リスク
3【事業等のリスク】
当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ニ.リスク・コンプライアンス委員会」に記載のとおりとなっております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
各リスクについて、発生可能性、影響度、発生時期は下記のとおりとなっております。
分類 |
リスク |
発生可能性 |
影響度 |
発生時期 |
(1)事業環境に係るリスク |
① 市場全般の景気変動によるリスク |
中 |
中 |
中期 |
② 優秀な人材の採用及び定着のリスク |
中 |
小 |
中期 |
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③ 技術革新への対応について |
低 |
中 |
中期 |
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④ 法的な規制について |
低 |
中 |
中期 |
|
(2)事業固有のリスク |
① 当社と競合するシステムの普及に伴う解約リスク |
中 |
中 |
短期 |
② 特定の他社事業サービスへの依存について |
低 |
大 |
中期 |
|
③ システム障害やサイバー攻撃によるリスク |
低 |
大 |
中期 |
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(3)その他 |
① 情報漏えいにより信用を失墜するリスク |
中 |
大 |
短期 |
② 潜在株式の顕在化による1株当たりの指標悪化のリスク |
高 |
中 |
中期 |
|
③ 特定の事業サービスへの依存について |
中 |
大 |
中期 |
|
④ 投融資について |
中 |
中 |
中期 |
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⑤ コンプライアンス違反による信用失墜のリスク |
低 |
大 |
中期 |
|
⑥ 訴訟等に関するリスク |
低 |
中 |
中期 |
|
⑦ 第三者の知的財産権を侵害するリスク |
低 |
大 |
長期 |
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⑧ 自然災害等に関するリスク |
低 |
大 |
長期 |
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⑨ 特定人物への依存について |
低 |
中 |
長期 |
|
⑩ 配当政策について |
中 |
小 |
長期 |
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⑪ 当社における経営管理体制・内部統制について |
低 |
中 |
長期 |
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⑫ 当社取締役の兼職について |
低 |
小 |
不明 |
(1)事業環境に係るリスク
① 市場全般の景気変動によるリスク(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:中期)
将来、経済情勢や景気動向の悪化等により、企業のITシステム投資等への低迷が生じた場合には、市場の拡大が当社の想定を下回る可能性があり、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社の顧客が属する不動産業界は、景気変動、経済情勢、金利動向、地価の動向、資材価格の高騰等の影響を受けやすい特性があり、これら景気変動等により当社がターゲットとしている不動産会社のITシステム投資意欲に影響し、当社の事業運営、経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人材の採用及び定着のリスク(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社が継続して事業拡大を進めていくためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が不可欠であると認識しております。そのため、継続的な人材採用や育成に加え、定着率向上に向けた各種施策を行っております。
しかしながら、優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合等には、経常的な業務運営及び事業拡大等に支障が生じ、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新への対応について(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社が属するインターネット業界においては、新技術の開発や新サービス出現のスピードが速く、顧客ニーズも早期に変化する等、変化の激しい業界となっております。当社では、最新の技術動向や環境変化に関する情報収集、優秀な人材の確保や教育によるノウハウの蓄積等に積極的に取り組み、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、何らかの理由で技術革新や顧客ニーズへの対応が遅れた場合や、新技術への対応のため想定を超える投資が必要となった場合、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法的な規制について(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社は、国内において基本的な企業活動に関わる法的規制に加え、クラウドサービスにおけるセキュリティ、個人情報及びプライバシー保護等の法的規制を受けております。これら当社に適用される法的規制の整備・強化が生じることにより、当社業務に制約が生じ、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社では外部の顧問弁護士等の専門家との連携、「個人情報の保護に関する法律」の当局となる個人情報保護委員会等の関連機関が提供する情報の収集を行うことで、当該規制の整備・強化に適時に対応をするよう努めております。
(2)事業固有のリスク
