2024年6月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

流通小売 リテールAI その他
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
流通小売 714,943 98.7 21,887 102.5 3.1
リテールAI 4,616 0.6 -520 -2.4 -11.3
その他 5,166 0.7 -16 -0.1 -0.3

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は持株会社制を導入し、純粋持株会社である当社並びに各事業を担う連結子会社24社及び関連会社3社(2024年6月30日現在)から構成されており、「流通小売事業」、「リテールAI事業」等の事業を営んでおります。当社は、中期経営計画及び年度事業計画に基づき、グループ各社の自主性を尊重するとともに、事業の発展及び経営改善に積極的に協力し、関係会社の育成を促進して企業グループとしての経営効率の向上を目指すことを目的として指導及び助言を行うことを基本方針としております。

 当社の事業区分である「流通小売事業」及び「リテールAI事業」は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であり、報告セグメントに含まれていない事業及びこれらに附帯する事業を「その他」に区分しております。

 当社グループの事業内容は、次の通りです。なお、主な関係会社の詳細については「4 関係会社の状況」に記載の通りです。

 

(1)流通小売事業

①多様な店舗フォーマットとワンストップショッピングを可能にする豊富な商品ラインナップ

 中核事業会社である㈱トライアルカンパニーを中心に、『あなたの「生活必需店」。』をストアコンセプトとした『TRIAL』ブランドのディスカウントストアを全国に展開しております。店舗フォーマットはメガセンター、スーパーセンター(SuC)、smart及び小型店の4種のフォーマットで、主力フォーマットであるスーパーセンターを中心に、商圏人口や立地、店舗面積等を考慮して様々なエリアに出店し、各エリアでのドミナント展開と収益の最大化を進めております。

業態名

売場面積

(㎡)

主な出店

エリア

業態の概要

主要販売品

及びアイテム数

店舗数

(2024年6月末現在)

メガ

センター

約8,000㎡

地方都市

食品から趣味嗜好品までフルラインで商品を取り揃える大型店

生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約10万点

24店舗

スーパー

センター

(SuC)

約4,000㎡

郊外

生鮮食品や加工食品をはじめとする食品及び日用消耗品などの生活必需品を商品構成の中心としながら、家電製品や衣料品などの非食品を取り揃える中型店

生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、家電品、衣料品、園芸・DIY用品、ペット用品、スポーツ用品、インテリアなど約6~7万点

187店舗

smart

約1,400㎡

都市部・
小商圏

加工食品や弁当、惣菜を含む生鮮食品など、食品を中心とする商品構成で、メガセンター、SuCが出店困難な都市部・小商圏エリアへの出店が可能なフォーマット

生鮮食料品、一般食料品、日用雑貨、衣料品など約3万点

64店舗

小型店

~約1,000㎡

都市部・
小商圏

食品を中心とする商品構成で、SuCからの高頻度配送により新鮮な生鮮食品、惣菜を提供。自動値下げソリューションや顔認証決済などのテクノロジーを活用した高い生産性を実現する次世代型スマートストア「TRIAL GO」等の小型店

一般食料品を中心として、日用雑貨など約7千~2万点

43店舗

 

 なお、2024年6月末日時点の地域別の店舗数は以下のとおりです。

 

 

 

また、商品ラインナップは、生鮮食品などの「食」を強みとして、日用消耗品などの生活必需品から家電製品、アパレル用品からホビー用品などの非食品まで、豊富な品揃えを有しており、24時間営業(一部店舗を除く。)で、何でも・いつでも・欲しいものがお得に買えるワンストップショッピングストアとして、利便性や価格優位性を特徴としております。

また、当社グループ内に弁当・惣菜製造や生鮮食品の加工を行うプロセスセンターやセントラルキッチン、飲料製造工場を有しており、商品製造のノウハウを増強しております。ナショナルブランド商品を調達して販売するスタイルが主流である一方、プライベート・ブランド(PB)商品も展開しております。PB商品においては、ナチュラルミネラルウォーターやお茶などの飲料、菓子類、フリースなどの衣料品が人気商品であり、いずれも高品質で低価格であることが、人気の理由であると考えております。

