2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク要因は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特に重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

当社製品の市場について①

日米欧等の二輪先進国においては、ライダーの平均年齢が50数歳と高齢化しており、現在の少子高齢化が進み、若年層のライダー増加が無いと、いずれかの時点で二輪先進国におけるライダー数(即ち我々にとっての顧客数)が減少に転じることが予想され、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:中期

現在当社はその対応策として日米欧および二輪先進国においてレトロタイプモデルの需要やIT・エレクトロニクスと融合したモデルへの対応をすると共に、PFSサービスを鋭意推進することにより、顧客の満足度向上及び囲い込みを図りシェア維持拡大に努めております。

加えて、今後の成長が期待される日本を除くアジア等に注力し、新興国の需要を着実に取り込むべく努力致します。

 

当社製品の市場について②

当社は二輪用ヘルメット専業メーカーとして着実に成長して参りましたが、一つの事業に経営資源を集中することは極めて効率的である一方、二輪用ヘルメットを取り巻く経営環境や業界のパラダイムシフトが起こった場合は壊滅的な影響を受けかねず当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:長期

当社は①の推移を注視しつつ、当社の間尺にあった、当社らしい新事業分野への進出も一つの可能性として議論を進めており、その第一弾としてBMX(競技用)ヘルメットへの進出を2023年11月15日に決議し、実施致します。

 

 

 

 

 

為替リスク

当社グループでは海外における営業展開を積極的に行ってきた結果、連結売上高に占める海外売上高比率が高く、2023年9月期は81.1%となっております。当社グループは為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

当社は、Made in Japanで勝負しますので、国内で効率的且つ効果的な開発・生産を行い、付加価値を高めて高い利益水準の維持を継続します。そのうえで、為替に左右されにくい体質とすべく、円建て輸出取引の拡大、円高に振れた場合の値上げ、為替に左右されない日本国内における利益面でのシェアーアップ等出来る対応を進めております。

尚、歴史的な円高が継続する場合に備え、販売量や利益の落ち込みの継続に耐えつつ、必要な対応策を行うべく、内部留保及び現預金を手厚く確保しています。

自然災害・大規模事故等①

工場所在地において、地震、異常気象、火災等が発生した場合、工場の操業が一定期間停止するリスクがあります。リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

 

国内の2つの工場のうち、1つの工場が操業停止に追い込まれた場合、操業再開までに必要な対応や資金を準備しています。また、もう1つの工場が可能な限りカバーしていく体制についても準備しています。こうした対応が可能となるよう、内部留保及び現預金を手厚く確保しています。

 

 

 

 

リスク

リスクの内容

主な対応

自然災害・大規模事故等②

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大や同種の伝染病拡大は、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。足許のコロナ禍は、本社・工場における感染リスクを高めています。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

コロナ禍において、事務所・工場内での感染拡大リスクや外部の人との接触による感染リスクを極小化し、事業を継続出来る様、以下の施策を実施しました。

・事務所や工場にて、手洗い・うがい・マスク着用等を徹底しています。

・必要に応じてリモート会議を活用しております。

今後、同様の伝染病拡大のリスクが顕在化する場合には、その時の状況に応じて、同種の施策を実施していきます。

 

(2)重要なリスク

リスク

リスクの内容

主な対応

当社製品に対する法規制

二輪乗車用ヘルメットの販売を行うには、世界各国における法的規制及び安全規格に適合させる必要があり、法的規制としては、日本では販売するための強制規格として消費生活用製品安全法(PSC)、北米では各州法で定め、オートバイライダーに着用が義務づけられている、自動車関係規格FMVSS(Federal Motor VehicleSafety Standards)No.218、欧州では国連ヨーロッパ経済委員会のRegulation’22等があり、また、安全規格(産業規格)として日本ではJIS規格、北米では任意規格のSNELL規格等があります。

当社の生産する二輪乗車用ヘルメットは、上記の他それぞれの販売地域における法的規制及び安全規格を満たしておりますが、今後新たな法律の制定や法改正並びに新たな安全規格の制定や既存の安全規格の変更等が行われ、当社の対応が遅れた場合は当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:小

