リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、必ずしもリスク要因に該当しない事項でも積極的に開示しております。なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の損失最小化に努めておりますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。以下の記載は、当社株式への投資に関する全てのリスクを網羅するものではありませんので、ご留意ください。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではなく、実際の結果とは異なる場合があります。
(1) 経済情勢と不動産市況の動向について
当社グループの属する不動産業界は、経済情勢、地価動向、金利動向、住宅税制等の影響を受けやすいという特性があります。一般に、経済情勢の悪化や所得の低下等により将来設計の先行き不安等の状況が生じた場合には、お客様の住宅購入意欲の減退につながり、不動産市況全体の販売価格が下落することで、当社グループの中古再生住宅も当初計画した販売価格よりも値下げして販売する可能性があります。当社グループの中古再生住宅は、市場価格の影響を受けにくい地方での取り扱いが多いものの、市況の影響により値下げ販売を行う物件が増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は地方都市、リプライスは三大都市圏の郊外及び地方都市の中心部をターゲットエリアとしていますが、ターゲットとする地域の経済環境の悪化や、地方都市から都市部への人口流入や少子高齢化等による日本全体の人口動態、中古再生住宅に対する消費者志向の変化等の影響を受けます。当社グループの属する既存住宅流通市場の全体規模が、当社グループが見込むほどに成長しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 消費税等の増税について
当社グループが取り扱う商品である中古再生住宅は、一般家庭で購入する最も高額な耐久消費財と言われていることから、消費税率の動向により需要が大きく左右される特性があります。消費税等は、住宅の土地・建物の建物部分に課されることから、経年により建物価格が償却された中古再生住宅は、新築住宅に比して消費税増税の影響は小さくなっております。しかしながら、消費税率が引き上げられた場合、家計の実質所得の目減りとなることから個人消費を抑制する要因として、お客様の住宅購入意欲の減退につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 住宅ローン金利の変動について
当社グループの中古再生住宅を取得・保有するにあたっては、約8割のお客様が住宅ローンを利用されております。住宅ローンの金利は、経済情勢の変動や日銀の政策的な金利調整により大幅に変動する可能性があります。住宅ローンの金利が大幅に上昇した場合には、月々の住宅ローン支払い負担の増加や金利変動への不安感から、お客様の住宅購入意欲の減退につながる可能性や、金融機関からの住宅ローンの貸し付け条件が厳しくなる可能性があります。これらの事象が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 不動産に係る税制について
当社グループの中古再生住宅を取得・保有するにあたって不動産取得税、固定資産税等の各種の租税公課が発生します。現在、国策として住宅の取得を推進しているため、不動産取得税の税率軽減措置や固定資産税の負担調整措置等の税負担の軽減措置が講じられております。しかしながら、上記の税負担の軽減措置が行われなくなった場合、住宅の取得・保有にかかる負担が増加することから、お客様の住宅購入意欲の減退につながり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害及び人為的災害等について
当社グループの中古再生住宅は、地震・火災・水害等の自然災害や大規模な事故やテロ行為等による人為的災害により滅失又は毀損した場合には、販売不能になる又は販売価値が著しく低下する可能性があります。また、大規模地震対策特別措置法第3条第1項に定める地震防災対策強化地域として指定された地域での営業を行っていることから、当該地域にて自然災害が発生した場合には当社グループの中古再生住宅が販売不能又は販売価値が著しく低下する可能性があります。当社グループは、全国に事業展開を行っており、保有在庫を分散しているため在庫1件の損壊による影響は少ないと考えております。しかしながら、災害による損害が甚大に発生した場合や、災害等によりリフォーム協力会社・不動産仲介会社において事業を停止せざるを得ない状況が生じた場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 感染症や伝染病等の流行による影響について