① 当社と競合するシステムの普及に伴う解約リスク(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:短期)
当社が事業を展開するマーケティング・オートメーションツール市場は、競合企業が複数存在しており、今後SaaS等のクラウド市場の普及に伴い、規模の大小を問わず競合企業が新規に参入する可能性があります。当社は、サービス開発力の強化や継続的なサービス改善活動により競争力の維持に努めておりますが、競合企業や新規参入企業との競争激化により、当社が想定している事業展開が図れない場合等には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の他社事業サービスへの依存について(発生可能性:低、影響度:大、発生時期:中期)
当社が提供するサービスは、安全性、安定性、拡張性及び価格等を総合的に勘案し、さくらインターネット株式会社が提供しているクラウドコンピューティングサービス「さくらのクラウド」を基盤として運営されております。さくらのクラウドのデータセンターの処理能力が、当社の求める処理能力を満たさない場合、さくらのクラウドに障害が生じた場合等には、当社が提供するサービスへのアクセスが中断又は遅延した結果、顧客からの信用が損なわれ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、さくらインターネット株式会社による経営戦略の変更、又は、価格改定等が行われた場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社では代替となり得るクラウドコンピューティングサービスを検討する等により、さくらのクラウドに障害が生じた場合であっても当社のサービスを継続して提供を行えるよう努めております。
③ システム障害やサイバー攻撃によるリスク(発生可能性:低、影響度:大、発生時期:中期)
当社が提供するサービスは、その基盤をインターネット通信網に依存しております。このため、大規模な自然災害やテロ、戦争その他予期せぬ原因によりインターネット通信網が使用できない状態が生じた場合は、当社のサービス提供の継続が困難となります。また、想定を超えるアクセス増加あるいはサイバー攻撃その他予期せぬ事象によるサーバーダウンや当社が提供するサービスの予期せぬ不具合の発生等により、サービス提供が停止する可能性があります。このような事態を避けるため、システムやサーバの冗長化や稼働状況の監視、品質管理体制の強化等の対策を講じておりますが、将来においてこれらのような事態が発生した場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他
① 情報漏えいにより信用を失墜するリスク(発生可能性:中、影響度:大、発生時期:短期)
当社は、顧客が保有する個人情報を委託により預かっております。また、当社自体の機密情報を保有、管理しております。これらの情報の外部への流出、破壊、改ざん等を防止すべく、当社では、委託先を含めた管理体制を構築し、各種規程の整備や役職員への継続的な教育を行っております。しかしながら、万一、当社の役職員の故意や過失により、これらの情報の外部への流失を発生させた場合には、当社の信用低下のほか、被害を受けた事業者や関係者による損害賠償の請求を受ける可能性があり、その場合は当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。更に、情報流出の原因調査の過程においては、通常業務の遂行に多大な影響を受ける可能性があります。
② 潜在株式の顕在化による1株当たりの指標悪化のリスク(発生可能性:高、影響度:中、発生時期:中期)
当社は、役職員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、当社の役職員に対して新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は17.41%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の事業サービスへの依存について(発生可能性:中、影響度:大、発生時期:中期)
当社の売上高はKASIKAに依存したものとなっております。このため、KASIKAの売上高が著しく減少した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、KASIKAを外部環境の変化に左右されず安定的な収益獲得が継続できるようその競争力の維持・強化に努めるとともに、他のサービスの開発・売上拡大を図り、KASIKAへの依存度を逓減させることが重要と考えております。
④ 投融資について(発生可能性:中、影響度:中、発生時期:中期)
当社は、現在において投融資を行っている事実はありません。しかしながら、今後の事業拡大のために、国内外を問わず出資、子会社設立、合弁事業の展開、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投資判断においては、投資先候補企業の事業内容を吟味し、当社との事業シナジーが得られること、投資先候補企業の事業計画、当社の財務状況や投資先候補企業への影響力等を考慮し、投資先候補企業の評価額が適切な水準であることを慎重に確認し、投資判断を行う予定です。ただし、投資先企業の事業が計画通りに進捗しない場合や投融資額を回収できなかった場合、減損の対象となる事象が生じた場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ コンプライアンス違反による信用失墜のリスク(発生可能性:低、影響度:大、発生時期:中期)
当社は会社設立以来、各種コンプライアンス上の法令、慣習、常識を厳守すべく、各種規程の整備や役職員への継続的な教育等、最大限の努力を重ねてまいりました。しかしながら、コンプライアンスのルールは年々、高度化し、深化していることもあり、法令の改正等による事業活動の影響を通じて、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、最新の法令及び各種ルールに対する情報収集に努めるとともに、四半期毎のリスク・コンプライアンス委員会において、最新の状況を確認し、更なる改善を目指すべく、意識の高揚を図っております。
