事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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エンターテイメント事業 | 39,703 | 85.4 | 439 | 49.7 | 1.1 |
スポーツ事業 | 6,797 | 14.6 | 444 | 50.3 | 6.5 |
事業内容
3【事業の内容】
当社グループは、当社、子会社17社及び関連会社2社の合計20社により構成されており、良質なIP(Intellectual Property:知的財産)を開発・取得・発展するIPディベロッパーとして「新時代のエンターテイメントを創出する」ことをミッションとし、IPを軸に置いて事業を展開しております。
当社グループはエンターテイメント事業とスポーツ事業を報告セグメントとしております。エンターテイメント事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)ユニット、デジタルコンテンツユニット、BI(Bushiroad International)ユニット、ライブエンタメユニット、MD(マーチャンダイジング)ユニット、アドユニットの6ユニットで、スポーツ事業はスポーツユニットで構成されており、TCGやモバイルゲーム、音楽CD、ライブ、グッズ、書籍など様々なサービス展開(=メディアミックス)をワンストップでタイミングよく提供できる体制を構築しております。この体制によって様々なチャネルからファンを獲得することができ、さらに収益源が多角化する体制であるため、1部門で得られる収益のボラティリティが高くとも他の部門で補えるビジネスモデルとなっております。
2015年1月に発表した「BanG Dream!(バンドリ!)」は、キャラクターの声を演じる声優が実際に楽器を演奏し、生のライブ活動を行うというユニークな発想を起点として開発したIPであり、こうした音楽活動をはじめ、アニメ、TCG、モバイルゲーム、MDといった様々なメディアミックスと幅広い広告宣伝によって多様なチャネルからファンを獲得しております。収益の面においてもTCGやモバイルゲームのみならず、子会社が担う音楽ソフトやMDの売上が順調に伸びており、IPが発展することによって子会社を含む各部門の成長が牽引されるという当社が理想とするビジネスモデルを体現したIPとなっております。
2017年4月に発表した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」は、昨今エンタメ業界で話題となっている「2.5次元ミュージカル(2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称)」の多くがアニメのミュージカル化であることに対し、ミュージカルを原点としたアニメとの二層展開式プロジェクトという発想から開発されたIPであり、ミュージカル、アニメともに同一のキャストが演じることがプロジェクトに一体感をもたらし、どちらの入り口からも相乗的にファンを獲得できるIPとなっております。また、こちらも「BanG Dream!(バンドリ!)」同様にIPをさらに発展させるべく、TCGやモバイルゲーム、MDなど様々な展開を実施しております。
また、創業当初よりIPやメディアミックス展開が幅広く認知されることを重要視しており、屋外広告、TVCM、紙面出稿、SNS、WEB広告などオフライン、オンライン問わず積極的で幅広い広告宣伝施策を展開しております。
当社グループ各社の事業内容とセグメント区分との関連は次のとおりです。
セグメント区分 |
会社名 |
事業内容 |
エンターテイメント事業 |
㈱ブシロード(当社) |
TCGユニット (TCGの企画、開発、発売) デジタルコンテンツユニット (モバイルゲーム及びコンソールゲームの企画、開発) |
㈱ブシロードワークス* |
TCGユニット (知的財産権(IP)の創出) (雑誌・書籍制作) |
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㈱ブシロードクリエイティブ* |
MDユニット (グッズの企画、開発、発売) (グッズ販売イベントの企画、運営) |
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㈱ブシロードムーブ* |
アドユニット (広告代理店) (イベント制作) (音響・映像制作) (声優事務所「響」) |
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Bushiroad International Pte. Ltd. * |
海外での当社製品の販売 BIユニット (外国語版TCGの開発、販売) BIユニット (モバイルゲームのローカライズ) |
Bushiroad USA Inc. |
米国での当社製品の販売 |
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㈱ゲームビズ* |
アドユニット (WEBメディア運営事業) |
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㈱フロントウイングラボ* |
デジタルコンテンツユニット (アニメーション・ビデオグラムソフトウエアの企画、販売) (モバイルゲーム及びコンソールゲームの企画、開発) |
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㈱キネマシトラス |
アニメーションの制作 |
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㈱ブシロードミュージック* |
ライブエンタメユニット (音楽コンテンツの企画、制作、管理) (ライブやイベントの制作、運営) |