感染症や伝染病等の流行により、本部機能の停止、店舗の営業活動の停止及び国内外での流通制限等により当社グループの事業活動に制限が生じる可能性があります。当社グループは、地方都市及び三大都市圏の郊外をターゲットエリアとしているため、人口密度や人の流れが都心部に比べて少ないため伝染病等の流行による影響は相対的に限定されるものと判断しております。しかしながら、感染者の拡大により社会的・政治的混乱の発生による経済活動に著しい停滞等が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 競合他社の参入について
当社グループの属する不動産業界における主な法的規制は宅地建物取引業法であり、宅地建物取引業免許を有していれば参入することができます。現状では、大手の新築ハウスメーカー、大手不動産仲介会社、パワービルダー及びマンションリノベーション業者等は買取再販事業には積極的に参入しておりません。また、住宅を仕入れてリフォームして販売するというビジネスフローの中のステークホルダーであるリフォーム協力会社及び不動産仲介会社が中古住宅再生事業に参入した場合にも競合他社となりえますが、現状ではこれらの企業も積極的に中古住宅再生事業に参入しておりません。他方、リプライスがターゲットエリアとする三大都市圏の郊外及び地方都市の中心部については、競合他社が多いことから競争が激しくなりやすい市場といえます。今後、当社グループより知名度や資金力等の経営資源に優れた競合他社が参入した場合、当社グループの優位性が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 中古住宅の仕入について
当社グループが営む中古住宅再生事業においては、中古住宅を安価に仕入れることが重要となります。当社グループは、地方部での築年数の古い物件から都市部での築年数の浅い物件まで幅広い仕入とリフォームを行うノウハウを有しているものの、不動産市況や競争激化等による価格の変動、資金調達余力や労働力の不足、災害、風評被害等、何らかの事由により安定的に中古住宅の仕入が行えなくなる可能性や買取価格が上昇する可能性があります。当社グループは、安定的な中古住宅の仕入のために認知度の向上や不動産仲介会社との緊密な関係の構築を図っているものの、安定的な中古住宅の確保が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 棚卸資産の保有期間の長期化について
当社グループでは、中古住宅の仕入前に周辺の住環境の調査や不動産仲介会社へのヒアリングによるニーズ調査等を実施して、住宅購入ニーズがあるとの調査を行った上で仕入を行っているものの、不動産市況が悪化した場合、価格や立地等のニーズ調査の認識を誤った場合、商品化の過程で当初想定していない瑕疵が発見された場合、リフォーム中に事故等が生じた場合、リフォーム協力会社が倒産した場合等において、棚卸資産の保有期間が長期化する可能性があります。当社グループは、長期化した棚卸資産について、販売可能見込価格までの低価損の計上や経過期間に応じた評価損の計上により未然に会計上の手当てを行っているものの、長期化した棚卸資産の保有比率が高まる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 訴訟等について
当社グループには、現段階において業績に重大な影響を及ぼす可能性のあるお客様との大きなトラブルはありません。また、物件1件当たりの住宅の価格は少額であり、訴訟となった場合でも訴額の金額的重要性は低いものと判断しております。しかしながら、当社グループの中古再生住宅は、中古住宅にリフォーム工事を行って販売するという商品特性から、契約不適合となる事由等により購入されたお客様とのトラブルが発生する可能性を内包しています。当社グループは、今後も継続して中古再生住宅の仕入前の物件の徹底した調査とリフォーム品質の徹底した管理によりお客様満足度の向上を図ってまいります。しかしながら、訴訟等が発生することで当社グループの信用を大きく毀損する可能性もあり、また、これに対応するための費用が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 国税当局からの更正処分等及び更正処分等の取消しを求める訴訟について
当社グループは、国税当局より下記のとおり「消費税及び地方消費税の更正通知書並びに加算税の賦課決定通知書」に基づく更正処分等(以下、「更正処分等」という。)を受領しております。
対象会社 |
対象決算期 |
受領日 |
国税当局 |
更正処分等により 当期純利益に与えた 影響額 |
カチタス |
2016年3月期から 2019年3月期まで |
2020年4月28日 |
関東信越国税局 |
1,528百万円 |
カチタス |
2020年3月期から 2021年3月期まで |
2022年7月11日 |
関東信越国税局 |
1,739百万円 |
リプライス |
2018年3月期から 2022年3月期まで |
2023年4月27日 |
名古屋中税務署 |
903百万円 |
当社グループは、国税当局からの更正処分等は到底承服できるものではないため、国税当局に対し更正処分等の取消しを求める訴訟(以下、「本件訴訟」という。)を提起し、現在係争中であります。
