2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社グループの事業環境におけるリスク

①ブライダルマーケットについて

 厚生労働省に所属する国立の研究機関である国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によりますと、今後、わが国における結婚適齢期といわれる男女の人口が縮小傾向にあると予測されており、2023年4月の発表では2070年には日本の総人口は8,700万人まで減少すると推計されております。また、同世代の未婚率は上昇傾向にあり、ブライダルマーケット全体が縮小することが懸念されます。今後、マーケットが縮小した場合には、国内市場における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②婚礼スタイルに対する意識・嗜好の変化について

 当社グループは、時代のニーズやファッション・トレンドを把握し、潜在的な顧客嗜好を喚起し得る婚礼スタイルの企画・提案に努めておりますが、婚礼スタイルに対する意識・嗜好の変化に対応できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③その他外部環境について

 a.競合および新規事業者の参入について

 ホテルや専門式場が既存施設のリニューアルを通じて、ゲストハウス・ウエディングへ進出するほか、異業種からの新規参入など、業界における他社との競合状況が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 b.法的規制について

 国内における当社グループの事業に関する法的規制、すなわち飲食の提供に関する食品衛生法等による規制、顧客との契約に関する消費者契約法等による規制、ならびに挙式・披露宴会場およびドレスショップの建築・改装に関する建築基準法等の法令または各種条例等による規制等に抵触した場合、もしくは大規模な法令改正が行われた場合には、事業運営や店舗展開に支障が生じるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 c.海外情勢について

 海外において大規模な政変、経済情勢の変動、関係法令等の改正、戦争、テロまたは自然災害等が発生し、当社グループの海外での事業展開や商品等の輸入の停止に伴い婚礼事業に影響が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)当社グループの事業内容におけるリスク

①人材の確保と育成について

 当社グループは継続的な出店とサービスの充実を図るためには、優秀な人材の確保と育成がなにより重要であると考えており、国内外で積極的に採用活動を行うとともに、採用した人材に対しては各々の職場におけるOJT教育のほか、職種や職位に応じた様々な研修等を計画的に実施しております。

 しかしながら、人材の確保、育成が当社グループの出店計画に追いつかない場合には、計画どおりの出店や顧客に対するサービスレベルの維持が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②業績または財務面等について

a.売上収益の季節変動について

 当社グループは、挙式・披露宴が4月と5月が属する第2四半期および10月と11月が属する第4四半期に多く施行される傾向があることにより、売上収益についても同時期に集中する傾向があります。当社グループでは、これらの時期の婚礼施行組数が低迷した場合においては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

2023年12月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上収益(千円)

3,330,090

4,921,223

3,907,131

6,106,929

18,265,376

構成比率(%)

18.2

26.9

21.4

33.4

100.0

b.非金融資産の減損について

 当社グループは、2023年12月31日現在、主に2016年12月のLBOにより生じたのれん11,203百万円を連結財政状態計算書に計上しているほか、その他の有形・無形の非金融資産を保有しております。

 今後、これらの非金融資産に係る事業の収益性が低下する場合、当該非金融資産の帳簿価額と回収可能価額の差を損失とする減損処理により、当社グループの財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社グループにて実施している非金融資産の減損テストについては後記「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 14.非金融資産の減損」をご参照下さい。

 

c.食材等の価格高騰について

 当社グループは、食材等の調達や店舗で使用する水道光熱費について、地政学的リスクや気候変動、自然災害およびパンデミック等の予測の困難な要因により食材等の調達不安や価格高騰が発生した場合には、売上原価の上昇等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、これらのリスクに対し、婚礼プランの見直し等により対応を行っておりますが、当社グループがかかる価格の高騰を販売価格に転嫁することができない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

d.為替変動の影響について

 当社グループは、婚礼衣裳や食材等の一部について海外から調達を行っており、これらは為替変動の影響を受けております。当社グループでは必要に応じて販売価格の見直しを実施しておりますが、為替レートが大きく変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③事業運営について

a.店舗展開について

 国内における挙式・披露宴会場ならびにドレスショップの新規出店に際しては、周辺環境や地域の特異性等から当社グループが対象とする顧客層および想定される施行単価を考慮した上で、店舗の採算性、人材確保ならびに投資計画を個別に検討し、出店候補地を決定しております。しかしながら、出店条件に合致する候補地が見つからない場合、新規出店先で想定した収益性を確保できない場合、または施設の経年劣化等により既存店の収益性が著しく低下した場合などは、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

b.衛生管理について

 当社グループは、国内におけるすべての挙式・披露宴会場、レストランにおいて、食品衛生法に基づき所轄保健所より営業許可証を取得し、食品衛生責任者を配置しております。また、食中毒等の防止のため食品衛生マニュアルを策定し、定期的な検便や日常の体調管理など従業員の衛生管理を徹底しております。さらに専門機関による定期的な各種衛生検査を実施しております。これらの衛生管理上の諸施策の実施にも関わらず、当社グループの施設において衛生上の問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、営業許可証は一定期間において更新の必要があることから、その更新が出来なかった場合においては事業の継続に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

c.天災地変等不可抗力による店舗運営への影響について

 当社グループは、地震や津波等の自然災害、疫病の流行、停電・断水の発生等の突発事象が発生しても、機動的かつ組織的な対応ができるよう社内の連絡体制を整備しております。また、必要に応じて危機管理対策本部を立ち上げ、被害に関する情報を同本部に集約し、また同本部より各施設に対して直接指揮命令を行うことで、事業の継続または早期の再開・復旧を図ることとしております。しかしながら、これら事象の発生により当社グループにおける挙式・披露宴会場、ドレスショップおよびレストランの運営に支障が生じ、かつその復旧に多大なコストまたは長い期間を要する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④個人情報の管理について

