事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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観光HR事業 | 11,788 | 95.3 | 885 | 163.1 | 7.5 |
地方創生事業 | 491 | 4.0 | -314 | -58.0 | -64.0 |
情報システム事業 | 84 | 0.7 | -28 | -5.2 | -33.5 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社は、報告セグメントを観光HR事業、地方創生事業、情報システム事業に区分しております。
「観光HR事業」は、リゾートバイト(注1)に特化した人材サービスを提供しており、日本全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場等の観光施設(以下、「観光施設等」という。)に対して、人材派遣及び人材紹介を行っております。「地方創生事業」は全国7ヶ所(2024年9月現在)でグランピング(注2)施設やホテル施設等の宿泊施設を運営しております。「情報システム事業」は、取引先の情報システム(注3)周り全般に対するサポートサービスを展開しております。
当社は「一生モノの『あの日』を創り出す」というミッションと、「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ」というビジョンを掲げており、いずれの事業もミッション及びビジョンに紐づいた事業となっております。
主力事業である観光HR事業は、創業当初よりリゾートバイトという手段を通して日本の多くの若者(注4)を全国のリゾート地へ送り出しており、「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」という特異な経験が若者のメンタルをタフに育て、多様な価値観と豊かな人間性を育む瞬間を目の当たりにしてまいりました。また、彼らが未知の体験の中から今まで知り得なかった選択肢と出逢い、それがその後の人生に大きな影響を与える体験となっていることも実感しております。リゾートバイト体験を通して、新しい世界へ飛び込む若者を支援し、自分の人生に誇りを持ち、自分の人生を愛せるきっかけとなる『あの日』を多く創り出しております。
さらに、ライフスタイルや価値観が多様化していく中で、働き方も多種多様な形態を選び取ることが可能になった現在、当社での経験が社会に認められ、「履歴書には書かれていないその人の価値」が評価される社会を創りたいと考えております。
地方創生事業では、グランピング施設やグランピング施設以外の宿泊施設、飲食店・温浴施設等(以下、「グランピング施設等」という。)の企画開発・経営・運営を行っておりますが、既に観光地化されたリゾート地ではなく、まだ地域の魅力が知られていない非観光地(注5)を中心に出店しております。地元の方々が気付かなかったその地域の魅力を発掘し発信することで多くの人流(宿泊客)を生み出しており、地元の方が地域の活性化を感じる『あの日』を提供しております。また、その地域を訪れる宿泊客にとっては、その地域の魅力に触れる体験を通して、自分や大切な誰かにとってかけがえのない思い出となる『あの日』を提供しております。
情報システム事業では、IT業界未経験者を積極的に採用しておりますが、充実した教育環境と実務経験を提供しており、また、仲間とともに切磋琢磨できる環境を整える等、エンジニア(注6)育成に力を注いでおります。育成期間を終えたエンジニアは自律自走し、取引先企業の成長や発展に貢献しております。業界未経験者が成長し、取引先企業や社会に貢献し自己効力感や自立を感じる『あの日』を創出しております。
各事業の内容は次のとおりであります。
(1) 観光HR事業
当社の主力事業である観光HR事業は、リゾートバイトに特化した人材派遣業及び人材紹介業を行っており、北は北海道から南は沖縄県まで日本全国の観光施設等に人材を供給しております。
当社が主に人材サービスを提供している観光産業は、我が国の力強い経済を取り戻すための重要な成長分野と期待されており、観光立国の実現に向け特に訪日外国人旅行者の誘致を推進する様々な施策や試みが観光庁主導で行われてきました。訪日外国人旅行者数は、2019年度に3,000万人を突破したものの、新型コロナウイルス感染症流行の影響により2021年度は24万人まで減少しました。新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響が解消した2023年度には2,500万人(注7)まで力強く回復し、現在においても政府は2030年に6,000万人(注8)の訪日外国人旅行者数目標を継続して掲げております。