本件訴訟については、2023年5月25日に東京地方裁判所より、国税当局の主張を認め、更正処分等の取消しの求めを棄却する旨の判決(以下、「原判決」という。)の言渡しを受けたため、当社は原判決を不服とする東京高等裁判所宛ての控訴を提起(以下、「本件控訴」という。)することを2023年6月8日開催の取締役会において決議し、以降、双方から主張を行い、2024年3月14日に結審し、2024年5月30日に東京高等裁判所より、当社の更正処分等の取消しの求めを棄却する旨の判決(以下、「控訴審判決」という。)の言渡しを受けました。
なお、当社グループは、原判決の結果を受け、当社グループの従来の計算方法と国税当局が主張する計算方法との乖離する差額を算定し、2023年3月期までの差額については特別損失等として計上しております。また、2024年3月期より当社グループの従来の計算方法と国税当局が主張する計算方法との乖離する金額を事後的に算定し、販売費及び一般管理費として計上することとしており、消費税の納税も行うこととしているため、営業利益以下の段階利益への影響は生じない計算方法に変更しております。
しかしながら、本件控訴の上告審において、当社グループの主張が認められず、国税当局の見解が認められた場合には、消費税の計算方法の修正を要する可能性があるため、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 会計及び税制について
当社グループは、日本における会計基準及び法人税をはじめとした各種の税制が適用されております。日本における新たな会計基準の適用や新たな税制の導入又は既存の税制の廃止・変更によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、上述の「国税当局からの更正処分等及び更正処分等の取消しを求める訴訟について」以外にも税務申告における国税当局との見解の相違が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 人材の確保と育成について
当社グループは全国展開を行っていることから全国での人材採用が必要となります。また当社グループの属する不動産業界での競争優位性を維持・向上させるためには不動産に関する専門的な知識を有し、事業成長のためにチームマネジメントを行うことのできる人材の確保が必要です。さらに仕入対象となる物件情報を入手するための不動産仲介会社への訪問から仕入対象物件の調査と選定、リフォームの企画、販売活動と一連の工程を当社グループの社員が一気通貫で行っていることから、確保した人材に対して一連の工程を高いレベルで実施する能力の育成が重要となっております。こうした観点から、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、当社グループは、2013年4月採用以降、継続して新卒の定期採用活動を行っており、今後も安定した新卒採用と即戦力となる中途採用を並行して行うことにより、さらなる事業規模の拡大を図ってまいります。しかしながら、計画に基づく採用ができなかった場合、教育研修の成果が発揮されなかった場合及び短期間に多くの人材が流出してしまった場合等には、競争力が低下する可能性、人材を確保のための採用コストや報酬額の増加等が生じる可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 経営陣への依存について
当社グループの戦略決定及び事業運営は、事業に関する豊富な経験と知識およびノウハウを有する現在の代表取締役及び業務執行取締役を中心とした経営陣による討議の結果、意思決定され、運営されております。当社グループでは組織的な経営体制の構築や人材育成を進めているものの、当該経営陣が当社グループから離脱する場合、代替的人材を迅速に確保することができない場合又は同水準のコストで確保できない可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 法的規制や免許・許認可事項について
当社グループの単一セグメントにおいては、以下の様な法令等に基づいて事業を運営しており、これらの法的規制を受けております。
セグメントの名称 |
主な適用法令 |
中古住宅再生事業 |
宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、住宅の品質確保の促進等に関する法律、個人情報の保護に関する法律等 |
当社グループは、上記の法令等を遵守し、現時点において法令違反等の事象は発生しておりません。当社グループでは、コンプライアンス担当役員及び管理本部を中心に研修等を行うことで、役職員に対するコンプライアンスの徹底を図っております。しかしながら、将来に何らかの理由により、法令違反の事象が発生した場合や、規制の強化や費用負担を招きかねない法令等の大幅改正が行われた場合、何らかの理由により免許、登録、許可の取消等の処分を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、法的規制について、その有効期間が法令等により定められているものは下表のとおりであります。
(許認可等の状況)
会社名 |
免許・許可等 |
有効期間 |
関係法令 |
取消条項 |
株式会社カチタス |
宅地建物取引業者免許 国土交通大臣(7)第5475号 |
自 2024年3月29日 至 2029年3月28日 |
