表示主体である広告主ではあるものの、当社としても、ユーザーの誤認を防ぎ、広告と理解した上で口座開設などのアクションをしてもらうため、自主的に目に付きやすい箇所(ファーストビュー、基本的にはヘッダー内)にPR表記を行うことで、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す「ステルスマーケティング(ステマ)」とならないようにしております。
2.当社が作成する広告動画やインフルエンサーを活用するPR動画、SNS発信等、当社アプリユーザー獲得のための広告については、公開前に、当社が定めた禁止表現事項がないか、著作権侵害にあたるような内容がないか、インフルエンサー活用の場合はPR表記があるかなどをチェックしております。
その他、各法規制の改正等の動向を注視するとともに、法規制の遵守のために今後も社内教育や体制の構築等を行ってまいります。
④ アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)とのパートナーシップの継続について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社アプリにおける広告掲載はASP経由の取引を基本とし、基本的にASPから受領する成功報酬で売上が構成されており、その中でも特定のASP数社との取引が大きな割合を占めております。具体的には、第11期(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)においては、ASP経由の売上高のうち上位3社で約91%を占めております。そのため、ASP又は広告主である証券会社・FX会社の方針変更や関係性変化により、当社アプリの運営に何らかの支障をきたした場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。なお、特定のASP数社に取引が偏る要因は、主に、広告主が利用するASPを指定するケースがあることや、金融機関の広告に知見を有するASPの数が限定されることであるため、当社としては代替となるASPを開拓することは困難ではないと考えております。
このようなリスクに対して、当社は、今後も既存のASP各社と良好な関係を構築していくとともに、必要に応じて代替となるASPを開拓するなど、適時の対応を行ってまいります。
⑤ 広告主のプロモーション縮小・停止について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社アプリでは複数の広告主(証券会社・FX会社)の広告を掲載しておりますが、特定の広告主がプロモーションを縮小・停止した場合、当社アプリへの当該広告主の広告掲載が停止され、結果として当該広告主の口座を開設したいユーザーが当社アプリを経由して口座開設を行うことがなくなります。また、当社アプリでは、広告主をランキング形式で掲載し、特に上位3位の広告主を取り上げて送客を行っていることから、特定の広告主に売上が集中し、売上比率の偏重が生じやすいという傾向があります。上記状況から、売上上位の広告主がプロモーションを縮小・停止した場合、相対的に他の広告主への送客が増加することとなりますが、プロモーションを縮小・停止した広告主からの売上喪失の影響が大きくまた長期化する場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
第10期(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)には、特定の証券会社が組織再編による証券業からの撤退により、プロモーションを縮小し、当社アプリへの広告掲載が停止され、当社の売上高に影響を与えました。なお、当該影響について、その後は他の証券会社の広告売上比率が増加し、影響は緩和されております。
現状当社で扱っている広告の予算規模の大きな広告主は、事業規模が一定程度大きいことから、上記のような事業撤退等による急なプロモーション縮小・停止リスクの再現性は低いと考えておりますが、これらの広告主がプロモーションを縮小・停止するケースは、主に次のようなケースと考えられます。
1.プロモーションが縮小される
2.当社媒体の効果が先方基準に満たないため、広告費用回収が見込めるまでに報酬単価を低減する交渉がなされる
このようなリスクに対して、上記1については、ASPを通して情報収集を行い、そういったリスクがないかモニタリングしております。同時に、そうなった場合別の広告主に切り替えができるよう、広告案件の提案は継続的に行ってまいります。上記2については、当社とASPとの月次定例会議の際に、当社の広告効果は現広告主基準に到達しているのか、到達していないとすれば当社としてどのような施策を今後実行し、その基準にできるだけ沿えるかといった会話を重ね、広告主にも都度共有を実施しております。なお、第11期(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)においては、当社の主力アプリ「FXなび」における広告主であるGMOフィナンシャルホールディングス株式会社のグループ企業のシェアが売上高全体の過半を占めております(第11期の当社グループの連結売上高に占める「FXなび」にかかる売上高の割合は、下記(2)①「特定のアプリへの依存について」をご参照ください)。
⑥ プラットフォームの動向について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社アプリはスマートフォン向けアプリであり、各プラットフォーム事業者(Apple Inc.及びGoogle LLC)の動向に影響を受けます。
近年では、プライバシーに対する懸念の高まりから、2021年4月にApple Inc.がリリースしたiOS14.5(注1)より、iOS向けアプリがユーザーのiOS端末毎に固有の広告識別子であるIDFA(Identifier for Advertisers)を取得するのに、ユーザーの許諾が必要になりました。iOS14.5以降がインストールされた端末の数が増加し、IDFA取得のユーザー許諾率が低下することで、iOS向けアプリでのターゲティング広告(注2)にIDFAを活用することが困難になりました。また、iOS向けアプリのインストール数の把握は、Apple Inc.が指定するSKAN(StoreKit Ad Networkの略称。SKAdNetworkとも略称される)という方法によってしか計測できなくなりましたが、SKANはプライバシーの観点からリアルタイムの数値を計測できない仕様となっています。