また、2024年5月に世界経済フォーラム(World Economic Forum)が発表した、「2024年旅行・観光開発指数レポート」において日本は世界三位を獲得しており、次に訪れたい旅行先として日本に対する注目や期待はより一層高まっているものと考えております。
なお、このような訪日外国人旅行者の増加を背景とした宿泊需要の高まりもあり、全国の宿泊施設の平均客室稼働率は、2019年には62.7%(注9)にまで向上しました。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年には34.3%(注10)まで減少しましたが、2024年5月には59.4%(注11)にまで回復いたしました。
また、2013年年度末時点で1,562,482室(注12)であった客室数は、2022年年度末時点には1,770,752室(注13)まで増加いたしました。このように宿泊需要が高まる一方で、生産年齢人口の減少や都市部への人口一極集中を背景に、地方圏に位置する観光施設等の人手不足感は加速度的に深刻化しており、2024年4月時点の調査(注14)でも旅館やホテルの非正社員の人手不足割合は63.8%と高い水準が続いております。
当社は、宿泊業や地方圏における人手不足は観光立国を目指す我が国にとって大きな社会課題であると認識しており、この課題解決につなげるべく、リゾートバイトに特化した人材サービスを提供し、主に都市部の若手人材と、地方圏の求人企業である観光施設等との人材マッチングをサポートしております。
なお、生産年齢人口の減少や都市部への人口一極集中といった背景は、当社がリゾートバイト希望者である人材を募集するにあたっても大きな課題となりますが、リゾートバイトならではの体験価値を求める層に広く支持され、スタッフ登録者数は増加しております。具体的な事業内容としては、営業担当者が、当社と労働者派遣(紹介)基本契約を締結している観光施設等より求人情報を入手し、当社が運営する「リゾートバイトダイブ」や各種求人媒体に当該求人情報を掲載いたします。
求人情報を閲覧し、リゾートバイトに興味を持った人材は、「リゾートバイトダイブ」や各種求人媒体よりスタッフ登録の手続きを行います。登録に際しては、当社担当者が人材に対して面談を行います。希望のエリアや職種、勤務期間といった定量的な情報と、志望動機や求める体験等といった定性的な情報とを掛け合わせ、最適な勤務先を当社のデータベースより検索します。リゾートバイトは従業員寮で生活しながら勤務するという性質上、仕事と生活が一体となるため、一般的な求人情報だけではなく、従業員寮の間取りや設備といった住環境についても提案を行います。
また、勤務地である観光施設等は国立公園や国定公園内に位置することも多く、自然を満喫できる反面、生活環境については都市部と全く異なり、コンビニエンスストアや商店、銀行等の生活インフラが徒歩圏内に整っていない地域や、都市部と比較して交通の便が発達していない地域も多くあります。当社のデータベースには、観光施設等の担当者から提供された基本情報に加えて、当社営業担当者が現地に通うことで収集した情報、過去に勤務実績のある当社スタッフより収集したアンケート及び体験談に基づく実体験ベースの情報等、インターネットでは検索できない数多くの情報が蓄積されております。担当者がこのデータベースを面談に活用することで、人材の顕在ニーズを満たすことはもちろんのこと、人材が自身では気付くことが難しい潜在ニーズを引き出す事が可能となり、満足度向上や競争優位性の源泉に繋がっていると考えております。
面談後、勤務先が決定すると、当社と観光施設等との間で労働者派遣(紹介)個別契約を、人材派遣の場合は当社と人材との間で雇用契約を締結し、派遣スタッフ等として就業していただきます。
契約勤務期間の期限が近くなると、派遣スタッフ等と観光施設等、当社の3者間で契約期間延長の可否等を協議し決定します。赴任した勤務地に愛着を感じ延長を希望するケースも多くある一方で、より多くの地域に訪れてみたいとの希望から、例えば、夏は沖縄のビーチリゾートで勤務し、秋は紅葉で賑わう栃木県の日光で勤務し、冬のスキーシーズンには北海道のニセコで勤務するというケースもあり、場所に縛られず1年を通して複数の地域で勤務することにより、「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」といったリゾートバイトならではの体験を実現する方も多くおります。
また、派遣スタッフ等が複数箇所の勤務地で就業するため、派遣スタッフ等が勤務地に到着するまでの事務作業や複数回にわたる連絡等の高頻度の事務手続きが当社に発生する事となります。その高頻度の事務手続きを基幹システムや公式LINE等を用いてIT化することで業務の効率化を実現しており、高い参入障壁を構築していると考えております。