 

②ローコストオペレーションを確立したユニークな店舗運営

1992年にトライアル1号店となる南ヶ丘店(福岡県大野城市)を開店して以来、当社は約30年におよぶディスカウントストアの運営ノウハウを蓄積しており、当社グループにてアライアンス先との物流網の共有化を通じた自社物流による最適化等、効率的な仕入れの確立と徹底したコスト管理、後述するリテールテックを活用した省力化によって、ローコストオペレーションを実現しております。

また、当社はグループ内に店舗の設計や建築を担う子会社を有しており、新規出店時における新築コストを抑えることができるほか、居抜きによる出店も活用しており、新規出店時による一時的なコスト増加についても低位に抑える戦略が確立されております。

当社グループはEDLP(Every Day Low Price)(注1)を価格戦略における基本方針としております。EDLPが実現できる背景はEDLC(Every Day Low Cost)、すなわちローコストオペレーションであります。生鮮食品などの生活必需品を中心に、競争力のある価格提案を行い、欲しいものがいつでも安い、地域一番の生活必需店として、お客様に寄り添った店舗運営を確立しております。

 

③リテールテックを活用した独自のビジネスモデル

当社グループが属する流通小売業をはじめ、あらゆる産業・分野においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が浸透しており、様々な企業がIoT(注2)/AI(注3)などのデジタル技術を活用することで新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通じた価値の創出に取組んでおりますが、当社は、「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」をビジョンとして、常に革新的な技術開発に取組んできた企業であり、現在も流通小売業(リテール)のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する『リテールDX』を牽引する先駆者として、業界の改革に取組んでおります。

当社グループは1996年のスーパーセンター1号店であるスーパーセンタートライアル 北九州空港バイパス店(北九州市小倉南区)の開店以降、自社開発のPC-POSシステム(注4)によって顧客データの蓄積と活用をはじめており、現在は各メーカー企業とお客様の購買情報がスムーズに連携できるデータベースエンジンの運用や商品の自動発注等を可能にする独自のPACER(注5)を活用した効率的な店舗オペレーションを実現しております。

また、当社のシステム開発等を所管する㈱Retail AIを中心に、お客様の更なる買い物体験の向上と店舗運営の省力化を企図とした取組みを加速しております。

2015年には決済手続きを省力化するスマートショッピングカート(現:Skip Cart)の導入を開始したほか、お客様の動線や商品の在庫を記録するAIカメラや商品の販促等に活用するインストアサイネージを導入するなど、リテールテックを活用した独自性のあるビジネスモデルを構築できているものと考えております。特に、Skip Cartの利用によってお客様のレジ待ち時間が大幅に改善され、お客様の利便性向上につながっております。

 (注)1.「EDLP」とは、Every Day Low Priceの略で、特売や限定販売ではなく、数量を限定せず、毎日お値打ち価格で販売することを指します。

2.「IoT」とは、Internet of Thingsの略で、あらゆるモノがインターネットに接続する技術を指します。

3.「AI」とは、Artificial Intelligenceの略で、人工知能のことを指します。

4.「PC-POSシステム」とは、販売時の商品情報を読み取り売上管理や商品管理を担う機器であり、PCを内蔵したものを指します。

5.「PACER」とは、Plan・Action・Check・Education・Recoveryの略で、当社グループで開発した店舗運営業務における商品管理の各アプリケーションがインストールされたモバイル端末になります。

 

当社の特徴である①ワンストップショッピング、②ユニークな店舗運営、そして③リテールテックを活用したビジネスモデルは既存店の安定的な客数及び客単価の成長に貢献しており、順調な事業規模の拡大を実現できております。

トライアル1号店開店以降の売上高と店舗数の推移は以下のとおりです。

 

 

<既存店売上高(前期比)>

既存店売上高(注)

2024年6月期

前期比

(%)

105.8

(注)「既存店売上高」とは、開店から満12ヵ月経過した店舗(対象月又はその前年同月に月間5日以上改装等により閉店した店舗は除く。)のPOS売上の合計であります。「POS」とは、Point of Salesの略称であり、小売店において商品が購入された店舗や日時、数量等の把握が可能となる仕組み・システムを指しています。「POS売上」とは同仕組み・システムにおいて計上された売上高であります。以下同じです。