発生時期:随時

当社グループでは、品質保証部が世界各国における法規制の動向を日々チェックしており、重要な変更やその方向性が出た段階から、開発・生産や営業と密接に連携し、必要な対策を立てて対応しています。また、国内の両工場において、各国の法的規制及び安全規格を満たすべく、必要十分な検査設備を整え、日々改善を進めております。

上記の動向について、重要な変更や対応状況等については、毎月経営会議や開発会議等で議論され、リスクを最小化すべく努めております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リスク

リスクの内容

主な対応

製造物責任(PL)

当社グループの主な販売地域には、製品の欠陥によっては生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造会社などに対して損害賠償を求めることができる法律があり、当社の生産する二輪乗車用ヘルメットに関しても、PL案件がアメリカを中心に発生しております。最近5年間のPL案件の発生件数は下表の通りであります。想定外のPL案件が顕在化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

当社は当該損害賠償請求に備えて、損害保険会社と国内外のPL保険契約を締結し、損害の補填と、交渉の代行を委託しております。当該保険は、万一敗訴の場合の損害賠償金の他、交渉のための弁護士費用や、和解による出費等も保険の対象となっております。PL案件の進展状況によって保険金額以上の支払いが発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がありますが、当社では、毎年リスクの動向を分析しながら必要な保険金額を掛けております。なお、当社単体の販売費及び一般管理費に占めるPL保険料を含む保険料(2023年9月期)は、57,425千円であります。

原材料価格の変動

当社グループの製造販売する「プレミアムヘルメット」の製造原価における原材料比率(2023年9月期)は50.6%となっております。原油、素材市況により全ての原材料価格が変動するわけではありませんが、原材料価格が大きく変動した場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:大

発生時期:随時

当社では、競争力のある製品を投入しつづけることで、仮に原材料価格が高騰してもある程度価格に転嫁するよう努めます。また、原材料を極力減らす努力を行ったり、製造工程の効率化に努めることで、材料価格の上昇を吸収するバッファーを作ります。

 

 

 

 

知的財産権(産業財産権)

プレミアムヘルメットとしてのポジション堅持のため特許、意匠、商標などの知的財産権の確保に努めておりますが、仮に他社製品の知的財産権(産業財産権)に抵触した場合には、その係争内容次第では当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

発生可能性:中

発生時期:随時

当社グループでは、品質保証部が中心となって、他社からのクレームに対応するとともに、自社の知的財産権の確保に向け、専門家の意見を充分に吸収しながら、対応しています。また、未公開特許侵害リスクに対する対策として、知財保険に加入しております。

 

 

 

 

最近5年間のPL案件の発生件数

 

期中の発生件数

期末の未解決件数

北米(件)

欧州(件)

日本(件)

北米(件)

欧州(件)

日本(件)

2019年9月期

1

1

1

1

2020年9月期

1

1

2021年9月期

1

2022年9月期

1

2

2023年9月期

1

1

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題として位置付けており、配当性向を重視した「業績に対応した成果の配分」を行うこととしておりますが、今般、資本効率の向上や株主還元の充実を図るため、経営環境の変化に対応して機動的に資本政策を遂行することを基本方針に追加しました。

つきましては、財務体質及び経営基盤強化のため株主資本を充実するとともに、連結配当性向50%を目処とした期末配当を実施する所存であります。なお、当社は「取締役会の決議により、毎年3月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めておりますが、現状では、年1回の期末配当以外の利益配分は考えておりません。当該期末配当金の決定機関は、定時株主総会であります。

当期の配当金につきましては、2023年12月22日開催の定時株主総会で決議され、1株当たり66円の普通配当を実施しました。当該配当金の支給総額は、3,534,538千円であります。

また、内部留保資金の使途につきましては、中長期的視野に立って、新製品開発のための研究開発及び設備投資のために振り向けるとともに今後の事業展開の備えとする考えであります。