なお、派遣スタッフ等の就業にあたっては、①自宅から観光施設等への往復交通費を当社及び観光施設等がその一部又は全額を支給、②住居として観光施設等の保有する従業員寮や当社の用意する住まいを観光施設等及び当社が一部又は全額の費用負担をしており、派遣スタッフ等にとっては経済的なメリットも大きいため、これによって生まれた余裕資金が、その地域での観光や体験に充てられることにより地域の経済活性化にも繋がっていると考えております。
リゾートバイトの特性からも見て取れますように、当社は都市部の若者を地方圏へ移動させることを得意としており、創業当初より「旅行以上 移住未満」のリゾートバイト期間に、その地域と関わることとなる多くの方々を全国に送り出し、いわゆる関係人口(注15)の創出を行ってまいりました。また、近年では、地方移住及び地方創生に興味があり、より長期的に地方と関わりたいという方々が、リゾートバイトをきっかけに、その地域に移住した事例も生まれており、地域活性化に繋がっていると考えております。当社の派遣スタッフ等の平均年齢は27.9歳(2023年1月1日から2023年12月31日の1年間に採用及び紹介等をした派遣スタッフ等の平均年齢)となっており、デジタルネイティブ(注16)世代と言えますが、関係人口となった当社の派遣スタッフ等のなかには、自身のSNS(注17)等でその地域の魅力を発信するアンバサダー(注18)となり、地元の方々に期待されている方もおります。
リゾートバイトに特化した観光HR事業が地域の観光振興を支援し、また関係人口拡大に繋がることは、地方創生に資すると考えております。このことから、当社が地方創生に貢献できる余地は大きく、引き続き地域の期待に応えられるよう事業に邁進いたします。
本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。
(人材派遣)
人材派遣とは、派遣会社(当社)と雇用契約を締結した社員を、労働者派遣契約を締結した企業(派遣先)に派遣することをいいます。当社は、労働者派遣契約に基づき派遣先から派遣料金を受領することで収益を計上しており、派遣社員に給与の支払いを行った後の差額が当社の利益となります。
なお、観光HR事業の売上高のうち、98.4%(2024年6月期)が人材派遣業によるものであります。
(人材紹介)
人材紹介とは、企業(求人者)の求人依頼を受け、依頼に基づいた人材(求職者)を企業に紹介することをいいます。当社においては、紹介を受けた企業から受領した紹介手数料が収益となります。
(2) 地方創生事業
地方創生事業は、グランピング施設等を北海道芦別市(ザランタン芦別)・栃木県鹿沼市(ザランタン鹿沼)・茨城県常陸大宮市(ザランタンひたち大宮)・岡山県津山市(ザランタンあば村)・佐賀県佐賀市(ザランタン三瀬高原)・香川県東かがわ市(ザランタン東かがわ)の全国6ヶ所(2024年9月現在)で運営しており、グランピング施設のブランド名を「ザランタン」としております。また、2024年3月に香川県東かがわ市に新業態である滞在型アウトドアホテル(注19)(クラフトホテル瀬戸内)の開業をいたしました。
グランピングは、キャンプに出かける際に煩わしく感じることが多いキャンプ道具の持ち運びや、テントの設営・撤収、食事の準備・片付け等の大部分を宿泊施設側で行うことで、手軽に大自然の中での宿泊体験が可能となり、世界規模で注目を集めております。日本においても、2015年の星野リゾートのグランピング施設開業は注目を集め、グランピングの人気はミレニアム世代(20~30代)を中心に高まっていると感じております。グランピング人気が高まる一方で、1泊3万円を超える高価格帯のグランピング施設も多いため、グランピングでの宿泊体験を希望するユーザーの中には、予算が合わず断念する層も多く存在すると認識しております。当社は比較的低い価格帯で楽しめるグランピング施設等を運営することで、カジュアルにグランピングを楽しみたいというニーズを取り込んでおります。
また、当社のグランピング施設等は、主に地方公共団体が所有管理する公共施設や、観光地としての開発がまだなされていない非観光地の遊休施設及び遊休地を活用して行っており、その地域に訪れる人を増やし、また雇用を創出することで地域の活性化に貢献しております。
事業内容としては、グランピング施設等の企画開発・経営・運営を一気通貫で行っており、具体的には、用地開拓や市場調査、コンセプト策定、施設や設備の企画、販売戦略の立案、施設の運営等となります。特に、観光HR事業と連携したスタッフ採用や人員数の最適化等といった人材活用面と、自社運営メディアを活用した集客面に強みを持っております。
その他に、一部のグランピング施設の運営体制について、ザランタン三瀬高原及びザランタンひたち大宮については、当社と協働で施設運営を行うパートナー企業が存在し、当該企業が宿泊者に提供する料理の仕入れや調理を行っております。また、ザランタンあば村については、パートナー企業と共同事業体として指定管理業務を実施しており、当社が宿泊客への食事の調理及び提供を含めたサービスを行い、パートナー企業が宿泊客からの利用料金の徴収を行っております。