 

<既存店売上高(前年同月比)>

既存店売上高

2023年7月

2023年8月

2023年9月

2023年10月

2023年11月

2023年12月

前年同月比

(%)

106.1

106.8

102.6

103.9

105.2

104.3

 

既存店売上高

2024年1月

2024年2月

2024年3月

2024年4月

2024年5月

2024年6月

前年同月比

(%)

104.9

109.9

110.6

102.5

105.2

108.0

 

当社グループの小売店舗における月次の既存店売上高は、日本チェーンストア協会が公表している既存店ベースのチェーンストア総販売額(全国の食品スーパーやGMSなど)と比べて、前年同月比で高い成長を継続しております。

 

 

(注)「チェーンストア販売統計既存店売上高」とは、日本チェーンストア協会が公表している、同協会に加盟する会員企業(全国の食品スーパーマーケットやGMSなど)の総販売額における既存店ベース(当該月の販売額とその前年同月の販売額のうち、新規開店して売上増となったり閉店して売上減となったりする店舗の異動による影響を除いて比較)での前年同月比であります。

 

さらに当社グループでは、当社グループのみならず流通業界全体が活性化するような仕組みを『リテールDX』を通じて実現させることに注力しており、自社のみならず業界全体を巻き込んだ改革に取組んでおります。

当該改革の一環として、2021年7月には、当社と福岡県宮若市、九州大学が連携し、産官学協働で『リテールDX』を軸にしたまちづくり「リモートワークタウン ムスブ宮若」プロジェクトを開始しました。同プロジェクトは、『リテールDX』を推進する当社グループと、宮若市及び九州大学が協働して推進する地方創生・まちづくり構想の一つであり、産官学による「リテールDXの拠点づくり」を目指し、リテール企業とメーカー企業が共同で実証実験を行っております。業界全体を巻き込んだ改革意識の醸成として、食品・消費財メーカーの担当者が全国から集まり、『リテールDX』を学び、実践する「宮若ウィーク」というイベントを開催しており、当社グループでは、既成概念にとらわれない、自由な発想を取り入れたイノベーションを誘発する仕組みを設けることで、よりスピード感のある開発を実現し、リテールDXの最先端拠点を目指しています。具体的には取引先である食品・消費財メーカーとともに、共同学習としてリテールAI専門家による講義の提供やリテールDX人材の育成プログラムを開発するほか、DX実践としてSkip Cartやインストアサイネージを活用したマーケティング改革、MD-Linkを活用したデータの共有・可視化によるサプライチェーン全体の最適化について協働しております。

 

(2)リテールAI事業

 小売事業者や食品・消費財メーカーに対して、お客様の買い物体験の向上やリアル店舗のオペレーション改善、広告・販売促進活動の効率化等に資するプロダクトやソリューションを提供しております。当社では実店舗の運営で発生する現場のニーズを速やかに開発に活かすことができ、また、開発した技術を速やかに現場で実証実験できる体制が最大の特徴であり、実際の小売店舗という現場や流通サプライチェーンのステークホルダーの営業活動などの場面で実活用できるプロダクトやソリューションを開発する「オペレーション・ドリブン」のコンセプトのもと、流通小売事業と連携を図りながら、実店舗で実利用され、効果を生み出すことのできるプロダクトを開発しております。

主力プロダクトであるSkip Cartは、セルフスキャンによるレジ待ちの解消及びレジ人時(注1)の削減やクーポン・レコメンドを活用した実店舗におけるワン・トゥ・ワンマーケティング(注2)など、新しい価値をお客様、小売事業者、食品・消費財メーカーに提供しております。なお、Skip Cartやその他のプロダクトの月額利用料・ライセンス利用料等の収入を得ております。

 

<当社グループが開発したセルフレジ機能付きのショッピングカート>

 

 

 

 

 

<リテールAIが提供するプロダクト>

 