当社のiOS向けアプリにおいても、それまで行っていたIDFAを利用したユーザーターゲティングやコンバージョン(注3)の計測が困難になりました。ユーザーの判別がしにくくなり、当社アプリの既存ユーザーへの広告除外が困難になったことで、獲得効率も悪化しました。また、SKANの仕様によりリアルタイムのインストール数を追うことができなくなり、即時での調整などを要する広告における配信先媒体運用の難易度が増しました。結果として、当社のiOS向けアプリのインストール数の獲得にかかる広告運用費が増加したことから、第9期(自 2021年7月1日 至 2022年6月30日)は前期から減収減益となりました。
当該規制への対応策としては、SKANを利用して媒体最適化を行う方法を模索いたしました。iOS14.5以降へのアップデートが行われていない端末においては従来の計測方法も併用しながら、過去の媒体での配信実績やAndroid(注4)ではまだ規制が行われていないため正常な数値がとれていると判断した上でAndroid向けアプリにおける数値からSKANでの配信の効果を推察し、広告運用における最適化期間を長くとり、費用対効果を算出するよう運用を行いました。加えて、広告クリエイティブをさらに最適化すべく強化を行ったことにより、第10期以降、獲得効率は以前の水準まで改善しております。これにより、第10期(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)は第9期から増収増益となりました。
今後も、欧米を中心としたプライバシー規制の強化等を受けて、各プラットフォーム事業者やインターネット検索サービス提供事業者の方針変更により、当社アプリの運営に何らかの支障をきたした場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、上記動向を日々注視し、各取引先やメディア等で情報収集を継続的に行いながら、適宜当社グループの経営戦略に織り込んでいくとともに、代替手段等の対策を適時に実行してまいります。実際に、上述のApple Inc.による規制については、リリースされる数か月前より情報をキャッチしており、対策方法の検討を行いました。規制が発生する媒体によって対応方法は異なると考えられるものの、基本的には上述のiOS向けアプリでの対応方法が活用できると考えておりますので、当該対応を踏まえながら対応を行うことで、さらに影響を軽微なものにしていけるものと考えております。加えて、プラットフォームの動向に影響を受けないファイナンシャルプランニングサービスによる売上高を伸長させ、収益源の分散化を図ってまいります。
(注) 1.Apple Inc.製のモバイルデバイス(スマートフォン「iPhone」等)に搭載されているOS(オペレーティング・システム)である「iOS」のバージョン14.5を指します。
2.ユーザーの属性やWebサイト・コンテンツの閲覧履歴といったデータを分析し、対象を指定して表示するインターネット広告を指します。広告主にとっては、自社の商品やサービスに興味がありそうなユーザーにターゲットを絞って広告を配信することで、広告効果の向上が見込めます。
3.「見込み顧客」が「顧客」にコンバージョン(転換)することに由来し、広告用語においては、広告を見たユーザーが広告主が目的とする特定の行動(Webサイトでの商品購入等)を起こすことを指します。
4.Google LLCが開発提供する、スマートフォン等のモバイルデバイス向けOSを指します。
⑦ 大規模な自然災害・感染症等について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
大地震、台風等の自然災害や火災等の事故、また新型コロナウイルス等の感染症の流行が、想定を上回る規模で発生し、事業・サービスの停止、設備の損壊や電力供給の制限等、不測の事態が発生した場合には、当社グループによる事業・サービスの提供に支障が生じる可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは事業継続計画(BCP)を策定し、非常事態においても、事業への被害を最小限にとどめ、迅速かつ効率的に復旧できるよう、有事の対応事項及び平時の事前準備事項等について定めております。
(2) 事業展開又は事業体制に関するリスク
① 特定のアプリへの依存について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
第11期(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)において、当社グループの連結売上高に占める「FXなび」にかかる売上高の割合は69.7%と依存度が高くなっております。従って、当該アプリについて、上記(1)⑤「広告主のプロモーション縮小・停止について」に記載したような広告主のプロモーション縮小・停止が発生した場合、また当社ではコントロールできない要因として、為替のボラティリティ(価格変動の度合い)の状況によりユーザーの口座開設意向が低下した場合(一般に、ボラティリティが大きいほど、為替差益の獲得を期待して、口座開設・取引が活発化します)や有力な競合の出現により当社の優位性が低下した場合には、当該アプリにかかる売上高が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、今後も当該アプリにかかる取引及びユーザー数の安定的な拡大に努めると同時に、他アプリ・サービスにおける取引の拡大を図ってまいります。
② 特定人物への依存について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社代表取締役の小川亮は、2014年以来代表を務めております。同人は、当社グループの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。何らかの理由により同人が当社グループの業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、取締役会及びその他の会議体における情報共有や経営組織の強化を図り、同人に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