当社が運営するグランピング施設の宿泊単価は、1泊2食体験付きの宿泊プランの場合でも大人1人当たり1.3万円前後(2024年6月期の当社実績)に設定されており、以下の特徴によりリーズナブルな価格設定を可能としております。
① 開発コストの優位性
用地については、主に地方公共団体が所有管理する公共施設や、観光地としての開発がまだなされていない非観光地の遊休施設及び遊休地を活用しており、安価な賃料や提携料であると考えられること。
施設については、既存の施設を利活用するため、新たに入浴設備や上下水道等を整備する必要が無い場合が多く、初期投資の大幅な抑制を可能としていると考えられること。
② 集客コストの優位性
グランピング施設であるザランタンの集客については、当社が運営するグランピング施設等の専門サイト「GLAMPICKS」(注20)を活用して、いわゆるD2C(注21)での集客を行うことでOTA(注22)を含めた旅行会社等に送客手数料等を支払う必要が無いこと。
③ 運営コストの優位性
グランピング施設等の運営スタッフの採用については、当社の主力サービスである観光HR事業からのスタッフ紹介を活用することにより、通常人材採用時に必要となる人材募集費用を要せず、人員数についても、グランピング施設の繁忙期・閑散期に合わせた、最適な人員数での運営が容易であること。また、経営の合理化を目的として、最閑散期である冬季にグランピング施設等を一時休業させ、その後春季に営業再開を図る場合にも、観光HR事業と連携することで、余剰人員を抱えることなく最適な人員数での運営が容易となり、人件費を最適化できること。
地方創生事業の進出エリアに関する方針は、前述のとおり観光地としての開発がまだなされていない非観光地を主なターゲットとしております。非観光地を既に観光地化されたリゾート地と比較した場合、非観光地は競合となる宿泊施設が多くないことや、土地及び建物等の物件を好条件で獲得できること等、進出の余地は非常に大きいと考えております。その一方で、非観光地は知名度の低さから集客面には課題があり、また人口減少が進む地方圏であることから働き手の確保にも難しさがあります。当社はこれらの課題を、自社運営メディア「GLAMPICKS」の集客力を活用し、また観光HR事業と連携することで人手不足の解消を図り、非観光地でのグランピング施設等の運営を順調に行ってまいりました。このような実績から、地方公共団体等を中心とした地方圏からのお問い合わせも増加しており、観光HR事業同様に当社が地方創生に貢献できる余地は大きいと感じております。引き続き、各地の地方公共団体等や出店地域で生活する皆さま、出店地域で事業パートナーとなり得る事業者様等の期待に応えられるよう事業に邁進いたします。
本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。
(パートナー決済の場合)
宿泊施設を管理する企業(パートナー企業)が宿泊客より宿泊料金を受領した後、当社とパートナー企業が締結した契約内容に基づき、当社がパートナー企業に対して業務提携料を請求しております。当該請求及び契約内容に基づき当社の収益を計上しております。
(当社決済の場合)
当社が宿泊客より受領する宿泊料金が収益となります。また、当社と宿泊施設を管理する企業(パートナー企業)が締結した契約内容に基づき、パートナー企業に当社が業務提携料を支払い、宿泊料金との差額が当社の利益となります。
(メディアサービス)
当社が運営するグランピング施設等の専門サイト「GLAMPICKS」に、宿泊施設等を掲載する企業(広告主)より受領した掲載料等が当社の収益となります。
(3) 情報システム事業
情報システム事業は、情報システム周り全般のサポートを行っており、「情報システムの担当者がいない」「人員や知識量が限られている」「1名で情報システムを担っており、業務が属人化している」等、顧客の課題に合わせて最適なサービスを提供しております。
IDC Japan「国内 IT サービス市場 産業分野別予測、2024年~2028年」によると、2023年の国内ITサービス市場は、前年比6.0%増で6兆4,608億円となりました。2024年以降の同市場は、全体として好調を継続し、2023年~2028年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate) 4.8%で拡大し、2028年には8兆1,495億円になると予測しています。国内企業のデジタルビジネス化(注23)に向けた投資が、既存システムのモダナイゼーション(注24)や、デジタルイノベーション(注25)の創出に向けたシステムの両領域で需要が活発化していることが共通の背景です。一方で、ITサービスを提供する人材の不足等が市場成長を抑制するとみられております。