 2024年6月末現在で、Skip Cartの当社グループ外での導入も含む導入店舗数は223店舗、導入台数は19,579台となっております。マンスリーユーザー数(注3)は420万人となっております。他にもPOS(注4)やID-POS(注5)等のデータ分析プラットフォームの「MD-Link」(2024年6月末時点で281社が利用)及びそのインフラ基盤である「e3-SMART」、棚状況の監視等を行う「カメラソリューション」、店頭における広告・販売促進ツールである「インストアサイネージ」などのプロダクトやソリューションの開発を行うとともに、グループ内の基幹システムや各種業務システムの開発・運用・保守を行っております。

(注)1.「レジ人時」とは、会計時の精算業務1時間当たりに必要な従業員数のことを指しています。

2.「ワン・トゥ・ワンマーケティング」とは、お客様個人の嗜好や属性、購買履歴等に応じて、個別に行うマーケティング活動です。マスマーケティングと比較した際、より深い顧客理解と広告等の出し分けを行う仕組みの構築が必要となります。

3.「マンスリーユーザー数」とは、2024年6月におけるSkip Cartの延べ利用者数(グループ外を除く)を指しています。

4.「POS」とは、Point of Salesの略称であり、小売店において商品が購入された店舗や日時、数量等の把握が可能となる仕組み・システムを指しています。

5.「ID-POS」とは、(注)4の「POS」にIDデータが組み合わされたものであり、商品が購入された店舗や日時、数量だけでなく、ID単位でどのお客様が何の商品を購入したのかを把握することができる仕組み・システムを指しています。

6.「平均利用率」は、2023年6月30日時点においてSkip Cartを導入している当社グループのスーパーセンター177店舗における、2023年7月1日から翌年6月30日の9時から21時のカート利用可能な時間帯における延べ客数のうち、Skip Cartの延べ利用者数の割合であります。

7.「1時間当たりの通過客数」及び「1時間当たりの通過点数」は、スーパーセンターであるアイランドシティ店の2024年4月29日から同年5月6日におけるPOSデータから算出しております。なお、当該店舗を対象とした理由は、一般的にSkip Cartの導入直後は不自然に利用者が増加する傾向があるため、Skip Cartの導入後期間が最も長い同店を対象としたものであり、また当該期間を対象とした背景は、顧客数が多い方がより実態に即したデータになるという考えから、繁忙期であるゴールデンウイークを選んだためです。

 

 

(3)その他

当社グループは、「食」のブランディングを通じて本業である流通小売業における「ロイヤルカスタマー」を確立するため旅館施設である「久織亭(くおりてい)」、「虎の湯」、「古民家煉り(ねり)」や2024年2月1日付で東急不動産株式会社より取得した大分及び阿蘇のゴルフ場を含むゴルフ場運営などのリゾート関連事業及び建築・不動産管理等を行っております。各事業の連携を通じて、会員サービスの拡充及び周遊性を高めることを目指しています。

 

 当社グループ全体のビジネスを俯瞰した図は以下の通りになります。

 

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は、雇用や所得環境に改善の兆しが見え始めた反面、エネルギーコストや原材料価格の高騰に起因する物価上昇が顕著となりました。さらに、円安や世界的な金融引き締めによる景気への影響が懸念されるなど、先行きへの不透明感が継続しました。

 小売業界においては、良いものをお得に買うための選別消費が進みました。外出や人が集まる機会が増えたことによって、高付加価値商品への積極的な支出が見られた一方、生活必需品は節約志向が高まるなど、消費者購買行動の二極化が顕在化しました。

 そのような環境の中、当社グループが掲げる「テクノロジーと、人の経験知で、世界のリアルコマースを変える。」というビジョンを実現するため、新規出店による店舗網の拡大及び既存店売上高の成長を実現しました。

 さらに、Skip Cart(決済機能付きレジカート)や、インストアサイネージ(電子看板)などの導入推進によって、便利なお買い物体験の提供や、データの蓄積及び活用を進める取り組みを実施してまいりました。

