2023年7月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては合理的に予見することが困難なため記載しておりません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)市況変動に関するリスク

① 特定業界への依存及び景気動向の影響について

 当社グループの事業は不動産業界からの受注に高く依存しているため、不動産業界に当社グループの悪評が広がる等、何らかの理由により受注件数が大きく減少した場合には、完成工事高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また景気の悪化等に伴う不動産物件の入退去が減少する等により受注件数の減少があった場合には、完成工事高が減少し、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外注費・資材価格の高騰について

 当社グループは外注先・資材の仕入先を複数確保し、価格の抑制に努めております。しかしながら、外注先からの値上げ要請及び材料の需要増加等により価格が高騰した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業活動・運営体制に関するリスク

① 競合について

 当社グループのリフォーム事業は、一件当たりの工事代金が僅少の場合は許認可も必要なく、参入障壁が低いことから、建築業者・内装業者等大小様々な競合他社が多数存在しております。当社グループでは工期短縮に努め、コスト削減を行うことで顧客のニーズに沿った事業運営を行い、また細かいメンテナンス工事などを積極的に請け負うことにより、他社との差別化を図っております。しかしながら、当社グループの優位性を上回るような競合他社が出現した場合には、次第に顧客からの受注は減少し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外注先の確保について

 当社グループでは、受注したリフォーム工事を外注先である各専門施工会社からなる施工ネットワークに発注しております。外注先については、経営状態や技術力及び反社会的勢力との関係の有無を調査して選定しており、外注先との面談等により当社の理念の共有及び安全・品質管理の徹底に十分留意しております。しかしながら、今後、営業地域の拡大や受注件数の増加により、外注先を適時確保できない場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、高齢化、人口減少により外注先の技能労働者が減少した場合も、当社グループの事業運営、業務等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材確保・育成について

 当社グループの事業拡大を行う上で、優秀な人材を適切な時期に確保するとともに、その人材の育成に努める必要があります。当社グループでは求人情報サイト・会社説明会・ホームページ等により採用活動を行っておりますが、雇用情勢や経済環境によっては計画通りの人材確保・育成ができず、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 特定の人物への依存について

 当社の代表取締役社長である前田浩は当社の創業者であり、当社の経営方針や営業戦略の立案・遂行等多岐にわたり当社の経営において重要な役割を果たしております。当社では同氏に過度に依存しない経営体制を構築するため、職務権限の委譲、合議制の推進等により業務運営の実施に努めておりますが、現状では同氏が何らかの理由により当社の経営に携わることが困難になった場合、当社グループの業務の停滞等により、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特定の販売先への依存について

 当社グループは主要顧客である株式会社リプライスへの販売が、2023年7月期においては19.5%と販売依存度が高くなっております。当社グループは、今後において同社との取引に関しては拡大を図っていきながらも、取引先の拡大により、同社への依存度を低下させていく方針でありますが、何らかの事情により同社との取引が減少した場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 子会社の管理体制について

 当社は、連結子会社についてその運営にあたり適切な管理及び支援を行っております。しかしながら、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 投資等のリスク

 当社は積極的なM&Aを実施し、収益基盤の安定化、多様化に取り組んでおります。しかしながら、新規案件への投資が遅れたり、買収した会社の業績が悪化するなどして、計画していた利益水準を確保できない場合、取得した資産やのれんの減損損失発生などにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制及び訴訟等に関するリスク

① 法的規制について

 当社グループは、建設業におけるリフォーム事業を行うにあたり、各種法令による規制を受けております。現在のところ許可要件(建設業法第7条)の欠格事由、及び欠格要件(建設業法第8条)に該当することはありませんが、将来何らかの理由により、当該許認可が取り消される場合、又は、更新が認められない場合、もしくは、これらの法律等の改廃又は新たな法的規制が今後制定された場合には、一定規模以上の工事の受注が出来なくなり、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 また、建設業法では外注先への代金の支払い期日が設けられており、当社グループでは専門施工会社に対して遅延なく支払いを行っております。しかしながら、何らかの理由により支払いが遅延し同法に抵触した場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、本書提出日現在における当社グループの許認可は、以下のとおりです。

(株式会社ニッソウ)