このような環境の中、当社の情報システム事業では、業界未経験者を積極的に採用し、社内での教育研修やOJT(注26)等を通した人材育成を行っており、増加する顧客からの要望にスムーズに対応することを目指すとともに、採用費及び人件費を抑制した事業運営を図っております。
具体的な事業内容としては、顧客の特徴にあったシステムの選定及び導入・PCキッティング・RPA(注27)導入支援・拠点開設や移転に伴うシステム整備等、多岐に渡ります。当社が運営するホームページである「情シスダイブ」に問い合わせを行った企業や、業務提携契約を締結したパートナー企業からパートナー企業の顧客の紹介を受け、当該企業及び顧客に対して当サービスを提供しております。
本セグメントにおける収益の内容は以下のとおりであります。
(情報システム事業)
当社と業務委託契約を締結した企業(パートナー企業)より、紹介を受けた顧客(サービス利用企業)に対して当社がサービス等の提供を行い、業務委託契約内容に基づき、パートナー企業より受領した報酬が当社の収益となります。
なお、当社は、いずれの事業に対しても積極的なIT・デジタル投資を行っており、業務の効率化はもとより、顧客の体験価値向上を目指しております。また、業務効率化により、人手や時間を費やしていた単純作業等の削減に努めており、従業員がより高度で創造的な業務に注力できる働き甲斐のある職場づくりに取り組んでおります。
(注) 1.リゾートバイトとは、日本全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場等に短期間移住し、従業員寮で生活しながら、勤務する働き方です。労働の対価として収入を得るだけではなく、海外でのワーキングホリデーに近い体験価値を国内でも得られる手段として当社では主に25歳から44歳までの社会人を中心に支持されております。なお、ワーキングホリデーとは、二国・地域間の取決め等に基づき、各々が相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度であります。
2.グランピングとは、グラマラス(魅力的な)とキャンピングを組み合わせた造語で、大自然の中で手軽に楽しめるキャンプであります。
3.情報システムとは、デジタル化された情報を記録、処理、伝達する仕組みを指します。
4.当社では「若者」の定義を、年齢の大小ではなく、好奇心や冒険心が旺盛で積極的に行動する人としております。
5.当社では、観光の対象が未開発である、または存在するものの知られていないがために、観光客が少なく交通機関や宿泊施設等が十分に整備されていない地域のことを「非観光地」と定義しております。
6.エンジニアとは、「工学(人工システムの開発企画・設計、製作、運用、保全の基礎となる学問)」の知識や技術を利用して、便利で快適な環境を作る技術者を指します。
7.出典:日本政府観光局(JNTO)「年別 訪日外客数、出国日本人数の推移(1964年‐2023年)」
8.出典:観光庁「観光を取り巻く現状及び課題等について」(令和3年11月)
9.出典:観光庁 宿泊旅行統計調査報告(平成31年1~令和元年12月)
10.出典:観光庁 宿泊旅行統計調査報告(令和2年1~12月)
11.出典:観光庁 宿泊旅行統計調査報告(令和6年5月分(第2次速報値))
12.出典:政府統計の総合窓口(e-stat)平成25年度(2013年度)衛生行政報告例
13.出典:政府統計の総合窓口(e-stat)令和4年度(2022年度)衛生行政報告例
14.出典:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査(2024年4月)
15.関係人口とは、移住した「定住人口」ではなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。地方圏は、人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面しておりますが、地域によっては若者を中心に、変化を生み出す人材が地域に入り始めており、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が地域づくりの担い手となることが期待されております。(総務省ホームページより抜粋)
16.デジタルネイティブとは、生まれた時、又は物心がついた時からインターネットやパソコン、スマートフォンがある環境で育ってきた世代を指します。インターネットの活用方法として、インターネット検索で情報を取得するだけではなく、自らインターネットで情報を積極的に発信する世代だと言われております。
17.SNSとは、Social Networking Serviceの略であり、インターネット上に自分の生活上の出来事や趣味、意見等を公開して、世界中の人との交流が可能となるサービスです。(例:Facebook、X「旧Twitter」、TikTok、Instagram等)