③ 優秀な人材の確保及び育成について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社グループの継続的な成長のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が重要であると認識しております。当社グループでは、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、新入社員及び中途入社社員の育成、定着に取り組んでおります。しかしながら、雇用情勢の動向等により優秀な人材の獲得が困難な場合、人材育成が計画どおりに進行しない場合、人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループでは、リファラル(社員紹介)、人材紹介など複数のチャネルを組み合わせた採用アプローチを採るとともに、雇用情勢の動向等も踏まえつつ、事業計画に基づく人員計画に従って採用活動を進めてまいります。また、育成・定着については、各部署でのスキル向上のための研修実施、部署間でのシナジーを強めるための意見交換等ができる場を設けております。
④ 内部管理体制の構築について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。しかしながら、事業の急拡大や、内部管理体制の不備等により、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、管理部が中心となり、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、法令・定款・社内規程の遵守を徹底してまいります。
⑤ システム障害について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社グループのサービスはインターネットを利用して提供されているため、自然災害、事故、不正アクセスなどによって通信ネットワークの切断、サーバーやネットワーク機器の動作不能などのシステム障害が発生した場合には、サービス提供が停止する可能性があります。このようなシステム障害が発生した場合には、当社グループに直接的損害が生じるほか、当社グループのサービスへの信頼性の低下を招きかねず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループでは、システムの冗長化、不正アクセス等を防止するためのセキュリティ対策を講じております。
⑥ 情報の管理について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の連結子会社である株式会社FPコンサルティングが行う法人・組合向けのファイナンシャルプランニングサービスでは、法人・組合との顧問契約に基づき、資産運用に関して個人情報や保有資産に関する情報を取り扱っております。これらの情報が不正アクセスなど何らかの理由で外部に漏洩、悪用されたりした場合には、原因究明のための対応や損害賠償の請求等により当社グループに直接的損害が生じるほか、当社グループのサービスへの信頼性の低下を招きかねず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループは、個人情報の保護に関する法律を遵守し、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払うともに、情報管理体制の構築及び社員教育の徹底を行ってまいります。
⑦ 知的財産権について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、当社グループが行う事業に関する知的財産権の獲得に努めることに加え、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払うことを基本方針としており、当社グループの事業分野において、現在、申請すべき知的財産権及び侵害が危惧されるような知的財産権の認識はありません。しかしながら、既に当社の認識していない知的財産権が成立している可能性、又は今後新たに第三者により著作権等が成立する可能性があります。このような場合においては、当社が第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償や差止の請求、又は当社に対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、当社の知的財産権が第三者からの侵害を把握しきれない、若しくは適切な対応がなされない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社では、弁護士及び弁理士等の外部専門家と連携することで、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制の構築や、当社グループが保有する知的財産権の適切な管理を行ってまいります。
⑧ 訴訟について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当連結会計年度末現在において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、当社グループの役職員による法令違反や、当社グループのサービスの利用者、取引先、役職員、その他第三者との間での予期せぬトラブルの発生により、訴訟に発展する可能性があります。そして、提起された訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社グループでは、「リスク・コンプライアンス管理規程」を制定し、役職員に対して当該規程を遵守させること、法令遵守や社会倫理に関する研修を行うことで法令違反の発生リスク低減に努めております。また、「内部通報規程」を制定し、当社グループ内における不祥事の企業内不祥事の早期発見と未然防止に努めております。
⑨ 取引先に対する信用リスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
上記(1)④「アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)とのパートナーシップの継続について」に記載のとおり、当社アプリにおける広告掲載はASP経由の取引を基本としており、その中でも特定のASP数社との取引が大きな割合を占めております。そのため、ASPの信用状態に重大な変動が生じた場合には、当社の資金繰り面に支障が生じるとともに、回収不能な不良債権が発生する可能性があり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社のビジネスモデルは当社アプリを介して証券会社・FX会社で口座開設がなされた場合、ASPを介して成功報酬を得るため、証券会社・FX会社の経営戦略・経営方針により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクに対して、当社は、販売先毎に財務状況等を勘案した与信限度額を設定するなど、適切な与信管理・債権管理を行っております。また、必要に応じて代替となるASP・証券会社・FX会社を開拓するなど、適時の対応を行ってまいります。