宅地建物 取引業法 |
同法第5条 及び第66条 |
株式会社リプライス |
宅地建物取引業免許 国土交通大臣(3)第7920号 |
自 2019年10月21日 至 2024年10月20日 |
宅地建物 取引業法 |
同法第5条 及び第66条 |
(16) 契約不適合責任について
当社グループでは販売する中古再生住宅に対し、民法及び宅地建物取引業法の規定に基づき、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。当社グループにおいては、品質管理を徹底するためにリフォーム工事が完工した際には、必ず独自のチェックリストを用いてリフォーム完了チェックを行っており、在庫1件当たりの契約不適合箇所の補修金額は少額となっております。また、工事保証引当金を計上することで契約不適合箇所の補修を含む将来の瑕疵の補修に要する費用を見込んでおります。しかしながら、新築時には他社が施工を行った物件を仕入れていることから初期施工の不具合や経年劣化による不具合等が潜んでいる可能性があります。当社グループから販売・引渡し後に多額の補修費用を要する契約不適合箇所が発見された場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) ブランドイメージの毀損による影響について
当社グループのブランドは、当社グループの事業の成功にとって重要な要素です。当社グループのブランドイメージは、提供する中古再生住宅の欠陥・品質不良又はその風評、顧客からの苦情及び当社グループの従業員やリフォーム協力会社・不動産仲介会社等の第三者が関与する不適切行為その他事故等が生じた場合に損なわれる可能性があります。また、ネガティブなイメージは、従業員の就労状況への不満等、メディア報道又はインターネット若しくはSNSサイトへの不適切な書き込み等によっても生じる可能性があります。
当社グループにとって好意的でない評判によりブランドイメージが毀損した場合には、その真偽にかかわらず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 国が進める中古住宅に関する各種施策による影響について
当社グループの中古再生住宅は、自社で仕入前及び商品化後のチェックを重点的に行う等、品質の維持・向上に努めていると共に、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っていることからも第三者によるリフォーム・耐震診断は一律には実施しておりません。特に当社は、買取内覧時に自社だけでなく、リフォーム協力会社及び白蟻調査会社の三者による立会検査を行っており、リフォームの際にも累計販売戸数7万件以上の中古住宅の再生販売を行ってきたリフォームのノウハウを明文化してリフォーム協力会社に開示し、リフォーム工事の品質を確保し、自社基準のインスペクションを実施しております。しかしながら、国が進める中古住宅に対する施策が、当社グループが想定する施策を超える内容となった場合等(例えば、中古住宅の流通時に全ての住宅に国が認定した第三者によるインスペクションの実施が義務化された場合、耐震診断の実施が義務化された場合、長期優良住宅制度や中古住宅の性能表示制度が義務化された場合、長期優良住宅制度や中古住宅の性能表示制度で求める品質基準が当社グループで標準としている中古再生住宅の品質基準と大幅に異なる基準に変更された場合、中古住宅の省エネ対策等が新築住宅と同等程度の省エネ基準を求められた場合、その他国が進める住宅取得促進の政策の中で中古住宅が除かれた場合等)は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 気候変動について
近年、気候変動が原因の一つとされる異常気象や自然災害が頻発しており、持続可能な社会の実現に向けて気候変動問題への取組みが重要な経営課題であると認識しております。当社グループは、日本の社会的なストック資源である中古住宅を、リフォーム済みの再生済み住宅として有効活用することを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していると自負しております。しかしながら、全世界的な気候変動問題に対応するために、当社グループを取り巻く環境は大きく変化する可能性があります。
移行リスクにおいては、省エネルギー規制や廃棄物処理に関する規制等の政策的な規制、炭素税導入等による炭素集約度の高い建材や部材等の調達コストの上昇や水道光熱費の上昇のリスクがあると判断しております。
物理的リスクにおいては、高温多湿による住宅寿命の低下による中古住宅の仕入機会の減少、リフォーム協力会社が屋外で作業する際の作業効率の低下、空調コストの増加、自然災害の増加等のリスクがあると判断しております。
当社グループでは、中古住宅再生事業そのものが気候変動問題の解決に寄与するビジネスモデルであると判断しているものの、これに加えて当社グループにおける直接排出(Scope1)及び間接排出(Scope2)を削減すべく非化石証書付き実質再生可能エネルギーの電力への切り替え等により気候変動リスクに対応を行っております。
しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響等により、さらに多くの対策コストが必要になった場合、あるいは想定外の経済・社会環境の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 個人情報等の管理について
当社グループは、個人情報等、重要な情報を多数取り扱っております。当社グループにおいては、「個人情報の保護に関する法律」に基づき、社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じると共に、役職員等に対して個人情報保護に係る研修を定期的に実施することで情報漏洩と不正使用を未然に防止するように努めております。しかしながら、人為的なミスや内外からの何らかの不正な方法で当社グループが保有する個人情報が漏洩したことにより、当社グループの信用力が低下した場合や多額の賠償責任を負った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(21) リフォーム工事について
当社グループの中古再生住宅は、リフォーム協力会社にリフォーム工事を外注して施工を行っております。これは、当社グループが全国に事業展開していることから、自社でリフォーム工事の施工部署を設けることによる人的コストや物件までの移動コストと外注コストを比較考量した結果です。当社は、リフォーム協力会社のリフォーム工事の品質管理のために「当社の求めるリフォーム品質の明文化」、「独自に制定したリフォーム発注フォーマットに則った工事発注」、当社及びリプライスでは、「工事担当部署の設置」及び「独自のチェックリストでのリフォーム完了チェック」を行うことでリフォーム協力会社のリフォーム工事の品質を確保しております。また、リフォーム工事担当部署及び営業現場である各店舗において、特定のリフォーム協力会社が業務過多で工期を遵守できないといった状況を未然に防止する目的から、新規のリフォーム協力会社の発掘を積極的に行っております。しかしながら、リフォーム工事を外注先に依存していることから、大工不足等により外注コストが増加した場合や、リフォーム工事の品質管理を十分に行わなかったこと等によりリフォームの品質すなわち販売物件の品質が低下した場合、工期が大幅に遅延した場合等には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(22) 木材等の調達について
当社グループの中古再生住宅のリフォーム工事では、柱、梁、羽柄材、ベニヤ、構造用合板等の木材等を利用しております。当社が行うリフォーム工事は、上述の柱や梁といった構造部分に対する工事は限定的なため、新築住宅の竣工に用いる木材使用量に比して当社のリフォーム工事で用いる木材使用量は約1/7程度となっております。
上述の通り木材使用量が新築住宅の竣工に比して少ないことから、木材等の調達は当社グループでは行っておらず、リフォーム工事を発注するリフォーム協力会社が地元の木材店やホームセンター等の大手量販店で購入しております。そのため、リフォーム協力会社における木材等の調達が著しく遅延した場合や調達価格が著しく上昇した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 資材等の調達について
当社グループの中古再生住宅のリフォームに用いる資材(例えば、システムキッチン、トイレ、洗面台及びユニットバス、給湯器等の水回り資材。床材、クロス、木材及び接着剤等の内装資材。ペンキ、コンクリート及び敷石等の住宅外部用の資材)は、外部調達による方法で仕入れております。調達先の選定は、複数のメーカーと取引を行うことで特定少数の調達先に依存しないように努めております。しかしながら、調達先が何らかの事象により同時に受注・生産が停止して資材の調達が困難になった場合や資材の調達コストが著しく上昇して販売価格へ転嫁することが難しい場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(24) 多額の借入金、金利の変動及び財務制限条項への抵触について
当社グループの負債純資産合計の内、外部金融機関からの借入金額が占める割合は2024年3月末時点で34.3%となっております。当社グループは、外部金融機関からの調達に過度に依存しない財務体質にすべく在庫回転率の向上を図ると共に、金利交渉を行い、市場金利の変動により支払利息が増加することを可能な限り低減することに努めております。しかしながら、当社グループの財政状態が悪化した場合等、何らかの理由により取引金融機関の融資姿勢が変更され取引が行われなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の借入金は変動金利であるため、経済情勢の変化等により市場金利が上昇した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、多額の負債は円滑な資金調達を妨げ、また事業への十分な支出を困難にする等、当社グループの事業に重要な影響を与える可能性があります。