18.アンバサダーとは、日本語で「大使」や「使節」等に訳され、観光大使のことを観光アンバサダー、又は単にアンバサダーと呼ぶ場合もあります。当社では、その地域や施設等のファンであり、自ら積極的に好意的な発信活動をする方を指します。
19.滞在型アウトドアホテルとは、当社が現在計画している宿泊施設の一業態であります。アウトドアの要素を取りいれた宿泊施設であり、その施設を起点に飲食、アクティビティ、土産等他の観光機能は地域全体の事業者と連携し、分散させることで地域全体の活性化を図る施設です。
20.GLAMPICKS(https://glampicks.jp)は、当社が2019年8月より運営するグランピング施設等の専門サイトです。
21.D2Cとは、Direct-To-Consumerの略であり、中間流通業者を通さずに、自社のECサイト等を通じて製品を顧客に直接販売することを意味し、直接販売の一形態であります。
22.OTAとは、Online-Travel-Agentの略であり、インターネット上だけで取引を行う旅行会社のことを指します。一般的な送客手数料は、宿泊代金の8~20%程度と言われております。(例:楽天トラベル、じゃらん、Booking.com等)
23.デジタルビジネス化とは、テクノロジーを活用することで、伝統的なビジネスモデルやプロセス、顧客体験等を、新たな価値や収益を生みだすビジネスモデル等に変革させることを指します。
24.既存システムのモダナイゼーションとは、最新の業界標準へ対応できなくなったシステムを最新のテクノロジーや、業界標準に合わせて最適化することであります。例えば、古いハードウエアやソフトウエアを最新のものに置き換えること、最新のセキュリティ対策を実装する等、ITにおけるシステムやリソースの効率性・信頼性・パフォーマンスを向上させるための改善を行うことを指します。
25.デジタルイノベーションとは、IT技術を駆使して社会そのものの構造に変化をもたらすことであります。例えば、単なる業務効率のアップや経費削減に留まらず、変革したうえで新たな社会的価値を生み出すことを指します。
26.OJTとは、On-the-Job-Trainingの略であり、職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練であります。
27.RPAとは、Robotic-Process-Automationの略であり、ソフトウエアロボットを使用し、日常の仕事等で、型どおりの反復的な業務プロセスを自動化する技術であります。
〔事業系統図〕
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(観光HR事業)
(地方創生事業)
(情報システム事業)
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響はほぼ解消し、観光業界では訪日外国人旅行者の増加が続き、景気は緩やかな回復傾向が見られます。一方で、資源・エネルギー価格の高騰、不安定な世界情勢を背景とした景気後退懸念など、依然として先行き不透明な状況が継続しております。
観光業界におきましては、訪日外国人旅行者による宿泊等の体験型サービス消費が増加し、国内観光業におけるインバウンド需要の増加が見られました(出典:国土交通省 観光庁「訪日外国人消費動向調査」)。また、訪日外国人旅行者が2024年6月で4ヶ月連続300万人を突破し、単月としては過去最高の313.5万人を記録しました(出典:JNTO 日本政府観光局「訪日外客数(2024年6月推計値)」)。加えて、当事業年度における日本人国内旅行消費額が前年を上回り、日本人の宿泊需要も増加しておりました(出典:国土交通省 観光庁「旅行・観光消費動向調査2024年4-6月期(速報)」)。このような状況のもと、当社は国内観光業における人材需要の増加に対応するため、継続的な広告宣伝投資を行い求職者の確保に努めてまいりました。
以上の結果として、基幹事業である観光HR事業を中心に当社の業績は堅調に推移し、当事業年度における売上高は12,363,389千円(前期比49.6%増)、営業利益は542,316千円(前期比351.9%増)、経常利益は546,588千円(前期比296.3%増)、当期純利益は320,998千円(前期比90.7%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(観光HR事業)