 以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高717,948百万円(前連結会計年度比9.9%増)、営業利益19,161百万円(同37.2%増)、経常利益19,789百万円(同37.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,439百万円(同41.5%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、売上高については、外部顧客への売上高の金額によっております。また、セグメント利益又はセグメント損失については、未実現利益の消去等及び全社費用を調整する前の金額によっております。

 

(流通小売事業)

 『あなたの「生活必需店」。』をコンセプトとして、食品や日用消耗品を中心とした豊富な商品ラインナップを、競争力ある価格で、24時間いつでもお買い物いただける店舗づくりを行っており、多様化するライフスタイルのあらゆるニーズにお応えしております。

 生鮮食品や弁当惣菜などの「食」を強化しており、できたての美味しさにこだわった商品開発を行っていることが、お客様支持率向上につながっております。

 当連結会計年度における流通小売事業の既存店売上高は、加工食品や生鮮食品、惣菜など毎日消費する食品において、お客様から高い支持を獲得できたことにより好調に推移しました。

 新規出店については、スーパーセンターを7店舗、smartを4店舗、小型店を30店舗出店した一方、スーパーセンターを1店舗、smartを4店舗、小型店を3店舗閉鎖しました。

 なお、新規出店数には、2023年10月に青森県で食品スーパーを運営する株式会社佐藤長より譲り受けた18店舗(smart3店舗、小型店15店舗)を含んでおります。

 当連結会計年度末の店舗数は、318店舗(うちFC3店舗を含む)となりました。改装は、メガセンターを5店舗、スーパーセンターを20店舗、smartを3店舗、小型店を2店舗改装しました。

 以上の結果、当事業の売上高は714,921百万円(前連結会計年度比9.8%増)、セグメント利益は21,887百万円(同36.2%増)となりました。

 

(リテールAI事業)

 便利なお買い物体験の提供や店舗オペレーションの省力化を目指したリテールテクノロジーの開発及び導入拡大のための、投資を実施しております。積極的な投資を行う一方、赤字幅は縮小の兆しが見えつつあります。

 Skip Cartの導入推進(当連結会計年度末の当社グループ外での導入も含む導入店舗数:223店舗、導入台数19,579台)によって、決済時にレジの列に並ぶ必要がないなど、お客様視点の利便性が向上していると同時に、店舗のスループット(時間当たりのレジ通過客数)が上昇しています。

 以上の結果、当事業の売上高は918百万円(前連結会計年度比29.6%増)、セグメント損失は520百万円(前連結会計年度はセグメント損失452百万円)となりました。

 

(その他事業)

 不動産・リゾート事業について、新型コロナウイルス感染症の行動規制緩和が旅行需要を喚起しました。

 訪日外国人観光客の増加によって、福岡県宮若市や大分県玖珠郡九重町(くすぐんここのえまち)などにおいて運営している旅館などに徐々に回復の兆しが見え始めております。

 以上の結果、当事業の売上高は1,976百万円(前連結会計年度比59.9%増)、セグメント損失は16百万円(前連結会計年度はセグメント損失100百万円)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ82,988百万円増加し、283,627百万円となりました。これは主として、現金及び預金が68,048百万円、流動資産その他が1,888百万円、建物及び構築物が3,569百万円、機械装置及び運搬具が1,121百万円、土地が3,313百万円、投資有価証券が1,116百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ32,821百万円増加し、165,440百万円となりました。これは主として、買掛金が29,985百万円、未払法人税等が2,588百万円、未払消費税等が2,432百万円増加し、長期借入金が2,968百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ50,166百万円増加し、118,187百万円となりました。これは主として、増資によって資本金が19,677百万円、資本剰余金が19,674百万円増加したことに加えて、剰余金の配当1,265百万円と親会社株主に帰属する当期純利益11,439百万円の計上により利益剰余金が10,174百万円増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ68,048百万円増加して91,947百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は59,497百万円となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益18,693百万円、減価償却費11,925百万円、仕入債務の増加額30,560百万円を計上したことであり、主な減少要因は法人税等の支払額5,508百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は26,005百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が22,601百万円、敷金及び保証金の差入による支出が1,321百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1,559百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により得られた資金は34,503百万円となりました。これは主に、株式の発行による収入が39,355百万円、長期借入金の返済による支出が4,435百万円あったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