さらに、当社が締結している金銭消費貸借契約の中には、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載した財務制限条項があり、これらに違反又は抵触する場合には、貸付人は当社の期限の利益を喪失させることができ、その場合、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
(25) 親会社等との関係について
当社は、2017年5月31日付でニトリから出資を受け入れ、2024年3月末時点でニトリは当社発行済株式総数の34.3%(議決権比率ベースでは34.3%)を保有するその他の関係会社に該当しております。また、当社はニトリの持分法適用関連会社となり、当社の取締役である白井俊之氏及び監査役である福田述氏はニトリから招聘しております。
また、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にも記載のとおり、当社とニトリは、業務提携契約を締結し、同契約に基づき、業務提携を開始しております。なお、ニトリとの取引については、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等を確保する方針です。
当社グループの経営方針、事業展開等の重要事項の意思決定において、現状、ニトリに対して事前承認を要する事項はなく、独立性・自律性は保たれていると認識しております。また、ニトリは当社株式を中長期にわたって保有する意向であると認識しております。しかしながら、将来において、ニトリにおける当社株式の保有比率に大きな変動があった場合、あるいはニトリの事業戦略が変更された場合やニトリとの業務提携が成功しなかった場合等には、当社株式の流動性及び株価形成、並びに当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営その他の事項に関するニトリの利益は、他の株主の利益とは異なる可能性があります。
(26) 買収(M&A)及び事業提携等について
当社グループは、買収(M&A)や事業提携等の戦略投資を成長のための経営戦略の1つとして位置付けており、新規市場への参入や新領域事業の拡大等のために買収や事業提携等の戦略投資を実施する可能性があります。これらを行う際には、対象企業の詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、費用削減を含むシナジー効果が実現できない可能性、統合作業や費用等の増加、顧客・人材維持の失敗、対象企業の過大評価又は提携先へのノウハウ流出等、事前に十分把握できなかった問題が顕在化する可能性や、事業展開が計画どおりに進まない可能性があり、かかる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(27) 中期経営計画について
当社グループは2022年5月に第3次中期経営計画(2022年度から2024年度)を発表いたしました。その中で成長戦略としては、①新卒中心の採用・各種制度拡充を通じた従業員のリテンション強化・店長以上の人材の育成・輩出の継続、②BPRを通じた業務全体の最適化やシステム導入の検討による生産性の向上、③住宅供給の重要なパートナーである工務店と大工の取り扱い能力の拡充及び④既存事業の成長加速に向けたM&Aの検討強化を掲げています。
しかしながら、当社グループがかかる目標を達成することができるかは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。
中期経営計画を策定するための各種の前提が変化した際に、当社グループがかかる変化に対応した成長戦略又は事業運営を立案又は実行することができない場合には、中期経営計画を達成できない可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、長期的な企業価値の最大化のため、株主の皆様への利益還元を経営上の重要政策の一つと考えており、業績に応じた利益還元を行うことを重要な経営課題として認識しております。
配当については、将来の事業規模の拡大と経営基盤の強化のために必要な内部留保の充実等を総合的に勘案したうえで、長期にわたり安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。具体的には、連結業績に連動した利益還元をすべく、連結配当性向は40%以上とし、特別な事情がない限り年間の配当金合計は前年度以上とすることを株主還元の方針として、株主の皆様に安定的な利益還元を行ってまいります。
内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、当社グループの経営方針に沿って、将来の事業規模の拡大と経営基盤の強化のための財源として活用してまいります。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、期末配当は3月末日、中間配当は9月末日をそれぞれ基準日として、剰余金の配当を取締役会の決議により行うことができることを定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2023年10月26日 |
取締役会決議 |
2,099 |
27.00 |
2024年4月30日 |
取締役会決議 |
2,105 |
27.00 |