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㈱ブシロードミュージック・パブリッシング* |
ライブエンタメユニット (音楽著作物の著作権に関する管理) (音楽著作物の利用の開発) (楽譜の出版) |
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㈱劇団飛行船* |
ライブエンタメユニット (マスクプレイミュージカルの企画・制作・公演事業など) |
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㈱アルゴナビス* |
ライブエンタメユニット (「from ARGONAVIS」の運営) |
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㈲遊宝洞 |
TCGユニット (TCG等のゲームシステムデザイン) |
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Gorin Technical Industry (Malaysia) Sdn. Bhd. * |
BIユニット (TCGの印刷製造) |
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World Card Products (Singapore) Pte. Ltd. * |
BIユニット (TCGの制作管理、営業) |
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スポーツ事業 |
新日本プロレスリング㈱* |
スポーツユニット (プロレスリングの興行) (グッズの企画、販売) (映像コンテンツの制作、配信) (ファンクラブの運営) |
New Japan Pro-Wrestling of America Inc. * |
スポーツユニット (北米地域でのプロレスリングの興行) (北米地域でのグッズの企画、販売) |
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㈱スターダム* |
スポーツユニット (女子プロレスリングブランド「スターダム」の事業運営) |
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㈱ブシロードウェルビー* |
スポーツユニット (健康食玩事業) |
*連結子会社
(注)1.㈱ブシロードクリエイティブは2023年7月3日を効力発生日として簡易新設分割により当社の完全子会社である㈱ブシロードワークスを設立し、知的財産権(IP)の創出及び雑誌・書籍の出版事業を承継させました。
2.㈱ブシロードファイトは、2024年6月28日付で㈱スターダムに商号変更しております。
1.エンターテイメント事業
エンターテイメント事業は、TCGユニット、デジタルコンテンツユニット、BI(Bushiroad International)ユニット、ライブエンタメユニット、MDユニット、アドユニットに分かれており、当社と連結子会社の相互作用によって独創性が高いIPを開発(又は良質なIPを取得)し、時代の潮流を読みながら多角的なメディアミックスを行うことでIPを発展させ、事業を拡大しております。
① TCGユニット
当社が創業より開発、発売を行っておりますトレーディングカードゲームは、1対1の対面で遊べるアナログゲームであり、現在主に「カードファイト!! ヴァンガード」、「ヴァイスシュヴァルツ」、「ヴァイスシュヴァルツブラウ」、「Re バース for you」、「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を展開しております。
このうち「ヴァイスシュヴァルツ」は、自社他社問わずアニメやゲームなど様々な有力IPを取り入れたプラットフォーム型TCGであり、2008年3月の発売以降130を超えるIPに参入いただいております。これは当社が積極的かつ総合的なプロモーションを実現していることから、「ヴァイスシュヴァルツ」への参入が単なる商品化としての側面だけでなく、IP自体のプロモーションに寄与することが1つの要因であり、当社が「協業先から選んでいただけるIPプロデュース会社」であることを意味しています。また、2022年11月には姉妹ブランド「ヴァイスシュヴァルツブラウ」を発売しターゲット層の異なる新規顧客を開拓しております。
一方で「カードファイト!! ヴァンガード」は、オリジナルIPとしての側面も持つトレーディングカードゲームであり、発売以来国内のTCG市場上位に位置し続けております。また、当社の有力IPの1つとしてアニメやコミック、MD、コンシューマーゲームなど様々な形のメディアミックス展開も盛んに行っております。
「Reバース for you」は、オリジナルIPとしての側面と有力IPを取り入れるプラットフォームとしての側面の両方をあわせ持つTCGです。オリジナルIPとしてアニメなどを展開しつつ、他社IPを含めたカード商品を発売することで、幅広いユーザー層へのアプローチを継続的に行うことができます。
また、㈱Cygamesとの共同制作となる「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を2022年4月より、当連結会計年度は2024年4月より「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を展開するなど、今後も新規TCGの展開を進めてまいります。
いずれのトレーディングカードゲームにおいても対戦相手が必要なアナログゲームであるため、販売小売店での大会開催支援や当社主催での大型大会及びイベントの開催などユーザーが遊べる場所の提供をインフラ整備として積極的に行っており、その運営ノウハウが他の部門でも生かされております。