 当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

  至 2024年6月30日)

前年同期比(%)

金額(百万円)

流通小売事業

714,921

109.8

グロサリー

219,556

108.4

デイリー

131,646

111.0

フレッシュ

178,781

113.3

生活

85,783

107.4

ハード

71,458

115.0

アパレル

21,003

121.7

その他

6,692

51.7

リテールAI事業

918

129.6

その他事業

1,976

159.9

合計(注1)

717,948

109.9

 (注)1.販売実績の合計額には、事業セグメントに配分していない収益132百万円を含んでおります。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

3.「グロサリー」は菓子類などの加工食品、「デイリー」は卵や乳製品などの日配品、「フレッシュ」は生鮮四品(青果・精肉・鮮魚・惣菜)、「生活」は日用消耗品や家庭用品、「ハード」は家電製品などの耐久性商品、「アパレル」は衣料品を示しております。

4.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性がともなうため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 当社の連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 財政状態

 財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

ロ 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、717,948百万円となり、前連結会計年度から9.9%増加しました。

 店舗数は前連結会計年度末の285店舗から当連結会計年度末には318店舗となり、8店舗閉鎖した一方で、41店舗の新規出店(2023年10月に株式会社佐藤長より譲り受けた18店舗を含む。)をしました。また、主力のスーパーセンターを中心に30店舗を改装したこと、既存店売上高が5.8%増加したことなどにより、売上高は順調に推移しました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度の売上総利益は、142,352百万円となりました。また、粗利率は、集客ドライバーかつ収益性の高い「フレッシュ」の売上高が前連結会計年度より13.3%増加したことなどを要因として、19.8%となり、前連結会計年度から0.6ポイント増加しました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、125,684百万円となりました。

 生鮮加工・惣菜調理の機械化や、リテールテックの活用により生産性を改善しながら、人的資本へ積極投資した一方で、水道光熱費は電力料金単価の上昇幅が落ち着いたことなどを要因として、売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、17.5%であり、前連結会計年度から0.1ポイント増加しました。

 

(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業外収益は1,351百万円となりました。これは主に、持分法による投資利益533百万円及び助成金収入245百万円によるものであります。

 営業外費用は723百万円となりました。これは主に、固定資産除却損430百万円によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は19,789百万円となり、前連結会計年度から37.8%増加し、親会社株主に帰属する当期純利益は11,439百万円となり、前連結会計年度から41.5%増加しました。

 

ハ キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、新規出店や改装に係る設備投資等によるものであります。

 運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

 2023年1月1日より、株式会社白鳥ロジスティックシステムを「流通小売」から「その他」へ変更しておりますが、2022年11月30日付で新設分割した会社であり、前連結会計年度及び当連結会計年度のセグメント情報を変更後の区分方法により作成することが実務上困難であるため、前連結会計年度及び当連結会計年度の売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報は、変更前の報告セグメントの区分により表示しております。

 

1.報告セグメントの概要

 当社の報告セグメントは、当社の構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。

 当社は、サービスの提供形態別のセグメントから構成されており、「流通小売事業」、「リテールAI事業」の2つを報告セグメントとしております。

 「流通小売事業」は、主にディスカウントストア「トライアル」等の店舗を展開しております。

 「リテールAI事業」は、主に店舗のスマートストア化に向けた研究開発、スマートストアに係る製品販売及び業務受託を行っております。

 

2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額の算定方法

 報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、連結財務諸表を作成するために採用される会計方針に準拠した方法であります。

 報告セグメントの利益とその他事業セグメントの利益の合計は、営業利益の数値であります。

 セグメント間の内部売上高又は振替高は、主に市場価格に基づいております。

 

3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結財務諸表

計上額

(注)3

 

流通小売

リテールAI

売上高

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

651,167

708

651,876

1,236

653,112

653,112

セグメント間の内部売上高又は振替高

7

5,136

5,144

1,527

6,671

△6,671

651,174

5,845

657,020

2,763

659,784

△6,671

653,112

セグメント利益又は損失(△)