観光HR事業におきましては、宿泊業等を中心とした日本人国内旅行者の宿泊需要に加え、訪日インバウンド市場の活性化に伴い、当社取引先である宿泊施設等の人材需要が引き続き旺盛でありました。取引先企業の人手不足の課題を解決すべく、特定技能の宿泊分野において、観光・宿泊業の専門スキルを学ぶ外国人学生に向けた日本での就労支援を行うため、海外の教育機関等とMOU(協力覚書)締結いたしました。また、求職者の利便性向上を図るためのホームページ(リゾートバイトダイブ)のリニューアル及び求職者向けの「勤務先レビュー」の公開や、翌期も見据えた求職者確保のための大型広告宣伝投資を行ってまいりました。これにより、2023年7月~2024年6月における年間就業者数は9,320名(前期比18.8%増)、LINE友だち数は128,065名(前期比61.6%増)となりました。
その他に、派遣スタッフの勤務期間長期化への取り組みも奏功し、派遣スタッフ1名当たりの売上高は1,244千円(前期比27.1%増)となりました。
以上の結果として、当セグメントの当事業年度における売上高は11,788,061千円(前期比51.0%増)となり、セグメント利益(営業利益)は884,717千円(前期比158.6%増)となりました。
(地方創生事業)
地方創生事業におきましては、2023年7月1日に茨城県常陸大宮市に「ザランタンひたち大宮」を新規開業、2024年3月1日に香川県東かがわ市に滞在型アウトドアホテルである「クラフトホテル瀬戸内」を新規開業いたしました。また、2024年4月1日に香川県東かがわ市の大池オートキャンプ場の指定管理者となり運営を開始し、グランピング施設を兼ね備えた「ザランタン東かがわ」としての開業準備(2024年7月1日に営業開始)を進めてまいりました。
既存のグランピング施設においては、本格シーズン到来に向け積極的に設備投資を行い、集客強化及びアクティビティコンテンツや施設インフラの拡充等を進めてまいりました。
以上の結果として、当セグメントの当事業年度における売上高は491,499千円(前期比29.4%増)となり、セグメント損失(営業損失)は314,345千円(前期は168,656千円の営業損失)となりました。
(情報システム事業)
情報システム事業におきましては、未経験エンジニアの育成や、大型案件獲得及び年度末需要獲得等の営業活動に加えて、工数管理による早期納品等に努めました。
以上の結果として、当セグメントの売上高は83,827千円(前期比4.4%増)となり、セグメント損失(営業損失)は28,054千円(前期は53,507千円の営業損失)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ504,086千円増加し、3,245,993千円となりました。これは主に、公募増資等により現金及び預金が260,319千円、売上高の増加により売掛金が232,784千円増加したことによるものであります。
当事業年度における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ664,813千円増加し、1,068,952千円となりました。これは主に、地方創生事業における宿泊施設の新規開業や増設等に伴い有形固定資産が488,734千円増加したこと、及び地方創生事業における宿泊予約・宿泊者情報管理システムの開発に伴い無形固定資産が140,246千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は4,314,946千円となり、前事業年度末に比べ1,168,900千円増加しました。
(負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ382,023千円増加し、2,176,113千円となりました。これは主に、課税所得の増加に伴い未払法人税等が191,517千円、観光HR事業における就業者の増加により未払金が139,131千円増加したことによるものであります。
当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べ145,277千円減少し、242,842千円となりました。これは主に、弁済により長期借入金が174,531千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は2,418,956千円となり、前事業年度末に比べ236,745千円増加しました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ932,154千円増加し、1,895,989千円となりました。これは、公募増資により資本金及び資本剰余金が611,156千円、当期純利益の計上により利益剰余金が320,998千円増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、期初に比べ260,319千円増加し、2,038,006千円(前期末1,777,687千円)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は626,222千円となりました。