 当社グループは、事業を行うにあたって新郎新婦をはじめとした多数の顧客の個人情報を取り扱っております。これらの個人情報を保持し、セキュリティを確保するために、当社グループでは、外部からの不正アクセスまたはコンピュータウイルス等の侵入を防止し、内部からの情報流出の有無を監視できるシステムを整備するとともに、「個人情報保護基本規程」およびマニュアルを制定し、社内教育の徹底および運用管理を行っております。しかしながら、これらの措置にもかかわらず、個人情報が漏洩した場合には、法的責任を課される危険性があります。また、法的責任まで問われない場合でも当社グループに対する社会的信用の低下により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤多額の借入金および金利変動リスクについて

当社グループは、事業資金を金融機関からの融資契約(シンジケートローン)を含む借入により調達しており、借入金に占める株式会社三菱UFJ銀行から借入の割合が高くなっております。

なお、2023年12月31日現在における総資産に対する借入金の割合は40.5%となっております。当社グループは、中長期的に借入金の削減を行っていく予定ですが、かかる削減が進行しない場合、借入金および金融費用・支払利息の計上により、当社グループの財政状態および業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの借入金のほとんどについては変動金利となっているものの、現在の金利動向等に鑑みて、当社グループは金利変動へのヘッジを行っていないことから、市場金利の上昇等により調達金利が変動した場合には、当社グループの業績、財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。なお、2023年12月31日現在における借入金総額は13,088百万円であり、借入金総額のうち変動金利の割合は91.9%となっております。借入金残高、金利水準等の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 17.借入金およびその他の金融負債」に記載しております。

 

⑥借入金に係る期限の利益の喪失リスクについて

 当社グループが締結している融資契約(シンジケートローン)に基づく借入金については、一定の財務制限条項が付されております。かかる財務制限条項は、純資産維持および利益維持に関する一般的な数値基準を設けるものであり、本書提出日現在において財務制限条項には抵触しておりませんが、仮に今後これらに抵触し、かつ貸付人の請求がある場合は、当社グループは当該契約上の期限の利益を失うこととなります。

 また、金融市場の混乱や金融機関の融資姿勢の変化等により借換えが困難になった場合においては、契約期間の終了とともに当該契約上の期限の利益を失うこととなります。

 これらの事象が生じた場合においてはただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり、当社グループの財政状態およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

⑦感染症拡大および自然災害等に係るリスク

 感染症の拡大や大規模な自然災害等の発生に対し、当社グループにおきましては、行政からの要請や業界団体の指針等に従い、お客様、従業員および関係者の安全の確保を最優先に取り組んでまいりますが、これらの事象が生じたことにより社会活動および経済活動が制限された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について

 当社では、取締役、従業員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を用いたストック・オプション制度を採用しております。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。

 なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は1,840,000株であり、発行済株式総数25,000,000株の7.4%に相当しております。

 

(3)大株主に関するリスク

 当社は、国内の独立系の投資会社ポラリス・キャピタル・グループ株式会社が投資助言を行うファンド(運用開始時期2012年7月)から、純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在では当該ファンドが当社の大株主となっております。

 当該ファンドは今後、所有する当社株式の一部を売却する予定でありますが、相当数の当社株式を保有する可能性があることから、その保有・処分方針によっては、当社株式の流動性および株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。また、当該ファンドが相当数の当社株式を保有する場合、当社の役員の選解任、他社との合併等の組織再編、減資、定款の変更等の当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性がありますがその程度や当該リスクが顕在化する可能性、時期については現時点で認識しておりません。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、新店出店に伴う設備投資など、先行投資等が業務拡大に必要不可欠であるものと認識しており、財務体質の安定強化と中長期的な成長に繋がる原資とするための内部留保を充実させるとともに、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付け、利益水準と財務状況を総合的に勘案して弾力的な利益還元策を行うことを方針としておりますが、当事業年度の配当につきましては、将来の事業展開と経営体質を強化し、必要な内部留保を確保するため、配当を実施しておりません。

 また、内部留保資金の使途については、設備投資資金および財務体質改善のための財源として、有効に活用していく方針であります。

 なお、剰余金の配当を行う場合は年1回期末での配当を基本方針としており、配当の決定機関は株主総会であります。

 当社は、会社法第454条第5項に規定する中間配当を取締役会の決議により行うことができる旨を定款に定めております。