16,069

△452

15,617

△100

15,516

△1,552

13,964

セグメント資産

181,826

3,193

185,020

5,463

190,483

10,155

200,639

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

10,667

109

10,776

276

11,053

△203

10,849

持分法適用会社への投資額

2,771

232

3,004

3,004

3,004

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

19,030

150

19,181

386

19,568

△204

19,363

(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、不動産・リゾート事業を含んでおります。

2.調整額は以下のとおりであります。

(1)売上高の調整額△6,671百万円は、セグメント間取引消去△6,671百万円であります。

(2)セグメント利益又は損失(△)の調整額△1,552百万円は、未実現利益の消去等△390百万円、全社費用の純額△1,162百万円であります。

(3)セグメント資産の調整額10,155百万円は、セグメント間、その他及び振替高の消去△20,654百万円、各報告セグメント、その他に配分していない全社資産30,809百万円が含まれております。全社資産は、主に余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資産(投資有価証券)及び管理部門に係る資産等であります。

(4)減価償却費の調整額△203百万円は、セグメント間の消去等△236百万円、全社費用の33百万円であります。

(5)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△204百万円は、セグメント間の消去等△568百万円、全社資産363百万円であります。

3.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

その他

(注)1

合計

調整額

(注)2

連結財務諸表

計上額

(注)3

 

流通小売

リテールAI

売上高

 

 

 

 

 

 

 

外部顧客への売上高

714,921

918

715,839

1,976

717,816

132

717,948

セグメント間の内部売上高又は振替高

21

3,698

3,719

3,190

6,910

△6,910

714,943

4,616

719,559

5,166

724,726

△6,777

717,948

セグメント利益又は損失(△)

21,887

△520

21,366

△16

21,350

△2,189

19,161

セグメント資産

198,399

2,565

200,965

6,390

207,355

76,271

283,627

その他の項目

 

 

 

 

 

 

 

減価償却費

11,757

86

11,843

321

12,164

△239

11,925

持分法適用会社への投資額

3,418

214

3,632

3,632

3,632

有形固定資産及び無形固定資産の増加額

19,837

149

19,987

605

20,592

△326

20,266

(注)1.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、不動産・リゾート事業を含んでおります。

2.調整額は以下のとおりであります。

(1)売上高の調整額△6,910百万円は、セグメント間取引消去△6,910百万円であります。

(2)外部顧客への売上高の調整額132百万円は、事業セグメントに配分していない売上高であります。

(3)セグメント利益又は損失(△)の調整額△2,189百万円は、未実現利益の消去等△40百万円、全社費用の純額△2,148百万円であります。

(4)セグメント資産の調整額76,271百万円は、セグメント間、その他及び振替高の消去△18,366百万円、各報告セグメント、その他に配分していない全社資産94,637百万円が含まれております。全社資産は、主に余資運用資金(現金及び預金)、長期投資資産(投資有価証券)及び管理部門に係る資産等であります。

(5)減価償却費の調整額△239百万円は、セグメント間の消去等△309百万円、全社費用の70百万円であります。

(6)有形固定資産及び無形固定資産の増加額の調整額△326百万円は、セグメント間の消去等△415百万円、全社資産89百万円であります。

3.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

 

 

【関連情報】

 

1.製品及びサービスごとの情報

 報告セグメントと同一区分のため、記載を省略しております。

 

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高の金額が連結損益計算書の売上高の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

 

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。

 

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高の金額のうち、連結損益計算書の売上高の金額の10%を占める相手先がないため、記載を省略しております。

 

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

流通小売

リテールAI

その他

全社・消去

合計

減損損失

240

50

291

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

流通小売

リテールAI

その他

全社・消去

合計

減損損失

678

290

127

1,096

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

前連結会計年度(自2022年7月1日 至2023年6月30日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

流通小売

リテールAI

その他

全社・消去

合計

当期償却額

42

42

当期末残高

170

170

 

当連結会計年度(自2023年7月1日 至2024年6月30日)

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

流通小売

リテールAI

その他

全社・消去

合計

当期償却額

72

72

当期末残高

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。