これは主に、増加要因として税引前当期純利益が538,228千円、未払金の増減が116,666千円あった一方で、減少要因として売上債権の増減が232,784千円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は728,415千円となりました。これは主に、地方創生事業における宿泊施設の新規開業や増設等に伴い、有形固定資産の取得による支出が498,085千円、地方創生事業における宿泊予約・宿泊者情報管理システムの開発に伴い無形固定資産の取得による支出が153,402千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は362,512千円となりました。これは主に、増加要因として公募増資による収入が611,156千円、長期借入れによる収入が200,000千円あった一方で、減少要因として長期借入金の返済による支出が398,609千円、社債の償還による支出が70,000千円あったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先が存在しないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の経営者は、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、当事業年度において重要なものは「第5 〔経理の状況〕 1 〔財務諸表等〕 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は12,363,389千円(前期比49.6%増)となりました。これは主に観光HR事業において、当社の取引先である観光施設の人材需要が旺盛であり、当社への人材オーダーも増加したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、9,410,961千円(前期比51.5%増)となりました。これは主に観光HR事業における派遣スタッフの増加により、派遣人件費が増加したことによるものです。この結果、売上総利益は2,952,427千円(前期比43.7%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、2,410,111千円(前期比24.6%増)となりました。これは主に売上規模の拡大に伴い従業員が増加し、給料手当が増加したことによるものです。その結果、営業利益は542,316千円(前期比351.9%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は派遣スタッフの前払いによる手数料収入等を計上し21,669千円(前期比15.3%減)となり、営業外費用は新規上場に伴う上場関連費用、支払利息及び社債利息等を計上し17,397千円(前期比127.0%増)となりました。その結果、経常利益は546,588千円(前期比296.3%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度において、特別利益は発生しておりません。
当事業年度における特別損失は建物及び構築物の除却による損失を3,846千円、ソフトウエアの除却による損失を3,766千円計上し、8,359千円となりました。また、繰越欠損金が解消したこと、及び公募増資により資本金が増加し、留保金課税が適用されたことに伴い法人税、住民税及び事業税の負担が増加いたしました。さらに、繰越欠損金の解消による繰延税金資産の減少に伴いプラス(損失側)の法人税等調整額を計上したことにより、法人税等の負担が増加し、当期純利益は320,998千円(前期比90.7%増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資金の流動性については、経理部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。当社の運転資金需要のうち主なものは、事業規模の拡大による人件費や、観光HR事業における認知度向上・登録者増加に必要な広告宣伝費、地方創生事業における宿泊施設の新規開業費用であります。これらの資金需要につきましては、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び内部資金にて賄う方針であります。今後は、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針であります。なお、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2〔事業の状況〕 1 〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 〔事業の状況〕 3 〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。