(3) その他のリスク
① 配当政策について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。当社は、内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当するため、創業以来配当を実施しておりませんでしたが、上場後は、当社グループの経営環境、投資計画等を総合的に勘案するとともに、内部留保及び財務体質の水準を考慮して、配当を実施したいと考えております。また、配当金のほかに、株主への利益還元の一環として、株主優待制度を設けたいと考えております。
しかしながら、配当政策は業績に連動しているため、今後業績が悪化した場合、配当金額を減少する若しくは配当を実施しない可能性があります。
② 大株主について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当連結会計年度末現在において、当社代表取締役小川亮(同人の資産管理会社であるDon’t Look Back in Anger株式会社含む)が所有する当社の株式数は1,140,000株であり、発行済株式総数3,190,000株の35.74%となっております。
同人は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同人の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:高、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:小
当社は、役職員及び社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションとして新株予約権を付与しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、これらの新株予約権が権利行使された場合には、当社の株式が新たに発行され、既存株主が保有する株式価値の希薄化や需給関係に影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在において、新株予約権による潜在株式数は319,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く。)3,190,000株の10.00%となっております。当社では、当該比率を踏まえながら、今後の新株予約権の付与を行ってまいります。
④ ベンチャーキャピタル等の当社株式所有割合について
発生可能性:高、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中
当連結会計年度末現在において、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合(以下、「VC等」という。)が所有する当社の株式数は300,000株であり、発行済株式総数(自己株式を除く。)3,190,000株の9.40%となっております。
一般に、VC等が未上場会社の株式を取得する場合には、上場後に所有株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、VC等が所有する当社株式の一部又は全部を市場にて売却した場合には、当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価の形成に影響を与える可能性があります。
⑤ 調達資金の使途について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:小
当社の公募による自己株式の処分によって得られる資金の使途は、既存事業の拡大及び新規事業の開発を目的とした採用費及び人件費、システム開発費及び広告宣伝費へ充当する予定であります。
しかしながら、当社グループを取り巻く外部環境や経営環境の変化に伴い、当該資金が想定どおりの使途に充当されない可能性もあります。また、計画どおりに資金を使用したとしても、期待どおりの効果をあげられない可能性があります。そのような場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化については適時その動向を注視するとともに、調達資金の使途が変更になった場合には、適時適切に開示を行います。
⑥ 投資の減損について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社はこれまで、事業シナジー創出等を目的とした資本業務提携や、企業価値向上のため事業領域の拡大や新規事業の開発を目的としたM&Aを行ってまいりました。今後においても、当社グループの経営上重要な施策として、こうした取組を推進していく方針であります。
当連結会計年度末時点の連結貸借対照表において、のれんを26,456千円、投資有価証券を50,000千円計上しておりますが、資本業務提携又はM&A実施後の事業環境の変化等により、当初想定した事業計画どおり進まなかった場合、のれんの減損損失や株式の評価損が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社はこのようなリスクに対して、資本業務提携又はM&Aの実施に際しては、対象企業の財務・法務・事業等について詳細な事前検討を行い、リスクの把握や正常収益力を分析した上で決定してまいります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。当社は、内部留保の充実等を図り、事業拡大のための投資に充当するため、創業以来配当を実施しておりませんでしたが、上場後は、当社グループの経営環境、事業拡大のための投資計画等を総合的に勘案するとともに、内部留保及び財務体質の水準を考慮して、配当を実施したいと考えております。また、配当金のほかに、株主への利益還元の一環として、株主優待制度を設けたいと考えております。内部留保資金につきましては、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させるための資金として、有効に活用し、長期的に企業価値の向上に努めてまいります。
剰余金の配当を行う場合、年1回の期末配当を行うことを基本方針としております。また、中間配当についても行なうことができる旨を定款に定めております。これら剰余金の配当の決定機関は取締役会としております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。