また、連結子会社㈱ブシロードワークスでは、知的財産権(IP)の創出及びWEBマンガサイト「コミックグロウル」の運営などを行っており、これらを活用した複合的なプロモーションが可能となっております。
② デジタルコンテンツユニット
当社はゲームレーベル「BUSHIROAD GAMES」(ブシロードゲームズ)として「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」をはじめとしたモバイルゲームの企画・運営・配信、ワールドワイドに向けたコンソールゲームの発売を行っています。
モバイルゲーム事業はGoogle LLC.及びApple Inc.などが運営するプラットフォームを介しユーザーに無料で提供され、一部アイテムを購入する際に課金される課金型のビジネスモデルを導入しており、当連結会計年度末日時点で「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」など自社IPを題材としたタイトルや「新テニスの王子様 RisingBeat」など他社IPを題材としたタイトルなど、主にIPを中心としたタイトルを提供しております。
当事業において提供しているタイトルはすべて外部のパートナー会社と共同で展開をしているものであり、その収益モデルは(①自社配信)当社がゲームの企画、製作、宣伝、配信を行って課金収入を得、外部のパートナー会社に開発及び運営を外注又は委託するケース、(②他社配信)当社がゲームの企画、製作、宣伝を、プロジェクトパートナー会社が開発、運営、配信を担い、収益は一定割合で分配するケースの2通りに分けられます。当連結会計年度末日時点では「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」及び「新テニスの王子様 RisingBeat」は①自社配信の収益モデルに該当しております。
またモバイルゲーム事業の海外展開においてはパートナー会社と協力しながら、グローバル版(英語)、繁体字版、簡体字版、韓国語版を展開しております。
コンソールゲーム事業においては、Nintendo Switch™/PlayStation®/STEAM®などマルチプラットフォーム戦略でグローバルな展開をしております。
連結子会社㈱フロントウイングラボでは、オリジナルアニメーション制作及びプロデュース業務やオリジナルゲームの開発を行っております。
(注)Nintendo Switchは、任天堂㈱の商標です。PlayStationは、㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標または商標です。STEAMは、米国及びまたはその他の国のValve Corporation の商標及びまたは登録商標です。
③ BI(Bushiroad International)ユニット
BIユニットは、連結子会社Bushiroad International Pte. Ltd.及び持分法適用子会社Bushiroad USA Inc.において、TCGユニットとデジタルコンテンツユニットの海外展開を行っております。
各TCGの日本語版の輸出や英語版の発売の他、「カードファイト!! ヴァンガード」ではイタリア語、タイ語、韓国語などでもローカライズ(翻訳、仕様変更など)を行っており、当連結会計年度末時点では海外60カ国以上で発売しております。海外での主催大会においても、米国やフランス、ドイツ、シンガポール、中国、タイなど世界20カ国以上で毎年開催するなど意欲的に展開を進めております。
また連結子会社Bushiroad International Pte. Ltd.は、2024年4月に当社のTCGである「ヴァイスシュヴァルツ」英語版や「カードファイト!! ヴァンガード」英語版などの製造を長年行っているGorin Technical Industry (Malaysia) Sdn. Bhd.の株式を取得し、連結子会社化いたしました。
④ ライブエンタメユニット
ライブエンタメユニットは、連結子会社㈱ブシロードミュージック、連結子会社㈱ブシロードミュージック・パブリッシング、連結子会社㈱劇団飛行船及び連結子会社㈱アルゴナビスにて展開しております。
㈱ブシロードミュージックでは、自社IPを中心に、音楽ソフトの販売や楽曲の権利開発、ライブやイベント運営などを行っております。また、それらの音楽ソフトやライブは、同じく連結子会社の㈱ブシロードムーブが運営する声優事務所「響-HiBiKi-」に所属する声優を中心に展開しているため、他社では模倣する事が困難なフットワークの軽さによって良質なパフォーマンスを実現しており、多くのユーザーから支持を頂いております。
㈱ブシロードミュージック・パブリッシングでは、当社グループを中心とした法人の音楽著作権の管理と使用促進を行っております。
㈱劇団飛行船は、50年以上にわたってマスクプレイミュージカル(ぬいぐるみ舞台劇)の上演を行ってきており、その舞台表現技術は国内外で高い評価を受けております。また、IPプロデュースにおいて重要な役割を持つ「舞台」の機能として、キャラクターミュージカルや2.5次元ミュージカルの分野にも力を入れております。
また、㈱アルゴナビスは、当社IP「from ARGONAVIS(フロム アルゴナビス)」を軸足にメディア展開する事業を展開しております。男性声優バンドによるライブ活動から、音楽ソフト・配信、舞台、映像、グッズ、ゲーム等のメディアミックス展開をしております。
⑤ MDユニット
MDユニットは連結子会社㈱ブシロードクリエイティブにて展開しており、自社や他社の有力IPを用いたグッズの企画・制作・販売を行っております。販売チャネルは自社IPのライブ会場での直販や、全国にあるアニメショップなどでの一般流通のほか、全国のカプセル玩具自動販売機向けの販売や、アミューズメント施設向け景品の商品化も行っております。IPのファンが集うイベント会場や商業施設での期間限定ポップアップストアなどコアなファンに向けた商品展開にも積極的に取り組んでおり、IPに対するユーザーのロイヤリティをさらに高める役割を果たしております。また、カプセルトイブランド「TAMA-KYU (たまきゅう)」、手の届きやすい価格帯で高品質な手のひらサイズのデフォルメフィギュアの新ブランド「PalVerse(パルバース)」など独創性のある新事業の展開にも積極的に取り組んでおります。