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

主な取消事由

特定建設業許可

建設工事業、タイル・れんが・ブロツク工事業、防水工事業、とび・土工工事業、塗装工事業

国土交通省

国土交通大臣許可

2027年11月24日

許可要件を満たさなくなった場合

一般建設業許可

内装仕上工事業

国土交通省

国土交通大臣許可

2026年12月20日

許可要件を満たさなくなった場合

 

(株式会社ヤナ・コーポレーション)

許認可等の名称

所管官庁等

許認可等の内容

有効期間

主な取消事由

一般建設業許可

土木工事業、大工工事業、とび・土工工事業、屋根工事業、舗装工事業、ガラス工事業、防水工事業、熱絶縁工事業、建築工事業、左官工事業石工事業、タイル・れんが・ブロツク工事業、板金工事業、塗装工事業、内装仕上工事業、建具工事業

埼玉県

埼玉県知事許可

2026年6月18日

許可要件を満たさなくなった場合

 

② 工事施工における重大な瑕疵や不備について

 当社グループが施工した物件等に不具合が生じ、その施工内容・管理内容に重大な瑕疵や不備が認められた場合には、損害賠償請求を受ける可能性があり、工事請負賠償責任保険・PL保険等の救済を受けられない可能性があります。また、施工中に予期せぬ重大事故が生じた場合にも、同じくその損害賠償請求を受ける可能性があり、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報管理について

 当社グループは事業を展開する上で、顧客企業における業務上に必要となる各種情報を取り扱っております。これらの情報管理については、規程の整備及び社員等への周知徹底に努めております。しかしながら、不測の事態によって情報が漏えいした場合には、当社の社会的信用が低下し、またその対応のための費用が発生し、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ コンプライアンスについて

 当社グループはリフォーム事業において、関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、顧客の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 訴訟等ついて

 当社グループでは、行動規範を定め、コンプライアンスの推進により、誠実な事業活動に努めております。しかしながら、当社グループの役員、従業員の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、外注先、仕入先、その他第三者との不測のトラブル、訴訟等の発生のリスクがあるものと考えたおります。

 訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他のリスク

① システム障害について

 当社グループでは顧客情報・施工管理・見積・請求等をコンピューターシステムで管理しております。随時バックアップによりデータ保護しておりますが、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピューターウイルスによる影響等により、システム及びデータベース使用が中断もしくは使用不能になった場合、当社グループの事業運営、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定地域に対する依存度等について

 当社グループでは主に東京都、神奈川県、埼玉県及び千葉県を中心に事業展開を行っておりますが、これらの地域に地震等の災害が発生し、本社及び営業所の損壊等による営業の一時停止や、道路網の寸断等による材料確保の手段の喪失、さらに外注先の施工能力の喪失により、事業の運営が困難になった場合、あるいは同地域に特定した経済的ダメージが発生し経済環境が悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 当社株式の流通株式時価総額について

 当社は株式会社東京証券取引所に上場しており、本報告書提出日(2023年10月31日)現在において想定する流通株式時価総額は、同取引所が定める形式要件に近接しております。今後においても同取引所が定める形式要件を充足し続けるために、当社の経営方針・経営戦略に従い、企業価値を継続的に向上させること及び資本政策を検討する事等により、流通株式時価総額の拡大に努める方針でありますが、当社株価の変動及び何らかの事情により、流通株式時価総額が同取引所の定める形式要件を未充足となる可能性があります。なお、株式会社東京証券取引所での上場が廃止となった場合でも、株式会社名古屋証券取引所での当社株式の取引は引き続き可能であります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社では、事業展開のための内部留保の充実と成長に応じた利益還元を重要な経営課題であると認識しております。

 現在、当社は成長過程にあり、一層の事業拡大を目指しております。獲得した資金については優先的に人材の採用育成等の事業投資に充て、当社の競争力強化による将来の収益向上や効率的な体制整備に有効に活用するため、会社設立以来配当は実施しておりません。

 今後は収益力の強化や安定的な事業基盤の確立に努め、内部留保の充実状況、業績、当社を取り巻く環境、今後の事業展開を勘案し、その都度適正な経営判断を行い、配当を決定していく方針であり、内部留保資金の使途については、今後の事業展開のため有効活用していきたいと考えております。

 なお、当社は剰余金を配当する場合には、株主総会の決議をもって、期末配当を年1回行うことを基本的な方針としております。

 また、当社は取締役会の決議によって、毎年1月31日を基準日として、中間配当をすることができる旨を定款に定めております。