2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

(1)業界の経済状況

 当社が販売している環境クリーニング機器業界の需要は、国内の景気全般、とりわけ製造業の国内設備投資動向とビルメンテナンス業界の企業業績の影響を受けます。

① 製造業

 製造業において、ISOやHACCPの認証取得や、5S・6S運動の一環として機器を導入する場合には景気動向の影響をあまり受けないものの、一般には設備投資意欲の低下や企業業績悪化に伴い機器の導入を見送ったり、買換サイクルが長くなることで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② ビルメンテナンス業

 当社では、従来より価格競争に巻き込まれない、機能において差別化できる商品の開発を進めております。

 しかしながらビルメンテナンス業者にとって当社の商品は生産財にあたりますので、景気や企業の業績が悪いからといって機器の導入を取りやめることはないものの、顧客の価格敏感性が高まることから、一部の商品で価格競争が激化します。そのため、当社の利益率に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ コンシューマー市場

 当社の業務用清掃・洗浄機器で培ったノウハウを基に新たな商品開発を進めております。こういった商品は同業他社等にキャッチアップされ同様の商品が販売され価格競争に巻き込まれ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)為替レートの変動

 当社の取扱商品は、約72%が欧米や中国メーカーからの輸入品であります。輸入仕入の支払は全て外貨建で行っており、通貨別の割合はユーロが21.3%、米ドルが76.8%でありました。

 当社では為替変動によるリスクヘッジとして、為替予約や為替レートを織り込んだ新商品へのシフト等により、為替変動による影響を最小限にとどめるようにしておりますが、一般的にはユーロ高、ドル高は仕入コストを押し上げることとなり、当社の利益率を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)商品開発力

 当社では、他社にない優れた商品の開発及び価格競争力のある商品の仕入先開拓を継続していくことが業績拡大の鍵となります。

 今後も市場にニーズがあると見込まれる商品をいち早く発掘し、市場を創っていくことを継続できると考えておりますが、当社が業界の市場をつかみきれず、機能もしくは価格面で魅力のある新商品を継続的に開発できないときは、将来の成長と収益性を低下させる可能性があります。

 

(4)特定の海外メーカーグループとの取引

 当社の海外仕入のうち、米国のミニッツマン社からの仕入が26.5%、中国のイーリー社からの仕入が25.3%、ニンボー社からの仕入が13.1%、及びイタリアのIPクリーニング社グループからの仕入が11.4%占めております。

 当社ではリスクヘッジと商品力の観点から、他メーカーからも同一カテゴリーの商品の仕入を行っておりますが、今後何らかの理由により、上記海外メーカーからの仕入がストップした場合には、一時的に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)輸入品の調達期間と販売の機会損失

 当社の出荷前商品は、全て船橋の配送センターで保管されております。同建物及び保管商品には災害に備えて保険を付しておりますが、輸入が主体であるため、万が一保管商品がダメージを受けると次の商品入荷まで約2ヶ月を要します。その期間中は、重点販売商品を国内仕入商品にシフトするとともに、数ヶ月先の受注活動に力を入れることで、業績への影響を最小限に留めることができると考えておりますが、これらの調達期間の長期化が当社の業績へ悪影響を与える可能性があります。

 

(6)商品の欠陥

 当社が販売している商品の製造物責任は、一義的に製造メーカーが負いますが、輸入商品に関しては販売者である当社も製造物責任を負います。当社では販売前に、安全性に関するテストを行い、当社の安全基準に合格したものだけを販売しておりますが、全ての商品に欠陥がなく将来製造物責任を問われることがないという保証はありません。

 また、商品の警告表示や取扱説明の瑕疵等に起因する事故が発生する場合、当社が責任を負う可能性があります。

 そのため当社では、不測の事態に備えて製造物責任保険を付しております。しかし、損害賠償額が保険で補償される金額の範囲内で納まるとは限りません。万一、当社に損害賠償責任が生じた場合、メーカーに対し求償を行うにせよ、場合によっては賠償費用を当社が負担せざるを得なくなることで、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)土地の含み損

 土地の再評価に関する法律(1998年3月31日公布 法律第34号)に基づき再評価を行った事業用所有地については、その後の地価下落により、2024年3月末において415百万円の含み損が発生しております。現在これらの事業用所有地に遊休状態になっている物件はありません。また、これらの事業用所有地を売却する方針はありませんが、仮に売却等した場合には、含み損が実現し、当社の業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保

 当社は、現場密着型の提案(実演)販売という営業スタイルをとっており、これが競合他社との差別化に繋がっております。そのため、今後も事業規模を拡大していくためには、優秀な人材の確保と育成が不可欠となっております。当社ではこのような認織のもと、新卒・中途を問わず積極的かつ効率的に採用活動を継続してまいりますが、業容拡大に対して十分な人員を確保できなかった場合には、実演販売の機会等が減少することで当社の業績へ悪影響を与える可能性があります。

 

(9)仕入契約

 当社は、これまで培った日本国内での販売実績等を背景として、主に海外メーカーとの仕入価格や仕入数量等の交渉を有利に展開するため、仕入開始にあたって基本契約書を締結しておりません。現在、こうしたいわゆる紳士協定での取引関係において問題は発生しておらず安定的な仕入を確保できておりますが、今後におきまして仕入先各社の経営方針等に変更が生じ、当社が基本契約書を締結せざるを得ない事態が起きた場合は、当社に不利な条件を承諾させられる可能性があり、当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)自然災害等

 地震等の自然災害、また大規模事故やテロといった当社で予測不可能な外的要因により、営業拠点及び配送センター等が壊滅的な損害を受ける可能性があります。そのような場合、当社における出荷や販売体制に影響が及び一時的に売上が低下する等、当社の業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)その他のリスク

 2019年度末において、新型の感染症が世界中に拡大され、当社の主要仕入国である米国やイタリア、中国等の経済活動が一時停止しましたが、当社においては数ヶ月間の在庫を確保することで業績への影響低減に努めておりますが、今後、再び世界的感染拡大が進行し、主要仕入国においてロックダウン等により経済活動が停止した場合は、商品の確保が困難になるほか、国内においても緊急事態宣言により、取引先の休業、在宅勤務等が長期化した場合は清掃の需要や実演する機会が減少することにより、販売が低迷し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益配分と会社の体質強化のための内部留保との調和を図りながら、配当につきましては2年後に迎える70周年までの配当については安定配当の方針としております。今後の配当金額の決定につきましては、長期的な観点で当社株式を保有していただくため、当社の事業展開や財務状況のほか会計基準の変更等特殊要因による業績変動等を総合的に勘案し、1株当たり100円の安定的な配当を行ってまいります。

 当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回を基本方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。

 なお、当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり100円(うち中間配当50円)としております。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場規模の拡大・アフターサービス体制の強化を図るため有効投資してまいりたいと考えております。

 なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月9日

取締役会決議

271,389

50

2024年6月27日

定時株主総会決議

271,381

50