また、これらのMDやライブエンタメユニットの音楽ソフトなどを取り扱うオンラインショップ「ブシロードオンラインストア」を運営しております。
⑥ アドユニット
アドユニットは連結子会社㈱ブシロードムーブにて展開しており、イベント制作・広告代理店事業、音響・番組制作・声優事務所事業、クレジットカード事業など、様々な分野の事業を展開しています。
この他、連結子会社㈱ゲームビズでは、ゲーム業界ニュースサイト「gamebiz」に加えて、2024年5月にインフルエンサーと企業を繋ぐプラットフォームサイト「インフルエンジン」の運営を開始いたしました。
「プロモーションディベロッパー」として既存の手法にとらわれない新しい発想で、コンテンツの魅力を世界へ発信いたします。
2.スポーツ事業
スポーツユニット
スポーツユニットは、連結子会社新日本プロレスリング㈱、連結子会社㈱スターダム(2024年6月28日付で、㈱ブシロードファイトから商号変更)及び連結子会社㈱ブシロードウェルビーにて展開しております。
新日本プロレスリング㈱は、1972年に旗揚げした歴史あるプロレス興行会社であり、年間およそ160試合を開催し、延べ約30万人を動員しております。また、2019年11月には新日本プロレスリング㈱の100%子会社としてNew Japan Pro-Wrestling of America Inc.を米国のカリフォルニア州に設立いたしました。
このような興行のほか、選手や団体名に関連するモチーフを使用したアパレルや雑貨などグッズの企画・販売・直営ECサイト「闘魂SHOP」の運営、㈱テレビ朝日との共同事業である月額動画配信サービス「NJPW WORLD」(有料会員約100,000名)の配信を行っております。主要大会の生中継や過去の名勝負など現在から過去まで豊富な映像資産は今後の海外展開においてもファン獲得の肝であり、外国語実況及び字幕をつけるなど海外の視聴者にも向けたコンテンツ作りへより一層注力し、さらなる海外ファンの掘り起こしを促進しております。
㈱スターダムでは、2011年に旗揚げし、2019年に当社グループに所属した女子プロレス団体「スターダム」を運営しております。なお、当社は2024年6月28日付で㈱ブシロードファイトの全株式を連結子会社新日本プロレスリング㈱に譲渡し、新日本プロレスリング㈱の100%子会社となっております。
㈱ブシロードウェルビーは、健康食玩事業を行っており「新日本プロテイン」「ヴァイスシュヴァルツカード付プロテインバー」といった自社IPとプロテインを掛け合せた新しい業態の開発によるサービス拡充を目指しております。
[事業系統図]
業績
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社グループは、当連結会計年度より「スポーツ&ヘルスケア事業」としていた報告セグメントの名称を、ヘルスケア事業撤退のため「スポーツ事業」に変更しております。なお、この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
① 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における総資産は50,605,556千円となり、前連結会計年度末に比べ4,269,710千円増加いたしました。これは主に投資有価証券が1,172,037千円、機械及び装置が1,085,497千円、売掛金が412,093千円、商品及び製品が348,849千円、仕掛品が286,558千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は27,333,603千円となり、前連結会計年度末に比べ3,397,066千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が1,120,079千円、未払金が728,961千円、社債が650,000千円、買掛金が353,127千円、1年内償還予定の社債が300,000千円増加した一方で、未払法人税等が561,973千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は23,271,952千円となり、前連結会計年度末に比べ872,644千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が804,846千円、為替換算調整勘定が475,263千円、非支配株主持分が210,977千円増加した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が320,654千円減少、自己株式の取得により自己株式が568,728千円増加(株主資本の減少)したことによるものです。
② 経営成績の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における我が国経済は、社会・経済活動の持ち直しの傾向が続いている一方、社会情勢の変化、継続的な物価の上昇や為替の変動による影響等によって、依然として先行きが不透明な状況が続きました。
このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、TCG(トレーディングカードゲーム)を柱とし、グローバル展開を引き続き推進してまいりました。2024年4月20日に新TCG「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を発売し、さらに、2024年7月以降も複数の新TCGを発売することを発表しております。また、今後のTCGの開発・製造体制のさらなる強化と安定的な体制構築を目的として、2024年1月に㈲遊宝洞との資本業務提携を実施し、2024年4月にGorin Technical Industry (Malaysia) Sdn. Bhd.を連結子会社化いたしました。グローバルにおいては、年間を通して全世界各地で「Bushiroad EXPO」を開催、引き続き日本国外で多数のお客様とディストリビューターにご来場いただいております。
その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高46,262,958千円(前年同期比5.2%減)、営業利益882,574千円(同73.9%減)、経常利益1,898,197千円(同57.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益804,846千円(同60.8%減)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。
1.エンターテイメント事業
①TCG(トレーディングカードゲーム)ユニット
「カードファイト!! ヴァンガード」では新シリーズの展開を開始し、新規層を取り込むことに注力いたしました。「ヴァイスシュヴァルツ」では2024年1月に新たに簡体字版をリリースし、英語版に続いて多言語での展開を開始しました。「Shadowverse EVOLVE」は軟調に推移しました。2024年4月に新TCG「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を発売開始しました。
②デジタルコンテンツユニット
市況の影響を受け、赤字縮小のために体制変更に注力いたしました。モバイルゲームでは5タイトルをクローズ・1タイトルを運営移管し、運営をコンパクト化しました。コンソールゲームでは6タイトルをリリースいたしました。
なお、翌連結会計年度より「デジタルコンテンツユニット」としていたユニットの名称を「コンテンツユニット」に変更いたします。
③BI(Bushiroad International)ユニット
「カードファイト!! ヴァンガード」英語版は日本語版と同じく新シリーズの展開開始で順調に推移しました。モバイルゲームは、国内に合わせて2タイトルをクローズし運営を縮小いたしました。
「2023 Bushiroad Expo Asia」として4地域(クアラルンプール、バンコク、シンガポール、イルサン)、「Bushiroad EXPO 2024」として3地域(台北、インド、インドネシア)で開催しました。
④ライブエンタメユニット
バンドリ!プロジェクトの新バンド「MyGO!!!!!」や「Ave Mujica」が国内外で人気を博し、好調に推移いたしました。その結果、ライブエンタメユニットの当連結会計年度の売上は過去最高を更新しました。
⑤MD(マーチャンダイジング)ユニット
2023年8月にグローバルブレイクの柱となるフィギュアブランド「PalVerse(パルバース)」を始動し、開発体制の整備・権利取得が順調に進行するとともに、中国の推し活ブームに乗り、海外販路の開拓に成功しました。また、バンドリ!プロジェクトの新バンド「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」が人気を集め、ライブグッズの収益が順当に推移しました。その結果、MDユニットの当連結会計年度の売上は過去最高を更新しました。
⑥アドユニット
㈱ブシロードムーブでは、代理店事業・自社及び他社の大型イベントを複数担当し、堅調に推移しました。アニメ制作委員会への出資・参画を積極的に行い、TCGやグッズの商品化権、声優・音響等の役務を獲得しております。
㈱ゲームビズでは、インフルエンサーマーケティングを行うWEBプラットフォーム「インフルエンジン」の運営を開始いたしました。
これらの結果、エンターテイメント事業は、売上高39,679,038千円(前年同期比5.1%減)、セグメント利益438,812千円(同85.6%減)となりました。
2.スポーツ事業
「新日本プロレス」「スターダム」ともに堅調に推移いたしました。また、スポーツユニットの運営体制を強化するために、新日本プロレスリング㈱及び㈱ブシロードファイト(2024年6月28日に㈱スターダムに商号変更)の両社の社長が交代となり、スポーツユニットにおける事業の重複業務を削減し、事業効率の向上を図るため、2024年6月28日付で連結子会社である㈱ブシロードファイトの全株式を連結子会社である新日本プロレスリング㈱に譲渡いたしました。
これらの結果、スポーツ事業は、売上高6,583,919千円(前年同期比5.6%減)、セグメント利益443,761千円(同31.2%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて150,272千円減少し、23,450,654千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、362,678千円となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益1,932,033千円及び減価償却費793,188千円であり、主な支出要因は、法人税等の支払額1,846,648千円、為替差益427,592千円及び棚卸資産の増加額359,042千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、46,600千円となりました。