⑥ 訴訟等に関するリスク(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)当社は、現在において訴訟を提起されている事実はなく、法令等遵守体制の強化を通じて訴訟等が提起されることを防止するべく努めております。しかしながら、将来の法的規制等の改正等に適時適切に対応できないことや各種契約等の解釈の齟齬が生じたこと等を原因とする訴訟が提起された場合、内容及び結果によっては当社の事業運営、経営成績、財政状態及び企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 第三者の知的財産権を侵害するリスク(発生可能性:低、影響度:大、発生時期:長期)
当社は、当社が提供するサービスが他社の保有する知的財産権を侵害しないよう、開発段階において採用したビジネスモデルや技術等については、必要に応じて適切な調査を実施しております。しかしながら、当社の事業領域において第三者が有する知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識していない知的財産権が既に成立している可能性、あるいは今後新たに成立する可能性があります。このような場合において、ロイヤリティ支払や損害賠償請求、事業の全部又は一部の差止により、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害等に関するリスク(発生可能性:低、影響度:大、発生時期:長期)
当社の本社は東京にあり、当地域内において地震、水害等の大規模災害が発生することにより拠点が被害を受けた場合、また当社施設内において、クラスターが発生する等、当社の想定を超える異常事態が発生した場合には、通常勤務が困難になることによりサービスレベルが低下する可能性等があり、その内容及び結果によっては当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事態を避けるため、勤務場所の分散化、リモートワーク時における安否確認方法の確立など異常事態が生じた場合でもできる限り業務への影響を低減することに引き続き努めてまいります。
⑨ 特定人物への依存について(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:長期)
当社の代表取締役である山本考伸は当社の創業者であり、創業以来代表取締役を務めており、当社の経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社は取締役会等の会議体を整備・運用するとともに、役職員への情報共有の強化を行うことにより、同人に過度に依存しない経営体制の整備・強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同人が当社の業務を継続することが困難になった場合には、当社の事業運営、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑩ 配当政策について(発生可能性:中、影響度:小、発生時期:長期)
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考えております。そのため当社は創業以来、配当を実施しておりません。
内部留保資金については、財務体質の強化と人員の拡充・育成をはじめとした収益基盤の多様化や収益力強化のための投資に活用する方針であります。
将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
⑪ 当社における経営管理体制・内部統制について(発生可能性:低、影響度:中、発生時期:長期)
当社は事業規模に応じた組織体制を志向しており、内部管理体制についても組織の規模に応じたものとなっております。当社は今後、業容の拡大に応じて人材の採用を行うとともに社内管理体制の強化・充実に努める予定であります。しかしながら、当社が事業の拡大に応じて適切かつ十分な対応ができなかった場合には、当社の事業遂行及び拡大に制約が生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 当社取締役の兼職について(発生可能性:低、影響度:小、発生時期:不明)
当社取締役である手塚恭庸は個人事業としてコンサルティングサービスを提供しておりますが、当該提供先の一部に当社の顧客数社が含まれております。当該個人事業は当社が運営する事業とは競業関係にはなく、また、当該個人事業を開始及び提供した契機も当社の取締役としての地位を援用したものではありません。
当社としては、手塚恭庸が当該個人事業を行うことは、不動産業界に対する知見を得られる等の当社取締役としてもメリットが認められることから、各種法令及び当社取締役としての法的義務を遵守すること、当社取締役としての業務に影響が生じない範囲に留めた態様(取引社数、時間等への上限設定等)とすること、当該個人事業について当社は一切の責任を負わないこと等を前提として、承認しております。
また、当社は手塚恭庸の当該個人事業について、毎月の取締役会においても手塚恭庸から個人事業の概況(取引社数、時間等)につき報告を受け、取締役会が承認した前提の範囲となっていることを確かめるとともに、当社取締役としての法的義務等に違反していないかを確認しております。
なお、仮に当該個人事業が当社との間において取り決めた遵守事項に違反する可能性が高まった場合には、当社は当該個人事業を解消させることを予定しております。
配当政策
3【配当政策】
当社は株主還元を適切に行っていくことが重要であると認識しており、剰余金の配当については、内部留保とのバランスを考慮して適切な配当の実施をしていくことを基本方針としております。しかしながら、本書提出日現在では事業も成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、業容拡大と効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、企業体質の強化及び将来の事業展開のための財源として利用していく予定であります。
また、剰余金の配当を行う場合、年1回の剰余金の配当を期末に行うことを基本的な方針としております。配当の決定機関は株主総会であります。また、取締役会の決議により、中間配当を行うことができる旨を定款に設けております。