主な収入要因は、定期預金の払戻による収入2,503,368千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入1,197,762千円であり、主な支出要因は、定期預金の預入による支出2,265,570千円、投資有価証券の取得による支出943,246千円及び固定資産の取得による支出770,106千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、190,293千円となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入4,602,050千円及び社債の発行による収入1,490,807千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出4,789,833千円、自己株式の取得による支出569,866千円、社債の償還による支出550,000千円及び配当金の支払額320,903千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
前年同期比(%) |
エンターテイメント事業(千円) |
39,679,038 |
94.9 |
スポーツ事業(千円) |
6,583,919 |
94.4 |
合計(千円) |
46,262,958 |
94.8 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来事項に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としており当連結会計年度末における借入金の残高は、12,547,667千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
セグメント情報
(セグメント情報等)
【セグメント情報】
1.報告セグメントの概要
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会
が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社グループは取り扱うサービスによって包括的な戦略を立案し事業活動を展開しております。したがって、当社グ
ループはサービスの提供形態に基づいたセグメントから構成されております。
(報告セグメントの変更等に関する事項)
当連結会計年度より、「スポーツ&ヘルスケア事業」としていた報告セグメントの名称を、ヘルスケア事業撤退のため「スポーツ事業」に変更しております。なお、この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
また、前連結会計年度のセグメント情報についても変更後の名称で記載しております。
各セグメントが提供するサービスは以下のとおりであります。
報告セグメント |
主要サービス |
エンターテイメント事業 |
TCGユニット、デジタルコンテンツユニット、ライブエンタメユニット、MDユニット、アドユニット |
スポーツ事業 |
スポーツユニット |
2.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額の算定方法
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」における記載と概ね同一であります。
報告セグメントの利益は営業利益ベースの数値であります。セグメント間の内部売上高又は振替高は、市場実勢価格
に基づいております。
3.報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、その他の項目の金額に関する情報
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注)1 |
連結財務諸表計上額 (注)2 |
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エンターテイメント事業 |
スポーツ事業 |
計 |
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売上高 |
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外部顧客への売上高 |
41,824,470 |
6,974,767 |
48,799,238 |
- |
48,799,238 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
286,497 |
226,621 |
513,118 |
△513,118 |
- |
計 |
42,110,968 |
7,201,389 |
49,312,357 |
△513,118 |
48,799,238 |
セグメント利益 |
3,047,844 |
338,136 |
3,385,981 |
- |
3,385,981 |
セグメント資産 |
42,621,885 |
3,781,657 |
46,403,542 |
△67,696 |
46,335,845 |
その他の項目 |
|
|
|
|
|
減価償却費 |
668,492 |
64,110 |
732,603 |
- |
732,603 |
持分法適用会社への投資額 |
134,559 |
- |
134,559 |
- |
134,559 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
1,414,090 |
67,032 |
1,481,123 |
- |
1,481,123 |
(注)1.セグメント資産の調整額△67,696千円は、セグメント間の債権債務の相殺消去であります。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
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(単位:千円) |
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報告セグメント |
調整額 (注)1 |
連結財務諸表計上額 (注)2 |
||
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エンターテイメント事業 |
スポーツ事業 |
計 |
||
売上高 |
|
|
|
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|
外部顧客への売上高 |
39,679,038 |
6,583,919 |
46,262,958 |
- |
46,262,958 |
セグメント間の内部売上高又は振替高 |
23,962 |
213,564 |
237,527 |
△237,527 |
- |
計 |
39,703,001 |
6,797,484 |
46,500,486 |
△237,527 |
46,262,958 |
セグメント利益 |
438,812 |
443,761 |
882,574 |
- |
882,574 |
セグメント資産 |
47,680,949 |
3,101,712 |
50,782,662 |
△177,105 |
50,605,556 |
その他の項目 |
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|
|
|
|
減価償却費 |
746,314 |
46,873 |
793,188 |
- |
793,188 |
持分法適用会社への投資額 |
332,413 |
- |
332,413 |
- |
332,413 |
有形固定資産及び無形固定資産の増加額 |
768,056 |
9,863 |
777,920 |
- |
777,920 |
(注)1.セグメント資産の調整額△177,105千円は、セグメント間の債権債務の相殺消去であります。
2.セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。
【関連情報】
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
1.製品及びサービスごとの情報
(単位:千円)
|
外部顧客への売上高 |
TCG |
22,716,362 |
デジタルコンテンツ |
8,365,942 |
ライブエンタメ |
4,442,563 |
MD |
4,816,121 |
アド |
954,411 |
スポーツ |
6,974,767 |
その他 |
529,068 |
合計 |
48,799,238 |
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:千円)
日本 |
米国 |
アジア |
その他 |
合計 |
38,593,250 |
5,949,521 |
3,489,743 |
766,722 |
48,799,238 |
(2) 有形固定資産
本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しております。
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
1.製品及びサービスごとの情報
(単位:千円)
|
外部顧客への売上高 |
TCG |
21,644,141 |
デジタルコンテンツ |
5,881,631 |
ライブエンタメ |
5,253,990 |
MD |
5,829,601 |
アド |
734,727 |
スポーツ |
6,583,919 |
その他 |
334,947 |
合計 |
46,262,958 |
2.地域ごとの情報
(1) 売上高
(単位:千円)
日本 |
米国 |
アジア |
その他 |
合計 |
35,551,107 |
5,044,626 |
4,880,450 |
786,773 |
46,262,958 |
(2) 有形固定資産
(単位:千円)
日本 |
アジア |
その他 |
合計 |
2,583,190 |
1,009,577 |
1,868 |
3,594,636 |
3.主要な顧客ごとの情報
外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
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|
(単位:千円) |
|
エンターテイメント事業 |
スポーツ事業 |
全社・消去 |
合計 |
減損損失 |
675,210 |
320,071 |
- |
995,282 |
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
該当事項はありません。
【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】
前連結会計年度(自 2022年7月1日 至 2023年6月30日)
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|
(単位:千円) |
|
エンターテイメント事業 |
スポーツ事業 |
全社・消去 |
合計 |
当期償却額 |
- |
1,012 |
- |
1,012 |
当期末残高 |
- |
1,434 |
- |
1,434 |
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
|
|
|
|
(単位:千円) |
|
エンターテイメント事業 |
スポーツ事業 |
全社・消去 |
合計 |
当期償却額 |
4,022 |
1,012 |
- |
5,034 |
当期末残高 |
- |
421 |
- |
421 |
【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】
該当事項はありません。